Ultima 7 プレイ記録 20 薔薇の修道院

エンパス・アビーの修道院に到着した。
厳密に言えば、ここはユーの町でもあるようだが、長い時代を経て、この2つは1つの町になってしまったようだ。






「ここが、かのエンパス・アビーの修道院か。相変わらず、ご立派なもんだ」


 クレグ

親しみやすそうなモンク僧が、こっちに来るようにと合図をしてきた。




「お、早速モンク僧がいるぞ」


 クレグ

彼は微笑んだ。
「クレグと申します、アバタール。ここアビーのモンク僧です。錬金術の調合をしております」




「錬金術か…薬でも作ってるのか?」


 クレグ

「そうです、アバタール。近々、ここアビーでは沈黙の掟が採用されます。しかし、我々が静寂に慣れるには、しばらくの時間がかかるでしょう。そこで私が、飲んだ者を一時的に沈黙させるポーションを作っているのです。概念的には、不可視のポーションと非常に近い物です」




「沈黙の掟…?沈黙のポーション…?なんだ、そりゃ?」


 クレグ

「そうです」
彼は照れくさそうだ。

「我らの先輩方と競うために本を読んでいたところ、多くの人々が、この沈黙の掟を採用してほしいと願っていることを知りました。ですから、」
彼は肩をすくめた。
「私が一度そのようなポーションを作ったところ、それを使うことになったのです。馬鹿げたことだと思いますよ。ですが、より多くのワインを造ることの助けにはなるでしょう」




「ワインか…そういえば、ここは昔からワイン造りが盛んだったな」


 クレグ

「モンク僧のワインはブリタニア中で有名です。ええ、私はそう思いますよ」
困惑した表情が、彼の顔に溢れた。

「まあ、そんなことは、どうでもいいですね。我等の極上の飲み物を飲んでみてください。心からお勧めいたしますよ」




「そうか、ワイン造りが仕事ってのも、あまり僧侶らしくない気もするが、やっぱ伝統を守るのは大変なんだろうな」


 クレグ

「そうです。ご存知ですか?瞑想、沈黙、美学、禁欲、そして力強さ、です」




「…酒が全てを台無しにしてる気もするがな…」


 クレグ

「実際のところ、研究は行き詰っております。原料の秘薬を特定することができないのです。調べるためには不可視のポーションが必要です。そうすれば、いくらか進展することでしょう」
彼は期待を込めて君を見た。

「研究のため、ポーションを手に入れてきてはくださいませんか?魔術師ニカデマスの所で、簡単に手に入ると思いますよ」




「ニカデマスだと!そうか、ここにはニカデマスがいるんだったな。シャミノが彼と会うように言っていたっけ…。分かった、ついでだから、そのポーションも持って来よう」


 クレグ

彼は安堵して溜息をついた。
「ありがとうございます、アバタール」

彼は頷いて別れの挨拶をした。




「さて…他のモンク僧にも話してみようと思ったが、中には見事に誰もいないな。モンクの数も少なくなっているのかな…」




「仕方ない、外にいる人と話してみるか…」







「やあ、読書中、失礼」


 パーリン

伸びをして深呼吸をしている男だ。




「あんたも、ここのモンク僧かい?」


 パーリン

「パーリンとお呼びください、アバタール。学者ですよ、書物の分野のトレーニングをご希望ですか?」




「学者がトレーナーだと!?INTを伸ばしてくれるんだろうが、あまりしっくり来ないなぁ…。まあ確かに、ここは静かそうだから、読書をしたり研究をするには向いてるかもしれないな」


 パーリン

「楽しい場所ですよ。私はプライバシーのある所が好きです。好きな時に研究ができますからね。僧会は道を挟んだ向こうにあり、また、ここはヒーラーの近くです。私はまた、墓堀人が死を扱うことで受ける影響についての研究を始めました。このケースでは、ティーリーを研究しています」




「ティーリー?」


 パーリン

「僧会の北で暮らす墓堀人です」




「そういえば、エンパス・アビーには、霊園があったっけ」


 パーリン

「そこがアビー(修道院)です。そこに住むモンク僧は、素晴らしいワインを造ることで有名ですよ。付近には、高等裁判所と監獄があります」




「ユーの高等裁判所もあるのか。やはり、ユーとエンパス・アビーは1つの町になってしまったんだな」


 パーリン

「そこの判事はサー・ジェフという名前です。聞いた話では、とても厳しく取り締まっているらしいですよ。彼と一緒に働く看守は、ちっとも羨ましくないですね。そのような厳格な人と終日一緒にいるというのは、非常に困難なことでしょうから。
牢獄は法廷の裏にあります。そして、そこについては何も知らないことを、私は誇りに思います」
彼は笑った。




「分かった、行ってみるべき所が多そうだな。色々とありがとう」


 パーリン

「さようなら、アバタール。幸運を祈りますよ」











「次は、ここへ行ってみるか」





 レイナ

輝かしい目をした女性が、君に挨拶した。

「私はレイナです」
彼女は、顔にかかった髪をかき上げながら言った。




「ここは…何かの店かい?」


 レイナ

「ヒーラーよ。この森の近くの場所で店を開くと決めたんです。とても美しい場所だから、ここで暮らして働きたいと思っていたの。やるべき事、見るべき事を、数多く見つけたわ。でも、森はとても広いから、この地域で暮らしている人で、まだ出会ったことのない人も多くいるわ。アビーは、私の家から道を挟んだ所にあるわ。近くには学者も住んでいるわよ」

彼女はしばらくの間、考え込んでいるかのように見えた。
「そして、アビーの東には牢獄もあるわ。でも私は、実際には見たことがないの」
彼女は笑った。

「でも噂では、法廷の隣に独房があるらしいわ。裁判の後に、ただちに投獄できるようにね」




「俺も、昔はあの牢獄に何度も投獄され…おっと、失言を…。この町について、他に知っていることはないか?」


 レイナ

「この地域、エンパス・アビーは、『薔薇の僧会』という修道院に暮らすモンク僧から名付けられたのよ。彼らは、とても美味しいワインを造っていると言われているわ。モンク僧の1人は、空いた時間で綺麗な庭のガーデニングをしているわ。私も、時々彼女から花を買っているの。でも、」
彼女はニッコリ笑った。
「他のモンク僧達に関して言えば、ワインを造っているのと、郊外を歩き回っているのしか見たことがないわ」




「お気楽なものだな」


 レイナ

「私はアイミにしか会ったことがないけど、他にも1人2人、ワインを造っている人がいるわ」 




「そのアイミという人から、花を買っているのかい?」


 レイナ

「ええ、母のためにね」
彼女はうつむいて足元を見た後、また君を見た。
泣き出すような衝動と、必死に戦っているようだ。

「数ヶ月前に、母は故郷で亡くなりました。母は、この森で産まれ、ここに埋葬してほしいと言っていました。毎朝、私はここに来て、母の墓に花を供えて行きます。でも、」
一筋の涙が、彼女の頬を伝った。
「私達の家族で、近くで暮らしているのは私だけです。頻繁に墓に訪れて、花を供えてくれる人は、他には誰もいません。時々、母の墓を見ると、むき出しになっていることがあります」

彼女は彼方を見て、溜息をついた。
「母の墓に、もっと花を持って行く方法があればいいのに」

彼女は、すぐに君に振り返った。
「まとまりのない話をしてしまって、本当にすいません。お許しください、アバタール」




「いやいや、変な事を聞いてしまって悪いね。それじゃ、そろそろ行くとするよ」


 レイナ

「さようなら、アバタール。あなたが、いつも健康でありますように!」




「さて…それじゃあ墓地の様子も見てみるか。ジュリアスの遺体が、そこに眠っていると聞いたことだしな…」




「この道沿いに歩いて…お、着いたみたいだ」







「これは…凄い数の墓だな…この中からジュリアスの墓は見つかるんだろうか…」




「うわ!墓碑銘がルーン文字じゃないか!これじゃ解読するのが大変だぞ!」







「うーん…これを全部読むのはイヤだな…。誰か、この墓地に詳しい人でもいないものか…。お、あそこにいるのは…!」






 ティーリー

服装は乱れていたが、きりっとした男が、自分に話しかけていた。




「おーい、あんた墓守かい?」


 ティーリー

「ああ?何だって?おう、おいらの仕事かい。このエンパス・アビーの墓場で、おいらの相棒の世話ぁしてんだよ」




「よし、ちょうど良かった。その相棒のことで話を聞きたくてな…」


 ティーリー

「死体の何がいけねえってんだ?おいらぁ、そいつを埋める以外には何もしてねえぞ!奴ら、そんな迷惑な噂ばっかり立てやがる」




「な…なんだ、いきなり?奴らって誰だよ…。俺が聞きたいのは、このエンパス・アビーに、昔ジュリアスという男が…」


 ティーリー

「何で、おいらにウンパス・アッビのこと聞くんだぁ?おいらぁ、アッビなんて所のには行ったことねえよ。誰がンな事言ったんだ?」




「ウンパス・アッビなんて、誰も言ってない、エンパス・アビーと言ったんだ」


 ティーリー

「エンパス・アビー?おう、そりゃ、ここがエンパス・アビーだぜ、アバタール。詮索するつもりはねえが、あんた、知らねえんだったら、どうやってここまで来たんだぁ?」
彼は頭を振った。

「別の日に、ダレクにも、そう話したっけなぁ。おいら言ってやったよ。迷子になりたくけりゃ、どこにも行くなってね」




「…まあいいや、あんたが、ここに『埋めた』人の中に…」


 ティーリー

「バリー(bury=埋める)だって?おめえ、何のこと言ってんだ?バリーの女房にも会ったことねえ!そいつは奴らが広めたウソに違いねえぜ!」




「いや、だから奴らって誰だよ…」


 ティーリー

「だから言ってんだろが。これがオイラの仕事だ」




「(こいつから聞き出すのは無理かもしれんな…)あんたが埋めた死体について聞きたいんだ」


 ティーリー

「そうさ、オイラの死体!オイラ、そいつを埋めんだ。そいつがオイラん仕事だ」
彼は君を一瞥した。

「ここの人達のことを言ってんだろ、アバタール?」




「そう、ここに埋まってる『人達』のことだ」


 ティーリー

「いいや!オイラは覗き見(peep hole =people)なんてしちゃいねえ!人様に、何てこと聞きやがるんだ、アバタール?」




「あー!もう!ピープ・ホールじゃなくて、ピープルだ!ここに埋めた人のことだ!」


 ティーリー

「そうさ、ここに埋まってる人のことは、少ししか知らねえ。だけどオイラ、出来る限り助けになるぜ。何を知りたいんだ?オイラの最高の2人の友達は、ガースとダレクだ。でもオイラ、ヒマがあったら、いつもニナとバートと話しに行くなぁ。最近は、道の向かいのパーリンの奴が、オイラと一緒に過してくれる。あいつぁ、イイ奴だぜ。ちょっとばかし頭もいいと思うぜ、アバタール。でも、オイラ、あいつが好きさ。他に知りてえ奴はいるか?なら、オイラに聞くより、パーリンの奴に聞いた方がいいぜ、アバタール。あいつは、沢山知ってるからなぁ」




「ああ…分かった…もう自分で探すことにするよ…」


 ティーリー

「んじゃな、アバタール。楽しく旅しなよ」 




「さっき話した学者は、こいつの研究をしていたのか…。墓堀人が死を扱うことで受ける影響とか何とか言ってたな…。まあ、研究したくなる気持ちも分かるよ…」


ということで、墓のルーン文字を1つ1つ解読していく気力がなかったので、ここは後回しにすることにした。
ちなみに、墓だけでなく、看板や標識なども、ほぼ全てがルーン文字で書かれているため、これまでにも多くのサインをスルーしてきた。
重要な情報を見落としている可能性はある…。











「修道院の中にも、モンク僧侶が戻って来たみたいだな」





 アイミ

そのモンク僧は、君に顔が見えるように頭巾を下ろした。
「アイミとお呼びください、アバタール」




「アイミ…ああ、さっきヒーラーの女性から聞いたな。ガーデニングをしてるんだって?


 アイミ

「モンク僧としては、その質問にはどのようにお答えしてよろしいか分かりかねます。しばしば、ワイン作りを手伝っておりますが、空いた時間には、ここアビーで絵を描いたり、庭いじりをしております」




「絵も描いているのか。何と言うか、気楽そうな商売で羨ましいよ」


 アイミ

「ええ、そうです」
彼女は顔を赤らめた。

「私は長年、自身を視覚的に表現できる人を、素晴らしいと思っておりました。でも、悲しいことに」
彼女は笑いながら言った。
「私は、あまり上手ではありません。ですが、美術品の収集もしておりますの。部屋には、本物のスターリングの壁掛けがあります。いつか、ご覧になってください」





「他のモンク僧も、こんな感じで気楽に暮らしてるのか?」


 アイミ

「私は、あまり他の人とは会っておりません。タイラーならば、人々のことや、動物、ここの景色などを、私などよりも多く知っておりますので、お話しいただければと思います」




「タイラー…ムーンゲートの近くの森で会ったモンク僧か。確かに、色々知ってる様子だったな」


 アイミ

「彼はモンク僧の仲間です。彼は植物、動物、そしてブリタニアの地理の研究をしております」




「あんたの庭いじりってやつは、どんな感じなんだい?」


 アイミ

「私の庭ですか?もう何年も、庭いじりをしております。私は美的価値については、固い信念を持っておりますので、花しか植えておりません。時折、欲しいという方がいらっしゃいましたら、花束にしてお売りしております。滅多にやらないことですがね。花束をお買いになりますか?」




「(そういえば、さっきのヒーラー・レイナから、母親に供える花の話を聞いたな…)」


 アイミ

君は、レイナの母の死について話した。
「ああ、そうなのですか。私もレイナのことは聞いております。それは気高い理由ですね。どうぞ、この花を彼女に渡してあげてください」




「おお!どうもありがとう!じゃあ、早速渡してくるよ」


 アイミ

「さようなら、アバタール。美しい香りが、あなたと共にありますように」 




「しかし、女性に花束を渡すだなんて、あらぬ誤解をされたら困っちゃうな。彼女も、こんな森の中で知り合いもいなくて寂しそうだったし、これはもしかしたら…いやいや、そんな不純なことは考えてはいけない。いや、でも…」






 レイナ

彼女は花束を見ると、目を輝かせた。
「素敵!母のために花を持って来てくださったのですね!何て親切なんでしょう!ああ、早く母の墓に供えに行きたいわ!
お花をくださった御礼に、半額で治療をいたしますわ」
彼女は君に微笑んだ。




「そ…そう…。まあ、ヒーラーだし、とても妥当な御礼だと思うよ…」



花をあげると、ヒーラー料金を半額にしてくれるというミニイベントで、特にそれ以上の進展はありませんでした。











「ここが、かの有名なユーの裁判所だな…」






 サー・ジェフ

疑り深い目の男が、厳格に挨拶をした。
「サー・ジェフと申します、アバタール。私は、このアビーの牢獄に勤める、高等裁判所の判事です」




「(毎回、ここの裁判所には良い思い出がないが、今回の判事も、あまり良い奴じゃなさそうだな…)」


 サー・ジェフ

「私はブリタニア政府の司法部を受け持っているのです。犯罪が正義の下に裁かれるのを見届けるのが私の仕事です。
今は2人の囚人を収監しております。しかし、未だ多くのならず者達が自由に歩き回っております」




「ちなみに、どんな囚人なんだい?」


 サー・ジェフ

「もちろん、あなたが会ったことはない者達でしょう」
彼は額に皺を寄せながら言った。

「そこには海賊と、」
彼は言葉を止めた。
「トロルがいます。もし、彼らと面会したいのでしたら、看守のゴースに話してください。
彼はまだ、ここで働いて日が浅いのですが、信用できる人物ではなさそうです。彼は、明らかに不届きな行いをしています。あなたのご友人ではないですよね?」





「い…いや、知らないよ、そんな奴は」


 サー・ジェフ

「違いますか」
彼は君を間近で観察しながら言った。
「もちろん、違いますよね」




「(やはり、嫌な奴だな…)」




「そうだ、犯罪者と言えば、色々と探してる奴がいるんだが、何か情報を知らないか?」


 サー・ジェフ

「ご自分で、ご覧になってください。法廷に置いてある記録書に、名の知れた悪党の目録があります」




「目録って…この本か…」



ユー高等裁判所の記録


フック…
フックは非常に危険な殺人鬼であり海賊である。
彼は、ならず者仲間から抜け出し、金次第で殺しを請け負うフリーランスの暗殺者となった。
彼はブリタニアで起こった、少なくとも14の殺人事件に関係していると言われている。
犠牲者は皆、鋭利な刃物で引き裂かれており、フック自身の手によるものと言われている。
フックが何処に住んでいるかは不明であるが、バッカニアーズ・デンに秘密の隠れ家を持っていると、多くの者に噂されている。
一番最近の目撃情報では、彼はフォースキスというガーゴイルの戦士と共に旅をしているということである。


ケリン…
多くの地域で窃盗を行った指名手配。
数々の偽名を用いており、ターヴィス、クレグ、ホッジなどがある。
ユーの森の付近で目撃されたのを最後に、姿を隠したと言われている…


サリヴァン…
多くの地域で詐欺、窃盗、その他些細な犯罪を行った指名手配。
フェローシップのメンバーとして知られているが、フェローシップでは、そのようなメンバーについて否定している。この男の犯罪に関する報告書によると、多くの被害者が、彼がアバタールを名乗っていたことを述べている。




「こ…これは…このフックってのは、あの鉤爪の男のことじゃないか!そのまんま、フックと呼ばれていたとは…。他にも、ジェロームの町で聞いた、偽アバタール・怪盗サリヴァンの情報もあるぞ…。このケリンという奴は、この近くで消息を絶ったのか。へ〜」



ケリンの項目にある、彼の偽名には見覚えのある名前があったが…それは、また後ほどに。





「囚人とも話してみるか。おーい、あんたが看守のゴースさんか?」


 ゴース

小さな目の男が冷笑した。

「俺が何をしてるように見える?」
彼は鍵の束を掲げて言った。
「ガーデニングでもしてるように見えるか?」




「ははは、まさか本当にガーデニングをしてるのかい?」


 ゴース

「あ?イカレてんのか?」
彼は頭を振った。
「まあ、少なくとも、あんたはガーデニングをするのに最適な場所にいるけどな」




「(これまた、嫌な奴が出てきたもんだ…)ええと…この場所について、色々聞きたいんだが…」


 ゴース

「実際のところ、俺はここで暮らす人のことは、ほとんど知らねえ。それを、あんたに話してやったとして、おいくら貰えるんだい?」




「いくらって…金か?ケチな奴だな…じゃあ、2ゴールドやるよ」


 ゴース

彼は不機嫌な顔をした。
「もっと出せるだろ、マヌケ!」




「こ…こいつ…!じゃあ、5ゴールドだ!これでいいだろ!」


 ゴース

「俺の知っていることを教えよう。サー・ジェフは高等裁判所の責任者だ。あいつは本当の意味でロクでなしだから、近づかずにおきたいよ。この辺のモンク僧は、美味いワインを造るぜ。そして、アイミは…男の心を暖めてくれるのさ。そして、何をするにせよ、墓堀りの男には話しかけるなよ。時間の無駄だ。奴はイカレてるからな」




「じゃあ、そこの囚人と話したいんだが…」


 ゴース

「5ゴールドで教えてやるぜ。どうだい?」




「また金か!分かったよ、ほら、教えてくれ!」


 ゴース

「1人はデ・レルという名前だ。バッカニアーズ・デンの海賊さ」




「で、もう1人は?」


 ゴース

「もう1人の奴か。もう5ゴールドくれねえか?」




「ぐっ!下手に出ればいい気になりやがって…ほら、金だ!」


 ゴース

「もう1人はトロルさ。あんまり喋れねえぜ。だが、トロルの囚人なんて、俺は初めて見たよ」




「…こんな情報で5ゴールド取るとは…」


 ゴース

「こいつが欲しいのか?ん?」
彼は鍵を持ちながら尋ねた。
「こいつは、そうだな…20ゴールドだ。どうだい?」




「いや、いらんよ!というか、お前、本当に看守か!?」


 ゴース

「そうかい、人の親切をムゲにしやがって!行っちまえ!」




「まったく、とんでもない奴だ…。よくクビにならないもんだよ。判事が嘆くのも頷ける話だ…」




「さて、じゃあ、牢獄越しに囚人と話してみるか…」


 デ・レル

苦々しい表情をした、荒っぽい外見の男だ。




「よう、海賊さん。あんた、何て名前なんだい?」


 デ・レル

「この哀れなる者の名前を気にかけてくれるのかい?」




「ああ、教えてくれよ」


 デ・レル

「気にしてくれるのかい?よし、それじゃあ、あんたが名前を教えてくれたら、俺の名前を教えてやろう」




「俺はアバタールという者だ」


 デ・レル

「アバタールかぁ、いいねえ。約束は約束だ。俺の名前はデ・レルさ」




「どうして、ここに入ってるのか教えてくれないか?」


 デ・レル

「あいつらが、俺をここに押し込めて腐らせているんだ!」




「あいつら?」


 デ・レル

「ブリタニア租税評議会さ。あいつらと、ここにいる2人、サー・ジェフとゴースさ。俺の残りの人生は、ずっとここだって、あいつらは話してくれたぜ。疑う理由はねえな!」




「そりゃ随分と重い刑を喰らったもんだな」


 デ・レル

「あのカタブツの大将は、自分がブリタニアの誰よりも偉いと思ってやがるんだ。あいつは高等裁判所を仕切ってるから、誰にでも正義を振りかざせると思ってるのさ」




「看守のゴースは、どうだい?」


 デ・レル

「あの盗っ人看守は、俺よりも酷いぜ!何かを決める時には、絶対に信じちゃならねえぜ」 




「…だろうな。ちょっと話しただけで分かったよ。で、あんたは租税評議会に捕まったってことは、罪状は脱税か何かかい?」


 デ・レル

「奴等は全員泥棒さ!人が必死で稼いだ金を持って行くんだ。あいつらが、自前で稼ぎに出れば、俺達の金を持って行く必要は無いんじゃねえか」
そうさ、俺は税金を払わなかったから、ここにいるんだ。結局よ、俺が稼いだ金を、何でブリタニア租税評議会にくれてやらなきゃならねえのかってことだ!」




「そんなに稼げる仕事をしていたのか?」


 デ・レル

「今はねえよ。でも、ここのお家に入れられる前は、俺は船乗りだったんだ…ああっと、バッカニアーズ・デンの私掠船のな。
バッカニアーズ・デンは聞いたことがあるだろ?大陸の東にある島だ。杭の義足や、鉤爪の手、そして肩にオウムを乗せたような奴等の町さ!ハッハッハ!」




「それだ!その鉤爪の手の男…フックについて聞きたいんだ。何か知らないか?」


 デ・レル

「おうよ、鉤爪の男は知ってるぜ。あんた、そいつを探してるのかい?奴はバッカニアーズ・デンの出身だ。いつも、フォースキスだか何だかいった名前のガーゴイルを連れて旅をしていた。もし、奴に会ったら…俺がよろしく言っていたと伝えてくれ」
彼は拳を握り締めて見せた。




「なるほど…さっき見た裁判所の記録にもあったが、バッカニアーズ・デンに行けば、何か手がかりが掴めるかもしれないな。色々とありがとう!」


 デ・レル

「おう、そのツラ、はやく引っ込めな!」




「じゃあ、次は、もう1つの部屋の…こいつに話してみるか…」


 ガール

独房で不貞腐れているトロルだ。
呼吸をすると、あばら骨が皮の下から浮き出ている。




「やあ、喋れるか?おれ、おまえ、ともだち」


 ガール

「オレ、ガール」

彼は頭を振った。
「仕事ない。狩る。喰う。寝る」

彼は独房の周囲を指差した。
「今、狩りない、喰うない、寝るだけ」




「そりゃ、独房じゃ寝ることくらいしか、やる事ないよな」


 ガール

「オレ、それはまだできる」
彼は肩をすくめて言った。
「でも、家の方が寝心地いい」




「どこに住んでたんだ?」


 ガール

彼は君を奇妙に見つめて、言った。
「他のトロルと一緒!橋の下!」




「そ…そうか。狩ができないってのは分かるが、ここは食事も出ないのか?」


 ガール

「喰ってない」
彼は頭を振った。

「食い物くれない。看守キライ!」
彼は唸った。




「…ブリテインで買った美味いパンがあるが、1つ食べるか?」


 ガール

「食い物くれる?」
彼の顔に驚きと期待が混ざった。

「おまえ、食い物くれる。オレ、秘密話す。いいか?」




「秘密だって…?まあ、とりあえず、いっぱい食え」


 ガール

彼は食物を急いで貪り喰った。
「ありがとう。秘密知りたいか?」




「教えてもらおうか」


 ガール

「トロルには強力な味方がいる。問題が起こった時、そいつはオレ達の頭の中に警告する」




「頭の中に…警告…トロルにも聞こえるのか!?」


この裁判所&牢獄で、鉤爪の男・フックに関する手がかりが掴めた。
かなり名の知れた殺人鬼だったようだ。

そして、このトロルが言っていた、頭の中に警告する味方とは、フェローシップの言うところの内なる声のことであろうか。
アバタールにも時々聞こえる謎の声と、これらは同一のものであろうか…?



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