Ultima 7 プレイ記録 18 決闘の行方



「これが決闘場かな…何人かがトレーニングをしているぞ。昨日会った3人の戦士もいる」





 ジョセフ

その若い外見とは裏腹に、敏腕の行政官といった特徴が滲み出た男だ。
「ジョセフと申します。ただいま、このジェロームの市長を務めております」




「市長!?市長なのに、こんな事をしているのか!」


 ジョセフ

「この役職としては、少しばかり若く見えるかもしれませんが、このような町では、しばしば行政官として秩序を維持することを頼まれるのです。私は剣とペンとを、等しく使い分けておりますよ」




「さすがに、戦士の町の市長ともなると、肝が据わってるもんだな」


 ジョセフ

「ここは荒々しい町です。戦う男や女にとっては良い町ですね。あなたは、我らの町のスポーツをご覧になりましたか?」




「スポーツって…あんたが今やってる、それのことか?」


 ジョセフ

「ええ、それは決闘です!毎日昼の12時に、町の広場は戦場となります。言葉は悪く聞こえがちですが、実際はトレーニングや運動のような形を取っています。戦士達は、練習用の的のような物を使って練習をしており、ここで自身の技を磨くことができます」




「なんだ、決闘と言っても、本当に生死を賭けたようなものじゃないんだな」


 ジョセフ

「ええと…もちろん、ほとんどの決闘では、流血までで、死にまでは至りません。これは、悪漢やならず者達を押さえ込むのに役立つ訓練なのです」




「スプレリックが挑まれた決闘も、そういったスポーツの類ならばいいんだが、昨日の戦士達を見るに、どうも穏便には済みそうにないんだよな…。市長さん、あんたからも、何とかしてやってくれないか?」


 ジョセフ

「そのスプレリックとかいう男の周囲で起こった出来事や、『ライブラリー・オブ・スカーズ』と決闘をすることついては、私も聞きました。しかし、率直に言って、私の公的なポリシーとしては、そのような個人的な争いには関わらないようにしております」




「ええ!?もしかしたら、彼は本当に殺されてしまうかもしれないんだぞ」


 ジョセフ

「市長として、治安維持者として、私は自身の選択を慎重に行わなくてはなりません。私と、『ライブラリー・オブ・スカーズ』のメンバーとの間には、親交はありません。しかし、彼らは害を受けていますので、正統な訴えができます。私は、この件に関しては公平でなくてはなりません。私が見たところ、スプレリックは、自身で名誉の記章を持ち去っています。もし、あなたが決闘を止めさせたいのであれば、彼に記章を返却させるように説得することが必要ではありませんか」




「まあ、それを言われてしまうと反論できないんだが…しかしなぁ…」


 ジョセフ

「デ・スネルと私は、お互いに良く分かり合っています。彼は彼の立場で、私は私の立場で仕事をしています。互いの立場を危険に晒すことなく、町の治安を守ることは、非常に難しいことです。もし、私が仲裁したら、デ・スネルは私に決闘を挑んでくるでしょう。そして私が殺されたら、この町で彼を制御できる者はいなくなるでしょう」




「デ・スネルってのは、『ライブラリー・オブ・スカーズ』の団長だっけ。そんなに、おっかない奴なのか?」


 ジョセフ

「『ライブラリー・オブ・スカーズ』の団長、デ・スネルは、彼の生徒の戦士達に、多くの戦いをさせたがっています。ある週に、ある出来事のために戦ったとしたら、次の週には反対側の立場で、また戦うでしょう。
デ・スネルは、彼の学校にとってのベストのみを望むと言っていました。もし彼の学校の戦士達が倒されたならば、デ・スネルは彼らを放り捨てて、勝者の方を勧誘し、『ライブラリー・オブ・スカーズ』に加入させるでしょう」




「そんな男の所から名誉の旗をひったくるとは…本当についてない奴だ…」


 ジョセフ

「デ・スネルの元で学びたいと思う戦士達が、ブリタニア中から引き寄せられています。彼らは、手に負えない集団です。あなたも、彼らには近づかない方がいいでしょう」




「さっきの話だと、あんたは個人的にデ・スネルと親しいようだが…」


 ジョセフ

「信じてください、我々は友人同士なので、あまりお互いの領分には立ち入らないのです。そのようにして、我々はお互いを監視し合っているのです。友を近づければ、敵も近づく、ジェロームのことわざですよ。
デ・スネルが私に決闘を挑む、と私は言いましたが、これは、公平で誉れ高い試合というような物を指しているわけではありません。私が暗がりを歩いている時に、彼の取り巻きのゴロツキから、背中にダガーを突き刺される、といった物です。彼は、私を暗殺した事を、いくらか名誉のある決闘のような話に作り変えて話すことでしょう」




「まるでマフィアだな…確かに、あんたがあまり関わり合いたくないのも頷ける」




「あ、そうだ!この町に、エリザベスとエイブラハムというフェローシップの2人組が来なかったか?」


 ジョセフ

「エリザベスとエイブラハム?」
ジョセフは頭を掻いた。

「おお、そうだ!ここへ来たフェローシップのメンバーだ!このジェロームに、支部所を開設しようとしていたのです。私は、彼らに何と言おうか、まだ決心がついていおりません。おそらく、ここに支部所が必要かどうか、会議をして決めることになるでしょう。2人は、数日のうちにブリテインへ戻ると言っていました」




「くそっ!また行き違いか!」


 ジョセフ

「実に多くの論戦が行われました。ある者は、フェローシップは腐敗への道だと言い、またある者は、唯一の真実だと言います。愚か者だと言う人もいます。もちろん、私は市長として、中立を保っております」




「まあ、建前はいい。本当のところは、どうなんだ?」


 ジョセフ

「私の意見を聞きたいのならば、」
彼は君に向かって、自信を持って言った。

「フェローシップは愚か者の集団だという意見に、私は賛成だ」 




「そうか…少なくとも、あんたは信頼できそうだ」


エリザベスとエイブラハムは、再びブリテインに戻ったようだ。
そして、『ライブラリー・オブ・スカーズ』は、想像以上にヤバイ組織であることが分かった。
むしろ決闘で済むのならば、スプレリックは幸運な気がする。





「市長の相手をしてるのは、『ライブラリー・オブ・スカーズ』の奴等ではないみたいだな…」


 クリフティン

戦いの傷跡が付いた、年老いた兵士だ。
「クリフティンだ。若い頃は、すんごくいい兵士だったぜ。今は、ここジェロームで『アーマリー』をやっている」
 



「『アーマリー』って?」


 クリフティン

「あらゆる種類の武器を収集して、売っている。仕事は、いつだって楽しいぜ。まあ、うちの上客はいつも決闘で死んじまうがな!」




「なんだ武器屋か。というか、やっぱ決闘で死者が出てるんじゃねーか…」


 クリフティン

「毎日正午に、町の広場に住民達が集まって喧嘩を始めるんだ。流血沙汰になるか、あるいは死ぬこともある。狂ってやがるぜ!例えば、スプレリックの奴もそうさ」




「そうそう、そのスプレリックの奴なんだがな、何とかならないもんか?あんたの話を聞くに、やはり彼は殺されてしまう気がするよ」


 クリフティン

君はスプレリックから聞いた話を、この老人に話した。
彼は熱心に聞いた。
「そいつを聞くに、どうやらペテン師サリヴァンの仕業だな。奴は伝説の大泥棒で詐欺師で、一度も捕まったことがねえ!」




「伝説の大泥棒だって!?」


 クリフティン

「奴が実在していると信じている人は殆どいねえから、この話で戦士達を説得するのは無理だと思うぜ」




「そんな奴を、決闘が始まるまでに捕まえられるとは思えないな…」


 クリフティン

「スプレリックを殺したがってる奴等を説得するには、名誉の記章を返す他にないぜ!そいつはサリヴァンに持って行かれちまったが、戦士達は、そのことを知らねえ!名誉の記章の複製でも持っていれば、代わりに差し出せるんだがなぁ!」




「どういうことだ…?」


 クリフティン

「俺は若い頃、傷を縫うのが上手かったものさ…フム…多分、俺なら名誉の記章の複製を作れるぜ。紛い物は、奴等の決闘を公式に終わらせるためだけに使うんだぜ」




「作るって…あんたが偽物の旗を作るってのか!?」


 クリフティン

「俺は、戦いが終わるたびに多くの仲間達を縫ったもんさ。今は引退したが、縫物は俺の趣味のような物になっちまった」
彼は少し恥ずかしそうに君を見た。

「そんなに悪いモンじゃねえぜ!」




「ご好意はありがたいが…そんな物で上手くいくものだろうか…?」


 クリフティン

「奴等がもし、本物の名誉の記章じゃないってことに気付いたら、奴等は決してそのことを許しはしないだろう。奴等をバカにしてるってことだからな。名誉の記章が偽物だって言おうものなら、そいつに決闘を挑むことになるだろうさ!」




「そうだよなぁ…偽物を渡すだなんて、下手したら俺が誠実の徳を失いかねないよ」


 クリフティン

「だが、俺達もここで決断しなくちゃならねえぜ。『ライブラリー・オブ・スカーズ』に渡して決闘を静めるために、俺に名誉の記章を作ってほしいかい?」




「うーん…確かに、他に方法が無い!とりあえず作ってくれ!頼む!」


 クリフティン

「では、俺は時間内に仕事を終わらせるため、大忙しで頑張るぜ!何時間か経ったら、また俺の店に来てくれ」




「わかった、よろしく頼んだぞ!」











旗が出来上がるまでに、しばらく時間がかかるようなので、町の西にある洞窟へ入ってみることにした。
かつての、ヘフティマスの洞窟であろうか?










しかし、中に入るなり、ここに住んでいた野盗の戦士が襲ってきた!
完全武装した戦士は、かなりの強敵である。
人数で上回るとは言え、こちらは初期能力、初期装備から大して変化していない。
できれば戦いは避けたかったが、この距離で襲われたら逃げることはできないので、仕方なく戦うことにした。













狭い通路で混戦となったので、グチャグチャで分からなくなったが、何とか死者を出さずに勝利できた。
そして…彼らの持っていた装備品を、戦利品として大量に入手!
チェインメイルやチェインコイフ、そしてハルバードなど、いずれも高価な物ばかりだ。
この洞窟は彼らのねぐらだったようで、すぐに行き止まりになっていたが、奥にあった樽からトリプルクロスボウなども見つかる。
思わぬ所で、一気に装備が整った。
















「いやいや、大漁大漁。これだけの装備を一式店で買ったら、500ゴールド以上はするぞ。真面目に働いて店で買うものではないな」




「さて…そろそろ旗は出来上がったかな?」





 クリフティン

「これが、俺が作った『ライブラリー・オブ・スカーズ』の名誉の記章の偽物だ」




「おお!ありがとうオヤジ!こんな手間仕事をタダでやってくれるなんて、あんたは良い奴だな!」


 クリフティン

「決闘の時間は近づいている。あんたとスプレリックの幸運を祈るぜ!」




「分かった!早いところ、こいつを渡してこよう!」












「いたいた!酒場で食事中のようだ!」


 シリア

「また会ったな、アバタール」




「や…やあ!あんたらが探してる、この旗を持って来たんだ」


 シリア

「臆病者のスプレリックが、あなたに記章を託し、我らの元に返すように頼んだのだな。それを渡してはくれないか」




「もちろんだとも!これで戦う理由もなくなっただろ?」


 シリア

彼女は君から記章を受け取った。
「これで、この事件は決着した。だが、あのスプレリックの虫ケラに、こう伝えておいてくれ。この先、人の財産には近づくな、とな」




「ま…まあ、彼には俺が厳しく言っておくから、君は早くそれを戻して来なさい。じゃ、俺はスプレリックの家に行くとしようかな!」












「…ということで、おまえは助かったんだ。まったく、ヒヤヒヤものだったぞ!」


 スプレリック

君はスプレリックに、問題が解決したことと、どうやって解決したかを話した。
スプレリックは跪き、君の足に口づけをした。
「何とお礼を申し上げてよいか!あなたは、私がお会いした中で最も高貴なる方です!このご恩は一生忘れません!本当にありがとうございます!」




「ふぅ、これにて一件落着かな…」


こうして、哀れな宿屋の亭主スプレリックは、一命を取り留めた。

ちなみに、今回はこのように解決したが、3人の戦士とアバタールが決闘をして解決することもできる。
スプレリックの代理人となったアバタールが、正午に決闘場でトレーニングしている3人の戦士と話すと、その場で決闘となるのだ。
全員に勝てば解決するが、そうすると3人の戦士は死んでしまう。
逆に、アバタールが手を貸さないと、スプレリックは結局決闘で殺されてしまう。
偽物の記章を渡したことは気が引けるが、これが一番平和的な解決方法であろう。







 デュプレ

「あんたが、この町で流血沙汰なしに争いを解決したから、ジェロームは少しの間、落ち着いた町になると思うぜ。まあ、本当にそうなるかも疑わしいが」




「これで、どちらからも恨みを買わずに済んだだろう。そうだ、町を出る前にライブラリー・オブ・スカーズ団長のデ・スネルに会って行くか。彼を慕って国中から戦士が集まるって言われてたからな。いったい、どれほどの人物なのか…」









「やあ、こんにちは」


 デ・スネル

敵意があるようには見えなかったが、彼は君を戦闘の構えで迎えた。

「マスター・デ・スネルと呼ばれております。ここジェロームで、『ライブラリー・オブ・スカーズ』という高名な戦闘学校を運営しております。また、個人的に戦士のトレーニングもしております。見込みがあるようでしたらね」




「スプレリックの件では、迷惑をかけたな。ま、もう済んだことだから、蒸し返すのはお互い止めにしよう、な?」


 デ・スネル

「スプレリックにとっては幸運なことに、名誉の記章は戻ってきました。もし、これが戻らなくては、我々は彼の血でもって、名誉を取り戻すしかなかったでしょう」




「あんたの噂はかねがね聞いているよ…凄い腕前らしいな」


 デ・スネル

「私が独自に発展させた戦闘スタイルを教えています。これによって、敵を完膚なきまでに倒すことができるでしょう。少しばかり、実演して見せましょうか…」




「あ、いや、お構いなく。この学校について、ちょっと聞きに来ただけなんだ」


 デ・スネル

「ここは戦闘の芸術に捧げられた町です。それは、単に奴隷的な軍隊訓練ではなく、純粋なる暴力の対決です。私の心にかなった町ですね。
ライブラリー・オブ・スカーズは、長く誇り高い歴史を持つ、戦士達のエリート学校です。多くの偉大な戦士達が、この塀の中でトレーニングをしています。独自の特殊な武器もあります」




「特殊な武器?どんなのを使ってるんだ?」


 デ・スネル

彼は自身の剣を鞘から抜き、君に見せた。
剣には、精巧なサーペントの模様が彫られていた。
「この彫刻の武器を見たら『ライブラリー・オブ・スカーズ』だと思ってください。これはヘビの印です。素早く攻撃し、静かに死に至らしめる、まさに、我々のようではありませんか!」




「ふーむ、見事だ。サーペントの模様か!」




「サーペント…サーペントの…剣…?見覚えがあるぞ…確か、ミノックで起きた殺人事件の死体の傍に落ちていたダガーが、こんな形をしていた…バックパックに入ってたはずだ」





君は、ミノックの殺人現場で見つけたダガーを取り出した。
サーペントの彫刻は、『ライブラリー・オブ・スカーズ』の物と見事に一致した。


 デ・スネル

デ・スネルは、それを見て、君を振り返った。
驚きを隠せない様子である。
「このダガーを、どこで見つけたんだ?」




「ん…?ああ、これは…」 


 デ・スネル

君はデ・スネルの目を見て、これをミノックの殺人現場で見つけたことを話した。
彼は君を詮索するように見た。

「このダガーは、『ライブラリー・オブ・スカーズ』から数週間前に盗まれたものだ。それ以上のことは知らない」




「……」


 デ・スネル

「ところで…私のトレーニング技術の実演を、ご覧になりましたか?」




「え…?いや、俺はそろそろ行かなくちゃならないんだ。エリザベスとエイブラハムと、また行き違いになりそうだしな」


 デ・スネル

「実演を見ないで出て行くのか!とにかく、これを見ていくんだ!」








「う…うわ!何だ、突然!?」



なんと、デ・スネルは突然襲ってきた!
殺人現場に落ちていたサーペントのダガー…これは彼にとって、知られてはならない物ということか?





「…殺してしまった…」







「だが、これは正当防衛…しかも、こちらには何の非も無いはずだ…」


デ・スネルの遺品には、フェローシップのメダリオンがあった。
この学校でしか使われていないサーペントのダガー、そしてフェローシップのメンバーである団長…これらが意味するところは…。

ちなみに、デ・スネルを殺してしまったことで、ライブラリー・オブ・スカーズの戦士達から恨みを買って襲われるようなことはなかった。
逆に、何の反応も無いのが不気味なくらいだ…。



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