Ultima 7 プレイ記録 17 ジェロームの戦士達

ムーンゲートを使い、ジェロームの町に着いた。
まずは酒場に入ってみる。









「ここは酒場のようだな。じゃあ、いつものように適当に話しかけてみるか…」


 デュプレ

君は親友デュプレの慣れ親しんだ顔を見た。
幾分か年を取ったが、いつものように気さくで上機嫌である。




「うおっ!お前…こんな所に…!」


 デュプレ

「おや、俺が分からないのか?余だ、ロード・ブリティッシュだ!」

彼は笑った。
「友人のデュプレを見ても分からなかったのかい、アバタール?」


 シャミノ

「そうかしこまるなよ、サー・デュプレ。アバタールと最後に会った後、今は騎士になったことを話してやれよ」


 デュプレ

サー・デュプレは、とても照れくさそうだ。
「ええ、はい。私はそのようなものになりました」




「デュプレ!噂は聞いていたぞ!騎士になったらしいが、何で城ではなく、こんな所にいるんだ?」


 デュプレ

「ブリタニア中のあらゆる酒処の研究を実施しているんだ。現時点で道のりの半分といったところだな。だが、アバタール、あんたと一緒に冒険に出るのを妨げるものは、何もないぜ」




「ロクでもねえ…よく騎士を解雇されないな…」


 デュプレ

「アバタール、なにやら妙な老人が、あんたに付き従ってるぞ。こいつの髭は、何だかイオロに似てるな!いや、本当に妙だ」


 イオロ

「酒の飲みすぎで目がボケているようだな、サー・デュプレ」


 デュプレ

「じゃあ、もう少し後で俺を仲間に加えるといいぜ。俺に追いつくチャンスだからな」


 デュプレ

サー・デュプレは鼻で笑った。
「俺が聞いた話では、シャミノはすっかり落ち着いちまって、冒険生活からリタイアしたらしいな」


 シャミノ

「俺にはまだ『種籾』は残ってるぜ、おかげさまでな」


 デュプレ

「ならば、我らが『種まきクラブ』へ再びようこそ、ってやつだな」




「イアナもジュリアも、懐かしいだろう」


 イアナ

「最近騎士になったっていうのに、彼はハンサムで子供っぽい魅力を残したままだわ!」


 デュプレ

「あんたは、『男らしい』魅力と言いたかったんだろ?」


 イアナ

「あら、お許し下さい、騎士さま。あなたの未熟っぽさは、たまに私を混同させてしまいますわ」


 デュプレ

「アバタール、こいつに何とか言ってやってくれないか?」




「ははは、デュプレに会うのが久しぶりで照れているんだろう」



 イアナ

イアナは彼の後ろから、君にウインクした。



 ジュリア

「サー・デュプレ!私達の道は、また交差したわね」


 デュプレ

「ジュリア!もう二度と会えないものかと思っていたぜ!」


 ジュリア

「もう、その心配は無用よ、デュプレ」


 デュプレ

「ようアバタール、ここだけの話、気をつけた方がいいぜ。ジュリアは短気だ」




「そんなことは、200年前から分かってるよ」


 デュプレ

デュプレはスパークを親指で指差した。
「彼も、俺達の仲間に加わったのか?」

彼は君にブツブツ文句を言った。
「あんたは、俺を年老いた気分にさせたいのか、アバタール?」




「実際もうオッサンなんだから、仕方ないだろう。まあ、相変わらずで何よりだ。まずは再開を祝って乾杯でもしよう!」


 デュプレ

「あんたの冒険にまた加わるのは、名誉であり、嬉しくもあるな」


こうして、サー・デュプレが旅の仲間に加わった。
イオロ、シャミノ、デュプレの3人と言えば、ウルティマ6からのお馴染みのメンバーだ。
パーティーも一層明るくなるだろう。



彼は、放蕩の生活をしている割には、なかなかのステータスである。





「ジェロームの町はどうだ?」


 デュプレ

「ジェロームは、昔のブリタニアに、どこかしら似ているんだ。あんたが最後に訪れていた時期さ。もうちょっと血生臭いがね。ジェロームで盛んなスポーツは決闘だぜ。
ここの人々は、あらゆる問題事は、殴るか突き刺すかすれば解決できると、未だに信じているんだ。原始的で、単純な時代を思い起こさせるよ。多分、ここの人々は、現代の問題事から逃げるために、ここで暮らしてるんだろうな」




「昔の面影が残る町か…ブリテインもミノックも、随分と変わってしまったからな」


 デュプレ

「町は今、ここに住む3人の戦士達のことで賑わってるぜ。皆それぞれが、ある男に決闘を申し込んだんだ。挑まれた男の名前はスプレリックだ。
戦士達は、2人の男と1人の女で、彼らの名前は、それぞれ、ティモンズ、ヴォクス、そしてシリアだ」




「へえ、さすが戦士の町。猛々しい奴が多いんだな。そのスプレリックってのは、3人から決闘を挑まれるってことは、余程の戦士なのか?」


 デュプレ

「彼は、人生で一度も剣を握ったことがないんじゃないかと思うぜ。俺はいつも大穴に賭けるんだが、あいつに賭けるほどに無鉄砲じゃないぜ。あの男は戦士ではなく、宿屋の亭主さ!」




「え?なんで、そんな奴が決闘なんかするんだ?」


 デュプレ

「スプレリックの奴に賭けるような向こう見ずは、褒め称えられるぜ!彼は人生で一度の喧嘩もしたことのないような男だ。どうして彼が人から決闘を申し込まれたのかは分からない。こいつは謎だ。
俺は詳しいことは知らないから、直接彼に聞いた方がいい。彼は1時間くらい前に家に帰っちまって、それから出て来ないんだ。きっと、対策を考えて、心休まらない時を過しているに違いないぜ」




「そうか、気になる話だな…。 そのスプレリックという男を探してみるか」











「ここが、その男の家かな」






 スプレリック

痩せこけて、おどおどしている男が、君を恐る恐る見ている。
「うわ!今度は本物のアバタールだ!どうかブたないでください、アバタール!」




「今度は…?確かに、どう見ても戦士には見えんが、あんたがスプレリックさんかい?」


 スプレリック

「はい、ここジェロームで、『バンク&ストール』の経営者をしております。
ここは戦士の町です。彼らは、お互いに血みどろの決闘をしながら暮らしております。ここは私の住む場所ではない、ミノックへ移住するべきだった!」 




「『バンク&ストール』?」


 スプレリック

「この地方の宿屋です。ライブラリー・オブ・スカーズの戦士達が皆飲みにやって来ます。オフェリアとダフネがいなかったら、彼らは毎晩あの場所を破壊していくでしょう」




「ああ、さっきの酒場か。宿屋も兼ねているんだな。オフェリアとダフネってのは、そこの従業員か?」


 スプレリック

「オフェリアは酒場女の1人です。彼女は華麗ですが、単にお客を喜ばせるだけです。お客が荒れてきた時には、ダフネがそれを上手く扱わないといけません。
ダフネは、その…オホン、とても大きい。お客が荒れてきた時に、オフェリアが色香でごまかすことができなければ、ダフネが取っ組み合って薙ぎ倒します」




「オフェリアって女は、ダスタードでユニコーンを探していた冒険者から聞いた女性だな。後で会ってみるか…」




「ところで、ちらっと聞いたんだが、あんたは決闘をするらしいな。ちょっと話を聞かせてくれないか?」


 スプレリック

「長い話ですよ。話し終える前に、多分私は死んでしまうでしょう」




「さすがに、それはないだろ」


 スプレリック

「奇妙な話です。あなたを掻き乱し、混乱させるでしょう。それでも聞きたいですか?」




「いいから話せ」


 スプレリック

「とある夜に、それは始まりました。私はオフェリアとダフネに休暇を与えておりました。その時、宿に旅人が訪れたのです…とても奇妙な旅人でした。
彼は、自らをアバタールだと名乗りました!そして…私は彼を信じたのです。私が、どんなに騙されやすい人かと思われることでしょう!」




「アバタールを名乗る者だと…?」


 スプレリック

「彼の異常さは、その金銭感覚だけでも分かりますよ。彼は、宿の2つの部屋のうち、どちらのベッドが心地良いか自分で決めるために、両方の部屋を借りると記帳したのです。食事に関しても、大食漢でした。彼はまた、フェローシップのメンバーでもありました!」




「(以前にも、偽アバタールの話をどこかで聞いたな…)」


 スプレリック

「その旅人は、名乗ったとおりの者ではなかったのではと、私は思いますよ。全く私は、自分のしでかした恐ろしい選択による犠牲者なのです。
旅人は、メニューにある全ての料理と酒を注文しました。欲するということは、食べるということでしょう。私は何時間もかけて料理しました。しかし、間の悪いことに、彼は眠ってしまったのです。
もちろん、ほとんどの食事は食べずに残されましたよ!私は、それが腐る前に捨ててしまわなくちゃなりませんでした!」




「真に受けて本当に作る方も、どうかと思うがな…」


 スプレリック

「彼は床に就いた後に、寒すぎると文句を言ってきました。私は彼のために次々と毛布を持って行きましたが、それでも不十分でした。結局、彼は宿中の毛布に包まりましたが、それでも寒いというのです!
私は絶望して通りに出ました。その時は夜中で、全ての商店は閉まっていました。私が手にできた物は、壁にかかっていた古いタペストリーだけでした。私はそれを彼に持って行ったのです」




「そんなに寒い夜だったのか」


 スプレリック

「確かに、その時の夜の空気は今も思い出せます。耐えられないほど寒い夜でした。悲しきかな、私は、その旅人から貰えるであろう支払いのことばかりが気にかかり、他の細かいことに気が回らなくなっておりました。ああ、悲しきかな!」




「で、そのタペストリーを、毛布の代わりにするために持ち帰ったと」


 スプレリック

「次に私が思い出すのは、怒った女が私を追って来たことです。いかなる理由があってか、彼女は私を殺そうとしておりました!私は何とかして彼女から逃げ出し、その旅人にタペストリーをかぶせに行きました。そして、ようやく彼は眠りました」




「??なんで突然、そんな女が出てくるんだ…」


 スプレリック

「その怒った女は、以前にも見たことがあります。彼女は、時たま私の店に来ます。しかし不運なことに、これが私達の最初の公式な出会いでした」




「…で、どうなったんだ?」


 スプレリック

「私も眠くなったので、遅くになって眠りました。そして、私がお客を起こしに行った時には、彼は既に居ませんでした。彼は代金を支払わず、毛布も全て持って行ってしまいました。タペストリーさえもです。そして、私が彼を探しに行く前に、来客がありました」




「そいつは無銭宿泊して逃げてしまったということか?」


 スプレリック

「ええ、お話しした通りです。私は騙されることのプロなんですよ。犯罪マスターとでも申しましょうか。今もなお、代表選手ですよ!」




「それで、来客というのは?」


 スプレリック

「それは、昨夜私を追って来た女でした。彼女の名はシリア。私が、ライブラリー・オブ・スカーズの壁にかけてあった名誉の記章を盗んだと言ってきたのです。そして、私がそれを返さないのであれば、死を賭した決闘を挑むと言ってきました。彼女は、私よりも遥かに大きいのですよ!お返しできないということを説明しましたが、彼女は私をブン殴りました。とても痛かったです!」




「なるほど、あんたが前日に壁から持って行ったタペストリーというのが、その名誉の記章だったんだな。うーむ、悲惨だ…」


 スプレリック

「このシリアという女性について申し上げましょう。彼女は怒った時、非常に美しかったのです…。私を殴った時の姿があまりに美しかったので、私の頭の中を彼女の姿が駆け巡りました」




「アホか」


 スプレリック

「その後、私はヴォクスという男に出会いました。彼はライブラリー・オブ・スカーズの戦士です。彼は、私に名誉の記章を返すように言いまして、私は返すことは出来ないと言おうとしたら、殴られました。そして、私に死を賭した決闘を挑んだのです。私がシリアとの決闘を終えた直後に、また決闘をするのです」




「……」


 スプレリック

「ヴォクスが去った後、ティモンズという男に出会いました。彼は、ライブラリー・オブ・スカーズの名誉の記章を返すように言ってきました。返すことは出来ないと彼に話すと、彼もまた死を賭した決闘を挑んできました。私は忙しいと彼に話しましたが、私とヴォクスとの決闘の後に、その挑戦のスケジュールを入れていきました。
ティモンズ、ヴォクス、そしてシリアは、このジェロームでの最も屈強な3人の戦士です。彼らの誰1人にも、立ち向かって生き残れる望みはありません。不思議な客と名誉の記章は、どこにも見つかりません。今や、私の店の酒場女までもが、私が死ぬという方に賭けをしているほどなのです!」




「なるほど、そんな事情があったのか…。哀れと言うか、自業自得と言うか…」


 スプレリック

「私が生き残る唯一の希望は、あのジェロームの獰猛な戦士達に立ち向かう代理人を探すことです」




「その3人の戦士達は、どんな奴なんだ?」


 スプレリック

「ヴォクスは恐れ知らずの戦士で、あらゆる戦闘を、こよなく愛しています。彼には気をつけてください。
シリアは目に見えるほどの悪人ではありません。まあ、あの女は間違いなく癇癪持ちですが。でも、一度彼女と知り合ったら、とても良い人だと思いますよ。このような悲しき状況が無ければ、私達は、お互いをより良く知り合えたでしょうに。
ティモンズは最近ジェロームにやって来ました。彼について、これ以上お話しできることはありません」




「その3人が所属しているのが、『ライブラリー・オブ・スカーズ』ということか」


 スプレリック

「マスター・デ・スネルの運営する、戦士達のクラブです!獰猛で無法者の戦士達にとっての、ブリタニアでの第二の故郷ですね」




「そんな恐ろしい所の記章を持ち去ってしまったとは、つくづく運の無い奴だな…」


 デュプレ

「フーム、俺が思うに、この男はアクが強すぎるんだろうな。あんたは、いや俺達は、何とかしてやらなくちゃならないと思うぜ!」




「そうだな…盗んだのは事実とはいえ、故意にやったわけではないし、何より彼も被害者だからな。よし、俺がその3人を説得してきてやろう!」


 スプレリック

「アバタール、あなたが私の代理人になってくださるのですか?」




「ああ、偽アバタールによる汚名も返上しないといけないしな」


 スプレリック

スプレリックは君の前に跪き、感謝の意を示した。
「アバタール、あなたは私の命を救ってくださるのですね!御礼のしようもありません!」




「よし、そうと決まれば、その3人の戦士に会いに行こう」


スプレリックは、何と言うか、色々と空回りしやすい男のようだ。
本人には悪気はないのだが、何かと人を苛立たせてしまう人物…
こういったのは万国共通なのだろうか…。











「ここが、噂の『ライブラリー・オブ・スカーズ』か。日も暮れているというのに、戦士達がトレーニングをしているぞ」





 ヴォクス

戦士だ。
彼が君に挨拶をすると、その声は雷のように響いた。
「お会いできて光栄です、アバタール!」




「こりゃ、スプレリックには万に一つも勝ち目はないな…」


 ヴォクス

「我が名はヴォクスです、アバタール。山のように大きく、牛のように強く、あなたが戦った相手と同じくらい…いや、それ以上に獰猛です!」




「夜遅くまで特訓とは、ご苦労だな。昼間は仕事をしているのか?」


 ヴォクス

「仕事ですと!アバタールよ、私は田畑を耕したり、野菜を売り歩いたりはしません!この強き腕で金を稼いでいるのです」
彼は屈強な上腕二頭筋を見せつけながら言った。

「今、私はジェロームのデ・スネルの元で、この商売の勉強を続けております。そして、これが完了したら、私の値段は跳ね上がりましょう!
私はここで産まれました!極上の町ではありませんか?いつの時も、いつの日も、何の理由も無しに決闘ができます!これを私は、市民の特権と呼んでおります!」




「そ…そうか…。あんたみたいな人種にとっては、最高の町だろうな…」


 ヴォクス

「そうです、義務ではなく、必需なのです。人の名誉を保ち続けるための対価とは、その人の名誉を守ることです。名誉には、いつ、どこでシミができるか分かりません。例えば、あの愚か者スプレリックのようにです。最適な例えですな!それならば、私が彼の名誉にシミを作ってやりましょう。血のように赤いやつをね!」




「そのスプレリックのことだが…」


 ヴォクス

「あのマヌケ野郎は、我らの名誉の記章を持ち去った時に、見られていたなどとは、思いもしなかったでしょう。したがって、我らの汚された名誉のために決闘をするなどとは、考えてもいなかったでしょう。しかし今、町はこの話題でもちきりです。我らは立ち上がらないわけにはいかないでしょう。しかも、彼は奪った物を返そうとしませんからね」




「その旗は、そんなに大事な物だったのか?」


 ヴォクス

「『ライブラリー・オブ・スカーズ』の名誉の記章に関しては、広くに知れ渡っている伝統があります。壁から記章を取りし者は、この学校で戦いを学ぶ生徒を打ち倒すと言われています。このことで、学校で教える戦闘のメソードが程度の低いものだと言われかねません。『ライブラリー・オブ・スカーズ』は、決してそうではありません!」




「なるほどな…この学校の名誉のためか…。まあ、あんたらの言い分も分かるが、この件は、ちょっとした誤解があってな…」


 ヴォクス

「この出来事は全て誤解だという、たわ言を聞きました。誤解とはただ1つ、スプレリックが我々に倒されるのを見誤ったことです!」




「…ダメだこりゃ。こういうタイプは絶対に説得には応じないな」




「こっちにいるのが、最初にスプレリックに挑んだとかいう女かな?女ならば、説得しやすいかもしれん」


 シリア

彫像のように均整な女戦士が、君の前に立った。
その目は危険を熟知しているかのようだ。
「私はシリア、南から来た戦士だ。今は、傭兵として旅するのを休み、このジェロームで学んでいるところだ。『ライブラリー・オブ・スカーズ』の戦闘トレーナー、デ・スネルの元でね」




「そのデ・スネルってのが、この学校の教師なのか。そんなに凄い男なのか?」


 シリア

「マスター・デ・スネルは純粋な戦闘スタイルを教えてくれる。それは、あなたが過去に学んだ古い修行法の全てを凌駕するものだ。彼は偉大な男だよ」


 ヴォクス

「彼は天才です。かつてなく偉大な軍略家でしょう。彼は我々に、そう話してくださいます!」




「ふーん、一度会ってみたいものだが、今は夜だから不在のようだな。それより、例の決闘のことで、あんたに話があるんだ」


 シリア

「スプレリックが我らの学校の名誉の記章を盗んだことは、疑いもないことだ。彼が決闘を望まないのであれば、それを返すのみだ。
スプレリックが返却をしないのは、彼が我々に対して耐え難い侮辱をしているということの、何よりの証拠だ。だから私も彼に耐え難い侮辱をしよう…彼の心臓を突いてな!」




「い…いや、返したくても返せない事情というものがあってだな…」


 シリア

「スプレリックが名誉の記章を持ち去った時、私が警護をしていた。彼が持って行くのを見たが、夜の暗がりに見失ってしまった。私が泥棒を逃がしてしまった罰は、鞭打ち10回だった。この借りは必ず返す」




「うう…何という強い信念だ…。こうなったら、最後の1人に賭ける!」



 ティモンズ

非常に真面目そうな若者だ。
彼は教養の高い紳士のように振舞った。

「私の名はティモンズです、アバタール。今は仕事はありません。ニューマジンシアに、全てを置いてきました。『ライブラリー・オブ・スカーズ』のマスター・デ・スネルの元で学ぶために、ジェロームへやって来たのです。
スプレリックという男が、『ライブラリー・オブ・スカーズ』の戦士達よりも優れた戦士だと宣言しており、壁にかけられた名誉の記章を奪い去ったと聞きました。だから、私はその男を探し出し、決闘を挑んだのです」




「なんか、ちょっと尾ヒレが付いて伝わってるな…」


 ティモンズ

「ニューマジンシアの港の船乗りが、『ライブラリー・オブ・スカーズ』のことを最初に私に教えてくれました。ブリタニアで最も偉大な戦士ギルドであり、トレーナーのマスター・デ・スネルが完璧な戦闘スタイルを作り上げたということをです。私は直ちに全財産をはたいて、ここへ来ました。しかし、デ・スネルは私を生徒にするのを拒みました。だから、もしも私が、ギルドの者よりも強いと宣言している戦士を倒すことができ、その名誉を回復することを手伝うことができたら、デ・スネルは私の入門を承諾するのではないかと考えています。




「そんな理由で決闘をするのか!この学校の生徒ではないということは、他の2人を止めることもできないだろうな…。うーん、どうしたものか…」



とりあえず夜も更けてきたので、今日の所は探索は切り上げて、町の人と話すのは翌日にすることにした。









次の日…




「…さて、朝食にしようか。ブリテインで買ったパンやパイが沢山あるから、こいつを食べよう」







「あんまりノンビリしてたら、決闘が始まってしまいそうだからな…早く何とかしないといけないな」


 オフェリア

可愛らしい女性が、親しげにニッコリ笑い、恥ずかしそうに目を背けた。




「お姉さん、酒場の人かい?」


 オフェリア

「オフェリアよ。もっぱら、このジェロームの『バンク&ストール』で働いているわ」




「あんたがオフェリアさんか!ふーむ、なるほど…(ジロジロ)」


 オフェリア

「オーナーのスプレリックが、『ライブラリー・オブ・スカーズ』の生徒3人に決闘を挑まれちゃったから、彼は準備に忙しいの。だから私1人で、ここを回してるのよ。まあ…ダフネにも手伝ってもらってるけどさ」




「何か飲み物をくれないか?」


 オフェリア

「そのことは、ダフネに聞いて。私にキッチンの中に入って欲くはないでしょう?」
オフェリアは笑った。




「ダフネというのは?」


 オフェリア

「正直言って、あなたが何で彼女に興味を持つのか分からないわ」
彼女は喉で笑い声を立てた。


 ダフネ

「聞こえたよ、オフェリア!性悪女め!」


 オフェリア

「今はだめよ、ダフネ。落ち着いて、落ち着いて!そうやってマズイ態度で、お客さんを怖がらせて追い出しちゃったらどうするのよ。ただでさえ、マズイ顔なんだから!」


 ダフネ

「この売女!」




「凄いのがいるな…」


 ダフネ

明らかに働きすぎな、不機嫌そうな酒場女だ。
彼女は君にうわべだけの挨拶をした。

「あんた、まだいたの?」
彼女はデュプレに尋ねた。


 デュプレ

「この素敵な酒場の評価が、まだ終わっていないんだ」


 ダフネ

「何だって?あんたは、『ブロマーのブリタニア旅行ガイド』で働いてでもいるのかい?」


 デュプレ

「いえいえ、違いますよ、君。このリサーチは、俺自身で掌握するためにやっているのさ!」




「じゃあダフネさん、何か飲み物をくれよ。今は、あんたがこの酒場を仕切ってるのかい?」


 ダフネ

「簡単なもんさ。この『バンク&ストール』の馬車馬さ。我らの姫様が客を誘惑して、私は料理や掃除や給仕を全部やるのさ。
オーナーのスプレリックが『ライブラリー・オブ・スカーズ』とのいざこざに巻き込まれてから、ここを経営していく人がいなくなっちまったのさ。ああ、肩が凝る!
あのバカは、『ライブラリ・オブ・スカーズ』の名誉の記章を盗んで捕まったのさ!今、そこの生徒3人が、あいつを決闘で殺そうとしてるよ。まったく悲劇だね」




「そりゃ随分と、待遇に差があるな…。オフェリアは、他に何も仕事をしてないのか?」


 ダフネ

「あっちでオフェリア、こっちでオフェリア!毎日、それしか聞かないよ!あんたもオフェリアのことしか話したくないなら、他の人に当たりな!」


 オフェリア

「私が美しいからって嫌わないでね、ダフネ」


 ダフネ

「あんたのことが嫌いなのは、そんな理由じゃないよ!」


 オフェリア

「あら、そう。じゃあ覚えておくわ。あなたが私のことを嫌いなのは、私が美しくて、あなたがそうじゃないからってね!」


 ダフネ

「どうもありがとうよ、アバタール。私の大好きな話題を持って来てくれて」




「(それにしても、性格の悪い娘だなぁ…)あ、そうだ!オフェリア、あんたはコスモという男を覚えているか?あんたのためにユニコーンを探してる男だ」


 オフェリア

「え、誰?…ああ、ここに来て、私をボーっと見てた田舎者ね。気にするほどの人でもないわ。私も気にしてないし」


 ダフネ

「その言い草は何だい!彼は近々あんたの婚約者になるんだろ!しまいには、ここから追い出すよ!あんたと一緒に過してると、いつだって我慢ならないよ!」


 オフェリア

「私に期待しないでよ、愛しのダフネ!婚約には条件を付けてるのよ。コスモには達成出来っこないわ!」


 ダフネ

「あんたには分からないだろうさ!あんたが花嫁姿で、花婿のコスモの隣にいるってのは、素晴らしい光景じゃないか!彼は多分、最後にはあんたをレディにしてくれる男だと思うね!」




「(こりゃ、ユニコーンは見つからない方が幸せかもしれんな…)」




「ところで、『ライブラリー・オブ・スカーズ』の戦士達について、何か知らないか?」


 ダフネ

「ジェロームのファイティングクラブさ。ブリタニア中で、一番タフな戦士達を輩出してるよ。スプレリックは、これまでの人生で一度だって戦ったことなんてないのにね。
そうだ、今度の決闘の賭けを受け付けてるよ。スプレリックが3人の決闘者に負ける方に賭けるかい?」




「勝負の賭けまでしてるのか!ヒドイなぁ…あんたらの主人だろう」


 ダフネ

「スプレリックに賭けたいんだったら、オフェリアに聞いとくれ。でも警告しておくけど、お金をドブに捨てることになるよ!」


 オフェリア

「スプレリックが3人の挑戦者全てを倒すのに、いくら賭ける?」




「オフェリアは、スプレリックが勝つ方に賭けてるのか?」


 オフェリア

「あのスプレリックのことを、私よりも良く知ってる人はいないわ。全然そうは見えないけど、彼はブリタニア全土で超絶最強の戦士かもしれないわ。
彼が『ライブラリー・オブ・スカーズ』の戦士達を倒したら、彼の戦闘スタイルを教える学校を開けると思うわ。戦士の男や女が、スプレリックの生徒になるためにジェロームに集まって、最強の戦闘学校になると思うわ。みんな、私が知ってる彼の秘密を知りたがるはずよ」




「なに!?あの男には、そんな秘められた力があるのか?だったら、俺が助けなくても何とかなるんじゃないか…?」


 オフェリア

オフェリアは、もっと近づくように君を促し、囁いた。

「スプレリックは本物のアバタールなのよ。最近になって私達の元に戻って来たの」
彼女は大真面目に頷いた。




「…じゃあ、そろそろ行くとしようかな…。早く対策を考えないとな…」



哀れなスプレリックは、自分の酒場のバーメイドからも、全然心配されていなかった。
これはやはり、アバタールが手を貸さないことには、決闘で血祭りに上げられてしまうだろう。



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