Ultima 7 プレイ記録 32 再び砂漠の町へ

久々に本島に戻って来た。
まずは、コーブの町の慈悲の神殿にいるナスターシャに会いに行く。
彼女の父ジュリアスについての話を、ユーの森でインプから聞いたので、そのことを教えてあげるのだ。









「ナスターシャ!」


 ナスターシャ

「また、お会いしましたね、アバタール!」




「ああ、君の父さんのことが分かったんだ。随分遅くなってしまったが、決して忘れていたわけじゃないぞ」


 ナスターシャ

君はナスターシャに、トレレックから聞いた事を話した。
彼女が目を閉じると、肩から重荷が降りたように見えた。
女は腕を空に掲げ、声を放った。
「母さん、聞きましたか?父さんは、家族のことだけを考えていました!父さんは…英雄として死にました!放浪者ではありませんでした!聞きましたか?これで、あなたの苦悶する魂も、安らげるでしょう。どうか、母さん、父さんを許してあげてください。そうすれば、私もあなたを許します」
彼女は涙を拭って、君を見つめた。




「(インプの話がウソだったらどうしよう…)」


 ナスターシャ

彼女は、君に軽くキスをした。
「ありがとうございます、アバタール。あなたのおかげで、私はとても幸せです。旅に疲れたら、ここに戻って来てください。私はここで、あなたを待っています。ここで、私と一緒に暮らしましょう。さあ、行ってください。そして、あなたが成さねばならないことを終わらせてください。でも、私のことを忘れないでください」




「一緒に…暮らす…!」


 ナスターシャ

「さようなら」
彼女は君にまたキスをし、君が去るのを見ないように後ろを向いた。




「だが、旅が終わったら、俺は…」


こうして、アバタールコーブの町で、運命の恋人を見つけた。
この旅の終わり、アバタールに幸せは訪れるのであろうか…。











ついでに、コーブの付近にある洞窟に入ってみる。
ここには大勢のサイクロプスが棲息していることから、どうやら彼らの住居のようである。
会話は通じないので、中ではサイクロプス達と戦うことになった。








洞窟の奥では、いくつかの宝が見つかる。
毎度のことながら、巨人族の洞窟というのもは西洋RPGでは略奪ステージとなっているようだ。














続いて、ベスパーの町へ向かう。
以前に立ち寄った時は、いきり立ったガーゴイルに襲われて町を脱出したため、あまり町の人と話せなかったからだ。
今度は彼らとは話さないように注意し、まずは町の付近の鉱山に入ってみた。








「ここは、ブリタニアン・マイニング・カンパニーの支部所があるんだっけ…」




 ケイダー

真面目な風貌の、肩幅の広い男だ。




「お、さっそく鉱夫発見」


 ケイダー

男は君と握手した。
「私はケイダーです。あなたのお名前は?」




「アバ…(っと、前にベスパーのガーゴイル達に名乗って、襲われたんだっけ…)」


 ケイダー

「お知り合いになれて嬉しい、アバさん。私はブリタニアン・マイニング・カンパニーのベスパー支部所の監督です。様々な鉱石を採掘しています」




「監督さんだったのか。あんた、もしかして…フェローシップのメンバーか?」


 ケイダー

「素晴らしい組織ですよ。慈善事業や、パレードのような特別なイベントなど、数多くの事を行っています」
彼は自身のメダリオンを指差した。

「ご覧の通り、私もメンバーです。私は内なる3つの力を、心から信じております。実際、2人のフェローシップの高官が、ここへやってきました。彼らは、支部所を開設する前に、この町の経済状況を確認しておくことが重要だと話していました。この意味がお分かりですか?」

彼は誇らしげに微笑んだ。
「彼らは、このベスパーにフェローシップの支部所を建設しようとしているのです」




「2人の高官…それは、エリザベスとエイブラハムのことか?」


 ケイダー

「彼らは、ほんの僅かしか、ここに滞在しませんでした。彼らが今どこにいるのかは、私には分かりません」




「この鉱山を直接見て行ったのか…。ここには、他に従業員がいるのか?」


 ケイダー

「マラと、ラプ・レムというガーゴイルと一緒に働いています。マラは素晴らしい働き手です。私が一緒に鉱山で働いた、どんな男よりも凄い」




「ガーゴイルの方は?」


 ケイダー

「ええ、ガーゴイルにしては、彼はあまり怠け者ではありません。彼は、辞めてしまったアンマニヴァスというガーゴイルよりも良く働きます。ですが、我々に人手が足りていれば、彼は解雇したいと思いますよ」




「(前にベスパーの酒場で襲ってきた奴等のことか…。やはり、彼らは不当解雇された可能性が高いな)」




「ありがとう、その2人にも会ってみよう」


 ケイダー

「楽しかったですよ、アバタール」




「ここは、ミノックの鉱山ほどは大きくないみたいだな…。こっちにいるのが、もう1人の従業員かな」


 マラ

筋骨隆々とした女性が、君の存在に気付いて頭を動かした。

彼女は君の手を握り、力いっぱい振った。
「こんにちは、あたしの名前はマラ」

彼女は誇らしげに筋肉を見せつけた。
「ベスパーの鉱夫さ」




「やあ、ベスパーの町は、最近どんな感じだい?前に行った時は、ちょっと危ない目に遭ったんだ」


 マラ

「昔は楽しい町だった」
彼女は周囲を見回し、誰かが近くにいないか確認した。

「ガーゴイル共が、こんなに手に負えなくなるまではね。今は、ガーゴイル達が、いつ私達を殺しに来るか、警戒して過さなくちゃならないのさ」
彼女は肩をすくめた。

「危険だと言う他ないね。奴らがいなければ、この町はもっと良くなるのに」




「(やはり、この町の人間とガーゴイルの対立は、避けられないのかもしれないな…)」


 マラ

「ケイダーも、あたしと同じことを思ってるし、彼の妻もそうだと思う。市長が、奴らに関する心配事を話していたと聞いたこともある。彼の書記のリアナのことは、良く知らないけどね」




「あの市長が、上手く町をまとめられないのが良くないんだよな」


 マラ

「彼のことは好きだけど、本当にベスパーの治安を守っているのはリアナだと思うね。
リアナには何回かしか会ったことがないから、彼女について言える程のことは知らないけど、何かに対して怒ってるみたいだ。だから、いつも機嫌が悪いのさ」




「(もう1人の従業員のガーゴイルにも会ってみるか…)」


 マラ

マラは君と握手し、君の背中を叩いて言った。
「友よ、元気でな」




「ガーゴイルは…あそこにいる奴かな…?」


 


 ラプ・レム

ガーゴイルが微笑みかけ、挨拶した。
「ラプ・レムという名だ。岩のような者という意味だ」




「やあ、あんたは、ここの鉱夫らしいな」


 ラプ・レム

「我が種族の中では、今はこの町で唯一の鉱夫だ。他の鉱山では、多くのガーゴイルが働いているが、ベスパーの鉱山は、今は人間だけだ」




「ああ、そうみたいだな。ベスパーの町の人種差別は根深いと思うよ」


 ラプ・レム

「ガーゴイルが人間と暮らしているのは、こことブリテインの一部だけだ。ここでは衝突が起こる」
彼は溜息をついた。

「暮らすには、ターフィンの方が良かったのかもしれないと思う」




「ターフィンに住んでいるガーゴイルも、同じ事を言っていたぞ」


 ラプ・レム

「人間は、我々に対する敵意を増してきている。悲しいことに、ガーゴイルもまた同様の感情を持ち始めている。暴動が起こらないことを願う」




「あんたは、ここの仕事を辞めないのか?こんな環境じゃツライだろう」


 ラプ・レム

「他にも、アンマニヴァスという鉱夫がいたが、人種差別が原因で去った。兄弟のフォラナモと一緒に、毎日酒場に入り浸っている。アンマニヴァスと兄弟のことは残念に思うが、俺には仕事が必要だ」
彼は肩をすくめた。

「憎しみは我慢する」




「そうか…頑張るんだぞ。だが、無理はするな」


炭鉱には特に何も無かったので、そのままベスパーの町に向かった。











「以前にガーゴイルに襲われた時のほとぼりは冷めたようだな…。今度は慎重に行こう…」


 


 キャサリン

のんきな顔をした小さな子供だ。
彼女は君に気付くと、目を大きくして叫んだ。
「あなたは…絵本で見た人だわ!アバタールね!」




「いかにも。よく勉強しているな、お嬢ちゃん」


 キャサリン

「キャサリンよ、アバタール。パパとママとベスパーで暮らしてるの」 




「パパとママはどこかな?」


 キャサリン

「パパは鉱山の監督なのよ、アバタール」




「おお、さっき会ったケイダーか!」


 キャサリン

「ママはここにいるわ」
彼女は自分の指で指し示した。


 イベラ

落ち着いて品のある女性が、心配そうな表情をしている。
「こんにちは、アバタール。私はイベラです」
彼女は会釈した。




「やあ、どうも。怪しい者ではないぞ。さっき、旦那さんにも鉱山で会ってきたんだ」


 イベラ

「ケイダーは私の夫よ。彼はブリタニアン・マイニング・カンパニーのベスパー支部の監督をしております。彼はいつも、この時間は酒場にいます。彼には、毎晩あそこに行ってほしくありません…あの女と一緒に!」




「あの女?」


 イベラ

「マラという名前の、鉱夫仲間の女よ。とても素敵で美しいの。夫が、ずっと彼女と一緒に過すのは嫌だわ」




「まあ、仕事仲間だからな…。そんなに、やましいものじゃないと思うが…」




「…ところで、この町は、相変わらず殺伐としているのか?」


 イベラ

「ええ、愛しい町だと思うわ…あいつら…ガーゴイルがいなければ。彼らは吐き気を催す生き物よ。オーストンは、彼らを町から追い出すべきだと思うわ」




「オーストン市長か…」


 イベラ

「エルドロスが推薦したから、私達は彼を選んだの。でも、ここだけの話、オーストンが仕事を迅速に対処しないのであれば、別の人を市長にするべきだと思うわ。実際のところ、アバタール、あなたが立候補した方が良いわ。どう思います?立候補してくださるかしら?」




「いや、そういうワケにはいかんだろ」


 イベラ

「それは残念だわ。あなたは執政官には最適だと思ったのに」




「それにしても、ガーゴイルとは、もうちょっと上手くやれないものなのか?」


 イベラ

「最高に浅ましいケダモノよ。オアシスの向こう側に住んでいてくれて良かったわ。ケイダーが、どうやって彼らと仕事をしているか知らないけど、まだそこで仕事をしているガーゴイルが、1人だけいるわ」

「はい、これ」
彼女はローブをごそごそとした。
そして、紙切れを取り出し、それを君に手渡した。




「『ブリタニアを綺麗にしよう −−− ガーゴイルを送り返せ! ブリタニア清浄連盟』…またこの紙か…」


 イベラ

「娘のことが心配だわ。毎日お昼に、何時間かいなくなるの。あの子は、ガーゴイルが友好的で誉れ高いなんていう、バカな考えを持ってるから、オアシスの向こう側に行ってるんじゃないかって心配してるの。ああ、そんなこと考えたくもないわ」




「…そうなのかい、お嬢ちゃん?」


 キャサリン

「ごめんなさい、アバタール。ママから、知らない人とお話するなって言われてるの」
彼女はそそくさと行ってしまった。




「ふーむ…こいつは何かあるな…」










酒場の近くに行くと、フラフラと歩いている怪しい男がいたので、話しかけて名前を尋ねてみた。





 ブローン

その男は、君を見ると目を細めた。
「ブローンだ。聞かなくちゃならない事なのかい」




「ブローン!!」


以前に聞いた話では、このブローンは、問題事ばかり起こすということで、町中から嫌われている男らしい。
ただ、彼は非常にガーゴイルを嫌っているため、一部の反ガーゴイル主義者からは、その点だけは褒められていた。





「話に聞いたんだが、あんた、ガーゴイルと何かあったのか…?」


 ブローン

彼の喉が唸った。
「ガーゴイルのクソッたれが何だって!?おまえはガーゴイル愛好家じゃねえよな?」




「いや、愛好家ってわけじゃないが…俺は中立だ」


 ブローン

「よし」
咄嗟に彼の顔に閃きが表れた。

「そうだ、俺を助けてくれねえか。あんたが知ってるかは分からねえが、俺はちょっと前に、冷酷なガーゴイルの標的にされちまったんだ。奴は俺の命を奪おうとした!アバタール、もしあんたが俺の復讐を手伝ってくれるなら、この上ない名誉だよ。どうだい?」




「ガーゴイルに殺されかけたのか?何故だ?誰にだ?」


 ブローン

「忠告しとくぜ。奴はとても乱暴なガーゴイルだ。名前はラプ・レム、"人間殺し"という意味だ。俺の名前は出さないでくれ。奴は俺のことを誰よりも嫌っているから、あんたが俺の名前を言ったら、すぐに襲ってくるだろう」




「ラプ・レムって…確か、鉱山で働いていたガーゴイルじゃないか…。あいつが、人を襲うような奴には見えなかったがな…」


 ブローン

「そうか、だが、そのうち機会はやってくるぜ。奴は、再び俺を襲おうとするはずだ」




「分かった、とりあえず、彼と会ってこよう」


 ブローン

彼は少し頷き、ブツブツ言って、自分の仕事に戻った。 



そんなわけで、ラプ・レムの家に行った。
もう夜なので、彼は仕事から戻って来ていた。



 


 ラプ・レム

「人間よ、また会えて嬉しい」
ラプ・レムが微笑んだ。




「さっき、ブローンという男に会ってきた。彼は、あんたに殺されかけたと言っていたが…どういうことなんだ?」


 ラプ・レム

「あの出来事を知っているのか?殴ったことは、とても申し訳なく思う。だが、私の物を守るためだった」
彼は恥じているかのように頭を下げた。




「物を守る…?」


 ラプ・レム

「愛着のあるアミュレットを持っていた。あの人間に盗まれた」
彼はうつむいて足元を見た。

「取り戻したい」 




「なるほどな…」



再びブローンに会いに行く。





「おい、ブローン」


 ブローン

「あのケダモノを殺してくれたかい?」




「話は聞いたぞ。おまえが彼の物を盗んだから殴られたんじゃないか。自業自得だ。さっさと盗んだ物を返せ!」


 ブローン

彼は少しの間、君を睨みつけ、肩をすくめて呟いた。
「こいつは、奴が正直に稼いで手に入れた物じゃねえんだ…。ほらよ!こいつが奴の首を絞めてほしいもんだぜ!」

彼はアミュレットを君の手に押し付けた。
「でもって、おまえも奴に首を絞められちまいな!」




「まったく…性根の腐った奴だ」



無事にアミュレットを取り戻したので、ラプ・レムに返しに行った。


 ラプ・レム

「アミュレットを取り返してくれたのか?」




「ああ、こいつだろ」


 ラプ・レム

君が宝石を返すと、彼はにっこりと笑った。
「人間よ、ありがとう!あなたの種族の模範だ!」




「これで、少しは種族間の対立が収まってくれるといいんだがな…」









なお、このベスパーでは、もう1つガーゴイル関連のイベントがある。
実は、鉱山監督ケイダーの娘キャサリンは、昼間に両親に内緒でガーゴイルに会っているのだ。


 




「やあ、ちょっと、お邪魔しますよ」


 フォー・レム

とても巨大で力強い、羽無しのガーゴイルだ。
「フォー・レムだ。『強き者』という意味だ」




「ん…?部屋の奥に人間の子供がいる…この子は…キャサリンじゃないか!」


 フォー・レム

たちまち、困惑の表情が彼の顔に表れた。
「人間の女の子、キャサリンのことか?彼女を傷つけるつもりはない」

彼は腕を差し出した。
「日中の間だけ、彼女にガーゴイルの神話を読み聞かせてあげている。彼女から頼まれているのだ!」




「ガーゴイルの神話?」


 フォー・レム

「我らの種族に関する、沢山の面白い物語を、未来の世代に書き残している。
アバタールが我々の種と出会う以前の、多くの面白い神話を知っている。人間達の英雄という概念は知ったが、我々の歴史の中にも、また別の英雄がいるのだ」




「へえ…なかなか面白そうだな」


 フォー・レム

「ガーゴイルの若者の未来を危惧している。彼らは自分達の伝統について、ほとんど知らない。彼らを見て育つ者が我々の歴史や伝統を歩んで行くように、彼らを教育することは大切だと感じる」




「その話を、キャサリンにも話してあげてるってわけか…」


 フォー・レム

彼は目を見開いた。
「彼女の両親には言わないでほしい。彼女が罰せられる」
彼は希望しているようだ。




「たしかに…この子の両親は、強烈な反ガーゴイル主義者だ。この事を知ったら、あんたや彼女に何をするか分からないな…。分かった、黙っておこう」


 フォー・レム

「ありがとう、人間よ」
彼は微笑んだ。



と、ここで約束をして、この事をキャサリンの母イベラに話さなければ、何事も起こらない。
しかし、真相を話してしまうと…





「…というワケなんですよ、奥さん」


 イベラ

君が彼女に話すと、彼女はこう答えた。
「分かりました!あの子には、あの卑劣な生き物に関する教育が必要ね!」
彼女は首を振った。

「この事を、パパに話すまで待っててちょうだい!彼とマラなら、この問題を解決してくれるわ!」




「やはりアバタールたる者、常に真実を話さないといけないな。うん、いい事した」


しかし、その後に、イベラから話を聞いたケイダーとマラが、怒り狂ってフォー・レムを殺してしまう。
その時のシーンは、イベントでは見ることができないが、後日にベスパーを訪れると、フォー・レムが殺された旨をキャサリンが話すのだ。
アバタールの軽率な一言で、善良なガーゴイルが殺されてしまうという、悲しい事態となってしまうのである。
もちろん、この出来事はセーブ・ロードして試しました。
この町の種族間対立は、シナリオ中に収束させることは、どうやら不可能なようです。



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