Ultima 7 プレイ記録 46 キューブ

デシートのダンジョンの北東から程遠くない所に、以前のブリタニアにはなかった島があった。
アンブロシアは、ウルティマ3では渦潮に入らないと行けない場所であったが、ここはブリタニア(ソーサリア)と同一の世界だったようだ。


 






この島の内海には小さな小屋が建っており、中には死体と日記があった。
日記には100年以上の日付が書いてあることから、この小屋は少なくとも、それ以上前に建てられたということになる。
ここにいた男は、おそらく生命を造りだそうとしていたようだ。





偉大なるモールの手記

1日目
私は、この見捨てられた島に上陸した。

3日目
大きな建物の残骸を見つけた。塔だろうか?

4日目
小屋が必要だ。塔の補修を開始した。

7日目
塔。

12日目
塔。

21日目
基礎は、ほぼ完成した。明日には仮設小屋から引っ越そう。

29日目
塔を増築する。食料を産み出す家畜を造り出す研究と実験を開始する。

45日目
塔が完成した。実験は失敗だ。もうすぐ命が宿ると思う。

73日目
できた!私の助力なしで細胞が結合した!自力で持続できる生命ができるのも、そう遠くはない!

97日目
間違いなく答えは近い。だが、私の失敗を目論む者がいる!彼らは空を紫色に変え、私に向かって雷を落としてきた。

111日目
奴らは私の妨害を続けている。私は奴らの声を聞いた。ここから立ち去れと言っていた。だが、私は成し遂げるまでは休まない!

181日目
また、奴らが来た。奴らは私を誘惑するためにサッキュバスを送り込んできた。彼女らは、「キスして、キスして」としか言わない。「いやだ」と言うのが私の答えだ。私は強くなる!

40232日目
ハハハ!あの声が今も聞こえてくる。だが、奴らが消えるまで、私の実験は完成はしないだろう。夜は私の楽園。そして犬は吠えるのだ!





本島に降りると、早速海賊が出迎えてきた。
かなり数が多いので、大規模な戦闘になるかと思いきや…よく見ると、海賊と騎士団が戦闘をしていた。
騎士団は強く、こちらが加勢するまでもなく全ての海賊を倒してしまった。
彼らとは会話ができないので何者なのかは分からないが、海賊討伐に派遣された騎士団であろうか?









島の北部には洞窟があった。
ここに目的のキャデライトがあるのだろうと、中に入ろうとすると…
洞窟の前に、見慣れない生物がいる。





 キスミー

君の周りをパタパタと飛び回る、元気のよいフェアリーだ。
彼女が笑うと、君の頭の上に輝く粉のようなものが舞った。




「お、フェアリーか…ブリタニアでは珍しいな」


 キスミー

「あなたを愛してる!そう、愛してるわ!」




「言葉を喋れるのか。名前は何ていうんだい?」


 キスミー

「キスして!キスして!」
彼女は笑った。


 デュプレ

「この下品な生き物め!おまえの『名前』を尋ねたんだ」


 キスミー

「でも、『それ』が私の名前なの!キスして(キスミー)!キスして(キスミー)!本当よ!」


 イオロ

「そんなことはするなよ、アバタール!この奇妙な生き物が、どんな悪いものを持っているか分からないぞ!」
彼は、この妖精に近づいて調べた。

「そうだ、俺が最初にしよう。そうすれば安全だ…」


 スパーク

「ねえ、僕がキスするよ!この子は怖くないよ!」


 シャミノ

「むしろ彼女は誘惑的だと思わないか?」




「まったく君たちは…女とくれば人間じゃなくてもいいのかね?明らかに怪しげな妖精じゃないか。こんな所で何をしてるんだ?」


 キスミー

「私の目的は、愛の粉を撒くことと、アンブロシアに来たあなたを歓迎すること!愛してるわ!そう、愛してる!」

彼女はシャミノの頭の上をヒラヒラと舞った。
「あなたも愛してる!」


 シャミノ

「もう少し大きければなぁ…」


 キスミー

彼女はスパークの周りを飛んだ。
「ああ、そして、あなたも愛してる!」


 スパーク

スパークは赤面した。
「うぅ…やめてよ…!」


 キスミー

キスミーは、デュプレの近くに飛んで行った。
「ハンサムさん!ハンサムさん!愛してるわ!本当よ!本当よ!」


 デュプレ

デュプレはフェアリーを振り払った。
「あっち行け!俺のことは愛してないだろ!そもそも、知りもしないじゃないか!」




「ひでえな…」


 キスミー

キスミーはイオロに滑走して行き、彼の頬に突っ込んでキスした。
「あなたを愛してる。ええ、愛してる!」


 イオロ

イオロは苦い顔をして頬を拭いた。
「アバタール、こいつは泥っぽくて、湿ってて、俺が感じた中で最悪に『不快』なキスだぞ!」




「う…イヤな妖精だな…。この燐粉は大丈夫なんだろうな…?」


 キスミー

「私は何も知らない!でも、可愛いでしょ!」
キスミーは子供のように笑った。

「あなたを愛していることを示すためのもの!本当よ!」




「とりあえず、ここがアンブロシアというのは間違いなさそうだ」


 キスミー

「あなたがいる場所よ!本当よ!そう、アンブロシアよ!」


 イオロ

「アンブロシア!では、本当に存在したのだな!」


 キスミー

「アンブロシア、失われたブリタニアの島!本当に、そこにいるのよ!」




「かつて、ここに隕石が落ちたと聞いたが、本当のことなのか?」


 キスミー

「アンブロシアには、何百年も昔に空から石が降ってきたの!ええ、本当よ!島の全ては、ボロボロのコナゴナになちゃったの!本当よ!」




「その隕石を探し出せば、目当ての鉱石も見つかるってことだな」


 キスミー

「それはキャデライトと呼ばれているわ。そう、確か本当よ!そして、あなたを愛してる、本当よ!」




「おまえは、そんなに昔からこの島に住んでいるのか…?」


 キスミー

「アンブロシアは、とても美しい所だったわ!そう、美しかった!私の先祖達は皆、ここで暮らしていたの!愛の粉が全土に舞っていて、毎日が宝石のようだった!ええ、本当よ!あなたもそうなるわ!ああ、あなたに、もう一回キスしなきゃ!」


 イオロ

「ダメだ!するんじゃない、アバタール」


 スパーク

「やれやれ、もう一回やろうよ!」


 シャミノ

「俺は彼女は可愛いと思うぞ」


 デュプレ

「もしやるなら、さっさと済ませるんだな、アバタール。俺達には、そんな馬鹿馬鹿しいことに費やす時間は無いんだ」
デュプレは、この事に関してハッキリと不快感を示しているようだった。




「一番喜びそうな男が、いつになく真面目だな…。分かったよ、さっさと石を探しに行こう」


 キスミー

「でも、あなたを愛してるわ!本当よ!」
キスミーは笑って、君の髪に一層の愛の粉を撒き散らした。




「そのキャデライト鉱石が、どこにあるのか知ってるか?」


 キスミー

「ほとんどは、ヒドラがいる穴に集められてるわ。ヒドラに聞いてみるといいわ。本当よ!」




「ヒドラ…そんなのもいるのか…」


 キスミー

「ヒドラは3人兄弟なの。みんなドラゴンよ!本当よ!彼らは怒りっぽいから、怒らせないように気をつけてね!キャデライトのことを、とっても大切にしてるから、そのことを最初に話すといいわ!」




「この洞窟の中だな…。分かった、では行ってみよう」


 キスミー

「さようなら、愛する人!ええ、愛してるわ!本当よ!」










アンブロシアの洞窟は、デスパイスなどのダンジョンと比べると小さくて単純な構造だったため、すぐに最深部まで行くことができた。









「いた…!こいつが、フェアリーの話してたヒドラだな…!」








頭が3つのヒドラだ。


 シャンヅ

左の頭が喋った。
「起きろ、何かが来た」


 シャンド

右の頭が顔を上げて、君を見た。
「こいつは美味いのかな」


 シャンダ

真中の頭が目覚め、君を見て警戒し始めた。
そして、嬉しそうに鼻を鳴らした。
「怖がることはないさ、兄弟。こいつは知っている」


 シャンド

「こいつは喋るのかな?」


 シャンヅ

「俺達は、おまえと話すつもりはない!喰ってやるんだ!」




「驚いたな…こいつらも会話ができるのか。もしかして、名前とかあるのか?」


 シャンヅ

「俺の名前はシャンヅ。隣にいる兄弟はシャンダ。その隣にいる兄弟はシャンド」


 シャンド

「俺達の名前なんて、どうでもいいだろ!」


 シャンダ

シャンダは首を振って君を睨みつけた。




「紛らわしい名前だな…。えっと、シャンヅってのが…」


 シャンヅ

「俺だ」
シャンヅは微笑んで、唇を吊り上げて微笑んだ。

「エサが俺の名前を言うってのは、好きだね!」




「で、おまえがシャンダか」


 シャンダ

シャンダは目を丸くして、鼻孔から白い煙を噴き出した。


 シャンド

「シャンダは、名前を呼ぶのを止めろと言っている。彼は、エサに自分の名前を呼ばれるのが好きじゃないんだ」




「残りがシャンドだな」


 シャンド

「俺だ。俺が長兄だ」


 シャンヅ

「俺達は繋がっているんだぞ、シャンド!おまえが長兄ということはないだろう!」


 シャンド

「俺の頭が、一番最初に呼吸をしたんだぞ」


 シャンヅ

シャンヅは唾を吐いた。
「それが何だって言うんだ?俺達の誰が長兄だなんて、エサにとっては関係ないだろう!」




「まあまあ、兄弟喧嘩はやめるんだ。おまえら、仕事はしてるのか?」


 シャンダ

「仕事?」
シャンダは口を開けて、燃え盛る炎を吐いた。


 シャンド

「彼はジョークのつもりで言ったんだろう。仕事だってよ!ハハ!愉快だと思うよ。エサがジョークを言ったのは、初めてだよ」


 シャンヅ

「ああ、だが兄弟、俺達は"仕事"をしなくちゃな」


 シャンド

「やるのか?」


 シャンヅ

「キャデライトを守らなくてはならない、そうだろ?俺達の生きる目的は、キャデライトを守ることだ!」




「そのキャデライトなんだが…」


 シャンヅ

「キャデライトについて知りたいのか?いいだろう、俺が教えてやろう」
ヒドラは少しの間、重心を動かし、意地悪そうに睨んだ。

「俺達は、それを守っている」




「なんで守ってるんだ?」


 シャンド

「こいつは、何でもかんでも聞き返してるかのようだな、シャンヅ」


 シャンダ

シャンダは恐ろしい唸り声を上げた。


 シャンヅ

「シャンダは腹が減ったと言っている」


 シャンド

「俺もだ!」


 シャンヅ

「おまえの言うとおり、俺も少々腹が減った。キャデライトを守らなくてもいいならば、こいつを一口で飲み込んでいたんだがな!」




「ヒマそうなんだから、教えてくれてもいいじゃないか」


 シャンド

「こいつが、俺達の言った事を何でも繰り返すのを聞いてると、ますます腹が減ってくる!」


 シャンヅ

「楽しませてくれるな!多分、こいつは限られた知性しか持ち合わせていないんだろうさ!」


 シャンダ

シャンダは低い唸り声を上げた。


 シャンド

「シャンダは何かを食べたいと言っている!」


 シャンヅ

「俺達は、ここに1000年おきくらいにやって来て、キャデライトを持って行こうとする、おまえのような輩から守らなくてはならないのだ」


 シャンダ

シャンダは、さっきより大きな声で唸り、少し炎を吐いた。


 シャンヅ

「おまえはシャンダを怒らせた!彼は、おまえがキャデライトを盗もうとしていると思っている!注意しろ!」




「盗む?いやいや、できれば平和的に拝借をだな…」


 シャンヅ

シャンヅは激怒した。
「そうだと思っていた!こいつは我らのキャデライトを盗もうとしているぞ!」

シャンヅは兄弟達に教えた。
「これ以上、引き伸ばすな!」


 シャンダ

シャンダは怒りの唸り声を上げた!


 シャンド

「いいアイデアだ、兄弟!」


 シャンヅ

シャンヅは君の方を向いた。
「こいつは、何となくトロルに似ているが、もうちょっと、いい匂いがする。シャンド、こいつはトロルよりも美味いと思うか?」


 シャンド

「やってみなくちゃ分からんな!」


 シャンダ

シャンダは怒り狂って頷き、口角を上げた。


 シャンヅ

「そうだな!じゃあ、喰うとするか!」




「やれやれ…結局こうなるのか…」


まあ、結果は言うまでもない。
アバタール一行には勝てるはずもなく、兄弟仲良く血祭りにあげられた。
彼らの胃の中には、トロルやヘッドレスの死体が丸ごと入っているほどの大食いであった。








ヒドラの部屋の先には、目的のキャデライト鉱石があった。
これを回収したら、次はヘルメットを造ってもらいに行く。












「キャデライトを加工できるのは、ミノックのゾーンという鍛冶屋だったな…」





 ゾーン

長時間の厳しく鬱積した労働によって、強張った表情と熱した石炭のようの目になってしまった男だ。




「やあ、ゾーンさん、ちょっと仕事を頼みたいんだが…」


 ゾーン

「俺が販売している武器と防具は、全部俺の手作りだ。いい仕事をすると思うぜ」




「こいつを加工できるか?」


 ゾーン

君はゾーンにキャデライトを差し出した。
「こいつは驚いた!キャデライトが見つかる場所は、あの失われたアンブロシアの島だけだと思っていたが。こいつで何を作ってほしいんだ?」




「耳まで覆えるようなヘルメットを造ってほしいんだ」


 ゾーン

君は、キューブのジェネレーターの危険な音を遮断できるようなヘルメットについて述べた。
ゾーンは頷いた。
「ああ、そいつなら作ってやれるぜ。すぐに作業にかかる」

ゾーンは君からキャデライトを受け取ると、作業に取り掛かった。
君は、鍛冶の達人が炎の中で鉱石を溶かし、型に入れ込んで形作っていくのを、熱心に観察した。
ゾーンは素早く必要な寸法を取り、熱くなった物質に、いくらかの調整を加えた。
そして、それは完成した。

ゾーンはヘルメットを冷ますために水に浸した。
「できたぜ。あんたの指定と寸分も違わねえ」




「うむ、見事な腕だ!これならきっと大丈夫だろう!」






「では、これを身に着けてフェローシップの瞑想センターへ行くぞ!」


 ゾーン

「さようなら、アバタール」




「(そういえば、代金を1ゴールドも払ってないけど、よかったんだろうか…)」











そして、サーパンツホールドの東にある、フェローシップの瞑想静修所に行く。
決して中に入ってはならないと言われていた洞窟の奥に入るのだ。


  


 イリアル・シルバーミスト

戦士の装備をした、印象的な女性だ。彼女は君を獰猛に見つめた。
「止まれ!」




「厄介な奴が来た…。戦っても負けることはないだろうが、ここは走って強行突破だ。ジェネレーターを破壊したら、魔法で脱出すればいい」



追ってくるイリアル・シルバーミストを巧みにかわし、最深部まで走り抜けた。




「これがキューブジェネレーター…ガーディアンの声をブリタニアに送る装置か…!」






「アバタール、ここに来てはならぬ!」





「例の声も頭の中に聞こえる…これがガーディアンの声だったということか…」


ここでは、キャデライトヘルムを装備していないとダメージを受けてしまう。
ヘルムは一応人数分あるが、後ろからイリアル・シルバーミストも追ってきてかわしきれないので、一度外で仲間を全員待機させて、アバタール1人で再度挑むことにした。




「よし!キューブの中に入ったぞ!」






「本気か?考え直すのだ!」




「考え直すわけないだろ。このまま破壊させてもらうぞ!」


キューブジェネレーターの内部は、阿弥陀くじのような迷路になっており、正しいルートを踏むと先に進む通路が開く。
一見簡単そうだが、所々に大ダメージを受ける罠が仕掛けられていたり、先に進んだら後に戻る通路が消えてしまったりと、なかなか一筋縄ではいかない。





「やっと辿り着いた…。あとはこいつを…」






「ダメだ、ダメだ、ダメだ!考え直すのだ!」




「…破壊する!」





キューブのジェネレーターを破壊し、後に残った小さなプリズムを回収した。
これで、ガーディアンがブリタニアに送り込んだ、テトラへドロン、スフィア、キューブの3つのジェネレーターを全て破壊したことになる。
ガーディアンとフェローシップの関係や、ブリタニアに起こっていた異変の原因も明らかになり、いよいよストーリーも佳境に迫ってきた。




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