Wizardry#1(SFC)
プレイ記録02 二つの鍵
サーマイン達6人が、この通称”狂王の試練場”と呼ばれている迷宮
の探索を始めてから数週間が過ぎた。通常のパーティーには必ず1人は配備されている僧侶が不在だったり、種族とアンマッチなクラスに就いている者がいたり
と、お世辞にも整っているとは言えないパーティーであったため、他のパーティーからは寄せ集め隊などと揶揄されていたが、彼らは意外と順調に探索を進めて
おり、つい先日には彫像の間で青銅の鍵も入手していた。
この彫像の間は冒険者の中では最初に辿り着くべき目標地点となっており、部屋の中に大量に置いてあるブロンズ製の鍵を1本持ち帰ることが、新米パー
ティーの一番最初のミッションとされていた。
「この鍵で地下2階にある扉が開くと聞いている。もう1つの銀の鍵が手に入ったら下に降りてみよう」 と、ブノムが鍵を手に取り目を細める。
銀の鍵というのも、このフロアのどこかの部屋に置かれ
ている鍵のことで、青銅の鍵と同じくこの先で必要になると言われている物であった。
「とりあえず、今日はもう町に戻りませんか…?戦いっぱなしでマジックパ
ワーがもう残り少ないですし…」
オータブの提案に皆賛成し、一度引き返すことにした。サーマイン、ブノム、ラコルフェの3人の戦士は、この界隈で出没する
コボルドやオークなどの低級な亜人間モンスターとは対等以上に戦えるようにはなったが、いかんせん治療の呪文を使える者がいないため、少しでも危険を減ら
すために、ロミニとオータブのカティノの呪文が欠かせない。
「すいません…。私がディオスを使えないばかりに…」
「気にすることはない。カティノで眠らせ
てさえくれれば、我々が傷を負うこともないから問題ないさ」 申し訳なさそうに呟いたオータブを、ラコルフェがフォローした。
問題なく鍵を手に入れることが
でき、皆いささか安堵した雰囲気となっていたが、帰り道の通路を曲がろうとした時にブノムが不穏な気配を感じて立ち止まった。
「後ろに下がれ!」
ブノムが
叫ぶやいなや、通路の角から2人の男が飛び出した。咄嗟に剣を抜こうと腰に手をかけたが、それよりも先に男達の振り抜いた2本の剣がブノムを貫く。
一瞬の出来事であったが、目の前に立つ2人の男と、床に倒れ込むブノムを見て、サーマインはようやく現状認識ができた。
「ブッシュワッカーだ!早く呪文を!」 言い終わるや、サーマイン、ラコルフェ、リンパリスが剣を抜き2人の男に飛びかかる。
この男達は迷宮で冒険者達を襲って金品を巻き上げている盗賊であった。迷
宮の中にはモンスターだけでなく、こうしたならず者達も数多く潜んでおり、危険なモンスター達を相手にするよりも駆け出しの
冒険者を相手にした方が安全だと、こちらの方に身を落とす者も少なくないと聞く。
サーマインは、ブッシュワッカーが再び振りかざした血の滴る短剣を楯で弾
き、そのまま相手に向かって突進する。ブッシュワッカーはサーマインの攻撃を見極め、避けるために素早く後方に飛び退いたが、その瞬間、ガクンと体中の力
が抜けてその場に
膝を付いた。ロミニの唱えたカティノの呪文がブッシュワッカーの脳神経に働きかけ、僅か数秒の間だが強烈な睡魔を引き起こしたのだ。立ち上がる力も無く
なったブッシュワッカーは、その姿勢のままサーマインに首筋を突かれて絶命した。
もう1人のブッシュワッカーにはカティノの効果が無かったが、仲間があっ
さりと殺されたのを見て一目散に逃げ出す。
ラコルフェは追うのを止めて、剣を鞘に収めてブノムに駆け寄った。
「ダメだな。既にこと切れている…」
ブノムは
素早い身のこなしと、その小さな体躯から想像も付かない力強さとで、剣の腕前はサーマインやラコルフェと同等であったが、不意
打ちを一身に受けてしまっては、さすがに成す術がなかった。
「鍵を手に入れて油断していたが、やはりここは危険な迷宮だ。ゆめゆめ注意を怠らないようにしないとな」
ロミニが皆を諭し、一同は険しい表情で帰路につく。
さて、ブノムが死んでしまったが、パーティーの手持ち資金では蘇生費用は全然足りない。
それどころか、まだディオスも使えないため、宿屋での回復も満足に
できない。
さらに、前衛が欠けた代わりに誰かが前に出なくてはならなくなったので、ますますダメージを負ってしまうことだろうから、蘇生費用を稼
ぐまでの間にリザーバーを入れることにした。
最初に決めたルールに則って訓練場で3人ほどの予備メンバーを作成する。
結果、(エルフ・中立・魔術師・ボーナス8)、(人間・善・僧侶・ボーナス9)、(ノーム・善・魔術師・ボーナス8)となった。
ここで僧侶が入ってくれれば非常に助かったのだが、補欠としてパーティーに入れるのは7番目のエルフ魔術師だ。
仕方がないので、しばらくはAC6のリンパリスとオータブを交互にを前衛に出して凌ぐとしよう。
既存メンバーの方では、ここで魔術師ロミニがレベル5となりマハリトを習得した。
さらに、戦士2人もレベル5となったため、攻撃回数がアップしてかなり戦闘が楽になった。
これならば、またブッシュワッカーなどの強敵に襲われても大丈夫だろう。
リザーバーの魔術師(名前:ユーレント)は、基本的にカティノを唱えるのみだが、ロミニがマハリト、ユーレントとオータブがカティノ、と使い分けることに
より、こちらが受けるダメージもかなり減らすことができる。
しかし、ダメージは完全に防げるわけではないので、当然回復には宿代がかかってしまう。
そろそろディオスを使えるようになりたいところだが…
なんと、オータブはレベル5になってもディオスを習得できなかった。
これはなかなか手痛いですぞ。
特別に信仰心が低いわけではないのだけど、こればかりは運だな…。
それでも何とか1000GPを稼ぎ、カント寺院でブノムを蘇生させる。
灰になったらどうしようかと心配した、緊張の一瞬であった。
再びブノムを加えたパーティーは、手傷こそ負っているものの、地下1階を探索するには十分な強さとなっていた。
前衛はレベル5の戦士が3人、後衛にはマハリトを使う魔術師とカティノを使う司教がいるため、1ターンで倒せない相手はまずいない。
探索中に再びブッシュワッカーにも遭遇したが、今度は敵の攻撃力の高さを警戒して前衛は全員防御し、マハリトで一掃した。
こいつの攻撃力だと、当たり所が悪いとまた死者が出るところであったので、早いところ前衛の傷を回復させないとならない。
マップを埋めつつランダムエンカウントで金を稼ぎ、少しずつ宿屋に泊まっていく。
そうこうしているうちに、ぼちぼちマップも埋まってきたので、未だ足を踏み入れていない南東区画に向かうことにした。
この区画はワープゾーンを踏まないと入れず、再び戻るために長い距離を歩かなくてはならないため、一応用心しておかねばならない。
まず、彫像の間でキーアイテムの銀の鍵を入手。
キーアイテムと言ってもあまり必要はないのだけど。
続いて、マーフィーズゴーストとも戦っておく。
経験値・ゴールドともに美味しい相手ではあるが、ここで戦うのは一度だけ。
マーフィー先生で稼ぐことはしません。
その後、この一画のマッピングを終えて、ダークゾーンを通って元の場所に戻る。
ここにあるエレベーターには、こちらから経由しないと入れないようになっているようだ。
さて、これで残った玄室を少しばかり回れば、地下1階のマッピングは終了だ。
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