Ultima 7 プレイ記録 48 鉤爪の男

バッカニアーズデンのフェローシップ支部所へ行く。




「この男は、確かエイブラハムの代理で支部長になっているんだったな。フェローシップの内部事情はあまり知らないかもしれないが、エイブラハムの行方くらいは分かるかも…」





 ダナグ

「こんにちは!」

キューブが振動した。
「あなたはアバタールとお見受けします!そして、あなたは死ぬ運命にあるでしょう!」
ダナグは、あたかも国王との晩餐に招いたかのような口調で話し、微笑んだ。




「な…なんだと!にこやかな顔して、いきなりとんでもない事を…。やはり何か隠しているな!」


 ダナグ

「フェローシップは、長い間、バッカニアーズデンにあります。ここは、ブリタニアで最も古い支部所の1つで、ブリテインの本部に次ぐものです。このような悪名高い島が、何故フェローシップに惹かれたのかと、疑問に思うかもしれませんね」




「……」


 ダナグ

君は、ダナグが話している間にキューブが振動していることに気付いた。
「あらゆる罪、放蕩、海賊、賭博、酒食…フェローシップは、その土台を築き、我らの原理に従うメンバーを勧誘しました。そして、バッカニアーズデンは変わったのです」




「キューブの効果で、面白いように胸の内を明かしてくれるな」


 ダナグ

キューブは震え続けている。
「今では、ブリタニア全土の腐敗の中心となっています。海賊達は皆、フェローシップに操られています」




「…幹部のエイブラハムとエリザベスについては、何か知っているか?」


 ダナグ

「エイブラハムは、フェローシップの側近メンバーの1人です。彼と、彼の仲間のエリザベスは、定期的に国中を旅して、組織基金の割り当てと徴収を行ったり、他の支部所で仕事をしたりしています」

キューブが振動した。
「うーむ…その…彼は死刑の執行もしています。そして、彼はカードゲームでイカサマもしているんです」




「死刑の執行だと…!」


 ダナグ

「エリザベスは、非常に知性の高い女性で、ある特別な計画の指揮をしています。普段は、ブリテインのバトリンと一緒に仕事をしていますが、大半の時間は、支部所から支部所への旅をしています」 

キューブが振動すると、ダナグは付け足した。
「彼女は…うむ、その…高貴なる売女です。時期が来たら、あなたを殺すつもりです」




「そいつらは、今はどこにいるんだ?」


 ダナグ

「通常、彼らは一緒に旅をしています。ちょうど、サーパンツホールド付近の瞑想静修所から、ここに辿り着いたところです。この島のどこかにいると思いますよ。エイブラハムは、彼が戻るまで、私がこの支部所の暫定支部長を務めるようにと話しておりました」

キューブが振動した。
「実のところは、我らの特別計画を行うために、アバタール島へ向かっている途中だと思います」




「特別計画?アバタール島だと?それはまさか…」


 ダナグ

キューブが振動すると、ダナグは誇らしげに付け足した。
「現在の我らの特別計画は、ガーディアンのためにブラックゲートを建設することです。それは、アバタール島の、我らの秘密の地下基地にあるのです!」




「そんな所にブラックゲートを作ろうとしていたのか!ゲートが開いたら、どうなるのか分かっているのか!?」


 ダナグ

ダナグは興奮して目を見開いた。
「来たりし我らの王、そして主人のための門です!彼は、もう間もなくやって来るでしょう!」




「くそっ…!だが、とにかく場所は分かった…アバタール島だな」


 ダナグ

「それは、コデックス神殿の中のダンジョンにあります。バリアーが招かざる客を排除しております。選ばれし数人のみが持っている特別な鍵で、バリアーを開くことができます」




「鍵はどこだ?」


 ダナグ

「私は持っておりません。持っている人は、エリザベスとエイブラハム、バトリン、そしてフックのみです。おそらくフックは、自分の家に鍵をしまっているでしょう」




「鉤爪の男…!奴はフェローシップの中で、そんなに高い地位だったのか…!」


 ダナグ

キューブが振動した。
「鉤爪の男?それは、彼の名です!"フック"!彼は、この島に住んでいます!彼の住居は、ハウス・オブ・ゲームの裏の秘密の地下墓地にあるのです!フックの警護をしているシンタグに尋ねると、そこへ行き着けるでしょう。無論、フックがフェローシップの死刑執行長であることはご存知でしょうね。彼の助手のガーゴイル、フォースキスも一緒ですよ。確か、そのガーゴイルの名前は、ガーゴイル語で"ゴロツキ"という意味だったと思います。彼はフックを手助けする、頑強な羽無ガーゴイルです。地下墓地でフックと共に暮らしていたと思います」




「死刑執行長…!」


 ダナグ

「その通りです。フックはフェローシップの、あらゆる汚れ仕事を行っています。彼はジェロームのマスター・デ・スネルの元でトレーニングを受けました。デ・スネルは、それ以前の死刑執行人にも、同様にトレーニングをしていました。実際、デ・スネルは、フェローシップにおける、最初の死刑執行人だったのです!」




「デ・スネル…ライブラリー・オブ・スカーズの団長か!そうか…なぜ殺人事件の犯行現場に、ライブラリー・オブ・スカーズの短刀が落ちていたのか、これで分かったぞ…」




「とにかく、フックの隠れ家を見つけて、アバタール島の鍵を手に入れなくては…。じゃあな、色々と教えてくれて感謝するよ」


 ダナグ

「さようなら!」












 ゴーディ

豪華に着飾った、金持ちそうな海賊だ。
ポマードの匂いを強烈に放っている。
「なんでしょう?」




「やあ、"ミスター"。…フックに会いたいんだが、案内してくれるな…?」


 ゴーディ

「そのような者に、心当たりはありませんね」
ゴーディは神経質に周囲を見回し、急に強張ったかのごとく、顔色を失った。

キューブが震えた。
「ああ、私はフックをよく知っている。彼はハウス・オブ・ゲームの下に住んでいる。シンタグと話すんだ。彼が示してくれるだろう」




「あの衛兵か…」


 シンタグ

君がブリタニアで見た中で、最も頭が悪そうで、屈強そうな衛兵だ。

「何だ?」
シンタグがブツブツと言った。




「フックはどこだ?」


 シンタグ

「そのような男は、全く知らない」

シンタグが話すと、キューブが振動した。
「フックはハウス・オブ・ゲームの裏の洞窟で暮らしている。ゲーム部屋から、そこに続く扉がある。俺が鍵を持っている。ゴーディの事務室にもまた秘密の扉がある。フックは、そこを使って出入りしている」




「じゃあ、その鍵を渡してくれ」


 シンタグ

「これだ」




「よしよし、素直だな。そうだ、ついでに聞きたいことがあるんだ。前に、ここに偽アバタールが来て、おまえがイカサマを見抜いたと言っていたが、そいつはどうなったんだ?」


 シンタグ

「それ以上、知る必要はない」
シンタグは君を睨みつけた。

キューブが僅かに震えた。
「奴は洞窟にいる。拷問部屋だ。奴の残骸がある」




「拷問部屋だと?」


 シンタグ

キューブが振動した。
「フェローシップが、囚人達に尋問する部屋だ」




「やれやれ、フェローシップは、そんな物騒な施設も所持しているのか…」


 シンタグ

「今、奴は我らの管理下だ」
シンタグは得体の知れない笑みを浮かべた。




「…とにかく、地下に行こう…」









シンタグから受け取った鍵で、ハウス・オブ・ゲームの開かずの扉を開くと、そこは洞窟につながっていた。







しばらく進むと、洞窟の中に部屋が見つかる。








「中には誰もいないようだが…この部屋…まさか…ここが…!」




「この書簡は何だ?」







「これは、今までの殺人事件の犠牲者の名前じゃないか!名前の後ろに×印をつけてやがる!そして…俺とロード・ブリティッシュの名前もある…!」


部屋の中にフックはいなかったが、タンスの中から鍵が見つかった。
これが、話に聞いたアバタール島の鍵であろう。
他にも、魔法の武器ジャガーノートハンマーなどのアイテムも入手した。






洞窟の中では、フェローシップの支部所に通じる隠し通路も見つかる。









そして、更に奥に進むと広い空洞に出た。







「こ…これは…全て拷問器具か…!?」




「む!あそこに牢獄があるぞ!何人か人影も見える!」







「このトロルは、敵ではないようだな…」


 グロド

トロルが君を睨みつけた。
明らかに君を歓迎していないようだ。

「俺はグロド。おまえは?」




「俺はアバタールだ」


 グロド

「アバタールだと?」
彼は笑い出した。

「アバタールはもう長いこと、この国にいないぜ。えーと…」
彼は指折り数え始めた。
そして、何度か指を折った後、諦めて言った。

「もう何年もな!おまえはアバタールじゃねえな」




「おまえが、ここの看守か?」


 グロド

「俺は囚人を拷問にかけるんだ」
彼は誇らしげに胸を叩いて言った。


 スパーク

スパークの目が輝いた。
「拷問?すごいや!」

彼は素早く君を見て、表情を変えた。
「僕は、その、うん、とても酷いと思うんだ」


 グロド

「手伝ってくれるのか?」




「馬鹿言うな。手伝うわけないだろう」


 グロド

「怖気づいて、鞭を振るえねえのか!」




「ここはフェローシップの拷問部屋と聞いたが、本当か?」


 グロド

「そうだ」
彼は頷いた。

「俺も、そこに所属している。協会に努め、報酬を得られる価値がある。そして、兄弟を信頼している」
彼は自分自身に酔っているかのように笑った。




「…ということは、ここに囚われているのは、フェローシップに刃向かった者ということか」


 グロド

「こいつだ!」
彼は男を指差した。

「そして、もう1人!」
彼は、もう1人の男を指差して言った。

「よう、調子はどうだ、アントン?」
彼は笑って言った。


 アントン

君は、しかめっ面の男に挨拶された。
「よう」




「やあ、アントンというのか?」


 アントン

「俺ぁ」
彼は鼻を掻きながら言った。

「アントンだ。おめぇには関係ねえだろ。おめぇが、俺をここに閉じ込めたんじゃなければな」


 サリバン

「正直に言うんだ、アントン。アバタールは、本当におまえの名前に興味があるのだと思う」




「ここに来る前は何をやってたんだ?」


 アントン

「なんだ、そのふざけた質問は?俺は檻の中にいるんだぞ!何の仕事ができるってんだ!?ああ、くだらねえ質問だ」


 サリバン

「落ち着くんだアントン。おまえは、すぐに職に就くことができるさ」
彼は君に振り向いた。

「彼は賢者アラグナーの弟子だったんだ。そしてフェローシップの情報を集めるように、命じられた…」


 アントン

「黙れ、馬鹿野郎!それを言ったら、俺はあいつらに殺される!」
彼は絶望して君を見た。


 サリバン

「もう忘れてしまったのか、アントン?おまえは、ちょっと前に、その情報を彼らに漏らしてしまったじゃないか」


 アントン

「俺が?」


 サリバン

彼は頷いた。


 アントン

アントンはトロルに振り向いた。
「俺が言ったか?」


 グロド

トロルは頷いた。


 アントン

「ああ、そうかい、じゃあ続けな!」


 サリバン

「俺が言った通り、彼は師匠から、フェローシップを監視するために送り出された。だが見ての通り、彼は見つかって、この拷問部屋に囚われてしまった」
彼はアントンに振り向いた。

「だが、怖がるな、アントン。おまえが解放されて師匠のアラグナーに会い、また勉強を続けられるのに、そう時間はかからないさ」
彼は笑って言った。




「アラグナーの弟子だったのか…だが、アラグナーはもう…」


 アントン

「彼はニューマジンシアに住んでいる賢者だ。おそらく、ブリタニアで最も賢い男だろう!だが、もう」
彼は溜息をついた。

「俺には、あの多量の知恵から、知識を拾い集める機会は無いのだろうな」




「……あんたは、ここに囚われて長いのか?」


 アントン

「そうだ、奴等は俺が腐っちまうまで、ここに閉じ込めておくつもりだ。あるいは、あのトロルの鞭打ちで死ぬまでだな」




「……」


 アントン

「俺はスパイの容疑で捕まったんだ、アバタール。無実の罪だ。だが、奴等は俺を殺すつもりだろう…」




「(もしかして、アラグナーのノートにあった情報は、彼が集めたものだったのか…?)」


 アントン

「俺は誓って、そんな事はしてねえ!考えてみろ、俺は、こんな不合理な知識を高めるために情報を集めたりしねえ!こんな…こんな…滑稽とは、このことだ!」




「もう少し辛抱しろ。おまえのやったことは間違っていない」


 アントン

「あのトロルは、日に何度も俺を打ちつけるんだ。俺は、そう長くは持たないだろう」


 サリバン

「こっちへ来るんだアントン、そんなに恐ろしくはないさ。言ってしまえばフェローシップは、俺達に住む場所と食事を与えてくれてるんだ。俺達が手に入れられるよりも、多くのな。そう、食わせてくれてるんだぜ!」


 アントン

「ああ、彼らは素晴らしい集団だ。ブリタニアの人々に、常に健康と幸福と魂をもたらそうとしている」
そう言って、彼は人差し指を動かし、君に近くに来るよう指示し、声を落した。

「んなことはねえぜ!俺はチャンスがあり次第、この悪党のねぐらから脱出してやるつもりだ。あんたも、そうした方がいいぜ!」




「おい、トロル、おまえはそんなに執拗に鞭打ちをするのか?」


 グロド

「最高に楽しいぜ!囚人どもは、いい声で叫ぶんだ。1人を除いてな。こいつは叫ばねえ。こいつは話をするんだ。そう、話すんだ。俺は退屈で狂っちまいそうだ。だから、俺はもっと拷問をする」
彼は腕を上げた。

「そして、こいつは、もっと話をする!俺には何なのか分からねえ」




「こいつってのは、このもう1人の男のことか…」


 イオロ

「恐ろしいな、アバタール。こいつを止めなければ!」


 グロド

「俺は、話すのを止めさせようとしているんだ。だが、こいつは話す話す。おまえも、やってみるか?止めるかもしれねえ」




「とりあえず、鞭打ちを止めてやれよ。まあ、そんなこと聞くとは思えんが…」


 グロド

「いやだね!俺は仕事が好きなんだ!俺は止めないぜ。あっちへ行きな」




「やれやれ…。で、もう1人のやつは…」


 サリバン

牢獄の中の男は、大きな笑みを浮かべて君に挨拶した。

「俺はサリバンだ」
彼は愛想よく言った。




「サリバン…サリバン…どこかで聞いたような…」


 サリバン

「あんたは誰だい?」




「俺はアバタールだ」


 サリバン

「お会いできて嬉しいよ、アバタール」
彼は君と握手しようと手を出したが、檻に阻まれた。

「ああ、すまない、アバタール。握手したと思っておいてくれ」




「サリバン……ああー!!思い出した!指名手配されてる、伝説の大泥棒じゃないか!そして…国中に出没して詐欺を働いている、あの偽アバタール…!」




「ハウス・オブ・ゲームで、イカサマだか盗みだかをして捕まって拷問部屋に送られたと聞いたが、まだ生きていたんだな」


 サリバン

「ああ…俺は最後には、その金を返すつもりだったんだ。もっとゲームに勝つために、そいつが必要だったんだ」


 アントン

「こいつは物を手に入れるために、あんたの衣装や真似をしていたんだ。バカな奴だよ」


 サリバン

「まったく、その通りだよ、アバタール。策略というのは上手くいかないものだ。正直言って、本当に恥ずべきことだ。これから、この事を忘れるべきではないし、きちんと罰を受けなくてはならない」




「至る町で、おまえの悪事の話を聞いたよ。中には、そのせいで死にかけたほどの人もいたんだぞ…」


 サリバン

「ああ、まさに俺は、時々あんたを装って、店で金を支払わずに物を取っていた。ああ、実際にやって"いた"。これからは、その事について、きちんと罰を受けるつもりだ」


 アントン

「どうもありがとよ」


 サリバン

「どういたしまして」
彼は頷いた。


 サリバン

「俺は捕まる前には、ブリタニア中の店から店を行き来して、"アバタール"として振舞っていた。どの店主も、大喜びで俺に沢山の品物を出してくれたぜ。あんたは、本当に善い行いをしたんだな、アバタール」




「おまえは、フェローシップのメンバーだったらしいじゃないか」


 サリバン

「本当に素敵な人々の集団だよ、アバタール。我らは、この素晴らしい国に住む人々に、導きと繁栄を伝道しているんだ。だが時として、仲間のメンバー達は少々…俺のことが気に入らないみたいだがね」


 アントン

「そいつは、少しばかり控えめだな!」


 サリバン

「フェローシップは人々に、羊のごとくリーダーに従うようにと教えているんだ。あんた、これより良い導きを思いつくかい?」




「そもそも、何故おまえはフェローシップに入ったんだ?」


 サリバン

「メンバーは正しく行動し、正しい方向に強く従ったならば、彼、もしくは彼女は、『内なる声』を聞くことができる。そいつは、どうやってゲームに勝つのかを教えてくれるんだ。それがまさに、俺が加入した理由さ!」
彼はにっこりと笑った。

「だけど、俺はまだ声を聞いたことがない」




「そんなことのために…。そして、声を聞けないから直接盗んだってわけか…」


 サリバン

「ああ、明らかに、俺は価値に見合うほどの努力はしなかった。俺が上の…金庫から借りた物にな」




「そこまで分かっているのに、なぜフェローシップから盗もうと思ったんだ?危険な目に遭うのは明らかだろう」


 サリバン

彼はできる限り、君に体を傾けた。
おそらく、このようなことは人生で初めてなのだろう、彼の顔がくぐもった。
「事実、価値というのは相対的な言葉だ。俺は気付いたんだ…。一日中拷問にかけられていると、とても沢山の事に気付く時間があるんだ…。それはフェローシップの本質だ」




「フェローシップの本質…おまえは気付くことができたのか?」


 サリバン

「バトリンとエイブラハム、そしてダナグ、彼らは間違っている。ガーディアンが、このブリタニアに出現してしまったら、奴が皆を消し去るのは疑いないことだ。フェローシップのリーダー達も含めてな」
彼は再び微笑んだ。

「俺がフェローシップやブリタニアから、全てを手に入れようとしたのは、それが理由さ。俺達が皆、殺されてしまう前にな」




「……」


 サリバン

「さようなら、アバタール。近いうち、表の世界でまた会おう!」




「ああ…ガーディアンは俺が阻止する。だから…おまえも生き延びろよ」


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