Ultima 7 プレイ記録 22 ウィスプとの邂逅

再びインプの住処、シルバーリーフの木の場所まで歩く。




「ふう…実に苦労した…。この蜂蜜があれば、インプも逃げたりしないかな?」







猿のような生き物が、ゆっくり注意深く君に近づいた。
その生き物は、しばらく匂いを嗅ぎ、そして君の荷物を指差した。




「ほら、こいつが欲しければやるぞ」




猿のような生物は、注意深く君の前に歩み寄り、少し君を見つめた後、その生物は頭を上げた。




「よーし、コンタクト成功だ!…とはいえ、どうしたものかな…。このサルみたいな奴らに『名前』とか『仕事』とか聞くわけにもいかんし…」


 タベナー

「ボクの名前はタベナー」


 トレレック

「ボクはトレレック。キミの名前は?」




「し…喋れるのか!」


 タベナー

「『仕事』っていう意味が分からない」


 

「仕事というのはだな…つまり、これこれこういう…。まさに、サルに物を教えているかのようだ」


 タベナー

「『仕事』っていうのが分かった。ボクに仕事はない。ボクと家族は、食べ物を集める」


 トレレック

「インプは皆、食べ物を集めている。主に果物を探している。果物は美味しい。キミがくれた蜂蜜みたいさ!」 


 タベナー

彼は注意深く君を見た。
「キミの仕事は、シルバーリーフの木を切り倒すことだな?」




「え?いや、まだ食ったこともないんだよ。無論、切ったこともない」


 タベナー

「本当のことは分かった。でも信じるのは難しい」


 トレレック

「この人間は真実を言っている。こいつは信用できる。こいつの良い意思が感じられる」


 タベナー

インプは、しばらく君をじっと見た。
「キミの良い意思が、ボクにも分かった。キミは人間達に、木を破壊しないでほしいと伝えてほしい。どうか、お願い」




「どういうことだ…?」


 トレレック

「シルバーリーフの木が、ボクらの家」
彼は頷いた。

「シルバーリーフの木を、人間の言葉で説明するのは、ボクにはできない。ごめん。別の人間に聞いた方がいいよ?」
彼は肩をすくめ、人間のモノマネをした。




「なるほど、そういうことか…。ここには、他にも君らのようなインプが暮らしているのか?」


 トレレック

「サラモンは、一番賢いインプ。人間達と会ってきた。沢山の物を見てきた。とても経験深く、多くの事を知っている」




「ウィスプについて知っている奴はいないのか?」


 トレレック

「ボクはウィスプのことを知っている」
彼は頷いた。
「ウィスプは木の中にいる。何を知りたいの?」




「そいつと話をしたいんだ」


 トレレック

「キミの言う事は不思議だ。ウィスプと話がしたいってこと?」
彼は周囲を見た。
周辺のエリアを見回しているようであった。

「会話ができるウィスプは、ここにはいない」




「じゃあ、どこにいるんだ?」


 トレレック

「キミが何をしたいのか、僕にはさっぱり分からない」
彼は肩をすくめた。




「うーん、ダメか…。さっき聞いた、サラモンという物知りのインプに聞いた方がいいかもしれないな。ちょっと探してみるか…」


 タベナー

「あなたに、”さようなら”」




「こいつら小さいから、森の中で探すのは一苦労だな…。こいつかな?」


 サラモン

しなびた雌のインプだ。
「私はサラモン」




「やあ、あんたが一番賢いインプだって聞いた。色々と聞きたいことがあるんだ。とりあえず…インプについて教えてもらいたいんだが」


 サラモン

「シルバーリーフの木に、インプの家がある。果物、野菜、そして乳製品のみ、インプは食べる。パンも食べる。果物と野菜は、我らの好物。甘いのが多い」




「肉は食べないのか?」


 サラモン

「死んだ動物は新鮮じゃない。人間は"肉"と呼んでいるが、インプは食べない。肉は美味しくない」
彼女は身震いした。
「あれは好きじゃない!
インプは暴力を嫌う。人間が食べ物と呼ぶような物でも、殺すのはいやだ」




「完璧なベジタリアンなんだな」


 サラモン

「森とシルバーリーフの木は、大きなダメージを受けている。このダメージは、あなた達、人間によるものだ。このダメージの責任を取るのも、あなた達、人間だろう。トレレックを探して」

彼女は強調して言った。
「彼を仲間に加えて」




「トレレックって…さっき会ったインプか?仲間に加えるって…なんでそんな事を?」



人間がシルバーリーフの木の責任を取れというのは分かるが、なぜトレレックを仲間を加える必要があるのか?
とりあえず、ウィスプとコンタクトを取るためにも、言うとおりにしておいた方が良さそうだが、イマイチ理路整然としない。





「…ってことで、おまえを仲間に加えろとさ」


 トレレック

「ボクに、一緒に旅をしてほしいの?ボクもそうしたい。でも、サラレクはそれを望んでいない。まずは、彼女の許しを貰ってほしい」




「サラレク?」


 トレレック

「サラレクは、ボクのつがい。キミは『妻』と呼ぶかもしれない。ボクの家は彼女の家」




「…探すの面倒なんだけどな…」









 サラレク

おどおどした、猿のような動物の雌だ。
彼女は、しばらく恥ずかしがって敬遠していたが、用心深く足を踏み出した。




「ふう、ようやく見つけた…。トレレックから聞いたけど、君がサラレクだな」


 サラレク

「トレレックは、あたしの夫。トレレックは、あなたと会ったの?」




「ああ、ちょっと頼みごとがあるんだ」


 サラレク

彼女は誇らしげに微笑み、もう1歩前に踏み出した。
「彼は、何て言ってた?」




「えーと、トレレックを仲間にするために、あんたの許可がいるんだ」


 サラレク

「彼は、あなたに加わることを望んでるの?」
彼女は、しばらく考えた。

「あたしは、彼が行ってしまうことを望んでない」
彼女は君に真っ直ぐ向いた。

「でも、あなたに加わるのは賢い行動。まず最初に、サラモンの許しを貰うのが必要。そうすれば、あたしも許す」




「…というか、そのサラモンから言われたんだけど…」


 サラレク

「彼女は、とても賢いインプ。多くの人間と会ってきた。知識と経験が彼女の才能」




「……」











「……ということで、許可をくれ。もう、面倒な事はやめてくれよ…」


 サラモン

「許可は、また後で出す。まず、やってもらう仕事がある。森の西側に、木を切る者が住んでいる。そいつによって、シルバーリーフの木が切り倒されている。シルバーリーフの木はインプの家。木を切るのをやめてもらうよう、契約書にサインをしてほしい」




「…は?契約書?サイン?いや、おまえが仲間にしろって言ったから…」


 サラモン

「私の言ってる意味が分かったか?」
君の答えを待つ前に、彼女は君に書類を手渡した。

「あなたが手に取ったのが契約書」






「えーと…『シルバーリーフの木を切るのを、あなたはもう止めます。あなたの約束を欲します。敬具 キコリさま』…こんな文章で契約が成り立つのか?というか、それ以前に、なんで契約書なんて持ってるんだ?」


有無を言わさず契約書を渡されたアバタール。
なし崩し的に、彼らの使い走りにさせられてしまったようだ。
だが、言うことを聞いておかないと、まともに取り合ってくれなさそうなので、ウィスプと会うためにも我慢して従い、森の西に住むというキコリを探しに行く…。











「み…見つけた!ようやく見つけたぞ!」





 ベン

肩で斧を担いだ、背が高く胸板の厚い男が、笑って君に頷いた。
「ベンって呼んでくれや、アバタール。このユーの森で暮らしてんだよ」




「森が広すぎて、探すのに本当に苦労したぞ」


 ベン

「キコリをやってんだ。そいつがオイラの生活の全てさぁ」




「そういえば、200年前のユーの森に住んでたキコリも、ベンって名前だっけ…」


 ベン

「オヤジもキコリだったし、そのまたオヤジもそうだった。俺達はもう10代以上もキコリをやってんだ」




「あんたが、この辺でシルバーリーフの木を切っているのか?」


 ベン

「そうよ、俺はシルバーリーフの木を切ってるんだぜ。ある場所にしか生えてないから、木が必要な時には、遠くまで旅をしなくちゃならねえ。何で、そんなことを聞くんだい、アバタール?」
彼はニッと笑った。

「おお、分かった。いくらか欲しいんだろ、違うか?すまねえな、アバタール。俺はどうやってそいつを作るのか知らねえんだ。酒場にでも行ってみな」




「やっぱり、そうだったか。実はな…」


 ベン

君がシルバーリーフの木の状況について簡単に説明すると、彼は叫んだ。
「なんてこった!シルバーリーフの木を使う奴が…いや、生物が他にもいるだなんて、思いもよらなかったぜ。俺はどうすりゃいいんだ?」




「そんなあなたの悩みも、この契約書にサインをすれば解決さ!」


 ベン

「おう、もちろんサインするぜ。これ以上シルバーリーフの木はいらねえしな」
彼は書類にサインして、君に手渡した。

「そして、俺が謝っていたとインプに伝えてくれ、アバタール。彼らの家を破壊しようなんて思ってたわけじゃないんだ」




「スムーズに事が運んでよかった。また何かお使いさせられたら、どうしようかと思ったよ。じゃあ、このサインはいただいていくぞ。世話になったな」


 ベン

「じゃあな、アバタール。楽しい旅をしなよ」


そして、また森を横断してインプの住処へ…。
森を何往復もしている間に、魔物や獣や野盗と頻繁に戦ったので、ここでかなり経験値を稼いだ気がする。





「ほら、契約書にサインを貰ってきたぞ。これでいいだろう」





 サラモン

彼女は君から書類を受け取り、ベンのサインを見て微笑んだ。
「トレレックを加えることを許す。あなたに、幸運と速さを」




「ふう、苦労した…。これで、あのサルを仲間にできるんだな。おっと、あいつの嫁にも許可が要るんだっけ」











「…ということで、サラモンからも許可を貰った。これで文句ないだろう」


 サラレク

彼女の目が涙で潤み始めた。
「ごめんなさい。あたし、ウソを言った。トレレックに離れてほしくなかった。許可は出せない」




「な…なにー!?話が違うぞ!無邪気そうな顔して約束を破るなよ!」


 サラレク

彼女の表情が変わった。
「あなたが、彼に頼む理由は何?」




「ウィスプとコンタクトを取るには、おまえらインプの助力が必要なんだ!」


 サラレク

彼女は興奮して笑った。
「あなたは、ウィスプと会いたいの?」




「そ…そうだ」


 サラレク

「あなたがトレレックの助けを借りる方法を思いついた。ウィスプは、トレレックの笛でコンタクトできる。きっと、彼はあなたのために笛を作ってくれる。もう一度、彼と話して」




「笛…」


だったら先にそれを言えと思った。






「…というワケなんだ」


 トレレック

「ボクのつがいは正しい。ホイッスルを作ってあげるよ」




「頼むよ…俺はもう…疲れた…」


 トレレック

「ボクらインプが会話をする時には、笛のような音を出すんだ。この音を出せる、特別な笛を作ってあげるよ」
彼は素早く周囲の枯れ木や窪地を見回し、木の枝を捜し始めた。
すぐに、彼は満足いく物を見つけ出した。
彼は恥ずかしがっていたのか、君に背中を向け、瓶のコルクを回すような動作をした。
しばらく後、彼は向き直り、君に笛をプレゼントした。

「これが笛さ」







「ああ…こんなチンケな笛のために、何度も森を往復したのか…。下手したら、ジュリアスのように森で野垂れ死んでたかもしれないな…」


 トレレック

「ジュリアスは良い人間だった。彼の偉大な行いのおかげで、インプの家族は数年前の大火事から救われた」




「お…おまえ、ジュリアスのことを知っているのか!?」


 トレレック

彼は君を直視した。
「でも、彼の話は悲しい。彼は、煙に巻かれて死んでしまった。彼の遺体は、アビーの近くの共同墓地にある。彼は、インプが『ヒーロー』と呼ぶ人間」




「そうだったのか…ジュリアス…」


ナスターシャの父ジュリアスは、獣に襲われて死んだのではなく、インプ達を火災から守って死んだとのことであった。
エンパス・アビーの共同墓地には、彼の名が刻まれた墓があった。



この墓のルーン文字は、「Julius May his spirit rest forever(ジュリアス 彼の魂に永遠の安息を)」と書かれている。

ちなみに、ここには「チャクルス 最期まで笑っていた」という墓碑や、「Here lies Ken killed by a Pen」とダジャレのようになっている墓碑など、興味深い墓碑が他にも色々ある。











「トレレックに作ってもらったホイッスル…森の中で吹けばいいのかな?」




「…(ピーヒョロー)…」







「…来た!ウィスプだ!」


 ウィスプ・ゾリニア

光球が君に近づいた。
「"おまえ"は、"トレレック"という存在ではない。"おまえ"は"インプ"と呼ばれる種を喚起させる。"ゾリニア"は"トレレック"を期していた。だが、それは重要な事ではない。"私"が得た情報では、この地に現れた現象は、"アバタール"と知られる存在によるものだ」

ウィスプは1,2秒、輝きを増した。
「"ゾリニア"は人間の存在と、情報の交換を望む」




「200年前にも、このユーの森でウィスプに会ったっけ…。その時と同じ奴なのかな…?」


 ウィスプ・ゾリニア

「高度な蓋然性が指し示すには、ゾリニテの次元の現象は、"人間"と知られる存在には"ウィスプ"と呼ばれているようだ。私は、他のゾリニテの次元の現象からは、"ゾリニア"と呼ばれている」




「ゾリニア?ゾリニテ?」


 ウィスプ・ゾリニア

「"ゾリニア"は、異なる面や次元に情報を伝達する導管だ。"ゾリニア"は、ゾリニテの共同体の成長に必要な情報のカタログでもある」




「分かるような分からんような説明だが…ウィスプとは何者なんだ?」


 ウィスプ・ゾリニア

「この標語は、人間の存在がゾリニテの次元の現象に名付けるために、この次元がゾリニテの現象により発見された時から施行されているものだ。他の共通名は"ウィル・オ・ザ・ウィスプ"だ。先の情報のサンプルは、代償無しの供給とした。通常は、情報には代金がかかるものだぞ」




「そうか…。こいつらは以前も、この世界で情報を集めていたんだったな」


 ウィスプ・ゾリニア

「アンドリアン評議会は、"アラグナー"という名の存在に関する情報を探している。"おまえ"には、この情報を入手する機会がある。"私"は"おまえ"が探していると情報を持っている。アンドリアン評議会は取引を提案する」




「アンドリアン評議会?何だそりゃ?」


 ウィスプ・ゾリニア

「"おまえ"の言語で言うと"政府"という定義となる。アンドリアン評議会は、"おまえ"の次元に、"ブリタニアで最も賢き男"と呼ばれる存在がいるという情報を持っている。その存在は、"アラグナー"と知られており、"おまえ"のコロニーである"ニューマジンシア"に住んでいる。"アラグナー"は"ノート"と呼ばれる存在を所持している。"ノート"とは情報の集積だ」




「そいつを探せってことか…」


 ウィスプ・ゾリニア

「"私"はアラグナーの"ノート"の情報を取り入れたい。おまえが"ノート"を所持しているのであれば、アンドリアン評議会は、"おまえ"に情報を開放しよう。取引に応じるか?」




「取引と言うなら、おまえらがくれる情報というのは何だ?」


 ウィスプ・ゾリニア

「"タイムロード"として知られる存在が、空間と時間の次元にいる。ゾリニテ次元では、"人間"が"世紀"と呼ぶ間、"タイムロード"と意思の疎通を行っている」




「タイムロードの情報…!ミノックのジプシーの占師から聞いた通りだ!」


 ウィスプ・ゾリニア

「"タイムロード"として知られる存在は、"おまえ"の助けを求めている。"私"が"おまえ"に更なる情報を与える前に、取引を提案する」




「分かった。ニューマジンシアのアラグナーの…ノートだな。覚えておこう」


 ウィスプ・ゾリニア

「"ゾリニア"は常に、情報の交換を歓迎する。さらばだ」


ようやくウィスプとコンタクトを取ることができた。
ウルティマ3で出てきた、あのタイムロードが、今回の事件に一体どのように関係しているのか?
着実に真相には近づいてきているようだ。


また、ウィスプと別れた後に、この森を探索してみると、朽ちた砦を見つけた。
この中には多くの本が無造作に散らばっているだけで、他には何もなかった。
ここでウィスプ達が情報を集積しているのだろうか?













これで、長かったユーの森の探索も一通り終わったので、一度ブリテインへ戻ることにした。
ムーンゲートに入ると別の場所へ行ってしまうので、歩いて行く。
おそらく、この道沿いに進んで行けば、ブリテインまで辿り着くはず。












延々と続く道を、ひたすら歩いて行くと、分岐点を見つけた。
東に行けばブリテイン、そして、西に行けばスカラブレイのようだ。









スカラブレイの様子も見てみるか…と、西に行ってみると、程なくムーンゲートが見つかった。
かつて、スカラブレイの町にあったムーンゲートのようだ。
しかし…










ここで、渡し舟の停留所らしきものを見つけた。
スカラブレイの町は、陸から少しだけ離れた小島にあったのだが、そこへ行くための渡し舟であろうか?
だが、船頭らしき不気味な男に話しかけてみるも返事はなく、船に乗ることはできない。
スカラブレイの町は、既に廃墟となっているという話を聞いたことがあるが、これは本当なんだろうか…?

結局、他には何も見つからなかったので、諦めてブリテインへと向かうことにした。










道中に立ち塞がるヘッドレスや野盗を斃しつつ東に歩いて行くと、程なくブリテインの町の灯りが見えた。
この町に戻るのも、随分しばらくぶりに感じる。








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