Ultima 7 プレイ記録 01 プロローグ 前編

2人の男が街角で話している場面から始まる…




「これは…これは…」 「実に恐ろしい!」 「なんと衝撃的な!」
「誰がこのようなことを!?」 「分からない…」 「彼に敵などいなかった…」
「哀れな男だ…」 「いったい何が起こったんだ?」 「分からない…」



そこへ、突如赤いゲートが現れ、中からアバタールが登場!


 


イオロ

やや大柄の、よく知った男が君を見上げた。
彼のショックは、その驚いて物を言えないといった表情から明らかであったが、それは直ちに喜びへと変わった。
彼がにっこりと笑う。
「信じられん…この目がどうかしてしまったのか!"もしアバタールがここにいたら…"と、まさに思っていたところだ。そうしたら…
いやはや、これは驚いた!魔法なんてものは消滅したと、誰が言ったのか!それが間違いだという生きる証拠が、ここにいる!
アバタールよ、我らが最後に出会ってから、ブリタニア暦で200年もの月日が経ったということを知っているか?それなのに、何故あんたは全く年老いていないんだ!」

イオロは笑みを含んだ目くばせをして囁いた。
「我らの元の世界と、ブリタニアでの時の流れが異なっているからだろうな」

彼は再び声高に話し始めた。
「ご覧の通り、私は少しばかり年を取ってしまった。だが、もちろん、ずっとこのブリタニアで暮らしていたんだ。
おお、しかしアバタールよ!他の皆に話すまで待っていてくれ!きっと皆喜ぶだろう!トリンシックへようこそ!」


 ペトレ

狼狽した人物がイオロを遮った。
「旦那、彼に厩を見せてやってください。ああ、恐ろしい!」


イオロ

イオロは頷くと、彼の喜びは急速に消えていった。
あたかも、この場所にいる理由を思い出したかのようだった。
「ああ、分かった……。今朝、我が友人ペトレが、見るも恐ろしいものを発見したんだ。厩の中に入って見てみてくれ。私も一緒に行く」



こうして、再びやってきたブリタニア。
ゲートの先は名誉の町トリンシックで、そこには旧友のイオロがいた。
どうやら、今回は彼らが呼び出したのではないみたいだ。

しかも、前回ウルティマ6から実に200年もの時が流れていたらしい。
イオロは確かに老けてしまったが、よく生きていられるものだ…。
やはり、こっちの世界の人々は寿命が少し違うのだろう。

だが彼らは、いったい何の話をしているのか…?

と、そこに、向こうの道から会釈をしながら歩いて来た人物が話しかけてきた。




フィネガン

中年くらいの高貴な男だ。
「イオロ!この見知らぬ方は、どなただね?」


イオロ

「ウィ、この方はアバタールであります!」
イオロは誇らしげに宣言した。
「信じられませんか?ご紹介差し上げましょう。彼はフィネガン、この町の市長です。そして、こちらがアバタール!私も、彼がここにいることが信じられません!」


フィネガン

市長は、君をジロジロと見回したが、イオロの言葉を信じたかどうかは分からない。
彼はイオロを疑わしく見た。


イオロ

「誓いましょう、この者はアバタールです!」


フィネガン

「あなたがアバタールだと伺いました。しかし、確信は持てません」

市長は再び、顔の毛穴を全て調べるかのごとく、君を見回した。
そして最後に彼は微笑んだ。
「ようこそ、アバタール」

しかし、すぐにフィネガンの表情は厳しくなった。
「恐ろしい殺人事件が起こりましたた。あなたが本物のアバタールならば、この件を手がけて、解決に向けて協力してくれることを期待します。もし殺人犯を突き止めたならば、相当の報酬をお約束しましょう。お受けいただけますかな?」




「(まあ…イエスと答えるしかないだろうな…)」


フィネガン

「ここにいるペトレが、この件について知っています」


ペトレ

その人物が割り込んできた。
「私が早朝に、哀れなクリストファーと、ガーゴイルのイナモを発見したのです」


フィネガン

「ペトレは、この厩の管理人で、早朝に哀れなクリストファーとイナモを発見しました」

市長は続けた。
「厩の中は見ましたか?」



ということで、イオロを連れて馬小屋に入ってみた。

すると、そこには……






馬小屋の中央には、男の惨殺死体が横たわっていた。
今朝発見されたとあって、周囲一面に血がおびただしく飛び散っている。
そして、馬小屋の奥の部屋には、熊手が腹部に突き刺さって絶命しているガーゴイルの死体が壁に打ち付けられている。

確かに、これは恐ろしい光景だ。
何より不気味なのは、中央の男の両手両足の先に灯った蝋燭…これは、何を意味しているのか?

血の足跡が馬小屋の外に続いているが、こちらは途中で消えてしまって追跡はできない。
犯人は、まだ町の中にいるのだろうか?



フィネガン

「厩の中で何か見つけましたか?」




「死体……」


 フィネガン

「そんなことは分かっている!『他に』何か見つけたのですか?アバタールよ、もう一度見てくるのです!」




「バケツが置いてあったな。血の入った…」


 フィネガン

「そう、これには明らかに、クリストファー自身の血が満たされている。しかし、殺人犯、あるいは殺人犯達の居場所を示す物が、他にあるはずです」




「そういえば、死体が鍵を持っていたな」


 フィネガン

「フム、鍵ですか。おそらく、クリストファーの息子に聞いてみれば、これが何の鍵か知っているかもしれません。スパークに尋ねてみるとよいでしょう」




「クリストファーってのが殺された人物の名前か。息子がいるんだな」


フィネガン

「クリストファーの息子はスパークと呼ばれています。彼らの家は待ちの北西部にあります」



「ついでだから、色々聞いておくか… このトリンシックの市長さんらしいが…」


フィネガン

「トリンシックは、かつて名誉の町でした。今でもそうだと思っています。
我々の名誉のルーンは、もう何年も前に、アバタールを名乗る者に持って行かれてしまいました。今はブリテインの王立博物館にあるのではないかと思いますが、空っぽの台座は、いまだ町の中央に残っています。
これは町の象徴であります。人々が、命が、そして名誉が空っぽということです。実に悲しいことです。
そして、今回の殺人事件が起こりました。我々は一時的に町の門を閉ざすことにしました。外に出るためには合言葉が必要です」




「ふーん、ひどい事をする奴がいたもんだな……ところで、合言葉って?」


フィネガン

「調査の進展をまとめたレポートを持って来てくれれば、あなたに合言葉をお教えしましょう」




「なるほど、犯人が判明するまでは町から出られないってことか……で、犯人の手がかりは?」


フィネガン

「このような犯罪は、かつてトリンシックでは起こったことがありません。クリストファーとイナモに、このような出来事が降りかかったのは信じられません。
どうか…町を探索してください!調査の進展についてのレポートを持って来てくれたら、謝礼を差し上げましょう。
町の全員に犯人について聞いてみるのです。クリストファーの息子と話したら、次は昨晩に埠頭を見張っていた、衛兵のギルバートと話すとよいでしょう。」

そして市長はためらった後、早口に喋った。
「私は似たような事件を以前見たことがある。たしか、およそ4年前に、ブリテインで…」




「ほう…ブリテインで、どんな…?」


フィネガン

「私がトリンシックに来る前のことでした。非常によく似た殺人事件が起こったのです。
クリストファーのように、体はバラバラに引き裂かれており、明らかに儀式的な殺人でした。
賭けましょう、犯人が誰であろうと、原因はこの儀式の背後に隠されています」




「儀式と言えば、あの蝋燭か。確かに怪しかった……。それで、ホトケは、どんな人物だったんだ?」


フィネガン

「クリストファーは、この地方の鍛冶屋でした。彼は町の北西部で息子と一緒に暮らしています…いや、いました。鍛冶屋の店は、南西の角にあります。
クリストファーは、色々な意味で裕福ではありませんでしたが、どうにかして自身と息子を養っていました。ですが、彼は確かに自身の仕事を楽しんでいました」




「もう1人の死体…あのガーゴイルは何者なんだ?」


フィネガン

「ガーゴイルのイナモは、厩で寝泊りしていたと聞いています。数ヶ月前に、ターフィンから移住してきたのだったと思います。
彼は単に、何者かが暴力に及んだ際の、不運な犠牲者のようです」




「付近を見張っていた衛兵は、どうしたんだ?」


フィネガン

「彼は早朝に背後から殴られて意識を失いました。朝の見張り番のジョンソンが、昏睡していた彼を発見しました。
彼は、町の西部にあるチャンツのヒーラーハウスで治療しています」




「なるほど……よく分かった。この事件、アバタールの手にかかれば解決したも同然だ。
謝礼の準備をして待っていていただきたい」


フィネガン

市長は君に会釈をし、仕事へと戻った。









そんなわけで、来た早々に殺人事件の調査をすることになってしまった。
とりあえず、イオロと話しながら町を歩いてみるが、ブリタニアもすっかり変わってしまったみたいだ。
道路もちゃんと舗装されてるし、通りには街灯なんかが設置されている。
200年といえば、かなりの月日だからな。










「じゃあイオロ、とりあえず色々と話してくれよ。というか、お前は本当にイオロなんだな?もはや面影もないけど…」


 イオロ

君の友人は鼻を鳴らして笑った。
「ジョークを言っているのかい、アバタール?君の古い友人のイオロを知らないって?」




「で…今は何してるんだよ?」


イオロ

「ウィ、ただいま、あらゆる伝説の英雄の中でも、最も勇敢なる人物と共に冒険をしております、アバタール殿!」




「今って、その今じゃないんだけどなぁ…まあいいや。俺の伝説って、まだこの世界で通じるの?」


イオロ

「ウィ、あなたがアバタールだということは疑う余地もありません、アバタール殿!
しかし、あんたの顔を知らない人に、それを信じさせるのは、少しばかり大変かもしれませんな。
もちろん、友人達の間では、そんなことはないはずですが!
うん、つまるところ、あんたは200年間不在だったから、あんたのことを知っている人は、とっくにいなくなっちまったんだ!
気を悪くしないでくれ、実際その通りなんだ」




「やれやれ、まあ民衆ってのは、得てしてそんなものだよ。ところで、他の皆はどうしてるんだ?」


イオロ

「シャミノとデュプレのことを言ってるのかい?
デュプレなら、どこかしらで出会えるだろうと思うよ。最後に聞いた話だとジェロームにいたらしい。
彼が騎士になったって知ってるかい?」




「200年間不在だったんだから、知るわけないだろ」


イオロ

「本当の話なんだぜ!ロード・ブリティッシュは最近、彼を騎士として召抱えたんだ。何だってあいつが、想像もできないよ!」




「へ〜、あいつも初登場の頃は由緒正しいパラディンだった気がするけど、いつの間にか戦士だったジョフリーが近衛騎士になってたもんな。
シャミノは、どうしてるんだ?」


イオロ

「あの小僧なら、ブリテインを探せば見つかるだろうよ。あいつは王立劇場の女優と付き合ってるんだぜ」




「へぇ、森にしか興味ありませんって感じだったのにな。
まあ、立ち話もなんだし、そこの酒場に行こうや。調査?まあ細かいことは気にするなって」








「ほら、座った座った。酒でも飲みながら再開を祝おう。バックパックにボトルが1本入ってるから、これでも開けよう。
おねーさん、注文いい?」


 アポロニア

30代くらいの、ゴージャスで官能的な女性だ。
「アポロニアよ」
彼女は上唇をなめるかのように言った。

「お部屋をお探し?それとも、食べ物か飲み物かしら?それだったら、ごちそうを作って差し上げますわ」
どうやら、彼女は君にいちゃついているようだった。




「(なんで、いきなりデレてるんだろう……)あ、おねーさん素敵ですね」


アポロニア

アポロニアは顔を赤らめ、睫毛をパチパチとした。
「まあ、アバタール!あなたは、どこの酒場女にも、そう言ってるに違いないわ!」




「いやいや、、、ここは良い店だ……何て名前の店なんだい?」


アポロニア

「ホナブル・ハウンドの酒場と宿屋よ。休んだり食欲を満たすのだったら、トリンシック中で、ここより良い場所はないわ」




「じゃあ、注文いいかな」


アポロニア

「極上の肉、魚、そしてケーキをお出しできます。特製メニューは、シルバーリーフの料理よ。何かお買い求めなら、お申し付けください!」




「シルバーリーフって?」


アポロニア

「んん〜、とってもデリシャスよ!あなたが今までに食べた物の中で、一番美味しいわ!お金を払う価値はあるわよ」




「じゃあ、それにしようかな……え?30ゴールド?……(10ゴールドしか持ってない)……じゃ、じゃあ酒でいいや…。
あ、このエールが安くていいね…」




「乾杯ー!いや〜、それにしても、来た早々、いきなり殺人事件とは、世の中暗くなったもんだよ」


イオロ

「ひどいもんだろ?聞いた話だと、クリストファーもイナモも、こんなに惨い死に方をするような人物ではなかったそうだ。この町に暮らす人々に、そのことを聞いてみるといい。何が起こっているのか判断できるよう、幸運を祈る。俺には手がかりは分からない!」
イオロは君の背中を叩き、にっこりと笑った。




「殺された人は、知り合いだったのか?クリストファーとかいう名前だっけ…」


イオロ

「彼のことは知らないんだよ、アバタール」




「もう1人の死体…ガーゴイルの方は?」


イオロ

「まことに恥ずかしいことに、彼とは話したことがないんだ。
人間の中で暮らしているガーゴイルは、多くはいない。今回の出来事は、落胆させるような事例だろうな」 




「ガーゴイルと人間は一緒に暮らすようになったのか?」


イオロ

「君が最後にブリタニアに来てから、ガーゴイルは人間に迎合し始めた。彼らの多くは、スーテックの古島で暮らしている。あそこは、今は"ターフィン"と改名された。
だが彼らは、国土のいたるところで見かけることがあるだろうよ」




「そうか…前回の冒険は無駄ではなかったんだな。あの時のガーゴイル達は、まだ生きているんだろうか……」





「ところで、ロードブリティッシュは、まだ健在なのか?」


イオロ

「ここだけの話、彼は俺よりも老けてしまったように思うよ…。彼について知ってることは、これで全てさ。
でも、彼はブリテインを離れる気はなさそうだ。我が主君は、君に会ったら大層お喜びになるだろう。大急ぎでブリテインに行くべきだ。
おそらく、重大な情報や、君の不在だった200年間の出来事を教えてくれると思う」




「でもブリテインに行くには、さっさと事件を解決しないとな。あのフィネガンとかいう奴に合言葉を教えてもらわないと、本当に町から出られなそうだ」


イオロ

「彼はトリンシックの市長で、良き人物だ。知り合って何年にもなる」




「このトリンシックの町は、相変わらず城壁で周囲を囲んでるんだな」


イオロ

「この町は少し変わったと思わないかい?皆、少し防衛過剰になったみたいだ……。
君自身で彼らと話してみるのが一番だと思うよ。君が最後に訪れてから、色々と変化している。
多分、少しばかり…そう、時代遅れに感じるかもしれない」




「トリンシックは、昔から結構大きい町だったからな。都会ほど人の心は荒みやすいものだ…。
他の町は…ブリテインとかは、どうなんだ?」


イオロ

「君が最後に見た時から発展した。ポウズは今や、ブリテインの付属都市さ!ブリテインはブリタニアの東岸を内包している。
ロード・ブリティッシュ城は、いまだに圧倒的な威容だ」




「ポウズって、道中の田舎町か。のどかで、いい町だったな」


イオロ

「あそこは、まだブリテインとトリンシックの間にあるが、むしろブリテインの一部として発展している」




「なるほどな……
 ……じゃあ、そろそろ行こうか。まあ、町で聞き込みを続けていけば、殺人事件の手がかりは掴めるだろう」


アポロニア

アポロニアは君にキスをした。
「また来てね!」




「おいおいおい、『アバタール伝説は、もはや通用しない』 とか言ってたのは誰だよ」



ちなみに、このホナブル・ハウンドの宿帳には、イアナの名前が書いてあった。
イアナも、最近ここに泊まったということか。
しかし、かつての仲間がまだブリタニアにいるのは嬉しいけど、皆イオロみたいにジジババになってるのかなぁ……。




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