Ultima 7 プレイ記録 24 種族の垣根

ついにフェローシップに加入したアバタールは、次なるは、幹部のエリザベスとエイブラハムの行方を追って、大陸の東に位置するベスパーの町へと向かった。
道中でミノックの町に立ち寄り、ジェイカーの元でトレーニングを受け、パーティーのSTRとINTを上昇させておく。
最近仲間に加えたセントリが無料でトレーニングをしてくれるものの、彼のトレーニングではDEXとコンバットしか上昇しないため、STRとINTが上昇するミノックのジェイカーの元でトレーニングを受けたかったのだ。

  






ミノックの湿地帯から東はドライランドと呼ばれる砂漠である。
ここには、かつての献身の神殿と思わしき遺跡があったが、今はすっかりと荒れ果ててしまっている。
もはや、ここに訪れる者はいないようだ…。














そして、砂漠を南下して行くと、砂の中にベスパーの町が見えた。
ちなみに、このベスパーはウルティマ4の時代に存在していた由緒正しき町であるが、何故かウルティマ5,6の時代には町が無くなっており、ここで久々に登場となった町だ。









「着いた!ここがベスパーだな。ここに来たのはアバタールの修行をしていた頃だった…懐かしいものだ」




「とりあえず、市長に会いに行ってみるか。この大きな建物が庁舎かな…?」


 




「お、それっぽい人がいるぞ。やあ、こんにちは。ここの市長さんかい?」


 オーストン

額に皺が寄った、中年の男だ。
いつも困っているかのように見える。
「オーストンとお呼びください」

彼は答える前に溜息をついた。
「私はベスパーの市長です」




「あんたが知ってるかは分からないが、エリザベスとエイブラハムという者が、この町に来なかったか?」


 オーストン

「彼らはフェローシップのメンバーです。ベスパーでの支部所の開設を見るために、ここへ来ました。我々は開設を認めることになると思います。たしか、あの2人はムーングロウへ行きました。そこの支部長に、トレーニングの指示をしに行く途中だと言っていましたね。ですが、彼らは郊外にあるブリタニアン・マイニング・カンパニーの支部所に立ち寄ったようです。何故かは分かりません」




「やれやれ…。まあ、会えないとは思ってけどな…。あのブリタニアン・マイニング・カンパニーがあるってことは、ベスパーは鉱山の町なんだな」


 オーストン

「昔は楽しい場所でしたよ。でも今は、市民とガーゴイル達の間で騒動が起こり、多くの問題が発生している」




「問題って?」


 オーストン

「ガーゴイル達が我々を攻撃してくるかもしれず、困っているのです。ブローンは助けになりません」
彼は自分の胸を指差した。
「私は、ここの治安を維持する職務にあります。治安がなくなったら私の責任なのです。私は、暴動が起こった時の対処の仕方をエルドロスに尋ね、それに従って計画を立てています」




「この町にはガーゴイルが暮らしているのか…」


 オーストン

「公的には彼らも市民ですが、私は、あなたのようには彼らを信頼しておりません。私は、いつか彼らが武力で町の支配を奪うのではないかと恐れております」




「ふーむ…なんだか穏やかじゃないな…。ブローンとかエルドロスってのは誰なんだ?」


 オーストン

「エルドロスは我々の顧問です。彼は町の住民達にアドバイスをしております。私の覚えている以上に、ずっと長い間やっていますね。彼は、冒険用品店もやっています。
ブローンに関しては、何と申し上げてよいか分かりません。彼がどんな生活をしているのか知りませんが、ガーゴイル達は彼のことを、誰よりも嫌っています。私は何かが起こるのではないかと心配しております。彼は明らかに、ガーゴイル達に対して同様の感情を持っているからです。
リアナとお話しするのがよろしいでしょう。彼女は、私の知らない何人かの住民のことも知っています。申し訳ありませんが、私は全員を知っているべきなのですが、知らないのですよ」




「リアナというのは?」


 オーストン

「彼女は私の書記です。とても有能です。彼女なしにはベスパーを治められませんよ」




「ああ、そこにいる女性か…。じゃあ、ちょっと話を聞いてみるか」


 リアナ

取り乱した表情の、背の低い女性だ。




「やあ、忙しいところ失礼。書記のリアナさんかい?」


 リアナ

彼女は仕事を休め、しばらく君を見つめて答えた。
「リアナと申します。私は市長の書記です。ベスパーの公文書や記録の整理をするのが仕事です」




「この町について、色々聞きたいんだ。市長は、あんまり教えてくれないからな」


 リアナ

「私は、この町が好きです。ですが、ここはブリテインから、とても遠いので…変わった人が、この町に惹き付けられます。
ええ、ここには2人の奇妙の住人がいます。マラとヨンギです。あと、ブローンもいます。彼は、そういった意味の人ですね。そして…そう、エルドロスもいます。あとは、」

彼女は身震いしながら言った。
「ガーゴイル達ね」




「ガーゴイルが、どうしたんだ?」


 リアナ

「ここには吐き気がするような生物がいます。彼らは、かつて呼ばれていたように、悪魔と呼んだ方がいいと思います!こんな風に…」
彼女は君に紙切れを手渡した。


 




「『ブリタニアをキレイにしよう ― ― ガーゴイルを送り返せ! ブリタニア清浄連盟』……このキャンペーンのチラシは前にも見たことがある…何となく分かってきた…」




「…ところで…あんたは、この町の住民について詳しいらしいな。何人か教えてくれないか?」


 リアナ


「**オーストン :
公的でない分野ではオーストンを尊敬しております。ですが」
彼女は目尻を吊り上げて付け加えた。
「市長には程遠い根性なしです。彼は、あらゆる問題事を恐れています。彼は選挙に出るべきではなかったと思いますわ」


「**エルトドス :
彼は素敵です。ですが、もうヨボヨボにボケていると思います。彼が10年以上も町のブレーンをやっているなんて、考えられませんわ」


「**ブローン :
ここには、コソ泥の問題人物がいます。彼には、直ちに町を出てほしいものです。それが彼にとってもベストです。彼について、私が好感が持てる点が1つあります。そう、彼はガーゴイルを誰よりも嫌っています」


「**ヨンギ :

ヨンギは、お酒を飲んでいるだけですね。彼が酒場を開店した理由は、大量のお酒を卸売り価格で買うためだけです。彼に喋りまくられたくなければ、彼にはガーゴイルのことを尋ねてはいけませんよ。彼はブローンと同じく、ガーゴイルを大変嫌っています!」


「**マラ :
マラ?彼女は女らしく振舞うことを学んだ方がいいわね。彼女の男みたいな態度は、お粗末なものだわ」


「**ザクラム :
彼はトレーナーです。私が聞いた話では、とても素晴らしい戦士です」


「**ケイダー :
ケイダーはブリタニアン・マイニング・カンパニーの、ベスパー支部の支部長です」


「**イベラ :
彼女はケイダーの奥さんです」




「なるほど…。じゃあ、その人達にも話を聞いてみるか…。色々と、どうもありがとう」


 リアナ

彼女は君に頷くと、仕事に戻った。


どうやら、このベスパーでは、人間とガーゴイルが一緒に暮らしているようだが、ガーゴイルに対する差別が非常に根強いようだ。
市長達からして、こんな態度だから、暴動の原因についても大体予想がつく。
















「ここは冒険用品店か…」


 エルドロス

こざっぱりと綺麗に身繕いした、親切そうな男が君の前に立った。




「こんにちは、お名前を伺ってもよろしいですか?」


 エルドロス

彼は君に微笑みかけた。
「おお、素晴らしい。あなたは質問することを躊躇しない。覚えておくのです。口利ける者に愚問なし、です。私の名前はエルドロスです、アバタール」




「エルドロス…そうか、あんたが、この町の相談役って人だな。そういえば、冒険用品店をやっているとも聞いたな」


 エルドロス

「ええ、私は冒険用品店をやっております。厚かましく言わせていただければ、ベスパーの顧問です。いつか、あなたにもアドバイスを差し上げましょう。覚えておくのです、殺すではなく傷付けるのです」




「アドバイスですか、それは、ありがたいですな」


 エルドロス

「よく遊び、よく遊べ、です」
(*原文はEarly to bed, early to rise, makes Jack a dull boy”早寝早起きは子供をダメにする”
…All works and no play makes Jack a dull boy”=よく学び、よく遊べ”という英語の諺にちなんでいるが、まったく逆の意味になっている)




「……どうも…。その…あなたが、市長から暴動について相談されていると聞いたんだが…」


 エルドロス

「市長ですか?アバタール、あなたは既に市長にお会いしていると思います。彼は素晴らしい仕事をしております。お気付きではないかもしれませんが…」

彼は赤面した。
「…が、彼に事務運営の提案をしているのは、私なのです」




「書記の女性も言っていたが、あの市長は、あまり能力が無いみたいだからな…」


 エルドロス

「ガーゴイル達は暴動を起こすのではないかと思います。オーストンも、同様の懸念を抱いていると思います。ごく最近、彼は私に、このような出来事が起こった場合の準備の仕方について尋ねてきました。あなたにも、彼と同様にご注意を申し上げます。覚えておくのです、アバタール。最高の防衛は最良の防衛、です!」




「そ…そうか。何のことか分からんが、ありがとう…」


 エルドロス

「ごきげんよう、アバタール。忘れないでください。雨降って芝生茂る、です」




「……」



このエルドロスは、何かにつけて諺を会話に挟みますが、どれも微妙に間違った意味となっています。
例えば…

・A stitch in time uses more thread
(=事前の針は糸が勿体ない)…元となった諺は"事前に針を仕掛けておけ"といった意味
・Never hit a man when thou cannot
(=倒れた相手を打てないなら打つな)…元となった諺は、"倒れた相手を打つな"、といった意味

訳文では、あまり表現できませんが、要するに、彼にはボケがきているということです… 。






「ふう…ちょっと一服していくか…」








「それにしても、市長がアレで、顧問がアレじゃ、この町も危ないな…」


 ヨンギ

酒場を営む陽気な外見の男だ。
「『ギルデド・リザード』へようこそ!おお、デュプレじゃねえか。いったい、何の用だい?」


 デュプレ

「よう、ヨンギ。いつもの最高のやつを、一杯頼むよ」




「ここも顔馴染みなのか。おまえ、本当に世界中の酒場を回ってたんだな…」


 ヨンギ

「俺の名はヨンギさ。で、あんたは?」




「俺は、あのアバタールだ」


 ヨンギ

「そうかい、アバタール。他の奴に、あんたの名前を話す必要はないぜ」




「??…まあ、とりあえず、酒を頼むついでに、この町について話を聞かせてくれないか?」


 ヨンギ

「おう、俺はもう別の場所で暮らしたいぜ。あのケダモノ、ガーゴイル共を取りのけたら、住み良い町になるんだがな」




「やれやれ…あんたもガーゴイルが嫌いなのか」


 ヨンギ

「ガーゴイル!奴らが何だってんだ?最高に不愉快で、悪辣で、冷酷で、この大地の上を這い回る、最も見下げ果てた生き物だ。あんたも、奴らからは離れてた方がいいぜ。ガーゴイル共がいなければ、ここがどんなに良い町になるかってことばかり考えちまうぜ。あの犬コロ共が俺達と同じ事を言ってるのも知っている。いつか、夜に俺達が寝静まった時に、奴らが俺達全員を殺し回るんじゃないかって、皆思ってるぜ」




「いや、何もそこまで言わなくても…」


 ヨンギ

「前に、奴らの1人がブローンを殴ったんだ。彼に、その事を聞いてみな」




「ブローン?市長達からも聞いた名前だな。色々と問題を起こしているらしいが…」


 ヨンギ

「あいつは物の道理が分かる奴だ。この町で何が悪いのか分かっている!ガーゴイルだ!彼は、奴らを嫌っているんだ」




「(この店主は、本当にガーゴイルが嫌いらしいな…。ガーゴイル達からも、話を聞いてみた方がいいかもしれん)」













「オアシスの反対側に、ガーゴイル達が暮らしているみたいだな」






 アウルビドレム

君の前に、すっぱい表情をしたガーゴイルが立っている。
「やあ、ごきげんよう。アウルビドレムと呼ばれている。おまえはアバタールだな」




「いかにも。ここは何かの店のようだが…」


 アウルビドレム

「ベスパーの他の者に、冒険用品を供給している」




「冒険用品店は、町の顧問エルドロスの店があったじゃないか?この町には、同じ店が2つあるのか?」


 アウルビドレム

「ここは偏見と憎しみに満ちた町だ。人間達は、我々が暴動を起こすのではないかと思っている。だが、人間達は、そうされても仕方がないと思う」
彼は肩をすくめた。

「だが仲間達は、その気持ちを抑えてくれると思う」




「そんなにピリピリしているのか…。他のガーゴイルは、どんな奴がいるんだ?」


 アウルビドレム

「この町には、数人のガーゴイルしか暮らしていない。私は主に、ウィズ・サーについて知っている。そして」

彼は少し唸った。
「アンシカートだ。羽無の者も何人か知っている」

君を見る前に、彼の目が左右に素早く動いた。
「ウィズ・サーが変わってしまってから、アンシカートは尊敬を集めるようになった。私も、もっと勉強して賢くなれば、ここの良きリーダーとなれると思う。アンシカートには満足していない」




「そうか…。イマイチよく分からないが、そのアンシカートとかいう奴にも会ってみるかな」


ちなみにガーゴイル達の話す言葉は、通常の英語とはかなり異なっており(必ず頭の主語を省略するため、構文が特殊。使用する単語も常用でないものが多い)、非常に意味を掴みにくいです。
なるべく標準語に近づけて書いていますが、本来は、もっと異質なものと想像されます。





「次は、この建物に入ってみようかな…」






謎の声
「中に入るのだ。そして、お前がアバタールだと、彼らに話すのだ」




「??誰だ?」




「…また、声が聞こえた…。この建物が何だって言うんだ…?」







「見たところ、ガーゴイル達の酒場のようだが…」


 アンシカート

とても穏やかな雰囲気の有翼のガーゴイルだ。
彼は君を見ると、顔に微笑が浮かんだ。
「こんにちは、アバタール」




「やあ、どうも。ここは…酒場だよな?」


 アンシカート

「アンシカートと呼ばれている。乾きに対する達人という意味だ。食事や飲み物を出す」




「あんたがアンシカートか。聞いた話だと、この町のガーゴイル達のリーダー的存在みたいだな」


 アンシカート

「ベスパーのガーゴイルは皆知っている。 警告しておこう。多くの者は、粗末に扱われていることに対して憤慨している。どうか、気をつけてほしい」




「……」


 アンシカート

「憎しみに満ちた町…人間達は我々を嫌い、我々の多くも人間達を嫌っている。特に、アンマニヴァスとフォラナモだ。良いことではない」
彼は悲しんでいるようだ。




「その2人は、どんな奴なんだ?」


 アンシカート

「アンマニヴァスは、ラプ・レムと一緒に働いていたが、ごく最近、そこを辞めた」
彼は首を振った。

「フォラナモは、アンマニヴァスの兄弟で、同じ親から産まれた。アンマニヴァスと同じく人間を嫌っている」
彼は溜息をついた。




「ラプ・レムってのは?」


 アンシカート

「ここの鉱山会社で採掘をしている。いまだに採掘をしている、唯一のガーゴイルだ」
彼は頷いた。

「フォー・レムのように、とても我慢強い。彼を嫌い、侮辱するような人間と一緒に働いている。蔑みながらも仕事を続けている。我慢できない人間に対し、とても良く耐えている」
彼は自分の意見を強調するかのように頷いた。




「そうか…。やはり、こっち側も穏やかではない様子だな」


 アンシカート

「我らの民に、再び平和をもたらしてくれることを願う、アバタール」




そこのテーブルに座ってる2人が、そのアンマニヴァスとフォラナモってガーゴイルかな…?」


 アンマニヴァス

ガーゴイルは、遮られて不愉快そうに君を見つめた。




「や…やあ。こんなところで、昼間から酒を飲んでるのか?」


 ファラナモ

「あっちへ行け!」




「そ…そんなに突っかかるなよ。何もしてないじゃないか。仲良くしようぜ、ブラザー」


 アンマニヴァス

彼は解雇についてブツブツと言った。


 ファラナモ

「お前は何者だ!」




「え…?俺か…俺は……そう、アバタールだ」


 アンマニヴァス

ガーゴイルは君を見上げると、その顔に怒気が走った。
彼は飲み物をひっくり返し、素早く立ち上がった。




「な…なんだ!?」


 アンマニヴァス

「我らの不幸の元凶か」
彼の傍にいたガーゴイルも立ち上がった。

「我らの貧困の原因だ。死ね、
アバタール、死ぬのだ!」
2人のガーゴイルは、君を攻撃するために、進行方向にあるテーブルを蹴り飛ばした。




「おい!ちょっと待て!!」


こちらがアバタールと答えるや否や、この2人のガーゴイル、アンマニヴァスとフォラナモは、突然襲い掛かってきた!
どうやら彼らはブリタニアン・マイニング・カンパニーで働いていたものの、ガーゴイルということで不当に解雇されていたため、昼間から酒場でくすぶっていたようだ。
そして、かつてのガーゴイルの国が滅びた要因であるアバタールに、怒りの矛先を向けてきたというわけだ。





「くそっ!店の外まで追って来るぞ!」








「戦って負けることはないだろうが、そんなことをしたら、俺がこの町で暴動を引き起こすことになりかねん!」




「逃げても振り切れない…いったい、どうしたら……。む!あれは!」







「船だ!そうだ、この町には、ロード・ブリティッシュの船があるんだった!あれに乗り込めば…!」



エクソダスの島の調査のためにアバタールに貸し出された船、ゴールデンアンク号は、このベスパーに停泊していた。
既にロード・ブリティッシュから権利証も預かっているので、船には乗り込むことができる。





「ふう〜、危機一髪!さすがに海までは追って来れないみたいだな。やーい、バーカバーカ」







「…とはいえ、しばらくは、この町から離れた方がいいかな…」


ベスパーには、まだ多くの人とガーゴイルが暮らしていたが、町を離れないことには2人のガーゴイルから襲われるので、少し間を置くことにした。
あの2人を殺してしまうことは避けられたが、気がかりなのは、『アバタールだということを話すのだ』と聞こえた謎の声に従ったことによって、このような結果となってしまったこと…。
とりあえず、エリザベスとエイブラハムの行方を追うために、次はムーングロウの町に向かうことにした。



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