Ultima 7 プレイ記録 41 秘密のノート

さて、長い旅路であったが、スカラブレイへ行った目的は、ウィスプに貸し出すノートをニューマジンシアのアラグナーから借りるためである。
これで、ミノックのジプシーの占い師に端を発した長大なイベントが、ようやく折り返しとなりそうだ。




「やっとニューマジンシアに着いた。ここまで長かったなぁ…。さ、アラグナーの所へ向かおう」


 


 アラグナー

「また、お会いしましたね」




「アラグナー、あんたの言っていた『生と死』の答えが分かったぞ」


 アラグナー

「『苦悶する者』と話し、『生と死』の答えを学びましたか?では、その答えは何ですか?」




「答えは『無い』…。ただ、問いがあるのみ…!」


 アラグナー

賢者は微笑んだ。
「あなたは、啓蒙の道を歩み始めました。あなたが聞いた通り、あらゆる物事は、教師に教わったような物ではありません。実に哀しいことです。…では、このノートを私に返却してくれると約束してくれますか?」




「ああ、ちゃんと返すよ(ウィスプが返してくれたらだけど)」


 アラグナー

「それでは、あなたが返却してくれるのを待つとしましょう。あなたに不運が降りかかり、返せなくなってしまうかもしれないことは、予測が立てられませんが。あと、更なる報奨として、あなたの探求の助けとなるような物を、お渡ししましょう。ちゃんと私に返してくれるならば、ですが。これが、私の倉庫の鍵です。ここから南に向かって最初の建物です」
彼は、ずる賢く笑った。

「どうやってノートを探すかは、あなたが決めてください!」




「倉庫…?あの大きな建物か…。何だか、簡単には見つからないような言い回しだなぁ…」


アラグナーの倉庫は彼の研究所よりも巨大で、中は複雑な仕掛けが盛り沢山であった。
見えない壁やワープ床、扉の開閉スイッチなどが各所に仕掛けられており、貰った倉庫の鍵やロックピックも駆使しないと先に進めないようになっている。
最後まで苦労させてくれるものだ。







一番奥の部屋の2階に、例のノートが置いてあるのだが、2階に昇るための階段はない。
そこに行くためには、倉庫の隅に置かれている木箱を積み上げて、階段状に組み立てる必要がある。
もう長いことプレイしているが、木箱の上に乗れるなんて今回で初めて知った。
これで2階に手が届くようになり、目的のノートを入手。
ついでに、倉庫の中にあったマジックボウや、各種の矢、秘薬などもいただいておいた。








「これがウィスプの欲しがるアラグナーのノートか…。いったい何が書いてあるんだ…」




【アラグナーのノート】

以下は、フェローシップと呼ばれる団体に関する私の観察見解である。

フェローシップは「内なる3つの力」と呼ばれる哲学を掲げる、楽観論者達の集団であるが、この集団の「価値観」を注意深く調査すると誤った考えが多くある。

1つ目の価値観は「協会に努めよ」
これは我々は全ての仕事を共に調和を持って行い、人生の一つの目的を目指すべきだという意味である。
しかし、この教義を注意深く観察すると、フェローシップの会員達は自分達をエリート集団だと考え、その点で偏見を持った人間なのである事が明らかになる。
彼らは、自分達に賛同しない人達は、彼らに反対していると信じ込んでいるのである。
そして、彼らに反対する者は、運が良くとも、酷い結末を迎えることになるだろう。

2つ目の価値観は「兄弟を信頼せよ」
これは、各会員は他のフェローシップの会員を絶対的に信頼し、それぞれが疑問を持たず、好意や行為を捧げるという意味である。
一方では、このことは会員は他人の言うことに対して、それが何を意味するのかに関わらず従うべきだという意味にもなりうる。
言い換えるならば、「私の言う通りにしろ、そしてそれに疑問を持つな」ということが、この教義の裏にある背後に隠された意味のようである。

3つ目の価値観は「報酬は後から来る」
フェローシップに対して良い行いをした者は報酬を受け取る。
裏を返せば、もちろん、フェローシップに対して良い行いをしなかった者は、それに値する報酬を受け取るというのである。
フェローシップでは、「報酬」とは「良いもの」か「悪いもの」か両方の意味になりうるのである。

フェローシップは、この20年の間ブリタニアの大衆を騙してきた。
彼らは、ますます力を付けている。
慎重な研究の結果、この団体の上層部は、「ガーディアン」と呼ばれる何か高位の、悪意を持った実体に仕えているという結論を出した。
ガーディアンに関するより多くの情報を得ることが必要だが、彼はとても危険な存在だと思われる。

フェローシップは、3つの異なる会員階級で構成されているようである。
第一階級は、入会した単純で無邪気な一般大衆で成り立っていて、彼らは自分達の哀れな貧しい生活が、どうにかして救われるだろうと考えている。
第二階級は、フェローシップの指導者達の上層部を構成する、様々な支部の指導者達である。
第三階級もある。
グループの管理者層にいるフェローシップの指導者達である。
例えばバトリン、そして国中を旅してフェローシップの基金を分配している謎の2人組、エリザベスとエイブラハム(この二人に関してはあまり多くのことは分からない。彼等は双子、姉と弟であると言われている)といった人間である。
私は、このわずか3人の会員がガーディアンと直接の交信を持ち、ガーディアンがこの地上で究極的な力を得られるために、彼の副官として仕えているのだろうと思う。

既に、ガーディアンは強大な脅威を約束している。
ここ数年、ブリタニアの魔法は悪化してきている。
ガーディアンが何かを行って、この弊害を引き起こしたものと思われる。
ほぼ同時期に起こったムーンゲートの問題には、まだそれほど多くの人々は気づいていない。
ムーンゲートは信頼できる物ではなくなっているのである。
この深刻な災難には、ガーディアンに最も大きい原因がある。

単純で無邪気な人々がフェローシップに喜んで入会し、第一階級の会員になるために、ガーディアンは、彼等と話して「誘惑」するような力も持っている。
これらの不運な無邪気な人々は、ガーディアンが力を得るための奴隷となってしまう恐れが大きい。

私は、フェローシップに関する説の十分な証拠を得た後、このノートをロード・ブリティッシュ陛下に送り、これらの非常に危険な偽りの帝国主義者達をブリタニアから駆逐するつもりだ。




「なるほど…。ロード・ブリティッシュが、この研究に耳を傾ければ、きっと情勢も変わるはずだ。さすが、この世で最も賢い男と呼ばれるだけあるな。
…しかし、このガーディアンとは一体…」











「このノートをウィスプに渡しに行く前に、この町を少し見回ってみようかな。前に来た時は、あまり住民と話さなかったしな」




「ま、とりあえず市長にでも会ってみるか」





 マジェンタ

慎み深そうな、年を取った女性だ。
彼女は君に親しげに微笑みかけた。

「私はニューマジンシアの市長で、ボリスの妻です」




「ボリス?聞いたことあるな…」


 マジェンタ

「ボリスは、この地方の宿屋をやっています。私に言わせれば、少々、素行不良ですわ。でも、彼は美味しいお酒を注ぎますし、面白い話をしますのよ。彼からは目が離せないけど、彼のことは愛しています」




「ああ、あの酒場の店主か。前にデュプレのツケを支払わされた…」




「まあ、いいや。それにしても、女性の市長とは珍しいな。俺もブリタニア中を回ったが、この町だけなんじゃないか」


 マジェンタ

「この仕事に必要な実務は少しだけです。ほとんどは、皆が仲良くやっていけるように努めています。それは別としても、この町は、実際に町自身で運営されていますわ」




「ここは平和そうだし、煩わしい事務も少なそうだな」


 マジェンタ

「ええ、税金でさえも、ここはブリタニアの他の地域よりも低いのです。ブリタニア租税評議会が、ここへ来て税金を徴収するのを、時々忘れてしまう年があるのです」




「ひどい忘れられっぷりだ…。聞くところによると、この町は200年前から何も変わっていないらしいな」


 マジェンタ

「ああ、ここで飛び交うジョークのように、このニューマジンシアには、何も新しい物がありませんわ。でも、だからこそ、私達はこの町が好きなのです。ここには何名かの来訪者がいらっしゃいます」




「来訪者?」


 マジェンタ

「3人の新参者が、ここの何処かしらかをウロウロしていると聞きました。私はいつも、疑わしきは罰ず、ということを人々に教えようとしていますが、彼らには注意した方が良いでしょう」




「ふーん…余所者を警戒するなんて、いかにも田舎的だなぁ…」


 マジェンタ

「おそらく、他の住民が、これまでに彼らを見ているでしょう。彼らの方が、多くの情報を知っていると思います」




「気になる話だ…ちょっと聞き込みをしてみるか」


 マジェンタ

「また、あなたにお会いできる時を楽しみにしております」











「ん…?なんだ、こいつ…フラフラと…」





 ヘンリー

みすぼらしい若者だ。
彼は傷心しているようである。




「おい、あんた、こんな所で昼間から何してるんだ?」


 ヘンリー

「仕事!?傷心しているのに誰が仕事などしましょうか!?」




「はあ…?」


 ヘンリー

「私はヘンリーと申します、アバタール。私が愛していた女性から、拒絶されてしまいました」




「なんだ、女にフラれたのか。それはそれは、お気の毒に!」


 ヘンリー

彼の目が輝いた。
「彼女の名前はコンスタンス、世界で一番美しい女性です。我々は愛し合っていました」
彼はうつむいて、深い溜息をついた。

「しかし、それは私が大間違いをする前のことです…」




「へえ、あんた、その子に何をしたんだい?ちょっと話してみ?」


 ヘンリー

「私は彼女に、古くて高価なロケットを愛情の印としてあげる約束をしていました。子供の頃からの友人、カテリーナが、私にくれたものです。しかし、彼女にロケットをあげる前に失くしてしまったのです。あらゆる場所を探しましたが、見つかりませんでした。私はコンスタンスに信用ならない男だと思われ、見捨てられてしまいました」




「え?そうだったのか、カテリーナ?」


 カテリーナ

「ヘンリーは、長年の親友なの。彼は素朴だけど、いい人よ。他人を憎むという心が、これっぽっちも無いのよ。私は彼が大好きだから、大事な宝物をあげたの」


 ヘンリー

「カテリーナは、私が子供の頃からの友人です」


 カテリーナ

「私達には、いい思い出がいっぱいあるわ。ねえ、ヘンリー?」


 ヘンリー

「ああ、そうだね。でも、あなたは僕の恋人ではない。だから僕達は、あくまで『ただの友達』だってことに、ずっと前にしたじゃないか、そうだろ?」




「そんな強く否定せんでも…」


 カテリーナ

「あなたの言う通りね、愛しのヘンリー」




「何だか嫌な人間関係だなぁ…」


 カテリーナ

「ヘンリーはお金をあまり持っていないから、金のロケットをあげたの。彼の恋人のコンスタンスにプレゼントするようにね」




「まあ、こんな町じゃ、大した稼ぎはできないだろうな」


 ヘンリー

「私は、これまでの人生の全てを、ここで過してきましたので、他の場所は知りません。ここは根本的に、とても素晴らしい所です。人々は古い生き方や価値観に忠実です。ここ以外の世界からは時代遅れと思われているでしょうが、かつての事を忘れてしまったのは、彼らの方です」




「それはそうと、そのロケットを失くした場所とかに、心当たりはないのか?」


 カテリーナ

「ヘンリーがロケットを持って行った後、この島に来た3人の余所者が、同じ方向に歩いて行ったのを見たのよ」


 ヘンリー

「先日、3人の余所者と話した後に、ロケットを失くしたことに気付いたんです。探すのを手伝っていただけませんか?」




「なるほど、それが噂の3人の新参者か…。いかにも怪しいな。よし、俺が調査してやろう」


 ヘンリー

「ああ、ありがとうございます、アバタール!あなたがいなければ、途方に暮れていましたよ」




「その3人は、どんな奴なんだ?」


 カテリーナ

「3人の外来者はバッカニアーズデンから来たの。彼らが来てからすぐに、私は少しだけお話をしたわ。ロビンはギャンブラーのような服装の男で、他の2人、バトルスとレーベルは、ゴロツキのようだったわ」


 ヘンリー

「あなたが来る数日前に、ここに来たのです。彼らの船が沈み、やっとの思いで、ここに辿り着いて生き延びたようです」




「船が難破して、ここに来たのか…。話に聞く限りでは、哀れな境遇だが…」











「お、可愛い女の子だ」





 コンスタンス

清らかな若い女性が、無垢な笑顔を君に向けた。

「アバタール、私の名前はコンスタンスよ」
彼女は恥ずかしげに目を伏せた。

「謙譲の井戸から水を汲んできて、このニューマジンシアの全ての家に届けるの」




「コンスタンス…この子が、さっきのヘンリーの元恋人か。町の住民のために水汲みをしているのか。若いのに関心だな」


 コンスタンス

「その井戸の水は、澄んでいて冷たいのよ。お望みなら注いであげるわ」

コンスタンスは大きく微笑んで、柄杓を手に取り、バケツの中の冷たい水に沈めた。
そして彼女は柄杓を引いて君に手渡し、君は、その水を飲んだ。
水はとても美味しく、爽やかであった。


 イオロ

「そういえば、すごく喉が渇いている。私もいただいて、よろしいですかな?」


 コンスタンス

コンスタンスは、はいと頷き、彼に水の入った柄杓を手渡した。
彼は大きく音を立てて、それを飲んだ。


 シャミノ

「俺も、喉が渇いているんだ。俺にも水を分けていただけますか、お嬢さん?」


 コンスタンス

コンスタンスは柄杓に水を満たし、シャミノに渡した。
彼は水が顎に滴り落ちるまで飲み続けた。


 シャミノ

シャミノがデュプレを肘で突いた。
「おまえは飲まないのか?」


 デュプレ

「喉を癒すのなら、水よりも、もうちょっと強いやつが見つかるまで待つよ」


 スパーク

コンスタンスはスパークに水が一杯入った柄杓を手渡した。
彼は、それを長いことのみ続け、そして飲み干した時、ゲップをした。
彼は恥ずかしそうに笑い、コンスタンスに柄杓を返す時に、詫びるようにお辞儀をした。




「ところで、ヘンリーのことなんだが…」


 コンスタンス

「前に、私は行商人のヘンリーを愛していたわ。でも彼は嘘つきで信用ならないって分かったの。近いうち、私の心は別の人の物になると思うわ」




「おっと、もう手遅れだったか。はい、ご愁傷様ー」


 コンスタンス

「この島には3人の余所者がいるの!船が難破してここへ来たのよ!彼らには会ったことがあるわ。リーダーの名前はロビンっていうのよ。彼は、いつか私に世界中を見せてくれて、素敵な物を沢山買ってくれるって、言ってたわ」
コンスタンスは溜息をついた。

「彼は、可愛らしい花もくれたのよ」




「なんとも、イケ好かない奴だな」


 コンスタンス

「私は、このニューマジンシアで生まれて、今までずっとここで暮らしてきたわ。でも今は、ここを離れたい。心が傷ついてしまったから」




「女性の傷心につけこんで篭絡させるとは、そのロビンという男、相当なやり手だ…!」


 コンスタンス

「彼は裕福で、彼の2人の友達は、大きくて強い男の人よ。彼らは、バッカニアーズデンっていう、とっても素晴らしそうな所について、私に話してくれたわ」




「バッカニアーズデンが…素晴らしいだと…?」


 コンスタンス

「バッカニアーズデンっていうのは、おとぎの国に違いないわ。回る輪が、お金をくれるんですって!想像できるかしら?それに、贅沢で豪華なお風呂もあるんですって」




「それって、賭博場と風呂屋のことか…?」


 コンスタンス

「ええ、ニューマジンシアには、そんな物はないわ。私、今までに聞いたことすらなかったわ!素敵だと思わない?」




「外の世界を全く知らないんだな…。そのロビンという男、いったい何の目論見があるんだ…?あとの2人は、どんな奴なんだ?」


 コンスタンス

「彼らの名前はバトルスとレーベルよ。2人とも、私にとても紳士的に接してくれるわ。
バトルスは、まず静かね。彼は嫌な人に見えるけど、知り合ってみたら、とてもいい人なのよ。彼は、自分が戦った数々のモンスターの話や、船に乗って南の海に行った時のワクワクする話をしてくれたわ。
レーベルは魅力的で機転が利くわ。彼は、いつも私を笑わせてくれるの」




「どうも、この子は、世間知らずで人が良過ぎる気がする…。とりあえず、そいつらにも一度会ってみないとな…」










「何だかビニルハウスみたいな建物があるぞ…?」


 


 サム

顔に深く刻まれた笑い皺と優しい目を持った、満たされた感じの、髭もじゃの男だ。
「俺の名前はサム。花屋さ。あなたの名前は?」




「俺はアバタールだ。よろしくな」


 サム

「そうか。あなたがアバタールでありたいなら、俺はそのことに言及しないよ。あなたが成りたいなら、アバタールにも成れるさ」




「…いや、俺、本物…」


 サム

「この島には、可愛い女性が大勢いて、出会った紳士から花を受け取るという習慣があるんだ。あんた、花を持っていないだなんて、恐れ多い侮辱になりかねないよ!」




「すまんが、花を買いに来たんじゃないんだ…。だが、ここは凄い温室だな。ブリタニア中を回ったけど、こんなのは初めて見たぞ」


 サム

「温室は俺の手作りさ。花を売っていない時は、そこで植物や自然のあらゆる事を勉強しているんだ。とても魅惑的だよ。お気付きかもしれないが、俺は大きく育てるのが好きなんだ!」




「自分で花や植物の研究をして栽培してるのか…。凄いな…」


 サム

「今は、シバムギの利用や応用の可能性について勉強しているんだ。もうじき、ノートの編集を始めるつもりだが、とても多くのことを学んだから、編集には長い時間がかかるだろうな。だが、こいつは、俺が花売りのワゴンを経営する助けになってくれるだろう」




「そんなに研究熱心なら、さぞかし商売も順調だろうな」


 サム

「商売は、とても上手くいっているよ。全ての場所を、俺の花で輝かせたいものさ。でも、商売のことなんて、誰が気にしてるんだい?何で、そんなことを聞くんだい?人生は素晴らしい、こう言えるだけで十分さ!」




「なんだか、眩しいほどに充実してるな」


 サム

「住む場所と食べていくだけの金を持っていれば、裕福な人だと思うよ。俺は毎晩『モデスト・ダムセル』で美味い酒を飲み、元気に歌って楽しんでいるさ。商売も繁盛しているし、仕事も刺激的だ。この島の住人も皆、良き友人だと思っているよ。誰に対しても怒りは感じないし、これ以上望むものもない。孤独に感じたり、困ったりするようなこともない。他に何があるっていうんだ?人生は素晴らしい!」




「ブリタニアは発展したというのに、200年前と同じ暮らしをしているニューマジンシアの人々の方が幸せそうに見えるのは、いったい何故なんだろうな…」


 サム

「俺は、ここの生まれではないんだ。若い頃にここへ来た。俺の父親は貴族で、俺の勉強のことよりも、俺の金を勘定することの方に興味があるような男だった。そして、俺はここに辿り着くまでに世界中を旅した。ここは、ブリタニアの他の町とは違う、特別な場所だ。だから、あんたもここに居る間は、どうか、その事に気をつけてほしい」




「…そうだ、ヘンリーが亡くした金のロケットを知らないか?」


 サム

「ああ、前にヘンリーが俺の店に来た時、コンスタンスの探しているロケットを持っていたのを見たよ。彼がそれをカテリーナから受け取った直後のことだった。彼がコンスタンスに花をあげるって言ってたから、覚えているんだ。哀れな奴さ。今までに、あいつが彼女にあげたのは、それだけだったんだ」




「ヘンリーは、本当に貧しいんだな…。あと、この町に流れ着いたという3人には会ったことあるか?確かロビンという名前らしいが…」


 サム

「ああ、彼は3人の余所者のうちの1人さ!彼には会ったことがある。彼は花を買いたがっていたようだが、買わずに行ってしまった。そして、後で気付いたんだが、俺の出店から花束が無くなっていた。あのならず者が、くすねたに違いねえ!」




「(コンスタンスが、ロビンから花を貰ったとか言ってたな…)」


 サム

「バトルスは、この島に来た難破船の来訪者の1人さ。そうさ、あいつら3人が俺の出店に来た時、あいつは地の凍るような視線で、俺を見てきた。俺は、あいつを無視するのに精一杯だったよ。俺は暴力は大嫌いなんだ」




「あと1人は、レーベルっていったっけ…」


 サム

「招かざる客の1人の名前さ!朝早くに、あいつら3人が俺の出店に来た時、彼は俺にとても親しげに話しかけてくれたが、俺には気付いたことがある。彼はコンスタンスのことを話していたが、他の2人は、彼を黙らせるような身振りをしていたんだ」




「そうか…分かった、色々とありがとう」


 サム

「友よ、人生を楽しんでください」


ニューマジンシアに流れ付いたという3人の男は、話を聞く限りでは不穏な感じである。
アラグナーのノートを手に入れたので、もう町に用は無さそうだが、ヘンリーを助けてやるために、もう少し聞き込みを続けてみる。



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