Ultima 7 プレイ記録 35 不死のドラゴン




 勇気の試練

力強く、漲るような声が君の心に響き渡った。
「ようこそ、探求者よ!我は勇気の守護者。汝が我が報酬を求めるのであれば、南にある扉に入るのだ」




「さあ、いよいよ勇気の試練だ。右側の青い扉に入ればいいんだな」



勇気の試練の扉をくぐると、またしても洞窟の中の部屋にワープした。
この部屋の真ん中には生贄が捧げられた祭壇があり、その前で魔術師が何やら詠唱している。
どうやら、何かの儀式を行っているようだ。
そして魔術師の詠唱が終わると、奥にある魔法陣からリッチが召喚された!


  







この魔術師と、周囲にいるおびただしい数のアンデッド達と戦闘になる。
魔術師の魔法攻撃は強力で、何より敵の数が多いため、かなりの苦戦を強いられた。
こちらも8人がかりなので、なんとか敵の大部分は撃破できたが、召喚されたリッチのいる魔法陣には入ることができず、手を出すことができなかった。
しかし、リッチの方も魔法陣から動くことはなく、その場で雷の魔法を唱えているだけだったので、近寄らなければ無害な存在であった。
何のために、こいつを召喚したのであろうか…。










倒した魔術師の死体からは、先の扉を開く鍵が見つかる。
その他、この部屋に最初から落ちていた死体からは、マジックアーマーやマジックガントレットなどの貴重な装備が見つかり、味方の装備もかなり強化された。











先に進んで行くと、ゴーレムやドラゴンなどと戦闘となった。
やはり、勇気の試練というだけあって、ここは戦闘がメインのようだ。









途中で見つけたグラスソードを祭壇に捧げると扉が開いたり、祭壇の上にあるマジックヘルムとグレートヘルムを取ると扉が開いたりと、ここでも他では見ないような仕掛けばかりだ。


   







扉を守るゴーレムを何体も倒し、ついに一番奥の部屋の前に辿り着くと、そこには消炭のようになった黒コゲの死体があった。





この死体、よくよく調べると貴重な宝を持っていたので剥ぎ取っておく。
そして改めて部屋の中に入ると…







「ドラゴンか!!」


 ドラコスラクサス

「探求者よ、よく来た。我はドラコスラクサス。汝の試練は、汝の目の前にある。しかし、汝は敗れるであろう。我は勇気の守護者により、不死の命を与えられているからだ。真に力を秘めたアーティファクトでなくば、我を滅ぼすことはできぬ。そして…そのような物は存在しない」
偉大なるドラゴンは、君との一触即発の戦いを予感し、大地に爪を立てた。




「こいつが、エレシアンの言っていた、城に侵入したとかいうドラゴンだな…!」


こうして、勇気の試練の最深部に巣食うドラゴン、ドラコスラクサスと戦闘になった。
その火炎のブレスは、多くの仲間が焼き殺されそうになるほどの攻撃力で、これまでに戦ったボス達と比べると相当な強敵である。
が、しかし、8人がかりの総攻撃の前には、巨大なドラゴンの体力も長くは持ちこたえられなかった…





「ふぅ…。戦いというのは、常に数の優劣で決まる…覚えておくんだな」


 ドラコスラクサス

「小さき人間よ、よくぞやった。汝は勇敢であると同時に力強き者だ。だが、我を滅ぼしたとは思わぬことだ。汝は、単に我に勝っただけだ。汝は、この偉業に対し報いを受けるべきであろう。我は真に素晴らしき宝珠を持っている。その勇気を、もう少し保てるのであれば、宝珠を汝に授けよう」




「こ…こいつ、死んでいないのか…?」


 ドラコスラクサス

ドラコスラクサスは大きく口を開いた。
その中には、鋭い牙が数多くあった。
そして、その奥に、君は青く輝く小さな宝珠を見つけた。
手を伸ばし、それを取るか?




「うう…これが勇気の試練ということか…?ある意味、これは戦闘よりも勇気が要るな…」


 ドラコスラクサス

君は、ドラゴンの口の中、その試練に手を伸ばした。
小さな宝珠が、このリスクに見合う物なのかと思わずにはいられなかった。

とは言え、君はやり遂げて、愛しの小さな宝珠を奪還した。
その宝珠を文字通りに死の顎から毟り取ると、ドラゴンは、それを優しく巣に置いた。
ドラコスラクサスは、君に口を近づけて瞬きした。

「小さき者よ、これは単なる勇気の試練だ」




「この玉…鏡の悪魔アルカディオンが探していた宝珠か…?」


 ドラコスラクサス

「我は、これから眠りにつく。だが、再び戻るであろう。汝が我を倒す方法を見つけ出すまで、扉は開かぬであろう。さらばだ、小さき生者よ」




「消えた…。奴の言ったとおり、奥の扉は開かない…。宝珠は手に入れたが、これでは肝心の『勇気のタリスマン』が手に入らないぞ…」









結局、一番奥の扉を開くことはできなかったので、城まで戻った。 


 




「おい、アルカディオン。おまえが探していたのは、こいつのことか?」


 アルカディオン

「おまえは、小さな青い宝珠を持っているな。それは我を自由にするものだ!それを使って、この呪われし鏡を砕いてくれ!そうすれば、ここから出られる!」
アルカディオンは鏡から飛び出す準備をしているようであった。




「使うって…どうすりゃいいんだ?」


 アルカディオン

「それを使って、鏡を砕くのだ!解放されれば、ここを潜って出ることができる!」
悪魔は、衝動を抑えることができないようだ。




「宝珠を手に持って鏡を砕く…こうか?」



宝珠からエネルギーが迸った。





「おお!」


 アルカディオン

「今こそ、ブリタニア全土に復讐をする時だ。この呪われし鏡の中で過した代償の全てを支払わせてやるぞ!」
宝珠が明るく輝き、君は世界の崩壊を予感した…。




「これは…もしかして、マズイことをしてしまったか…!?」


 アルカディオン

しかし、何も起こらなかった。

「だめだ!」
悪魔は心からの叫び声を上げた。その少しばかり澄んだ音は、宝珠の中に響いた。

「出られない!あの老人の言ったことは正しかった、我は囚われたままだ!」
悪魔の怒りの声が、静かになった。




「……」


鏡の中に囚われていた悪魔アルカディオンは、宝珠の力によって脱け出すことができたものの、今度は宝珠の中に囚われてしまったようだ…




「…おい…アルカディオン…この宝珠の中に入ってるのか…?」


 アルカディオン

「我が名は依然アルカディオンです。牢獄は変わりましたがね」




「おわっと!なんだ、急にしおらしくなったな」


 アルカディオン

「今はあなたのしもべです。何をお望みでしょう、ご主人様?」




「俺のしもべ…。そういえば、エレシアンが言っていたな。悪魔は、結局は宝珠を持つ者の支配下になるって…」


 アルカディオン

「この宝珠に入ったら、思うように力を使えなくなって、宝珠を持つ者の意のままになってしまうという、彼の仮設は正しかった」




「おい、さっきブリタニアに復讐するとか何とか言ってたな」


 アルカディオン

アルカディオンは哀愁を漂わせて答えた。
「軽率な言葉をお許しください、ご主人様。あの時は、一時の感情で理性を失ってしまったのです。もう二度といたしません」




「本当に、俺に従うのか…?」


 アルカディオン

悪魔はしばらく言葉を止めた。
「あなたは私の身体を閉じ込めました。それゆえ、あなたや私よりも、ずっと老獪な力の元、私はあなたの意思に縛られております。私に何をお望みですか?」




「おまえは、この宝珠の魔法に縛られてるということか?」


 アルカディオン

「遥か昔、私が数えても昔のことでした、我らの一族は、この領域を支配しようとしていた強大な種族によって打ち破られました。この種族は、あなたの王、ロード・ブリティッシュが来る前に、この地で暮らしていたのです。我らの一族は打ち破られて死を望みましたが、あの偉大で強大な種族は破壊者ではありませんでした。彼らは、我らの一族の崩壊を望まなかったのです。彼らは、我らの種族の理解を超える魔法を唱え、この領域に居住するよう縛り付けたのです。あなたの種族の者達は、この魔法を使って我々を隷属し続けました。時として、これがどのようにして成されるかも理解せずに」




「ふーん…。よく分からんが、遥か昔の異種族の理解も及ばない魔法が今も生きていて、そのおかげで、おまえを使役できるってことか…。とりあえず、エレシアンにも話を聞いてみるか…」








「おい、エレシアン!ちょっと聞きたいことがあるんだ。おまえの言っていた宝珠の中に悪魔を封じ込めたんだが…」


 エレシアン

「そう…君はアルカディオンを僕にした。彼のひっきりなしの愚痴が除かれたのは喜ばしいものだ。君が、私と同じように彼を有効に使いこなすことを願うよ。君は気付いていないかもしれないが、彼の言葉は、多分呪いの言葉だぞ」




「げ!本当か…!?」


 アルカディオン

宝珠が明るく輝いた。
「老人よ、おまえと別れることができて喜ばしい。そして、ここで生まれ変わり、我はおまえの主人になり、おまえは我が奴隷となるんだ」
悪魔はぞっとするような小さな笑いを出した。


 エレシアン

エレシアンは悪魔の声を聞いて、少しばかり動揺したように見えたが、すぐに平静を取り戻した。
「悪魔よ、私はそうは思わんな。おまえが、その小さな宝珠から出る方法は存在しないはずだ」
年老いた魔術師の表情は読めなかった。




「(こいつを宝珠から出したら大変なことになりそうだ…。そこは注意しておこう…)」




「ところで、他にも聞きたいことがあるんだ。さっき、愛と真実の試練を通過したんだが、石像が気になる事を言っていた。ブリタニアで巨大な悪が目覚めようとしている…って。これはエクソダスのことか?」


 エレシアン

年老いた魔術師は顔をしかめた。
「私には巨悪は感じられない。宇宙的な認識の要領は得ていないからな。言うまでもないが、そんなに心配することはない。これらは上手くいくようになっているんだ」
君は、あたかも頭をはたかれて、別の場所で遊んでこいと言われているかのように感じた。




「他にも、『精神は核に戻る』とか言ってたぞ。これは明らかにエクソダスのことじゃないのか?」


 エレシアン

「それはまことか?」
エレシアンの盲目の目に、物怖じしない歓喜が輝いた。

「この時のために、ここに居たのだ」

彼は再び、君の申し出に気付いた。
「アバタールよ、もう破壊するなどというような変な考えを起こすのではないぞ。私が、この世界の真の奇跡を体験する機会を奪うことは許さん。さあ、もう行くのだ…。何か正しからぬことでもあるか?」




「…(エクソダスのコアの破壊には協力しないつもりか…彼から情報を聞き出すのは難しそうだな)」




「…あと、あんたの言っていたドラゴンとも戦ったぞ。奴は不死身だ。強力なアーティファクトでなければ倒すことができないと、奴自らが言っていたが、何か心当たりはないか?」


 エレシアン

「私はかつて、強力な力を秘めた剣を造ろうと試みた」
エレシアンは集中して眉をひそめ、そして言った。

「君が私の仕事の続きをしてくれるならば、少しばかりの鍛造が必要となる。そして、その場所だが…私が知っている。ついて来なさい、お手伝いしよう」




「ついて来なさいって…うわっ!ワープした!」


 




「ここは…城の正面広間か…」


 エレシアン

エレシアンの皺だらけの顔に、冷酷な決意が浮かんだ。
彼は、鍛冶屋が強張った馬に蹄鉄を打つかのように袖をまくった。

「ご注意されよ」
老魔術師は案じながら言った。

「私が解放しようかという力は、移り気で予想もつかないものだ。私は、君に不慮の事態が起こるのを見たくはない」
君は、エレシアンが周囲から力を引き出した時に、巨大なエーテルの流れを感じた。




「魔法を使うのか…!?」


 エレシアン

君は巨大なエーテルの流れが、一時的に周囲で安定したのを感じた。
使い物にならないエーテルと、厄介な二面性へに対する呪いの言葉を呟きながら、エレシアンは魔法の言葉を詠唱した。

「An Vas Ailem!」
「Kal Bet Ailem!」







「!!これは…井戸が出てきた!?鍛冶の炉もあるぞ!」


 エレシアン

老魔術師の額の筋に、汗の滴が浮かんだ。
「思ったより、きつかったな」

彼は袖の先で額を拭うのを止めた。
「地下水を、井戸に向けて流し込まなくてはならなかった。さて…君には、これらの器具を使用するために、幾つかの道具が必要だ。よろしいかな?」

彼の修辞的な質問は、答えを期さないものであった。
そして、彼は再び、その意思を世界に解き放つ準備をした。




「バケツやハンマーまで出てきた!凄い魔法だ…!」


 エレシアン

エレシアンの顔が青みを帯びたが、彼が成した仕事には満足気であった。
「言った通り、私は以前に、強力な力を秘めたアーティファクトを造ろうと試みた。私は不変の闇の物質を魔法で保ち、剣の柄を造った。しかし刃の部分は、この物質と、ブリタニアで最も純粋な金属との合金で鍛えられたものなのだ。私の芸術的な技をもって、柄の部分は造ることができたが、悲しいことに、私の腕力では、刃に熱を打ち付けることができないのだ。おそらく、君ならば、このアーティファクトを完成させてくれるだろう…」
彼は、立派な柄に付いた貧相な刃を、どこからともなく取り出した。

「刃が熱していても、柄に触れるのを恐れることは無い。真中の黒い物質は熱を通すことはないからな。君の幸運を祈る」
彼は君に剣を手渡し、疲れた様子で立ち去った。



こうして、エレシアンからブラックソードなる剣を受け取った。
どうやら、彼の魔法で出現させた井戸や火炉を使って、この剣を鍛えろということらしい。
剣の鍛え方については、以前にサーパンツホールドの鍛冶屋から教授してもらっているので、おおよそ分かっているし、必要な道具は全て揃っているようなので、ただちに開始することにした。 









刃を炉にくべて、ふいごで焚きつけて熱し、刀身が赤白くなったらハンマーで打ち付ける。







その後、水を満たした水槽に剣を浸して冷やす。







これを何度も繰り返す。
細かな作業となるので、意外と面倒であった。





「うむ、完成だ!我ながら会心の出来だ!」


君は、自身に出来る最高の仕事をしたと感じた。
しかし、剣は軽く感じられなかった。
それは重すぎて、武器としては扱いづらすぎた。




「しかし…これって、本当に強力な力を秘めた剣なのか…?どうも、そんな威力を秘めてるようには見えないんだがなぁ…」












「エレシアン、この剣、やっぱ駄目だぞ。目一杯鍛えてみたけど、重すぎて使い物にならん」


 エレシアン

君がエレシアンにブラックソードのディレンマを話すと、彼は頷いた。
「そうだ、その剣を戦いで振るっても、いかに無様なものとなるか、私には分かる。しかし、魔法の力を柄に縛り付ければ、その扱いにくい性質を相殺できるようになるかもしれない」




「魔法の力って…具体的には、どうすればいいんだよ?」


 アルカディオン

この会話の折、小さな宝珠が輝いた。
「私は現在の形状でも、力を完全に安定して発揮しております。ですが、本当のことを申し上げると、この剣を用いることによって、私の劇的な力を、一層あなたに提供できるでしょう」
悪魔は、この考察を興奮して述べた。
いささか、興奮しすぎなようであった。




「おまえの魔力を、この剣に結び付けると言うのか…?」


 エレシアン

エレシアンは声を落として言った。
「アルカディオンを剣の中に封じ込める前に、よく考えるんだな。彼が剣のバランスの問題を解決できるのは本当だ。だが、彼自身の問題を、同じように解決することができるかな?」




「…こいつを剣に封じ込めると、どんな問題が起こるんだ…?」


 エレシアン

君は、アルカディオンがこの問題に光を当てることができるのかと疑問に思った。
そして、あたかも君の考えを読み取ったかのように、エレシアンが言った。
「悪魔に気を付けろ。彼の目的は、君や私ではない。彼が君の助けを申し出たならば、それは彼自身のためだ。君は分かっているだろうがな」




「……」


 エレシアン

「これは君の選択だ。どうやら、君はその剣を使えるようになる必要があるようだ。だが、君の頼みの綱が、その悪魔だけだとしたら、不憫なものだ。アルカディオンを剣の中に縛り付けるのならば、君もそれを持ち続けなくてはならなくなるだろう。これ以上は言うまい」




「…随分、脅しをかけてくれるな…」


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