Ultima 7 プレイ記録 37 海賊のねぐら

Forge of Virtureをクリアしたので、再び本編に戻る。依然として、エリザベスとエイブラハムの行方を追っている状況だ。
最後にフェローシップの瞑想静修所で得た情報を元に、次はバッカニアーズデンへと向かうことにした。
この町については他にも、巨大な賭博場があるという話や、鉤爪の男フックの隠れ家があるという噂を聞いている。








「まずはフェローシップの支部所を探そう。あれは特徴的な建物だから、すぐに見つかるはず…」


 




「ほら、早速見つかった」


 ダナグ

陽気な男が微笑んでいる。
彼は人生を楽しんでいるようだ。

彼は君のメダリオンに気付いた。
「おお、会員の方ですか!ようこそ、我らが島へ!ご機嫌いかがですか!?このバッカニアーズデンへの旅路で、お疲れになっていませんか!?」




「ここの支部所は、他と違って人当たりがいいな」


 ダナグ

「友よ、私はダナグです」
彼は大袈裟なお辞儀をした。

「私は、ここバッカニアーズデンのフェローシップ支部所の暫定の支部長です。正規の支部長のエイブラハムは、今はフェローシップの仕事で不在なのです」




「エイブラハムは、ここの支部長だったのか…!エイブラハムとエリザベスが、今どこにいるか分かるか?」


 ダナグ

「通常、彼らは一緒に旅をしています。ちょうど、サーパンツホールド付近の瞑想静修所から、ここに辿り着いたところです。この島のどこかにいると思いますよ。エイブラハムは、彼が戻るまで、私がこの支部所の暫定支部長を務めるようにと話しておりました」




「エイブラハムとエリザベスが、この町にいる…!」


 ダナグ

「エイブラハムは、フェローシップの側近メンバーの1人です。彼と、彼の仲間のエリザベスは、定期的に国中を旅して、組織基金の割り当てと徴収を行ったり、他の支部所で仕事をしたりしています」




「幹部が支部長を務めるということは、このバッカニアーズデンは、フェローシップにとって特別な町のようだな」


 ダナグ

「フェローシップは、長い間、バッカニアーズデンにあります。ここは、ブリタニアで最も古い支部所の1つで、ブリテインの本部に次ぐものです。このような悪名高い島が、何故フェローシップに惹かれたのかと、疑問に思うかもしれませんね」




「確かに…。ここはかつて、海賊や無法者達の暮らす町だったはずだ」


 ダナグ

「フェローシップの創設者達は、この島の住人のような人達は、我らの組織から最も恩恵を授かるだろうと考えました。特に、我々は、罪と暴食による支配をバッカニアーズデンの外に追いやることに協力できると思っていますから」




「……」


 ダナグ

「ずっと昔には、ここは海賊や追い剥ぎ、悪漢達の隠れ家でした。周囲を見回してみてください。今では、バッカニアーズデンは、楽園の島です。独自の商業もあります。ロード・ブリティッシュに税金も払っています。ここの海賊達は、今やビジネスマンです。何らの仕事をして、生活をしています。そして、風呂屋とハウス・オブ・ゲームは、この国で最も利益を生む会社の2つです」




「海賊達がビジネスマンねぇ…。時代も変わってしまったものだ。風呂屋ってのは、公衆浴場のことか?」


 ダナグ

「リラックスを求める疲れた人に提供する、純粋無垢な商売ですよ。そこでは肉体的にも精神的にも清められますよ」




「ハウス・オブ・ゲームってのは、話に聞いた遊技場のことだな」


 ダナグ

「人生の戦略を判断するための精神力と技術を試す会社ですよ。この側面の思考を活性化させることは、自己判断や健康にとって、大事なことですよ」




「後で見てみるとするか…。ところで、この町で片腕が鉤爪の男を知らないか?」


 ダナグ

「手が鉤爪の海賊ですって?いえ…そのような者は知りません。この島には、多くの海賊がいますし、手足を失っている者も多いのですよ!」




「そうか…。じゃあ、あとは町を回って情報を集めるとしよう。どうもありがとう」


 ダナグ

「さようなら!」












「この建物…看板には『風呂屋』と書いてあるが、開いていないようだ…。しかし、やけにでかい建物だな…」








「仕方ない…こっちに行ってみよう」







「この建物が、ハウス・オブ・ゲームってやつかな…?」


 ゴーディ

豪華に着飾った、金持ちそうな海賊だ。
ポマードの匂いを強烈に放っている。




「見るからに、ここの支配人といった感じだな…」


 ゴーディ

「ゴーディです」
彼はニッと笑って君に手を差し出した。
その手は、綺麗過ぎるほどに清潔だった。

「私はハウス・オブ・ゲームの"ザ・ミスター"です。この家で、チャンスを試せますよ」
彼は君を注意深く見た。
君の財力と騙されやすさを測っているのだ。




「ザ・ミスター?」


 ゴーディ

「その呼び名は、私が支配人をしていることにちなんでいます。ですが、ここの全員が、私のことを"ザ・ミスター"と呼びます。何故かは分かりませんがね」
彼は自分を大きく見せるため、気取り屋のように胸を張った。
その姿は、なかなか似合っていた。

「あなたは"ミスター・ゴーディ"と呼んでください」




「分かったよ、ミスター・ゴーディ」


 ゴーディ

「さあ、お入りになって、楽しんでいってください!ですが、まずは登録が必要です。あなたの財産を証明するため、ここに署名をしてください」




「何だか入念だな…。ほら、これでいいか?」


 ゴーディ

君は自分の名前を署名した。
「ありがとうございます。ハウス・オブ・ゲームへようこそ!」
ゴーディは腕を広げて大袈裟な仕草をした。
彼の賭博店に君の金が入ることを歓迎しているのだろう。

「ああ、あなたはフェローシップのメンバーですね。ここで、あなたの報酬を得られることでしょう!」
ゴーディは君にウィンクして肘で小突いた。
そして、ククッと笑った。




「今日は博打をしに来たんじゃないんだ。この施設について、少し話を聞かせてほしい」


 ゴーディ

「ハウス・オブ・ゲームは、6年前に建設されました。その出資金は…とある団体です。ブリタニア中の、金を使って危険に暮らしたいと望んでいる人々を惹き付けています。この商売は儲かりますよ」
彼がポーチを叩くと、コインがチャリンと鳴った。

「とても儲かります」
彼はニッと笑った。




「あんたらの身なりからするに、かなり儲かっているようだな」


 ゴーディ

「ええ、バッカニアーズデンには、ブリタニア租税評議会の管轄は及んでいません。我々にはブリタニアの税金は課せられていないのです」
ゴーディは意地悪そうに微笑んだ。

「それは、とても…儲かります!」




「(中産階級以下の庶民は重税に苦しんでいるというのに…。この国は、やはり何かがおかしいな…)」


 ゴーディ

「どのゲームにも、儲かる賭け方を決断する能力が必要とされます。ハウス・オブ・ゲームに訪れる多くの方々は、その能力を持っています。その他の人は、残念ながら、そうではありません」
彼は君のフェローシップのメダリオンを指した。

「あなたには、何の問題もありませんよ」
彼はウインクして眉毛を動かした。




「この施設は、フェローシップが何か関与してるのか?設立した時の出資者というのは誰なんだ?」


 ゴーディ

「そうですね…それは私の仕事と利益の秘密を明かしてしまうようなものですよ?」
彼は君に近づくと、君を脅すような態度で、とげとげしく言った。

「自分で探すんだな、小僧!」




「…分かった。じゃあ、最後にもう1つ聞かせてくれ。鉤爪の腕の男を知らないか?」


 ゴーディ

「そのような者に、心当たりはありませんね」
ゴーディは神経質に周囲を見回し、急に強張ったかのごとく、顔色を失った。




「(おそらく知っているな…。何とかして口を割らせる方法を探さなくては…)」




「こっちにいる奴にも尋ねてみるか…」


 シンタグ

君がブリタニアで見た中で、最も頭が悪そうで、屈強そうな衛兵だ。




「やあ、あんたも、ここの店員かい?」


 シンタグ

「シンタグだ」
男がブツブツと言った。

「ハウス・オブ・ゲーム用心棒。問題起こした奴、排除する」




「(こいつなら、うっかり何かを漏らすかもしれん…)」


 シンタグ

「ミスター、俺を雇った。ここに居るように頼まれた。それから、このハウス・オブ・ゲームで働いている。俺、ここに出入りする奴、皆知っている。俺、全てを見ている」




「ほう…。最近は、何か問題事があったか?」


 シンタグ

「ここ、色んなトラブルメーカーが来る。俺、アバタールを自称する奴等が特に嫌い。冒涜だ。この間、アバタールを自称してた奴、イカサマした。だが二度とやることはないだろう!」




「偽アバタールが来たのか!二度とやることはないって…どういう意味だ?」


 シンタグ

「それ以上、知る必要はない」
シンタグは君を睨みつけた。




「分かった…(意外と口が堅いな…)他には、どんな奴が来た?」


 シンタグ

「よくここに来てイカサマをしていた男で、ロビンという奴がいる。バトルスとレーベルという2人の従者を連れて、阻止しようとする奴を脅していた。ある日、俺の兄弟が来て、一緒にロビンとバトルスとレーベルを追ったが、奴等は島から逃げた!それ以来、奴等は見ていない!」




「やっぱり、こんな店だからロクでもない奴ばかり来るんだなぁ…。あ、そうだ。腕が鉤爪の男は知らないか?」


 シンタグ

「そのような男は、全く知らない」




「(こいつもダメだな…。普通に聞き込みをしてても聞き出せそうにないぞ)」




「むしろ、客に話を聞いた方がいいかもしれない…。おーい、そこの海賊!」


 ブラックトゥース

背の高い、中年の海賊が、疑わしげに君を見た。




「やあ、ちょっといいかい?」


 ブラックトゥース

「もう一度、俺がおまえを見る前に、何者だか名乗りな」
彼の声は威嚇的であった。




「俺はアバタールという者だ」


 ブラックトゥース

その海賊は、あたかも君を母親の仇のごとく見た。
「俺は…アバタールは…好きじゃねえ!!」
海賊は地面に唾を吐いた。

「だが、てめえは、この前に俺が話したアバタールみたく、魚の餌みてえなツラはしてねえな」




「また偽アバタールか…」


 ブラックトゥース

「俺はブラックトゥース(黒歯)だ、分かるか?」
海賊は笑って歯を見せた。




「あんたが話した、偽アバタールについて教えてくれないか?」


 ブラックトゥース

「アバタールの奴で、魚の餌を作るのさ!」
彼は大きな声で笑った。

「俺は、そこらを駆け回ってアバタールだと自称してるような弱っちい奴等に対して、やれるだけの事をやってるぜ!今は、先週ここに来たアバタールの奴を探しているんだ。そのアバタールはフェローシップのメンバーだ!」




「うむ…各地に出没してる奴と同じ人物のようだな…」


 ブラックトゥース

「そいつは先週、ここにいた。俺から金をくすねようとしやがったんだ!そいつの神経が想像できるか!?そいつは、俺が気付く前に逃げやがった」




「こんなモロ海賊から金をくすねるとは…すごい度胸だな」


 ブラックトゥース

「俺達は酒場でカードゲームをしていた。クソッたれだぜ。奴は下からカードを抜いたんだ。普段なら、俺は、そういったトリックは見抜けるんだ。だが、奴は手際がよかった!」

海賊は、君のフェローシップのメダリオンに気付いた。
「あんたも、そいつらの一員みてえだな!」




「おっと、これは…その…」


 ブラックトゥース

「あんたを責めるわけじゃねえが、ここだけの話、俺は奴等を信用してねえ。あいつらは全員詐欺師だと思う。例えば、俺の旧友のモールを連れ去った。ああ、旧友で親友のモールをだ。あいつは、フェローシップに加わってから、大層変わっちまったよ」




「そのモールってのも海賊なのか?」


 ブラックトゥース

「あいつは、年老いた海賊だ。引退して、この島で暮らしているんだ。俺達は長年の同僚だったんだが、奴はフェローシップに加わっちまった。今、奴は自分のクソも臭くねえって思ってるぜ。俺の言ってる意味が分かるか?」




「海賊をも転向させてしまうとはな…」


 ブラックトゥース

「あいつは、海賊の生き方を全部捨てちまった!今は、クソッたれな聖人だぜ。そして、俺を見ると、いつもフェローシップに加入させようとしやがる。だから俺は極力あいつを避けているんだ。俺は、あいつを見るのに耐えられないぜ。血が煮えくり返っちまう!」

そして、しばらく語気が弱まり、タフな海賊は小さな声で言った。
「俺は、あいつを失っちまった。俺達は最高の仲間だったのに」
彼の目には涙が浮かんでいたと、誓ってもよい。




「おいおい、こんな町中で…」


 スパーク

スパークが囁いた。
「あーあ、元気だしなよ!」


 デュプレ

デュプレが笑いをこらえて振り向いた。
君は、海賊が我を失っていることに気付いたので、彼をそっとしておくことにした。


 ブラックトゥース

「くそっ、行っちまえ!分かったよ!俺には、もう友達がいねえんだ!」




「分かったよ、じゃあまたな」


 ブラックトゥース

「典型的なフェローシップの奴等だ!ああ、そうさ!行っちまえ!俺を放っておいてくれ!俺は、ここに1人貧しく居残ってやるさ!俺のダガーはどこだ?俺の喉をかっ切ってやる!!」




「ジジイなのに子供みたいな奴だな…」












「エイブラハムとエリザベスの手がかりは掴めない…。次は、ここに行ってみるか」


 


 ブド

「ブドの店、開店中!」 「さあ入って!開店中だよ!」




「ここは商店のようだな」


 ブド

太った陽気な商人だ。
「ようこそ、ようこそ友よ!いっぱいお金を使って行ってくださいね!」


 イオロ

「ここは実に上手くやっているようだな」


 シャミノ

「この島は、とても潤っている。我々が知っている島とは随分違うぞ」




「まったく、どいつもこいつも金儲けばかり…。昔のバッカニアーズデンの殺伐とした雰囲気が好きだったんだがな…。鉢合わせた海賊達と、いつ喧嘩が始まってもおかしくない。刺すか刺されるか、、そんな雰囲気がいいんじゃねーか…」


 ブド

「私はブド4世です。御意のままに!今日は良い日ですねえ!」




「ブド…どこかで聞いたことが…。あ!!そうだ、昔バッカニアーズデンで、盗賊ギルドをやっていた男じゃないか!」


 ブド

「父と同じく冒険用品店をやっております。父の父もそうでした。そのまた父もそうでした。ブドの店は、この島の伝統です!フェローシップもいつかそうなるでしょう!」




「そうか…。あの時のギルドマスターの子孫ってわけだな。そして、今はフェローシップの下で繁栄しているってところか」


 ブド

「フェローシップのおかげで、私は大金持ちになれました!代々受け継いだ家業ですが、皆フェローシップのおかげですね!」




「盗賊ギルドは廃業したのか?」


 ブド

「もうありませんよ。私の祖父の時代に縮小していきました。私が子供の頃、フェローシップが来てからは、家族の思い出の品以外には、影も形もありませんでした。海賊達は違いますがね」




「フェローシップの来訪と共に、店が変わったということか…」


 ブド

「この事業は、私のご先祖がずっと昔に始めたものです。彼は『盗賊ギルド』のおかげで、ほどほどに成功しました。ですが、それも過去のことです。私のご先祖は、この店を息子に引継いでいき、それが続いて、私の所に来ました。我々は生まれながらの商人なのです!そういうわけで、何であなたがブドの店に来たのかも分かっています!あなたも、偉大なるブドの遺産の一員となりたいのでしょう!では、何か買って行ってください!」




「やれやれ…。そういえば、今までに出会った商人は、フェローシップのおかげで大繁盛してるって奴が多かったな。何か秘密があるのか?」


 ブド

「私の祖父が亡くなってすぐのことでした。ちょうど私が店を引き継いだ時、商売は上手くいっていませんでした。店を存続させられないほどに危険でした。しかし、フェローシップが、私に加入するように説得してきたのです。そして私は自身の価値を示し、フェローシップは経済的に私を援助してくださいました」




「自分の価値を示すってのは、具体的に何をしたんだ?」


 ブド

「気兼ねなく、お話ししますよ。フェローシップは、私の利益の半分を共受しています」




「なるほど…。みかじめ料を払う代わりに、設立時の援助と安定した客を提供ってわけか」




「ところで、あんたは船も取り扱ってるようだが、クラウン・ジュエル号という船について知らないか?」


 ブド

「定期的に、ここに停泊します。それ以上のことは知りませんね。船員達は、とても秘密主義ですから」
ブドはそっぽを向いた。
明らかに、この船のことについて話したくないようである。




「…(こいつからも、情報を聞きだすのは難しそうだな…)」











「ふう…。ちょっと酒場で一休みだ」







「お、なんだなんだ?若いお姉さん達がいるぞ?」




「オホン、同席してもよろしいですかな?」


 ウェンチ

女は、驚いたように君を見上げて言った。
「今は仕事の時間じゃないわ。プライバシーを尊重してくださらない?あたしとお話したいんだったら、夜に風呂屋に来てね」




「仕事?風呂屋…?どういうことだ?」


 ロベルト

「今は仕事の時間じゃなんだ。僕のプライバシーを尊重してくれないかな。僕と話がしたいんだったら、夜に風呂屋に来てくれ」




「……まあ、いいや。あそこの奥にいる、むさ苦しい海賊とでも話すか…」


 モール

年老いた海賊だ。
かつては、極めて危険な外見をしていたのかもしれない。
「なんだ?」




「やあ、ちょっと話でもしないか?」


 モール

「俺の名はモールだぜ!」




「モール…。あ、さっき賭博場で会った海賊の元友人とかいう男か…!」


 モール

「名前の由来については聞くんじゃねえぜ、長い話になるからな」




「…?どうしてもって言うなら聞いてやるぞ」


 モール

「本当に聞きたいのか?とても長いぜ」




「ああ、構わない」


 モール

「分かった、じゃあ話そう。俺は洞窟で生まれた。だから、おふくろは俺をモール(洞窟)と名付けたんだ」




「……で?」


 イオロ

「あんたは、長い話になると言ってなかったか?」


 モール

モールは肩をすくめた。
「長い話を短くしてやてやろうと思ったんだ」




「なんだ…。てっきり海賊に関係してると思ったじゃないか。聞いたところ、今は海賊稼業はやってないらしいな」


 モール

「何年も何年も、略奪し、暴行し、恐怖を振り撒きながら、海を彷徨っていた。今、俺は50歳を過ぎて、このバッカニアーズデンで、余生を平和に静かに過ごそうと思ってるんだ」




「昔の生活が恋しくならないのか?」


 モール

「いい生活だぜ。俺は海賊に疲れちまったんだ。塩水や、生肉、甲板の汚水、オウムの糞、そして"ハッ!"って言ってる声しか聞こえないことに、嫌気が差しちまったんだ」




「今は何をして暮らしてるんだ?」


 モール

「俺はハウス・オブ・ゲームか、ファーレン・バージン酒場で過しているんだ。サイコロがフェルトの布に当たる音が大好きだね。暖かいエールが喉に撥ねる味が大好きだね!そして…俺にはフェローシップがある。あの団体は、俺に再出発の機会を与えてくれた。俺は海賊だった時に友人がいたが、フェローシップの兄弟達とは比較にならねえな」




「そうか…」


 モール

「おお、あんたもメンバーか!きっとイイ個性してるんだろうな!」




「ブラックトゥースとは、もう関わっていないのか?」


 モール

「ブラックトゥースは、この島で暮らしている。かつては、同じ鎖で繋がれてたもんだ。言ってる意味分かるか?だが、俺がフェローシップに入ってから、あいつは俺をかばってはくれなくなった!俺が疫病か何かを持っているかのように振る舞いやがる。俺には理解できねえ。俺を滅茶苦茶にやっつけたいんだぜ!」




「それは、おまえがフェローシップの勧誘をするから…」


 モール

「ブラックトゥースは俺の兄弟のようなものだった。フェローシップの兄弟とは違って、本物の兄弟だ。言ってる意味分かるか?俺達は"全てを"共にした。略奪品も女も分け合ったんだぜ!全て、そうしてきたんだ!だが、あいつは今は兄弟じゃねえ!あいつは俺を嫌っている!俺との関係を切りたいなら、そうしてくれってんだ!」
しかしモールは、すぐに付け足した。

「あいつは、俺が何をしてやったか分かってねえ。俺のおかげで、あいつは生きているんだぜ!あいつが壊血病にかかった時に看病してやったのは誰だ!?俺だ!あの虐殺者シルバーベアードに斬られた傷を繕ってやったのは誰だ!?俺だ!」




「シルバーベアード(白髭)?」


 モール

「ああ、奴は癇癪持ちの年寄海賊だ。自分が何をするべきか分かってれば、あいつは、とっくにくたばってると思うぜ」




「波乱に満ちた海賊人生だったんだな」


 モール

「おう、当時は全然違う生活だった…」
モールはしばらく目を恍惚とさせ、過去の記憶を思い起こした。
そして彼は言った。

「俺はフェローシップの仕事をして暮らすことに、強く固執しすぎたのかもしれないな。きっと、俺はあいつに強く当たりすぎちまったんだ。すまねえことをした。あいつが、もう一度チャンスをくれるなら、俺はフェローシップを辞めようと思う。あいつらは、俺が言うほどに素晴らしいものじゃねえ。俺がかつて一緒に航海した海賊共よりも、捻じ曲がってるぜ!」
モールは顔をしかめた。

「あんたのせいで、むかつく気分になったぜ」




「そうか。考え直してくれてよかった。実は、ブラックトゥースも同じことを言っていたんだ」


 モール

君はモールに、ブラックトゥースが言っていたことを話した。
あたかも、君が彼に花束をあげたかのように、塩臭い海賊が変貌した。
「俺をからかっているのか!ブラッキーが俺を失っちまっただと?あいつは俺のことを芯から嫌ってると思ってたんだ!俺は、ちょっくら散歩に行かなくちゃならねえ。そしたら、あの老いぼれ犬に出くわすだろうさ!旅人よ、その知らせを教えてくれて、ありがとうよ」

そう言って、モールは立ち去り、小さな旅に出かけた。




「よかった。苦楽を共にした友情ってものは、そう簡単に消えるものじゃないな」



ついでに、このモールとの会話をブラックトゥースにも話しておいた。





「…ということだ」


 ブラックトゥース

「あいつが、そう言ったのか?本当か?」
ブラックトゥースは、また泣き出しそうに見えた。

「あいつに会ってこなくては。ありがとうよ、アバタール、この事を考え直させてくれて」
ブラックトゥースは君を強く抱きしめて、モールを探しに行ってしまった。




「めでたしめでたし……と言っても、フェローシップや鉤爪の男の情報は何も進展がない…。この町は後回しにした方がいいかもしれないな…」


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