Ultima 7 プレイ記録 27 最も賢き男

一通り、ムーングロウの町の人とも会話をしたので、次は町外れにあるピナンブラの家に行ってみた。
ピナンブラは、ウルティマ6の時代にムーングロウに住んでいた、元ジプシーの魔術師である。
怪しげな館に閉じ篭り、何かと金をぼったくられたりもしたが、予言の力は確かであった。
200年前に、自らに魔法をかけて眠りについてしまったらしく、目覚めさせることができるのは本物のアバタールだけだと、ライキュームの館長が言っていた。





「ここがピナンブラの家か…。看板に何か書いてあるぞ…。なになに…『Hammer here to enter(入るためにはハンマーをここに)』」








「…この看板の通りにすれば、扉が開くということかな?とりあえず、ジュリアが持っていたハンマーでも置いてみるか」


  




「看板の文字が変わった…。次は、『Pick item carefully to keep going(入るためには注意してアイテムを摘め)』だと…?」




「??ハンマーを掴み取ったけど、何も起こらないぞ…」


これは、いわゆるナゾナゾなのであった。
このPickというのは、鍵開けアイテムの『ロックピック』のことを指しており、これを先ほどのハンマーと同様に置くことを指し示している。

そして、手持ちのロックピックを1つ置くと、またしても文字が変わり、次は「A glowing ring of truth lies before thee(輝く真実の指輪が汝の前にある)」 → 「Grasp not at threads(糸を掴んではならぬ)」 → 「The royal mint shall not hold thee back(汝は王立造幣局にも止められぬ)」と変わっていく。
同じようにナゾナゾを解いて該当アイテムを置いていくのだが、これがまた難しい。

まず、「輝く真実の指輪」というのは、真実の原理を象徴するライキュームにある指輪のことで、館内を隈なく探すと、司書ゼルダの机に金の指輪が見つかる。






次に、「糸を掴んではならぬ」というのは、糸に触らないですむアイテムのこと。
つまり、糸巻きのことである。
これは、町の仕立て屋にある糸車を使って糸を紡ぐと手に入る。






最後の「王立造幣局」というのは、すなわち貨幣のことで、そのまま手持ちのゴールドや金塊を置けばよいみたいだ。
これら全てのナゾナゾを解いてアイテムを置くと、扉を開く鍵が現れる。




ただでさえ、ルーン文字を解読するのが大変だというのに、この難解なナゾナゾの数々。
もちろん、考えても分からなかったので攻略情報を調べましたよ…。





「そこで寝てるのが、ピナンブラか…?全く目を覚ます気配がないぞ…」







「おーい!起きろって!…魔法で眠ってるから、普通に話しかけても起きないのか…?ならば、An-Zu(目覚め)!」







「よし、目覚めたな!」


 ピナンブラ

200年間眠っていた魔術師は、君が最後にブリタニアに訪れた時と、まさに同じようであった。
「アバタール!あなただなんて信じられないわ!あなたが、私を目覚めさせてくれたのね!あなたなら、やってくれるだろうと思っていたわ!」




「まったく、人騒がせな奴だよ」


 ピナンブラ
突然、ピナンブラは苦しそうに頭を抱えた。
「ああ!」

彼女は叫んだ。
「頭が!痛い!何が起こっているの?あなた、私に何をしたの?」




「なに!?お…俺の魔法にケチをつけるのか…!?」


 ピナンブラ

彼女は目を閉じて集中した。
「エーテルを掻き乱すものがある!私の魔力が弱まっていくのを感じる!助けて、アバタール!助けて!」




「た…助けてったって…エーテルって何だ!?どうすればいいんだ!?」


 ピナンブラ

「エーテルは、この世界の全ての魔力をコントロールしているわ。エーテルの中に妨害物があると、あらゆる魔術師は呪文を唱えられなくなるの。そして長い時間が経つと、魔術師は正気を失ってしまうわ!この歪んだエーテルの波動から、私を守る方法を探してきて!そういう物質があるはずよ!」
ピナンブラは、こめかみを掴んだ。
彼女は凄まじい苦痛に襲われているようだ。




「そ…そう言われてもなぁ…」


 ピナンブラ

「波動を通さない物質を知ってる?」




「鉄の塊で、周りを囲むとかじゃダメか…?」


 ピナンブラ

「違う、それじゃダメだと思うわ。ああ、もう考えられない、もの凄い苦痛が!」




「そうだ!コーブでルディオムから聞いた、ブラックロックはどうだ?この魔法の変異の解決の糸口かもしれないって言ってたぞ」


 ピナンブラ

「そう!それが必要よ!お願い…いくつかブラックロックの破片を見つけてきて、私の部屋に置いてくれない?4つ必要よ!どうか、お願い!」




「ブラックロックなら、ルディオムの研究所から、いくつか持って来ているぞ」


 ピナンブラ

「ブラックロックを持って来てくれたのね!もう、そんなに長く持たないわ!急いで!私の部屋の北、南、東、そして西の隅にある台座の上に、破片を置いて!私はここで待っているわ!」




「部屋の隅の台座の上…こうでいいのか…?」







「お、なんだか顔色が良くなったな」


 ピナンブラ

「ブラックロックの効果があったみたい!もう苦痛のエーテルは感じないわ!」




「この台座で囲まれた中なら安全みたいだな」


 ピナンブラ

「気分が良くなったわ。歪んだエーテルの波動が、私の精神に当たらなくなったみたい。でも、これを引き起こしてる物を、破壊しなくてはならないわね!」

ピナンブラは、しばらく考えた。
「歪んだエーテルの波動が、とても近くから来ているのを感じる。この大混乱を発生させている何かが、この島のダンジョンにあるんじゃないかと思うわ。デシートのダンジョンへ行ってみて。目的は、そこにありそうな予感を強く感じるわ」




「デシートのダンジョン…そんな所に何が…」


 ピナンブラ

彼女はしばらく目を閉じた。
「私の心の目には、巨大な四面体の形をした物が見える。それが何なのか、理解しなくてはいけないわ」




「四面体(テトラへドロン)?」


 ピナンブラ

「そう、私の心の目で見えたのは、そんな形をしていたわ。エーテルの流れを歪める、何らかの魔法の発生装置のようなものだと思うわ」

ピナンブラは、しばらく考えた。
「この発生装置は、危険なエーテル波動を作り出しているわ。あなたは、発生装置の防備を打ち壊すために、エセリアル・リングを見つけて、身につけなくてはならない。この指輪は、今どこに…?」




「ダンジョンの奥に、エーテルを歪める装置か…」


 ピナンブラ

ピナンブラは何冊か本を調べ、それらと地図とを参照した。
「エセリアル・リングを最後に持っていたのは、ガーゴイルの王ドラクシヌソムだと思うわ。指輪を見つけたら、私の所へ持って来てちょうだい。それがあなたに作用するように、私が魔法をかけなくてはならないわ」




「ドラクシヌソムだって?」


 ピナンブラ

「ターフィンの島で、彼を探すのよ。彼に指輪のことを尋ねてみて」




「なんだ、ちょうど、この後はターフィンに行こうと思ってたところだ。ついでに、そのリングも借りて来よう。奴とは友達だったから、俺の頼みなら、きっと聞いてくれるだろう」


 ピナンブラ

「気をつけてね、アバタール!幸運をあなたに!」


復活したピナンブラの話から、全世界を覆う魔法の障害の原因の手がかりが分かった。
この後は、彼女の言うべくターフィンへと向かう。
ちょうど、エリザベスとエイブラハムの2人もターフィンに向かったと聞いたので、都合がよい。











こうして、ムーングロウを出航した。
しばらく西に進んだところで、周囲が真っ暗になってしまったので、途中で見つけた島に立ち寄り野宿をする。
ここは、ニューマジンシアの島であった。











「ニューマジンシアか…。このままターフィンに向かって出発してもいいんだが、ここにも何か用があったような気がするんだよな…」




「とりあえず、酒場で朝食にするか…」







「おい、オヤジ、何か食べ物を頼む」


 ボリス

姿勢の悪い男が横目で、嬉しそうに笑っている。
「おお、デュプレじゃないか!そうだろ、サー・デュプレだろ?」


 デュプレ

「そうだ、ボリス」


 ボリス

「ふーむ、あんた、ここにまだツケが溜まっているぜ。違うか?」


 デュプレ

「ええ!?俺が?」


 ボリス

「そうだよ!えーと…確か、総額で74ゴールドだ。あんたや、あんたと一緒にいる人と話す前に、それを支払ってくれ」


 デュプレ

デュプレは恥ずかしそうに君を振り返った。
「友よ、俺を助けちゃくれないか?」




「な…なんだと!?何で俺が…」


 ボリス

「ツケを払ってくれるまで、あんたには何も出さないし、話もしないぞ!」




「くっ…!この守銭奴め…!ほら、これでいいんだろ!」


 デュプレ

「ありがとう、アバタール」


 ボリス

君はボリスにゴールドを手渡した。
「毎度ありがとう、サー・デュプレ!そして、うちの酒場へようこそ!
ボリスと呼んでくれ。ここニュー・マジンシアで『モデスト・ダムセル』を経営している。小さな宿屋兼酒場さ。俺がオーナーで、妻のマジェンタと一緒にやっている。何か食べ物か飲み物が欲しいかい?それとも、部屋かい?」




「とりあえず、何か食べ物を出してもらってる間に、町について、色々と話を聞かせてくれよ」


 ボリス

「全ブリタニア中で、これほど変化が起こっていない場所は見つからないぜ。人々でさえも、昔と同じに見える」 




「相変わらずの田舎町ってことか」


 ボリス

「ここには商人と労働者とがいる。また、新参者もいるな」




「新参者?」


 ボリス

「この島で比較的新しい者は、賢者のアラグナーだけだ」




「アラグナー!そうだ、ユーの森で出会ったウィスプに、アラグナーのノートを持って来るように言われてたんだ!」


 ボリス

「アラグナーは、もちろんニューマジンシアの出身じゃない。世界中で勉強をした後に、ここに落ち着いたんだ。彼は、俺達の平和と辺鄙さの価値をよく知っているからさ」




「そうか。じゃあ、食事が済んだら、彼に会いに行ってみるか」


 ボリス

「よい旅を!」












「ん…?あそこにいる女は…!」





 カテリーナ

君の昔の仲間カテリーナだ。
君が最後に見た時よりも、ほんの少しだけ年を取ったように見える。




「カテリーナじゃないか!」


 カテリーナ

「ええ」
彼女は君に瞬きした。
「長い時間は経っているけど、あなたは私のことを忘れていないはずよ。私はカテリーナ、あなたの古くからの仲間よ」
君達は、この再会を笑いあった。




「まだこの町に住んでいたとはな〜」


 カテリーナ

「ええ、あなたの冒険に最後にご一緒した後、私はニューマジンシアで平穏な生活に落ち着いて、羊飼いをしていたの。必要だったら、また、あなたのパーティーに加わるわ」




「それにしても、カテリーナも少し老けたな。まあ、シャミノほどじゃないが」


 カテリーナ

「シャミノ、あなたの髪、白髪が見えるわよ」


 シャミノ

「なんだって!どこに!?」


 カテリーナ

「多分、光の加減だったわ」




「ははは、あまり苛めないでやってくれよ。ニューマジンシアはどうだ?見たところ平和そうだが」


 カテリーナ

「ここは隔絶されてるの。外の世界からは何の情報も入ってこないわ。あなたが200年前にブリタニアに来た時と、生活は全く同じよ。それが、ここで私達が望んだ道
よ。今、ここには3人の外来者がいるわ…あなたを除いてね。もちろん、あなたは余所者とは呼ばれないと思うわ。ここには年中、多くの来訪者が訪れるからね。でも、心配しないでアバタール、私は孤独だなんて感じていないわ」




「俺たちの他にも、旅人がいるってことか?」


 カテリーナ

「3人の外来者はバッカニアーズデンから来たの。彼らが来てからすぐに、私は少しだけお話をしたわ。ロビンはギャンブラーのような服装の男で、他の2人、バトルスとレーベルは、ゴロツキのようだったわ」




「ふーん…。ああ、そうだ、カテリーナは、アラグナーという男を知っているか?」


 カテリーナ

「彼は色々な事を知ってるし、素敵な物語を話してくれる、賢い人よ。アラグナーは、外の世界から隠居するためにここに来たの。何でかは知らないわ」




「ウィスプは彼のことを”ブリタニアで最も賢い男”だって、言っていたが…カテリーナと知り合いなら悪い奴ではなさそうだな。じゃあ、カテリーナ、また一緒に来るか?」


 カテリーナ

「あなたに付いて行くわ、アバタール!」


ということで、ここでカテリーナを仲間に加え、代わりにジュリアをパーティーから外した。



カテリーナは、往年を思い起こさせるような貧弱なステータスで、おそらく多少鍛えたところで、実用的な戦闘力とはならないだろう。
衣装がやけにセクシーなのは、何故であろうか…。





「ここが、アラグナーの家だな…」







「お邪魔します…」


 アラグナー

狡猾で博識そうな雰囲気を持った大男だ。
賢者は微笑み頷いた。
「アラグナーと申します。あなたは、どなたです?」




「俺はアバタールだ。あんたに用があって来た」


 アラグナー

アラグナーは目を見開いた。
「あなたのことは知ってます、実に名誉なことです!私に何のご用でしょうか?」




「まず、あんたは非常に博識だと聞いたが、ここで何をしているんだ?」

 アラグナー

「私の職業は…いや、私の運命は…あらゆる物事を学ぶことです。私は研究所を建てるためにニューマジンシアへやってきました。
ここは私の研究所です。ここで書物や書類を精読しています。時には発明もしています。この水晶玉のような物をね」




「そこのテーブルに置いてある水晶玉か…。これが何だって言うんだ?」


 アラグナー

「これは記憶装置です。研究の進展や段階を忘れた時に、この水晶玉を覗くと、先日の出来事を見ることができるのです。どうぞ、ご自由にお使いください。私が先日やっていた事を見ることができますよ」




「ふーん…凄い物を発明するな…」


 アラグナー

賢者は溜息をついた。
「私はブリタニアの本大陸を去り、比較的平和で静かなニューマジンシアへやって来ました。ここには満足しています…ブリタニアで進行している汚染と崩壊から、隔絶されているからです。そのことが分かっている者は、多くはありません」




「あんたは、ブリタニアが崩壊していると思っているのか?」


 アラグナー

「ブリタニアの人々は、軽率で怠惰になってきています。彼らは真実の知識を探し求めず、国土に敬意を払わず、お互いにも敬意を払いません。国の資源も浪費され、鉱夫達は危険な試薬で実験をしています。国土には悪しきものがいるのです。しかし、私には、それが人々だとは思いません」




「…じゃあ、何だと言うんだ?」


 アラグナー

「あなたはフェローシップのメンバーのようですね。あなたは、彼らについて全てを知らないはずです。知っていたら、メンバーになどならないはずですから!」




「……」


 アラグナー

「彼らは狡猾で二面性があります。私は、その証拠を掴むために調べています。そして、その情報をノートに記しています」




「分かった。あんたは、確かに物事の本質を見抜いているようだ。では、正直に話そう。俺がフェローシップに加入したことにはワケがあるんだ。つまり…」


 アラグナー

「…あなたは、フェローシップのやり方を調べるために加入したと言うのですか?あなたも、彼らに疑念があると言うのですか?あなたは、私が考えていたよりも課題がおありのようです。我々は同じ目的に向かって動いているのですね」




「うむ、そういうことなんだ。フェローシップや、殺人事件のことを色々と調べてい旅をしているんだ。で、前にユーの森に行った時に、ウィスプと出会ったんだが…」


 アラグナー

「彼らは、異次元の超然とした生物です。あなたは、彼らのことを友達だと思うかもしれませんが、彼らは何者かのために、あなたの諜報しているのです!彼らは善悪の感情を持っていません。彼らが気にかけていることは、情報を習得することのみです。彼らが情報を習得するための手段は、時として恐ろしかったり、そうでなかったりします」




「…そのウィスプから、あんたのノートを借りてきてほしいと言われているんだ」


 アラグナー

君はアラグナーに、彼のノートを借りたいと話した。
「あなたは気高い探求をしておられる。ちゃんと返してくれるという言葉をいただけるのであれば、そして、世界の真実の知識を学ぶ熱意の証を立てていただけるのであれば、それをお貸ししようと思います」




「ああ、もちろん返すつもりだが…熱意の証ってのは何だ…?」


 アラグナー

「よろしい。あなたは、『生と死』についての答えを知っていますか?」




「へ?さ…さあ…」


 アラグナー

「そう、もちろん、知らないはずです。その生を終えた魂のみが、この事を知っています。『苦悶する者』の魂を探すのです。そして彼に、生と死の質問の答えを尋ねるのです。あなたが正しき答えを持ち帰った時、あなたは正真正銘に知識のための探求をしていると信じましょう。そして、その時、あなたにノートをお貸しします」




「ちょ…ちょっと待ってくれよ!何のことだか分からないぞ!『苦悶する者』って何だよ?」


 アラグナー

「嗚呼、彼は哀れなる魂です。永遠に、その居所に付き纏う呪われた運命なのです。スカラブレイで彼を探すのです。しかし、気を付けなさい、そこは危険な地です。その島にいる者と話すには、交霊の呪文を使わなくてはならないことを助言いたします。彼らは皆、不死者なのです」




「スカラブレイ…。今は廃墟となったという、スカラブレイの町か…」


ニューマジンシアの賢者アラグナーは、フェローシップについて調べたことを、ノートに書き綴っているらしい。
ウィスプは、そのノートに記された情報と引き換えに、タイムロードの情報を教えてくれると言っていた。

とりあえず、スカラブレイに行かないと何ともならなそうなので、この町のイベントは後回しにして、先にターフィンのドラクシヌソムに会いに行くことにした。



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