Ultima 7 プレイ記録 44 テトラへドロン

デシートはムーングロウの北、ダガー島にあるダンジョンだ。
この島には、デシートの他、かつての誠実の神殿がある。
あとは、中に墓がある小さな洞窟もあったが、特に何も見つからなかった。


 






デシートのダンジョン内は、細い通路に所々、罠が仕掛けられている。
突然地面から湧き上がる炎のフィールドや、壁から飛び出す矢など、回避しようのないものが多く消耗させられる。


  







「ん…?なんだ、こんな所に人がいるぞ…?」





 エイコ

驚くほど魅力的な東方の女性だ。
彼女は完全武装していた。




「やあ、こんな危険な所で何をしてるんだ?」


 エイコ

「私の名前はエイコよ。冒険をしているの。異母姉妹のアマンダと一緒にね」


 アマンダ

鎧を着て、小さな手持ち武器を持った、魅力的な女性だ。
「私の名前はアマンダ。私の異母姉妹はエイコ。私と同じく、カレンナに戦いを教わった戦士よ。私達の復讐を成し遂げるために必要な技を、長いこと一緒に学んだわ」




「復讐…?いったい何があったんだ?」


 エイコ

「18年前、私の父がイスカンデルと呼ばれるサイクロプスに殺されたの。一族で生き残っているのは、異母姉妹のアマンダと私だけ。私達は、父の仇を討つという誓いを立てたわ」


 アマンダ

「私達2人は、父が死ぬまで出会ったことがなかったの。でも、私達の師匠、ミノックのカレンナの元で、一緒に厳しい修行をして、私達は本当の姉妹のように固い絆で結ばれたわ」


 エイコ

「私達は、父が死ぬまで、お互いの存在を知りませんでした」


 アマンダ

「私は、どこかに姉妹がいるのではないかと、日頃から感じていたの。でも、これは父を失った子供の孤独から来るものだと思っていたわ。お互いの事を知るのは、私にとって、父の死後で唯一嬉しかったことだったわ」


 エイコ

「父は、カリデスという名の魔術師だったわ。彼は、魔法の障害となっているエーテル波動の原因を探していたの。それは20年以上前に起こって、その時から魔術師達はおかしくなっていったわ」


 アマンダ

「私達の父は、聡明で優しい人でした。彼の死は、全ブリタニアの損失です」
彼女は鼻をすすった。




「そうか…可哀想にな」


 アマンダ

「父は、悪しきサイクロプスによって、見るも残忍に殺されたわ。彼は、槍で串刺しにされていたのよ。死ぬまでに数時間かかったわ」
彼女は顔を上げた。
その目は煌いていた。

「腹部を貫かれて死んだ者を見たことがある、アバタール?その苦しみは、想像もできないわ」




「そのイスカンデルというサイクロプスの居場所は分かっているのか?」


 エイコ

「ええ、私は正しく発音できていないかもしれない。あいつには、古代サイクロプス語から訳された、もっと人間っぽい渾名があったと思うわ」


 アマンダ

「私達は修行を終えてから、そいつを何年も追っているわ。ブリタニア中で、そいつの行方を追っているの。時には、すぐ目の前にいたこともあるわ。でも、ようやく、これまでよりも近い所まで来たと思うの」


 エイコ

「奴を見つけても、逃げたりはしないわ。私達は復讐をするのよ!」


 アマンダ

「父は勇敢に戦ったわ。彼は簡単には死ななかった。英雄の如く死んだのよ。私達が果敢に戦って死んだとしても、父を殺した奴には、真の悪党に相応しい死を与えてやるわ」




「そうか…まあ、気をつけて旅をするんだな。そのサイクロプスを見つけたら、俺からも連絡しよう」


 アマンダ

「よい旅を、アバタール」  


 エイコ

「さようなら」









そこからしばらく進むと、入ってきた所とは別の出口が見つかった。
ダンジョンはまだ奥に続いていたが、一度、ここから出てみることにした。




「しかし、出たはいいものの、ここは四方を山に囲まれているみたいだな…」




「あ…あれは…!サイクロプス!!」




 イスカンデル

巨大なサイクロプスだ。
そいつは君を見て、神経質そうに瞬きした。




「襲ってくるというわけではなさそうだな…。おい、話ができるか?」


 イスカンデル

「私はアイアンハートの一族の者、ヴァラドールの第11子だ。イスカンデルと呼ばれている」




「イスカンデル!こいつが、さっきの姉妹の…!」


 イスカンデル

「サイクロプスの民は、私のことを英雄と呼ぶ。君たち人間の多くは、私のことをモンスターと呼ぶ。真実は、その中間のいずれかであろう」




「人間からしたら、モンスター以外の何でもが…」


 イスカンデル

「もう何度も、私は人間の侵入者に最期を見舞っている。彼らは我々の種族を誤解しており、強奪されるものとみなしているのだ。だが、私は君と争うつもりはない」
彼は言葉を止めて、君をじろじろと見た。

「しばらくの間はな」




「……」


 イスカンデル

「君は私の名前を知っているが、私はまだ君の名前を知らない。誰と話をしているのか、知りたいものだな。君は何というんだね?」




「俺はアバタールという者だ」


 イスカンデル

「アバタールよ、君のことは聞いたことがある。たしか、以前は私の種族と争っていたな。だが私は、君の英雄譚や、魂の探求の話を聞いたことがある。君は、まさにその通りの高貴な人間だと思う。私のことは友と呼んでくれ」




「平和的だな…。サイクロプスというのは、こういう種族なのか?」


 イスカンデル

「私の種族の多くは大人しい人々だ。岩の土壌を耕しているが、とても素晴らしい道具を作る。私は、彼らの新天地を探すために送り出されたのだ」




「大人しいと言ったが…おまえは、エイコとアマンダという姉妹を知っているか…?」


 イスカンデル

「ああ、その名前は以前に聞いたことがある。復讐のために私を追う2人の戦士がいるということを。私が彼女らの父親を殺したと言っているのだ。そして、それは真実だと認めよう。私は彼女らの父親を殺した」




「やはり、お前が殺したのか。ならば、あの姉妹の復讐に遭うのも仕方がないことだな。彼女らに、この場所を教えに行こう…」


 イスカンデル

「エイコとアマンダは、復讐の機会を伺って、私を追っている。私は、ついて来させている。彼女らを阻むつもりはないし、逃げるつもりもない。彼女らが私を見つけたなら、その正義を私に振るってもらって構わない。もし彼女らが勝利したら、その通りになるだろう。もし彼女らが負けたとしても、私は何の後悔もしない」




「…いったい、なぜ彼女らの父親を殺したんだ?」


 イスカンデル

「彼女らの父親の名はカリデス。彼は魔術師のかかる狂気に苦しんでいた。彼は、いわれもなく私を攻撃した。彼は何らかの理由で、魔法が機能しないことを、彼は私の種族の者のせいだと思っていたのだ。彼自身の魔法は、まだ非常に強い威力があったため、私が生き残れる可能性は少なかった。私は自己防衛のために、カリデスを殺したのだ」




「そういうことだったか…。エーテル波動のせいで、国中の魔術師達がおかしくなっているからな…」


 イスカンデル

「だが、決して彼を殺したかったわけではない。この世界に、いくらかでも魔法が残っていればと思うし、私は誰よりも彼の死を悲しんでいる」




「狂っていたとはいえ、ブリタニアでも高名な魔術師を倒すとは、腕が立つんだな。さっき、あんたはサイクロプス族の英雄だと言っていたが…」


 イスカンデル

「189年前、私はゲイザーの王子を7人斬った。彼らが、我らの一族の長の目を、魔法を使って盗み出そうとしたからだ。だが、それは過去の歴史で、もはや重要な事ではない」




「目?その1つ目のことか?」


 イスカンデル

「サイクロプスの目は、ブリタニアの少数の上流種族から、非常に美味な物だと思われているのだ。何倍もの数の汚らわしい者共が私の目を奪いに来た。そして私は奴らの心臓を喰らってきたのだ」




「ふーん、それで英雄というわけか…」


 イスカンデル

「彼らは私のことを"ワンダーボーイ"と呼んでいた。100年程も昔の私のニックネームだ。そう呼ばれなくなった時には、とても感謝したものさ!」




「ワンダーボーイ(不思議少年)か…。まあ、あまりカッコいい呼び名じゃないな」


 イスカンデル

イスカンデルは、目を細くして君を見た。
「二度とそう呼ぶな!」




「あんたの故郷は、どこにあるんだ?」


 イスカンデル

「私の村は、何日もの旅路の先にある。そこに住む人々は、平和に暮らせる地を求めている。私は、まだそのような地は見つけていない。見つける前に、全ての地を探してしまうだろう」




「どうして一族の英雄のあんたが、そんな苦労する仕事をしているんだ?」


 イスカンデル

「私が206歳の時のことだ。私の種族にとっては、さほど長い時間ではないが、私は既に老人のような心を持っていた。英雄のような冒険は、もう私の心を惹きつけなかった。私は、一族の人々と共に腰を落ち着け、野良仕事をしたり、物造りの作業をして過ごすことを望んだ」




「自ら、新天地を求める旅に出たというわけか」


 イスカンデル

「調査の末、こんな厄介な場所に来てしまった。不確かだが、魔法が正しく働かないから、比較的安全ではあるだろうと思う。だが、ここで私は恐ろしい謎に当惑している」




「恐ろしい謎?」


 イスカンデル

「この場所の、とある部屋の戸口に立つと、巨大なテトラへドロンが見える。私は、それに近づこうとしたが、記憶を阻害する波動が襲って来るのだ。私は何度も戸口に立っていたのだが、何も思い出せない」




「テトラへドロンだと!やはり、このダンジョンにあったか!」


 イスカンデル

「この記憶を阻害する波動は、テトラへドロンに近づこうとする度に、私を襲うのだ。この忌々しい魔法が、どのようなものなのかは、私には分からない」




「ピナンブラの言ったとおりだ…。だが、俺にはエセリアルリングがあるから、大丈夫なはず…」


 イスカンデル

「おそらく君も知っていると思うが、もはや魔法は以前のようには機能しない。魔法の時代は終焉したと言う者もある。もしそうだとしたら、この世界に我々の種族の住む場所は無くなってしまうのではないかと思うのだ」




「この奥にあるということが分かれば、あとはそいつを破壊するのみだ。それで、この国の魔法が元に戻る…!」









デシートの奥へと進んで行くと、途中で、ドラゴンの集団が潜んでいた部屋に入ってしまう。
なんとか勝利はできたが、ここは結構危なかった。






アバタールは強いのだが、他の仲間はドラゴンのブレスを2〜3発も受ければ死んでしまうので、回復魔法でかばいながら戦った。
部屋の奥で、ジェムなどの宝物も入手。







更に奥に進み、魔法で施錠された扉を開くと、中には巨大な正四面体があった。
これこそが、テトラへドロンのジェネレーター!






「進んではならぬ!死ぬことになるであろう!」




「頭の中に声が聞こえる…!だが、そんなことを聞いて引き下がるわけにはいかんな…!」



ジェネレーターに近づくと電磁波のような物が飛んできて、エセリアルリングを装備しているアバタール以外の者が大ダメージを受けてしまう。
ここは、ピナンブラの助言どおりに、仲間を全員外して、1人で行く必要があるようだ。








そして、テトラへドロンの中に入ると…






そこにはエセリアルモンスターなる不気味な生物が!
入った瞬間に戦闘となったので、ここでアバタールとの一騎打ちとなった。

Forge of Virtureで強化されて、力もHPも通常の倍以上あるアバタールの敵ではなかったが、もし通常の能力だったら、かなり苦戦したことであろう。
こいつを倒し、中央のプリズム装置に触る。






すると、テトラへドロンジェネレーターは破壊され、小型のテトラへドロンの形をしたプリズムが残った。
これで、エーテルの波動が元に戻った。




「…というわけで、君達の父親の仇のサイクロプスは、本当の意味では敵ではなかったんだ…」


 エイコ

君が知ったことをエイコに説明した。
カリデスはイスカンダールと戦った時には気が狂っていたと。
そして、魔法と魔術師の精神に問題を引き起こした物こそが、カリデスの死の原因だったのだと!

「あなたが、父を殺した真相を見つけたのであれば、私の復讐は正しくないということになるわね」


 アマンダ

「何でそんなことが言えるの?あなたは私の姉妹だと思っていたわ。あなたは裏切り者よ!」 




「カリデスが狂ってしまった原因のテトラへドロンは、俺が破壊した…。これで、もう魔術師達が苦しむこともないだろう」


 アマンダ

「あなたは、私の復讐の権利を奪ったのね!何て人なの!」


 エイコ

エイコが溜息をつき、肩を落とした。
「行きましょう、姉さん。父さんの死のことは、もう片付いたのよ。もう、忘れるべきだわ。これからは、過去に囚われずに、私達の人生を生きられるのよ。そうするのが一番よ」


 アマンダ

アマンダは首を振り、うろたえて困惑していた。
「多分、あなたが正しいわ、エイコ。考えさせて」


 アマンダ

アマンダは振り向いて拳で壁を叩き、むせび泣いて寄りかかった。
しばらく後、彼女は立ち上がったが、君の方は向かなかった。
「大丈夫、私はサイクロプスへの復讐を続けるわ。まだ、そんなに遠くには行っていない。自分の身を守るため、そいつを殺すわ。でも、今はもうすこし時間が必要ね。どうか、1人にしておいて。少し考えたいの」




「(無理もない…ずっと、父の復讐だけを考えて生きていたんだもんな…)」


こうして、デシートのダンジョンを後にした。










ロード・ブリティッシュ城にて





 ニスタル

「どうした?アバタールよ」




「ニスタル!頭は大丈夫か?お前は誰だ?言ってみろ!」


 ニスタル

「私は、ロード・ブリティッシュのお抱えの魔術師だ!」




「よかった、正気を取り戻したんだな!これで、おかしくなっていた魔術師達も、じきに元に戻るぞ!」


エーテルの流れが正常になったため、これまで歪んだ波動で気がおかしくなっていた魔術師達は、普通に会話ができるようになっていた。
これで、ユーのニカデマスも元に戻っているはずなので、デスパイスのダンジョンで必要な魔法の砂時計を手に入れることができる。

まずは、魔法をかけてもらうための砂時計を入手しに、ポウズの村へ向かう。




「ポウズの村も久々だな…。前に、ここのアンティークショップでリュートを買ったっけ…」





 ババーレア

「こんにちは、アバタール。お会いできて光栄ですじゃ」




「やあ、確かここで、砂時計を売っていたよな?」


 ババーレア

「アンティークの砂時計もありますじゃ。ボケてしまって、これをどうやって使うかも忘れてしまった老人が売りに来たんじゃ。5ゴールドでお売りしますが、どうですかの?」




「やはり、ニカデマスがここに売りに来たんだ…」


 ババーレア

「砂時計には興味がない?そうかい。見てみなされ、あたしには時間がこんなにある」
君は、彼女の言葉に皮肉を感じた。




「いやいや、ちょっと待て、買っていくよ。ほら、5ゴールドだ」


こうして、砂時計も入手したので、ユーのニカデマスの元へと向かう。




 ニカデマス

「また会ったな、アバタール」




「やあ、ようやく、まともに会話ができるようになったな、ニカデマス」


 ニカデマス

「うむ、どうやら、エーテルの乱れが回復したようだ!世界中の魔術師は、汝に借りができたな」




「タイムロードから言われていた砂時計を持ってきた」


 ニカデマス

「私の砂時計!こいつに魔法をかけて、新たなる力を与えてやれるだろう」




「ああ、頼むよ。それで完成するんだろ」


 ニカデマス

「喜んで、砂時計に魔法をかけよう。エーテルが解放され、私は汝に恩義を感じておるのだ。では、見ておれ…」
ニカデマスは砂時計を手に取り、しばらくそれを調べた。
その後、それをテーブルの上に置き、彼は目を閉じて集中した。
そして、いくつか言葉を呟くと、秘薬を宙に撒き、砂時計の上に手をかざした。

「これでいいだろう」
彼は君に砂時計を手渡した。




「さすがだな…。じゃあ、こいつを持ってデスパイスへ行こう。スフィアのジェネレーターも、すぐに破壊してやるさ」









デスパイスへ行く前に、ニューマジンシアへ寄った。
ウィスプに渡すために賢者アラグナーから借りたノートを返しに行くのだ。




「借りたものは、ちゃんと返す。こういった当たり前の礼儀を大切にするのが、アバタールの偉いところだな」




「おーい、アラグナー!約束どおりノートを返しに来た…」







「ア…アラグナー…!これは…いったい…!!」



「この光景は…あの連続殺人事件と同じ…」



「ノートの情報に感謝するぞ、アバタール!あれは、とても役立つものであった!ハッハッハ!」




「また…声が…」


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