Ultima 7 プレイ記録 36 永遠のタリスマン

結局、この剣を使わないと勇気の試練のドラゴンは倒せそうにないため、アルカディオンの力を剣に封じ込めることにした。




「おい、アルカディオン」


 アルカディオン

君の持つ宝珠が輝いた。
「はい、ご主人様。何のご用でしょう?」
アルカディオンは抑えた声で言った。




「おまえが、このブラックソードと結合したら、圧倒的な力を引き出せるようになるんだな?」


 アルカディオン

「宝珠と剣とを結合するようにお望みでしたら、お申し付けください、ご主人様」




「……結合してみてくれ。(まあ、この宝珠の中に閉じ込めている限りは大丈夫だろう…)」


 アルカディオン

「やります!」
宝珠が剣の桟に触れた時、金属を引き裂くような音が大気に響いた。
そして刃が、あたかも生きているかのように揺らめき変化した。
ゆっくりと、剣は元の形に戻っていくが、その柄では青い宝珠が輝いている。




「おお…!宝珠が剣の柄に!」


 アルカディオン

「剣と宝珠の結合は完了しました」




「どこだ?まだ宝珠の中にいるのか?」


 アルカディオン

君が話しかけると、剣がぼんやりと暗く光った。
「ご機嫌よう、ご主人様。この謙虚なる僕に、何のご用でしょう?」
悪魔の声は、その奇妙に当惑させるようなユーモアを取り戻していた。




「アルカディオン…今度は剣の中に入ったのか…?」


 アルカディオン

悪魔の剣は不吉な声で言った。
「私は今でも、そして、いつまでも、あなたの僕のアルカディオンです」




「不気味な奴だ…。結合は成功したのか?これでブラックソードは完成したのか?」


 アルカディオン

「私は『シェイド・ブレード』です。私の運命は、あなたに仕えること」
剣は言葉を止めた。
「私達が離れる時までね」




「シェイド・ブレード…影の剣か…。確かに、さっきとは比べ物にならないほどのオーラだ…。どれほどの力を秘めているのか…」


 アルカディオン

「どの力をお求めですか?魔法か、死か、炎か、帰還か」




「じゃあ、試しに『炎』の力を見せてくれ」


 アルカディオン

「では、どうか教えていただきたい。果てしなく、最も権勢ある、あなたの憤怒は、何を狙っているのです?『無限なる破壊の主』よ」




「なんでもいいから、その辺の壁にでも向けてやってみてくれ」







「うおおおおお!!こ…この威力は…!!」


ターゲットを指定すると、そこに向かって巨大な炎が放たれた。
うかつに町中で使おうものなら、大変なことになりそうな破壊力である。
この他、『魔法』はMPを回復し、『死』は、ターゲットを一撃で葬ることができ、『帰還』は、世界中どこにいても、この炎の島に戻ってくることができる力であった。
この『死』の力をドラコスラクサスに対して使えば、不死のドラゴンといえど滅ぼすことができそうだ。





「凄い…!これなら、あのドラゴンにも勝てそうだ!」











「さあ、着いた…。頼むぞ、アルカディオン!」


 


 ドラコスラクサス

ドラコスラクサスは、不快そうに大気を鼻で吸い込んだ。
「我が運命は近し。長き果てに、我は解放されるのだろう。生者よ、汝の幸運を祈る。汝自身を守るのだ!」
その言葉と共に、ドラゴンは君に飛び掛った。


 アルカディオン

「おお、ドラコスラクサスよ、また会ったな。哀れなことだが、貴様はこの再開の時を生き延びられぬだろう。最初に我が尋ねた時に宝珠を差し出していれば、このような不和は必然ではなかったものを」




「え!?なんだ、おまえ、このドラゴンと何か因縁があるのか?」


 ドラコスラクサス

ドラゴンは諦観の様相で答えた。
「アルカディオンよ、我が意思は、我がものではないのだ。汝も同じように探求をしているようだが、それは汝自身の意思ではないのであろう」


 アルカディオン

悪魔は、おそらくは、このドラゴンの応答に衝撃を受けて黙り込んだ。
そして、その血塗られた行動に移った。


 


 ドラコスラクサス

ドラゴンは焼け付くような溜息を吐いた。
「ついに解放された。我は報いを求めに行く。これは、汝の勇気の試練であったと同時に、我の勇気の試練でもあったのだ。汝の報いは、北の扉の向こうにある。青き門に入るのだ、勇気の護符は、汝の物なり」




「ドラコスラクサスが…死んだ!奥の扉が開いたぞ!」


これは、アバタールの勇気の試練であったと同時に、ドラコスラクサスの勇気の試練であったと言う。
彼が不死となったのに、どういった経緯があったのか…。
また、悪魔アルカディオンとの間に、どのような因縁があったのか…。
これらは語られることなく終わった。

さて、奥にあった青い扉に入ると、勇気のタリスマンが置かれた祭壇にワープした。
これで遂に勇気の試練が終わったようだ。



 





 勇気の神殿

「よくやった、力強き戦士よ!汝の血に流れる、その卓越した勇気は、まさしくアバタールに他ならない。汝は、勇敢、献身、名誉、そして霊性の報償を得る価値があることを証明した。謙譲をもって、これを受け取るのだ」




「おお…!力が溢れる…!」


勇気の試練を通過したことにより、アバタールのSTRとHPが最大値の30となった。



これで、アバタールの全ステータスが完全無欠となった。


 勇気の神殿

石像の声が切迫した。
「我は汝に約定を課そう。汝アバタールは、これに従わねばならない。汝は『永遠のタリスマン』を探求するのだ。この城には、その使い方を記したスクロールがある。さあ、行くのだ、時間は儚い」




「永遠のタリスマン…。三原理の象徴『Infinity』のタリスマンも存在するのか。とりあえず、エレシアンにでも聞いてみるかな…」









 エレシアン

「君は、私の警告を守らなかったようだな。嗚呼、我が哀れみは、君の永遠だ。そして、君はどうするのだ、『シェイド・ブレード』の主、そして奴隷よ」




「アルカディオンを剣に結合させたことか?だが、こいつのおかげでドラゴンを倒せたし、勇気のタリスマンが手に入ったんだ。なに、危なくなったら、この剣を溶岩の中にでも捨ててしまえば…」




「あれ!?剣が…外れない…!おい、アルカディオン!俺から離れろ!」


 アルカディオン

「申し訳ありませんが、ご主人様、私は離れられません。しかし、そのお喋りを止める…ということをお望みであらば」




「な…なんだと…!」


アルカディオンのシェイド・ブレードは、決して捨てることができない。
厳密には、装備から外すことはできるが、アバタールの荷物の中から除外することができないようだ。
呪われたアイテムのようなものである。




「くっ…!今のところ実害は無いが…気分のいいものじゃないな…」




「まあいい…。それよりも、聞きたいことがあるんだ。『永遠のタリスマン』という物について、何か知らないか?」


 エレシアン

「おお、そうだ。そのような名前のタリスマンについて書かれたスクロールを、かつて持っていた。どこにいったか思いだせぬな。君は、『スクロール・オブ・インフィニティ』と題された紙切れを見たことがあるか?」




「ああ、おまえの部屋に落ちている、このスクロールのことだろ?前にちらっと読んだが、何て書いてあるのかサッパリ分からないんだ」


 


 エレシアン

「これは、実に奇妙な形式で書かれている。暗号の一種だと言う者もあるだろう…!どうやら、タリスマンは、現在はグレート・ヴォイド(虚無空間)の中にあるようだ。面のようなものだ。そこへ、我々の所から移されたのだ。虚無空間にアクセスしたいのであれば、君は2つのレンズを作らなくてはならない。1つは凹レンズ、もう1つは凸レンズだ」




「2つのレンズを使って虚無空間に繋げるってのは、昔ガーゴイルの国でやったな。あれと同じ要領ということか」


 エレシアン

「適切な魔法がかけられたレンズに光を通すことで、我々の領域と虚無空間との間の導管が開くのだ。この論文によると、3つの原理のタリスマンが、インフィニティ・タリスマンを呼び起こし、ここへもたらすそうだ。それ自体は、強大な力を虚無空間へ押さえ込むことを目的としているようだ」




「『永遠のタリスマン』には、そんな力があったのか…!」


 エレシアン

稲妻が木に落ちたかのように、魔術師が閃いた。
「おお、そんな、アバタール…。これ以上、私は手助けできない。私は盲目だが、君の偽りを見透かした。君が虚無空間にコアを送り出すことには協力しない」
エレシアンは黙り込んだ。これ以上何も喋らないということを示しているようだった。


 アルカディオン

さざ波が立つかのように、アルカディオンの声が君に囁いた。
「ご心配なく、ご主人様。この事に関して、私に知恵があります」




「む…!よし、ここではなんだから、後でエレシアンのいない所で話そうか…」




「それにしてもエレシアン、あんたは盲目だってのに、よくスクロールが読めるもんだな。感心するよ」


 エレシアン

エレシアンは、君の質問に苛立っているように見えた。
「ページのインクの筋を感じることの障害にはならない。君は、私のことを障害者だとでも思っているのかね?聞くがよい、私は、君のような者をも肉塊に変えてしまうような危険にも直面したことがあるのだぞ」

魔術師の目が柔らかく輝き始めた。
「我が魔法は、現実世界の建造物を引き裂き、さらにそれを再構築するほどのものだ。それを証明してやろう。上級ガーゴイルの姿に変身してやる…」

彼は手を動かした。
君は、それが魔法によるものだと分かった。
そして彼は、ゆるやかに魔法の言葉を呟いた。
「Rel An-Quas Ailem In Bet-Zen」




「あ、おい!こんな所で…!」







「うわっ!…って、ネズミ?」


 エレシアン

老魔術師はネズミになり、少しばかり当惑しているようだ。
「この呪文は、いつもは正しく働くのだが、この忌々しいエーテルの波動で、正しい呪文の言葉が思いだせん!」




「……」


 エレシアン

「まあ、どうでもよい。私の力ならば、巨大なドラゴンの姿でさえ難しくはない」
エレシアンは優しく話し、そして、魔法の言葉は大きくなっていった。

「Rel An-Quas Ailem In MOO!」







「こりゃ、ドラゴンじゃなくて牛じゃないか…」


 エレシアン

老魔術師は、非常にばつが悪そうであった。
「このように滑稽に偽装してはいるが、私はとても研究に忙しいのだ」
彼は顔をとても赤らめて、そっぽを向いてしまった。




「こいつほどの魔術師でも、魔法障害の影響は甚大なようだな…」










「さてと…。じゃあ、アルカディオン、話してくれ。永遠のタリスマンを手に入れるには、どうしたらいい?」


 アルカディオン

アルカディオンは君の要望に答えた。
彼の声は、さっぱりとしていた。
「はい、あなたがエクソダスの残骸を虚無空間に追放したいとお望みでしたら、お手伝いいたします。それには、まず、ヨボヨボのバカ年寄りが話していたレンズが必要です。次に、3つの原理のタリスマンが必要です。そして最後に、ダークコアの安置されている台座の周囲の壁に掛けられている松明を灯すことを忘れないでください」




「タリスマンは3つとも揃っているが、レンズはどうすればいい?」


 アルカディオン

「あなたが無限なる知恵のコデックスを虚無空間に置いた際に使用した、凹レンズと凸レンズです。今はブリタニアの博物館に人知れず置かれていると思います。それらを、ダークコアと、台座の周囲の壁の松明との間に置くのです」




「そうか!そういえば、あの博物館は今、アバタールの遺物展を開催しているんだった!当時使っていた物が、色々揃っているぞ!」




ということで、一旦ブリテインに戻り、深夜の博物館に忍び込んだ。








「あったあった!このレンズだ!では、ちょっくら失敬をば…。係員がいる時に持ち出すと、衛兵を呼ばれてしまうからな」


ウルティマ6の時代に人間とガーゴイルがそれぞれ造った、魔法の凹レンズと凸レンズを手に入れた。
再び、このレンズを使う時が来ようとは思ってもいなかったものだ。






「さあ、必要な物は揃ったぞ。これをダークコアに、どうやって使うんだ?」





 アルカディオン

「原理のタリスマンをダークコアの上に、パイに楔を入れるかのごとく置くのです」




「なるほど。それで、このレンズをダークコアの両側に置いて、壁の松明の光を通せばOKということだな」







「あ!3つのタリスマンの間に、もう1つのタリスマンが浮かび上がってきた!」




「これが、永遠のタリスマン…」


 エレシアン

「だめだ!それはさせんぞ!」







「エ…エレシアン!まずい、見つかった!」


 エレシアン

エレシアンの声は怒りに満ちていた。
彼は腕を上げ、強力な呪文の詠唱を始めた。
「Vas Ort Rel Tym…」




「いかん!永遠のタリスマンを破壊される!」


 エレシアン

彼は呪文を途中で止め、別の呪文を永遠のタリスマンに向けて唱え始めた。
「Vas An Ort Ailem!」




「ん?この呪文は…」


 エレシアン

君は呪文の響きを聞き、それが間違っていることに、すぐに気付いた。
そして、それはエレシアンも同様であった。
彼の皺だらけの表情に恐怖の色が浮かび、それは彼の皺をいっそう深くした。







「魔法の力が…エレシアンに向かって…!」


暴走した魔法は、永遠のタリスマンではなく、エレシアンに向かって降り注ぎ、彼は一瞬にして白骨となってしまった。
そして同時に、ダークコアは永遠のタリスマンの力で虚無空間へと消え去った…。








「終わったな…」


 イオロ

「哀れなことだ。力への願望が、エレシアンを暗黒の道に堕としてしまった」


 シャミノ

「少なくとも、彼は安らかになったんじゃないか」




「悪しき心を持った者ではなかったが、力と知識への欲に取り憑かれてしまったんだな…」


 デュプレ

「ロード・ブリティッシュが、エクソダス追放のニュースを待ちわびてると思うぜ」


 スパーク

「さあ、この不毛の島を出ようよ」




「そうだな、王にも顛末を報告しておくか」












 ロード・ブリティッシュ

「エクソダスの残骸が、この領域から消え去ったのを感じる。これで、余の肩から実に大きな重荷が降りた。そしてアバタールよ、この偉業に対し、余は報いなくてはならぬだろう。友よ、どうか跪いてほしい」
君がロード・ブリティッシュの彼の命令に従うと、彼は手を差し出した。




「うおお…!更にステータスが上昇した!」


 


 ロード・ブリティッシュ

「アバタールよ、汝に感謝し、祝福する。汝の行いは誉れ続けられるものだ」


これにて、追加シナリオForge of Virtureは完結となる。
古代ソーサリア時代の遺物、エクソダスのダークコアを封印したことにより、世界に再び暗黒時代が到来する危機を防いだ。
この冒険が終わり、アバタールの力が無双のものとなった他、破壊的な力を秘める魔剣シェイド・ブレードを始め、数多くのマジック武具など、得られた物も非常に大きく、さすが追加シナリオといったところだ。
だが結局、エクソダスの正体について、核心的な事は分からずじまいであった。
シナリオ概要がほとんど語られなかったウルティマ3に比べれば、かなり多くの事が補完されたとはいえ、まだまだ謎が残る。
エレシアンが追い求めたダークコアの神秘というものも、少々見てみたかったものだ。



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