Ultima 7 プレイ記録 42 悪徳の来訪者



「うわっ!なんだ、この小屋は!?」






「素朴な田舎町に似合わない、ゴミや酒瓶だらけの退廃した小屋…。ここで寝てる3人が、例の難破船の漂流者か!?」


 バトルス

目の前の男は、君をきょろきょろと見た。
彼は、周囲に対していつでも攻撃できるかのように、僅かにしゃがんだ姿勢を取った。




「おっと、起こしてしまったか。ここに流れ着いた漂流者ってのは、あんたらか?」


 バトルス

「俺ぁバトルスだ。ニューマジンシアには来たばかりだ。主人のロビンに、ボディーガードとして雇われている。パートナーのレーベルと同じだ。報酬は中々いい」




「こっちが、そのロビンという男か…」


 ロビン

貴族のお下がりのボロ服か何かを着ているゴロツキだ。
「アバタール、私の名前はロビンと申します。お会いできて光栄です。最近、このニューマジンシアへやって来ました」




「ああ、町の人から話は聞いた。船が難破したそうだな」


 ロビン

「私はここの出身ではありません。同僚と私は、カジノのオーナーと諍いを起こした後に、すぐさまバッカニアーズデンを去らなくてはなりませんでした。そして荒れた船旅となりました」




「あんたは、他の2人の主人なのか?…」


 ロビン

「私の友人はバトルスとレーベルです。彼らの仕事は、私と私の勝利を守ることです。引き換えに、私の利益を彼らにも分け与えています」




「ふーん、用心棒ってところか…」


 ロビン

「彼は、船長からウォーク・ザ・プランク(*船から突き出た板の上を目隠しして歩かされるという、海賊の処刑方法)を処せられそうになっていた所を、私が助けました。私が奴の命を賭けて船長とダイスで勝負したのです。そして、バトルスは船を奪おうと反乱を起こし…おっと、それは別の話ですな」


 レーベル

「こいつの目は鷹のようで、猫よりも素早い。こいつには敬意を払っておいた方が、あんたの身のためだぜ」


 バトルス

「ハ!ハ!その通りだな、レーベル!」


 レーベル

「バトルスが迫り来る嵐を感知しなかったら、きっと俺達は全員死体になってたな」




「…で、彼は…?」


 ロビン

「レーベルは、怒った貴族の娘の集団に取り巻かれていたところを、私が助けました。彼女らは皆、彼と愛の誓いをしていたことが、一斉に発覚してしまったのです。私がいなければ、彼は殺されていたでしょうよ!ですが、私の方が上を行っていましたね」


 レーベル

レーベルは指先にダガーを乗せてバランスを取っている。
そして目にも止まらない速さで、彼はそれをサッと宙へ取り、君に切っ先を向けた。
彼は君の目を見ている。

「レーベルだ。バトルスと共に、ロビンのボディーガードをしている。彼がいなかったら、俺はニューマジンシアではなく牢獄にいたことだろう」




「不気味な奴だな…」


 バトルス

「こいつは女たらしだぜ。だが、こいつが戦いに向いてないとは考えないことだ。痛い目に遭うぜ」


 レーベル

「おまえとは組み合いたくねえな、老犬のバトルスさん!」


 バトルス

「ハ!ハ!ハ!ハ!」




「女性関係が原因で投獄されそうになったと言っていたな…。そんなにスゴイのか?」


 レーベル

「そうさ、俺は牢獄に入れられるようなことをしたんだ。だが、俺は自分の人生を恥じていないぜ。そのことで、あんたに責められる言われもない」


 バトルス

「おう、俺が思うにレーベルの奴は、俺がブン殴った奴の数と同じくらい多くの女を泣かせてきたぜ!」


 レーベル

「それはもう、沢山さ!」


 バトルス

「実際、レーベルは、嫉妬する夫達を巧みにかわしているぜ。あいつは、どんな男も立派な闘士にしちまうんだ!」




「(こりゃ、見るからにロクでもない連中だな…。)」


 ロビン

「私の父は、皆から尊敬されていた貴族でした。私が父の名前を申し上げることは、父の名を貶めることになりますので、申し上げません。私は縁を切り勘当されたのです。しかし、父は私が従事すべき事を教えてくださいました。ええ、とても魅力的で尊敬すべき職業ですよ、アバタール。チャンスのゲームに勝利することです」




「チャンスのゲーム?なんだそりゃ?」


 バトルス

「ロビンは、バッカニアーズデンのカジノで生計を立てる、きってのギャンブラーだぜ」


 ロビン

「おまえが良い仕事をしてくれなきゃ、利益なんて出やしないさ、バトルス」


 バトルス

「どうもありがとうよ」




「なんだ、チャンスのゲームとかカッコいいこと言って、ただの博打じゃないか」


 バトルス

「ギャンブルは、ロビンが生計を立てる手段さ。俺には彼が、まっとうな仕事をしている姿なんて考えられねぇぜ!」


 ロビン

「誉め言葉、ありがとうよ、バトルス!」




「バッカニアーズデンのカジノには、俺も行ったことがあるが、あんないかがわしい奴等が胴元をしている所で、よく勝ち続けられたな…」


 ロビン

「あなたはフェローシップのメンバーなのですね!私は何年も、フェローシップのメンバーが、ハウス・オブ・ゲームで大勝ちしているのを見てきました。彼らの秘密を教えてくれませんか?」




「え?なんだ、そりゃ?俺は何も聞いていないぞ」


 ロビン

「もちろん知っているのでしょうが、あなたから聞き出せるとは期待していませんよ」
ロビンは両肩をすくめた。




「(そういえば、以前あそこに行った時にも、フェローシップのメンバーかどうかを、やけに確認されたな…)」


 バトルス

「バッカニアーズデンのカジノは、『ハウス・オブ・ゲーム』と呼ばれている。俺の人生で見た中で、一番の御伽の国さ。初めてロビンが俺をそこへ連れて行ってくれた時のことは忘れられねぇ。彼は、1時間にも満たない時間で、100ゴールドもさらっていったんだぜ!」




「あんたら、さっき賭博でトラブルを起こして追われていたと言っていたな。どういうことなんだ?」


 レーベル

「俺達が最後にそこに居た時、不運に出くわした。ハウス・オブ・ゲームの、『ザ・ミスター』が、ロビンの仕掛けに気付いて、ロビンは大負けしちまったんだ」




「ザ・ミスターってのは、あの支配人のポマードの男か!」


 ロビン

「彼が何故そう呼ばれているかなど、私に聞かないでほしい!そこでは皆、彼のことを、そう呼ぶのです!」




「その仕掛けってのは…つまり、イカサマってことか…?」


 レーベル

「彼は、ハウス・オブ・ゲームのあらゆる種類のギャンブルにおいて、イカサマを考案したんだ。そいつでもって、彼は何度も大量のゴールドを稼いできたんだ」




「あんなヤバそうな所で、よくそんな危険な真似をするな…」


 レーベル

「ロビンは借金を払えなかったから、ザ・ミスターは、シンタグという用心棒や、ならず者達送り込んできた。だから、俺達は第一にバッカニアーズデンを離れなくちゃならなかったのさ。彼がどうして"ザ・ミスター"なんて呼ばれているかは知らねえ」




「シンタグか…。そういえば、強そうな衛兵も賭博場の中にいたな」


 レーベル

「バトルスも俺も、シンタグの奴よりは、よく出来るぜ…」


 バトルス

「おう、おまえはクソ正しいぜ。あんな奴は余裕だ!羊みたいに細切れにしてやるさ!ハッ!」


 レーベル

「だが、ゴーディは、ゴロツキの一団を雇って俺達を追わせた。こいつは残念だ。俺は、あの野郎に1つ2つ教えてやりたいことがあったんだがな。まあ、いつかやってやるさ」




「…で、まあ、とにかく彼らの追ってから逃げて、船に乗り込んだということか」


 ロビン

「我々は船に乗り込みました。しかし、本大陸に着く前に沈没してしまったのです。我々3人は、生き延びるために、やっとの思いでニューマジンシアまで漕ぎ付けました。そして今は、ここに閉じ込められてしまいました」


 レーベル

「水夫達には信じられなかったみたいぜ!船体は、ほぼ真新しくて、ミノックから航海していても何の問題もなかった。だが、船が初めて嵐に遭遇した時、水夫達は皆死んじまった。哀れな奴等だぜ」




「ミノックの船って、もしや…」


 バトルス

「俺達は、こんな退屈なニューマジンシアを出て、バッカニアーズデンに帰りてえんだ。もし、あんたが俺達を、この小作人共の所から連れ出してくれるなら、主人のロビンが手厚い御礼をしてくれるぜ」




「(こいつらは、さっさと帰るべき所に帰った方が、この町のためになりそうだな…)」


 バトルス

「想像できるか?人生の全てを、こんな今日も明日も明後日も、何も起こらないような所で過すなんてことを。人間が狂っちまうぜ! ここの奴らは教養がねえな。ギャンブルなんて聞いたこともねえんだとさ!ギャンブルを知らねえか?そいつは人生の全てだぜ!」




「教養がないって、そりゃ言い過ぎだろう。おまえらの方が、よっぽど…」


 レーベル

「他に誰がいるってんだ。ここは、あまりにも隔絶されてるから退化しちまってるんだ。さらに悪いことに、ここの奴等は、それを好んでやがる!この町で、パッと見て価値のあるのはコンスタンスだけだな」




「コンスタンスだと…!」


 レーベル

「彼女は、男心をくすぐる女だ!俺達は彼女から目が離せないね!」
レーベルは咄嗟に咳払いをし、すぐに君から目を逸らした。




「(コンスタンスは、こいつらを善人だと信じている…。早くヘンリーとの縁を戻してやらないと、大変なことになりそうだ…)」




「とにかく、おまえらはバッカニアーズデンに戻りたいんだろ?この町にも船くらいあると思うが…」


 ロビン

「その通りです。いまいましい船大工が、我らに船を売ってくれないのです。ですが、あなたは、この場所に何らかの方法でやって来た!我々が、この島を出ることが出来る船をお持ちではないですか?我々をバッカニアーズデンに連れ戻してくれたら、十分に御礼をいたします」




「ム…確かに船はあるが…どうしたもんかな…」


 ロビン

「もちろん、今この場で、お支払いはできません。ですがバッカニアーズデンに着いたら、この手で大金を得てみせますよ。お約束いたします」




「本当か?ギャンブルで勝って払うとかだったら、ゴメンだぞ」


 ロビン

「ええ、金です!ここニューマジンシアで私が見つけた物は、バッカニアーズデンのゴールドよりも価値があるでしょう。そのことをお話しする前に、私と仲間をバッカニアーズデンへ連れ戻してくれると、お約束いただけますか?」




「まあ、いいだろう。ここに居座って町に迷惑をかけるより、バッカニアーズデンに帰った方が、皆のためになる」


 ロビン

ロビンは君の目を見た。
「あなたは本当に親切な友だ。あなたには、我々がニューマジンシアから持って行こうと計画しているものをお話ししましょう」




「何か金になりそうな物でも見つけたのか?」


 ロビン

「あなたは親友ですから、良い事を教えましょう。あなたが失くしたロケットを私の所へ持って来てくれれば、そのものについて、もっと詳しくお話しますよ」
彼は君に悪意ある笑みを見せた。




「ロケット…?それは、もしや、このくらいの金のロケットか?」


 バトルス

「おまえが言ってるようなロケットは、主人のロビンが持ってるのを見たぜ。最後に見たのは…ええと…3人で『モデスト・ダムセル』に飲みに行く前だ」


 ロビン

「過去の旅行で買った金のロケットが持ち物にあったので、それを売ろうかと思っていたのですが、失くしてしまったようなのです。もし見つけたら、私にお知らせください」




「…わかった」


 ロビン

「お話しできて楽しかったですよ、アバタール」




「(こいつの言っている『金のロケット』は、ヘンリーがコンスタンスにプレゼントしようとした物に間違いはないだろう…)」











「ここは造船所か…」




 ラッセル

君の前には、平和な生活に満足している感じの、機敏そうな職人がいる。
「私はラッセル、船大工です。ニューマジンシアで船を造っています。とても楽しい仕事ですよ。また、私の船の権利証と、外海を航海するための六分儀も売っています」




「例の難破船の3人について、ちょっと話を聞きたいんだが…」


 ラッセル

「私が漂流物を見つけました。3人の男が、それにしがみついて生き残っていました」




「とんだ海難事故だったな。生き残ったのが、あんな奴等だけだってのが尚更に悲惨だ」


 ラッセル

「そのような船は、これまでに見たこともなかったですよ。刻印から、それはミノックの船大工オーウェンが造ったものだと分かりました。あまり良い造りではなかったですね」




「オーウェンの船…!もしやと思っていたが、やはり、あいつの船だったか…」


 ラッセル

「その3人の男達は、帰りたがっています。バッカニアーズデンには賭博場があると言っています」
ラッセルは肩をすくめた。

「そこに行くのが理由かのようですね」




「ギャンブル中毒ってのは、ああいった奴等のことを言うんだろうな…」


 ラッセル

「私が船を売ると提案しましたが、彼らは金を持っていませんでした。なのに、私が彼らにタダで船を譲らなかったことを、責めているかのようでしたよ!」




「そうだ、奴等は金のロケットを売って船を買うとか言っていたが、何か心当たりないか?」


 ラッセル

「その3人の余所者は、何かガラクタを差し出し、それで私に船を造るか売るかするように持ちかけました。あなたが言っているのは、そのロケットに似ていますね」




「それだ!」


 ラッセル

「私は、その提案を受けませんでしたが、興味はありましたね。後になって、もう一度それを見せてほしかったのですが、彼らは何も答えませんでした。もう持っていないのではないかと思いますよ」




「奴等は、確かにヘンリーのロケットを持っていたみたいだな。ありがとう、行方を追ってみるよ」


 ラッセル

「お気をつけて、アバタール」




「あ、そうだ、最後に聞きたいんだが、この町にクラウンジュエル号という船は来なかったか?バッカニアーズデンに向かったなら、途中でここに寄っていたかもしれない」


 ラッセル

「クラウンジュエル号は、ちょっと前に、ここを出航しましたよ。どこに向かったかは知りません」




「そうか…。瞑想静修所からバッカニアーズデンに向かう途中に寄ったのかな…。その乗員の中に、片手が鉤爪の男はいなかったか?」


 ラッセル

「ちょうどクラウンジュエル号が出航する時、鉤爪の男が甲板に飛び乗ったのを見ました。彼はガーゴイルも連れていましたね」




「フックは、クラウンジュエル号に乗っていた…。ということは、最後に到着したバッカニアーズデンのどこかにいるということか…」













「ロビンの連れのバトルスの話だと、最後に酒場に立ち寄ってからロケットが失くなったらしいな…。ちょっと酒場にも行ってみるか」





 ボリス

「また会ったね」




「オヤジ、ちょっと話を聞きたいんだが、いいか?例の難破船の3人のことなんだが、あんたは会ったことがあるか?」


 ボリス

「難破船が、3人の余所者を、この島に運んできた。噂では、そのうちの1人は、バッカニアーズデンから来た大金持ちの紳士だって言うぜ。そして他の2人は、彼が雇った用心棒だとさ。ある日、彼らはここに飲みに来たんだが、うちの酒場に来て欲しい類の連中じゃなかったね」




「ふむ…。確かに、この酒場に来たようだな。じゃあ、ちょっと店の中を探させてもらうか…」




「そうそう、ヘンリーとコンスタンスのことは知ってるか?あの2人は、付き合って長かったのか?」


 ボリス

「ヘンリーの両親は、とても貧しかったんだ。彼が飢え死にしなかったのが不思議なほどだよ。コンスタンスが、彼を立ち行かせたんじゃないかと思うぜ。彼は、子供の頃から彼女のことを愛しているのさ」




「そうか…。そんな仲良しの幼馴染だってのに、こんな些細な事で不信に陥ってしまうのはな」


 ボリス

「コンスタンスは孤児で、カテリーナに育てられたんだ。彼女の無邪気さは、美貌よりも勝っている。彼女は誰からも愛されているよ」
ボリスは、2,3秒の間、上の空で宙を見つめた。




「あの子もカテリーナが!」


 ボリス

「カテリーナは、以前よりも、この町の人々の手助けをしてくれるようになった。あんたの名前が出ると、いつだって笑うぜ」


 カテリーナ

「それは、アバタールが私の最愛の友人だからよ」


 ボリス

「俺は最愛の友人じゃないのかい、カテリーナ?」


 カテリーナ

「ボリス、それは浮気?マジェンタは、あなたが島の別の女性に浮気してるってのを知ってるのかしら?」


 ボリス

「誤解しないでくれよ、カテリーナ!」
彼は笑った。




「カテリーナも、この200年で変わったな…。昔は、もっと大人しい性格だったような…」




「ふう、それにしても、店中を探してもロケットが見つからないな…。なあオヤジ、このくらいの、金のロケットを見なかったか?」


 ボリス

「そんなロケットは、全く見たこと無いぜ。なんなら、この目をしっかり開けて見ておくよ」




「本当か?この店に持って行ったのを最後に失くしたと聞いたぞ」


 ボリス

君が、海賊のバトルスから聞いた事を彼に話すと、彼は冷や汗をかいた。
「あんたは、おれのゴマカシを見抜いていたんだな。これは、あんたにお返しするよ」
彼は酒場の裏にある秘密の戸棚を開けて、中を見た。




「なにー!?こいつが盗んでたのか!?……まあでも、すぐに白状したし、奴等が忘れていった物を、ちょっと魔が差して横領してしまったのかな…」


 ボリス

彼が君を振り返った時、その顔からは血の気が失せていた。




「どうした?早くロケットを出してくれよ」


 ボリス

「ロケットが無くなってしまった!誓って言う、どこに行ったのかは、俺は知らない!」




「なんだって!?」


 ボリス

ボリスは髪を掻き毟っているかのようだった。
「だけど、見つかるまで探し続けるつもりだ!」




「おいおい…今度は、いったい誰が…」



ロケットを持ち出した者で、考えられるのは、彼と近しい人物。
そう、彼の妻・市長マジェンタだ。







「市長、ちょっと聞きたいことが…」


 マジェンタ

「こんにちは、アバタール。何かご用ですか?」




「あー!!それ…!!」


 マジェンタ

君は、ヘンリーが言っていたロケットが、マジェンタの首にかかっているのを見た。
「綺麗でしょう。これは、夫の酒場にある秘密の場所で見つけたのよ」




「そうだったのか。いやー、見つかってよかった!」


 マジェンタ

「私は、ボリスから、こんなロマンチックなことを期待したことは、一度もありませんでした。このロケットは、本当に驚きましたわ!」




「は?ロマンチック…?」


 マジェンタ

「ええ、彼は、これを私にくれるつもりだったと思いますわ。私がいつも、彼のふしだらな交友や、どんちゃん騒ぎを咎めていましたから、その穴埋めだと思います」




「何か恐ろしい勘違いをしている気が…」


 マジェンタ

「ボリスが、このような高価な贈り物を私に買ってくれただなんて、大変驚きました。でも、彼はどうやって、これを手に入れたのでしょう?」




「いや、実は、そのロケットは違うんだ…その…」


 マジェンタ

「では、ボリスがこのロケットをくれるのは、他に何の理由があるというのです?」
マジェンタの目がショックで大きく開いた。

「誰にです?」




「う…。誰にと言うかだな、その…つまり…彼のプレゼントというわけではないんだよ…」


 マジェンタ

マジェンタは困惑した。
「では、誰がやったと言うのです?」




「まあ、やったのはボリスなんだけど、いわゆる横領というか、窃盗というか…」


 マジェンタ

マジェンタは威厳を保とうと頑張っていたが、明らかに落胆を隠しきれなかった。
「市長として、あなたにお願いいたします。このロケットの本来の持ち主を探し出し、これを返してきてください」




「うう…なんで俺が、こんな罪悪感を感じなくちゃならないんだ…!」


というわけで、金のロケットは無事(?)に戻ってきた。
亭主ボリスが、その後どうなったのかは、我々の与り知るところではない…。










ロケットをヘンリーに返す前に、ロビンを問い詰めてみることにした。




「ちょうど酒場で食事中か…。3人とも揃ってるな」







「ロビン、おまえの言っていたロケットを見つけたぞ。おまえの言う御礼ってのは何なんだ?」


 ロビン

「うむ、あなたは信頼できるから、我々の計画を教えましょう。私は、もう1人別の者を、あなたのボートの後ろに乗せて、我々と一緒にバッカニアーズデンへ連れて行くつもりです」




「バッカニアーズデンへ?誰を?何のために?」


 ロビン

「彼女の名前はコンスタンス。彼女だったら、風呂屋の経営者グレノは、いい値段を付けてくれるでしょう。私の借金も、あなたへの御礼も支払った上で、まだハウス・オブ・ゲームで一戦できるくらいのお釣りが残りますよ!」




「つまり、彼女を連れ去って、バッカニアーズデンの風呂屋に売り飛ばすと言うことか…?」


 ロビン

「すぐにここを離れるために、ボートの準備をしてください。仲間と私はコンスタンスを連れて、あなたに合流します。では、ボートの場所を教えていただけますか?」




「ゴールデンアンク号は、船着場に泊まってるよ」


 ロビン

君はロビンに、君のボートの場所を教えた。
彼は、ゆっくりと邪悪な笑いを浮かべた。

「友よ、ありがとうございます。あとは、残った事を始末するだけです。ボートが何処にあるか知った今、商品をもっと集めて連れ込まなくては。おまえを殺して、そいつらを乗せるんだ!」




「ふん、そんなことだろうと思ったぜ…!これで正当防衛が成り立つから、堂々とおまえらを始末できるってもんだ。ここじゃ何だから、表の広場で相手になってやる」


睨んでいた通り、ロビン一行は約束を守るような輩ではなかった。
未遂とはいえ、詐欺、窃盗、誘拐、人身売買、不正賭博、そして殺人と、猶予の余地もないような極悪人だ。
何のためらいもなく、アバタールの力を振るうことができる。








ロビン、バトルス、レーベル共に、腕利きのゴロツキのようであったようだが、所詮は人間。
そもそも、8対3の戦いであるので、はじめから勝負になっていない。
瞬く間に、3つの死体が出来上がった…。







「悪党共め、貴様等には死すら生ぬるい!(決め台詞)」











「…というわけで、あの悪党共は退治した」


 コンスタンス

君はコンスタンスにロビン、バトルス、レーベルが、彼女を傷つけようとする悪党であることを、優しく説明した。
彼女はとても驚いたので、君は、もう彼らは彼女には危害を加えることはないと説明した。
彼女は君に御礼を言った。




「これに懲りて、もっと男を見る目を磨くんだな」




「おっと、このロケットは、ちゃんとヘンリーに返さなくては」


 ヘンリー

「ロケットが見つかったのですか!」
君はロケットをヘンリーに手渡した。

「これで、コンスタンスに渡して約束を守れます!ありがとうございます、御礼のしようもありません、アバタール!」


 カテリーナ

「この事件が、良い結末を迎えられて嬉しいわ、愛しのヘンリー」


 ヘンリー

「ありがとう、カテリーナ」




「じゃあ、そろそろ町を出るとするか。あいつらの死体は、片付けておいてくれよ…」


こうして、ならず者のロビン一行の企みを未然に阻止し、ニューマジンシアの平和は守られた。
バッカニアーズデンのカジノと風呂屋は、国から税金を免除されていると聞いたが、これでは悪を助長しているようなものだ。
ともあれ、この町で賢者アラグナーのノートも入手したので、次はいよいよウィスプに会いに行く。



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