Ultima 7 プレイ記録 12 動乱の町



「じゃあ、まずは酒場で腹ごしらえをしつつ情報収集だ。やっぱ情報と言えば酒場だろう」







 ルザーフォード

疲れきった様子の男だ。
彼には右腕が無く、もう片方の手で頭を掻きながら君を細目に見た。




「おやじさん、ここの店主かい?何か飲み物をくれないか?」


 ルザーフォード

彼は鋭く咳をした。
「俺ん名はルザーフォードだ。よお来たなぁ」
彼は脂ぎった手を君に差し出し、握られるまで引っ込めなかった。




「う…よろしく…」


 ルザーフォード

「俺は『チェッカード・コルク』酒場の支配人だぁ。ミノックで1番の盛り場だぜ」
彼はカウンターを拭いていた布巾に咳き込んだ。




「あ、やっぱ飲み物はいいや…それより、この町や、製材所の事件について聞かせてくれないか?」


 ルザーフォード

「おうよ、この町は、いつもは死ぬほど静かなんだ。最近まではな!製材所で事件が起こる前は、記念碑のことで賑わってたなぁ。
ここ最近、町中の皆がお互いに争っているが、フェローシップは、町を1つにまとめようとしてるんだ。俺はメンバーでも何でもねえが、彼らがやっている善行は、よく聞いている。貧しい奴に食べ物を恵んだりとかな」




「事件について、何か手がかりとか知らないか?」


 ルザーフォード

「おう、あんたは明らかに殺人鬼のリストから外れるな。あんたが殺人鬼だとしたら、何が起こったかなんて、人に聞くはずねえもんなぁ!だって、もう知ってるはずじゃねーかよ」




「こいつに聞いてもダメかもしれん…片腕が無いから、もしかしたら鉤爪の男かと思ったんだがな…」


 ルザーフォード

「そいつなら知ってるぜ!バッカニアーズ・デンに住んでた海賊だ。その鉤爪は、金と引き換えに殺人を請け負うって言われてるぜ。俺もそうだと思う。そうさ、俺はかつて、その鉤爪と戦ったことがあるんだ。俺は運が良かった。右腕と片目を失っただけで済んだからなぁ。その時から、俺は海賊としての人生を考え直して、今に至るってわけさ」




「なんだと!あんた、そいつを知っているのか!?」


 ルザーフォード

「最近は奴を見かけてねえが、殺人事件の現場の様子からして、おそらく奴の仕業だと思うぜ!」




「なんということだ……と、いうことは、奴の乗っていたクラウンジュエル号が、このミノックに来たということか?」


 ルザーフォード

「その船なら、確か最近、ここに来たぜ。そう、殺人事件の起こった夜だ!何か関係があるのか?ふーむ…」




「関係大アリだ!船着場に行って聞いてみよう。じゃあな、情報ありがとう!」


 ルザーフォード

「また、お目見えしましょうや。……あんたが、俺の見える方の目の前に立ってくれれば、俺にも見えるさ」




「船着場、船着場…」





 オーウェン

高価なシャツを着た、とても真面目そうな若い男だ。




「あ、もしかして、あんたが有名な船大工オーウェンか?」


 オーウェン

「アバタール、私の名はオーウェンです。あなたは将来、この名前を、より一層聞くことになると思います。私はー」
彼は君の目を見て、一切の謙遜をせず話した。

「ミノックの歴史の中で最も偉大な船大工だ。そう、かつてなく偉大な船大工だよ!」




「いや、そんなことはどうでもいいから、クラウンジュエル号について知らないか!?」


 オーウェン

「クラウンジュエル号は、この町に来て、今朝早く出航しましたよ。この後はポウズに行く予定です」




「なんてこった!ということは、鉤爪の男も乗り込んでしまったかもしれないな…」


 オーウェン

「昨夜、片手が鉤爪の男が町をうろついているのを見ましたよ」




「ああ、でも多分、もう町にはいないだろう。一足違いだった……
なあ、他に事件の手がかりは知らないか?」


 オーウェン

彼はゆっくりと首を振った。
「近々、私の記念碑の除幕式があるでしょう。あなたが、この出来事について話すことで、人々は式のことから気をそらされてしまいますよ。なんと悲しいことでしょう!」




「記念碑?ああ、そういえば、あんたの記念碑を建てるとかいう話で、ミノックの町は大騒ぎだったらしいな」


 オーウェン

「殺人事件が起こったにもかかわらず、私はこの町を愛していることに困惑しております。ここは私が産まれた町です。皆、私を愛してくださいます。そして私の名誉の記念碑を建造してくださいます。私には、それだけの価値があると思っていますが、どうしても、いい気になってしまいますね」




「(ずいぶんと驕り高ぶった奴だなぁ…こんな奴の記念碑を建てるのに反対する人がいるのも、頷ける話だ)」


 オーウェン

「私が、どうやってこのように成ったか、ご存知ですか?教えて差し上げましょう!私は、自分の頭の中の声が聞こえるようになったのです!おお、あなたは、私のことを、気が触れていると思うかもしれませんね…」




「…声だと…?」


 オーウェン

「この声は、私の知っている誰の声でもありませんでした。しかし、この声は私に多大な影響を与えました…。
この頭の中から聞こえた声の意味を、経験の無い人に教えるの難しいのですが…― 私は、この声の意味を探っていた時にフェローシップに出会ったのです。彼らは、この声について教えてくれました。
この声は、私の意志の中から、私の人生を正しい方向へ導いてくれる、条理の声でした。フェローシップは、いかにして声を信じて、聞き入れるのかということを教えてくれました。その結果は、私の人生を見てお分かりになると思います!私は業を極め、私が考案した方法を通して、造船技術を進化させました」




「これは、フェローシップの連中の言っていた内なる声…本当に聞くことのできる者がいたとは…しかも、その声で実際に人生を成功させてしまうとはな」


 オーウェン

「私は本を書きました。私の造船の技術による進歩が記述されています。非常に前進的な内容ですが、門外漢でも取っつきやすく書いてあります。写本をお買い求めになりますか?」




「え?唐突だなぁ…じゃあ…一冊貰おうか」


 オーウェン

「もちろん、そうだろうと思いましたよ。こちらになります」








「……といっても、こんなメソードを読んだところで、俺が船を作れるわけじゃないしな。なあ、あんた船は売ってないのか?」


 オーウェン

オーウェンは君を見て、突然狼狽したかのように見えた。
「うん、今は売れる船は持っていないんだ。ちょっとした改良をしているところでね。でも、造船を依頼するのであれば受け付けますよ。私の造る船の権利証は1000ゴールドですが、買いますか?」




「高っ!!そんな金があったら、もっと別の物を買うよ!」


 オーウェン

「そうですか、ええ、分かりました!ブリタニア中探しても、これより良い船は見つかりませんよ!」




「とにかく…事件の手がかりだったクラウンジュエル号と鉤爪の男は、もうミノックにはいない…これ以上、ここに居ても仕方がないな…」


 オーウェン

「私の成功の話に疲れてしまいましたか?そうですか。では、またお会いしましょう」



ミノックの殺人事件も、トリンシックと同様に、鉤爪の男が犯人だと思われる。
既に町を去っている可能性が高いが、とりあえず調査を続けてみることにした…。












「ここは、アーティストギルドって所だな。工芸品が沢山展示してあるぞ」


 シャンティア

明るい瞳と金色の髪の陽気な女性だ。
「こんにちは、私の名前はシャンティアよ」




「やあ、こんにちは。あんたは、何の職人さんなんだい?」


 シャンティア

「私はミノックのアーティストギルドのメンバーなの。燭台を作って売っているわ。
私達は芸術家と職人のギルドよ。地域社会の利益と、芸術の進歩に努めることを目的にしてるわ。また、他の芸術家達みたいに、努力次第で独立することも可能よ。創造力を失うことはないわ」




「燭台…ふーむ…」


 シャンティア

「普通の燭台を作ってるけど、時々、特別な物を作ってほしいという仕事依頼を受けるわ。私はフェローシップに雇われていて、全てのフェローシップのホールに供えてある燭台を作っているのよ。
支部長のエリノーは、私にフェローシップのシンボルの絵を見せてくれたわ。私は、それを元にして燭台をデザインしているのよ」




「フェローシップから、じきじきに製作の依頼を受けているのか」


 シャンティア

「ええ、彼女はリクルーターよ。市長のバーンサイド、ブリタニアン・マイニング・カンパニーの支部長のグレゴール、船大工のオーウェンを勧誘したわ。オーウェンは、もうすぐ有名になるわ。残念ながらね。彼女は、一度も私を勧誘に来たことはないの。ありがたいことね」




「…その燭台のことだがな、もしかしたら……」


 シャンティア

君は、殺人現場で見つけた燭台についてシャンティアに話した。
彼女の目が、見て明らかなほどに見開かれた。
「ええ、私が作った燭台だわ。それが、製材所の殺人現場にあったって言うの?」




「そうだ」


 シャンティア

シャンティアはショックを受けているようだった。
「なんて恐ろしい!何でそこに燭台があったのかなんて、誓って知らないわ!そのことはエリノーに尋ねてみたほうがいいわ!」




「あんたは、殺人事件について、何か知らないのか?」


 シャンティア

「恐ろしい事件よ!私はフレデリコもタニアも個人的に知らないけど、彼らの息子のサーシャには会ったことがあるわ。少しばかり道を誤ってしまったけど、彼はいい子よ。セアラのお客さんとして、アーティストギルドで過したことがあるのよ」




「セアラってのは…そこの若者か」


 セアラ

ハンサムで、創造力のありそうな若者だ。
「セアラと呼ばれております、アバタール。お会いできて嬉しいです」




「あんたも、このギルドの一員なのか?」


 セアラ

「はい、私もメンバーです。他のメンバーはシャンティアとグラドストンです。そこなら、ブリタニアで最高級の工芸品を買えますよ。
私は色々なタイプの置時計や懐中時計を作っています。1秒のずれもなく正確に時を告げますよ。喜んでお売りしたいのですが、私は今、注文が2年分も埋まってしまっているのですよ」




「それは結構なことだな。ところで、殺されたジプシーや、その息子サーシャについて教えてほしいんだが」


 セアラ

「恐ろしいことです。フレデリコとタニアは、彼らの息子サーシャを探していました。彼は逃げ出してフェローシップに加入してしまったのです。彼らに何が起こったのでしょうか?」
セアラは、ゆっくりと首を振った。

「彼とは数週間前に会いました。彼がフェローシップ支部所を探しに町に来た時ですね。私は彼をギルドのホールに泊めてやりました。彼は、フェローシップに加入しようとしていることが彼の父に知れたら、殴られてしまうと言っていましたね。私も彼の言うことを信じて、サーシャの父は冷酷な男なのだと思いました。サーシャは根は良い子で、我らと同じように真実を探し求めていたのです。不幸なことに、彼は間違った場所を見つけてしまったようですが」




「あんたは、フェローシップのメンバーじゃないんだな」


 セアラ

「いえ、私はそのような所のメンバーではありません。しかし、サーシャから基本的な話を何度も聞いたことがあるのを覚えています。私には、それらの話は信じられませんでしたが、サーシャがフェローシップに加入するのを止めませんでした。サーシャは、自分自身のことを決めるには十分な年齢だと思っています。ですが今では、彼に出会った時に家に送り返さなかったことを、心から後悔しています」




「なるほどな…。ところで、オーウェンの記念碑についてだが、このギルドの連中は、賛成なのか?反対なのか?」


 セアラ

「船大工のオーウェンは、独善的な馬鹿者ですね。彼の銅像などは、この町を不快な気分にさせる以外の何でもありませんよ。あのように無意味で、明らかな茶番な物が、我らのギルドを将来危うくするなどとは、私には信じられませんよ」


 シャンティア

「オーウェンとエリノーは、建造にあたって、ギルドからの助力を一切拒んでいるわ!失礼な話よね、そう思わない?」




「なぜ、オーウェンの記念碑でギルドの存続が危うくなるんだ?」


 セアラ

「そのことは、グラドストンに尋ねるのが一番でしょう」




「わかった。じゃあ、そいつにも話を聞いてみるとするよ」


 シャンティア

「さようなら、アバタール。何かお役に立てたなら嬉しいわ」 


 セアラ

「良き日を、アバタール。また、お会いしましょう」




「えーと…この人が、グラドストンかな?」


 グラドストン

ハンサムな職人が、激しく、鋭く凝視している。
グラドストンは君と握手した。
君は、彼の手に彫刻の粘土が付いているのを感じ取った。
彼は君のことをほとんど知らないのであるが、旧友かのように君に接した。

「グラドストンと申します、アバタール。どうぞよろしくお願いします。私はガラス細工職人で、彫刻家でもあります。ほとんど、瓶と器ばかりを造っています。しかし、ゆっくりではありますが、あらゆる種類の彫像も、ガラス細工と同様に造っております。今、お売りできる作品が無いのが残念です。他のアーティストのように、私にも未処理の注文があり、ここ当分は忙しいのです。しかし、私の自信作の展示品が、いくつかギルドのホールに飾ってあります。興味がございましたら、ご覧になってください」




「あんたは、ここのリーダーなのかい?」


 グラドストン

「アーティストギルドは、地域の職人達からなる集団です。自分達の作品を、ここミノックで売っています。メンバーは平等の元に組織されていますが、私は恐れながらギルド長を務めさせていただいております」




「そうか…存続が危ういと聞いたが、どういうことなんだ?」


 グラドストン

「ここミノックでは、アーティストギルドが経済的にやっていけるのに十分な、活発な取引が行われています。しかし最近では、これから長くはやっていけなくなるのではないかという危機感を覚えています。フェローシップやオーウェンの記念碑とは違い、私達には政治力がありません。今起きている別の事件に比べれば、我々を悩ませている出来事などは、さほど重要ではありませんが」




「このギルドは、そんなに経営が苦しいのか?」


 グラドストン

「アーティストギルドは、無慈悲にもブリタニア税金評議会から課税されています。一番売れ行きの良い年であっても、何とかやりくりするのに足掻いています。我々には機会が与えられるに十分な重要性がないと考えられているように思われます」




「あいつら、アバタールからも税金を取ろうとしてた程だからな〜」


 グラドストン

「船大工のオーウェンが、彼自身の銅像を町の中央に建造するように進めています。もちろん、アーティストギルドでは、そのような愚かな事には一切関わらないと決定しております。しかし、この銅像の話が広まって、今ではブリタニア中から注文が来ています。商人たちは、ミノックの『有名な』船大工、オーウェンの造った船を欲しがっているのです」




「この町の経済が活発になるなら、ギルドにとっても良い事なんじゃないのか?」


 グラドストン

「我々が銅像が建造されないようにボイコットしていると、ひどい誤解をされていないか心配です。こういった類の話は、オーウェンの、ある意味で奇妙な伝説を作り上げてしまっています。そのクソッタレな銅像は、まだ建造されていないのにです!しかし、それは私の恐れる最悪の展開ではありません。
銅像が建造されたら、造船の注文は今より更に跳ね上がるでしょう!そして、それは、地域の通商の全てが影響を受けるほどに長くは続きません。オーウェンは、地域の資源を一層買占めるようになり、特に製材所での価格上昇を引き起こすでしょう。それにより、アーティストギルドは破産に追い込まれてしまうのです」




「なるほど…そういう理由か…。元々、あまり収益性の高い事業ではないんだな…芸術とは、そういうものなのかもな……。それこそ、フェローシップは協力してくれないのか?」


 グラドストン

「我々は、彼らとは、あまり良くやっておりません。我々は、非公式にではありますが、フェローシップの敵としてみなされているようです。アーティストギルドのメンバー全てが、エリノーからの加入の誘いを断っているからです。『協力』する気がないから、我らのことを嫌っているのです」




「ふーむ、やはりフェローシップは、メンバー以外には冷淡なようだな…。まあ、この町の事情は良く分かったよ。色々とありがとう」


 グラドストン

「友よ、良き旅を」 


このミノックでは、オーウェンを抱えるフェローシップと、アーティストギルドとが、影ながら対立しているという構図のようだ。
また、殺人現場で見つかったフェローシップの燭台といい、殺されたジプシーのフレデリコとタニアが、息子サーシャをフェローシップから取り戻そうとしていたとことといい、今回の事件も明らかにフェローシップが怪しい。









「そうだ、忘れないうちに、フェローシップの届け物をしておこう。ここがフェローシップの支部所かな?」






 エリノー

上品な振舞いから尊大さが感じられる女性だ。

彼女は肩を正して君の目を見た。
「エリノーと申します。ここミノックのフェローシップ支部で顧問をしてございます。我々は魂の探求者達の集いでございます。高次の可能性や価値の増進、そして我らが兄弟の協力と信頼のために打ち込んでございます」




「あんたがエリノーさんか。女性だったとはな…」


 エリノー

「今、バトリンがあなたを送ったという知らせを思い出しました。お会いできるのを楽しみにしておりました。あなたは荷物を届けに来てくださったはずでございます。さあ、お渡しください」




「ほら、この箱だ」


 エリノー

君は箱をエリノーの前に出した。
彼女の視線は君から箱に移った。
「箱を開けないように指示されたはずですが、もしかして開けてしまわれましたか?」




「いや、開けていない。ちゃんと封がされているだろう(セーブ&ロードして中は確認したけど)」


 エリノー

エリノーは君から箱を受け取った。
「実によくやってくださいました。こちらが、あなたへのお約束のお支払いにございます」




「50ゴールドか…まあ、割といいバイトだったな。ああ、そういえば、ここにエリザベスとエイブラハムという、フェローシップの幹部2人が来なかったか?」


 エリノー

「ちょうど、すれ違いでした!彼らは基金を徴収しに、ここへやって来ましたが、ポウズにある我らのシェルターへ行ってしまわれました」




「こっちもすれ違いか!……ポウズってことは、クラウンジュエル号と同じ行き先だな…」




「まあいい。ところで、ここで起こった殺人事件について、何か知らないか?」


 エリノー

「私達の背後に潜む、この殺人事件の解決に努めなくてはなりません。ミノックは、偉大な船が建造される町として、じきにブリタニア中に知られることになるのです。我らの誉れ高い船大工オーウェンの銅像が、町の中心に建造されようとしています。彼は、この地域の良き技術者で、かけがえのない仲間であり、そしてフェローシップのメンバーでもあります。
命が失われたことには悲しみを感じますが、驚きはいたしません。フレデリコとタニアは、相容れない人間でございました。同じことが、多くのジプシーにも言えます。もちろん、私個人が彼らと敵対していたわけではありませんことですよ」




「……彼らと何かあったのか?」


 エリノー

「フレデリコとタニアは、我々フェローシップのメンバーに対し、まるで私達が病気にでも冒されているかのように接しておりました。特にフレデリコは、私達のメンバーを、しばしば痛めつけておりました。あなたもご存知のとおり、私達が平和主義者であることは、今や共通の認識でございます。フレデリコは、彼の一族の人々からでさえも、冷酷だという評判でございます。彼が、あのような暴力的な最期を迎えたことは、驚くべきことではありません」




「……ところで、こういった形の燭台について知らないか?」


 エリノー

「はい、フェローシップでは、あなたのおっしゃるような燭台の製作をシャンティアに委託してございます。私達の3つの教義を内包したデザインで、Uはユニティ(協力)、Tはトラスト(信頼)、そしてWはワーシネス(報酬)です」




「その燭台なんだが、実は…」


 エリノー

君は、これが殺人現場で見つかったことをエリノーに話した。
エリノーは驚きを示した。
「なぜ、燭台がそこで見つかったかなど、想像もできません。何者かが、フェローシップを巻き込もうとしているに違いありません!」

彼女は、しばらく考えた。
「私が思うに、フレデリコとタニアは、彼らと同じジプシーの人間に殺されたのではないでしょうか。そして、そのジプシー達が、私達を巻き込むために燭台を現場に置いたのではないでしょうか。ジプシーは、僅かな金を得るために自らの母ですら殺すでしょうから!」彼らは町の南東でキャンプをしてございます。製材所の近くです。疑わしいと、お思いになりませんか?」




「そうか…じゃあ、鉤爪の男などは、知らないということか?」


 エリノー

「鉤爪の男?そのような人物は、見かけてございません。はっきり申し上げますが、この支部所に訪ねてきたフェローシップのメンバーには、そのような特徴の人物はございませんでした」




「わかった。最後に、船大工オーウェンについて聞かせてくれ。フェローシップのメンバーらしいな」


 エリノー

「彼こそは、フェローシップによって人生が大きく変わった人間の典型例でございます。彼には信用も無く、商売も二の次でございました。しかし今、彼の工芸は世界で一番と認められようとしてございます」




「フェローシップのおかげってワケか」


 エリノー

「フェローシップはミノックで、とてもよろしく思われてございます。市長でさえもメンバーでございます。私自身が、彼をフェローシップに招いたのでございます。彼は、この支部所での最初のメンバーでございます。ここのフェローシップの幹部であるグレゴールは、ブリタニアン・マイニング・カンパニーを仕切ってございます。多くのフェローシップメンバーが、このミノックを通ってございます」




「よく分かったよ。じゃあ、そろそろ行くとしよう」
 

 エリノー

「また、お会いできるような気がいたします」



このエリノーの証言は明らかに怪しい。
とりあえず、バトリンから頼まれた任務は達成したが、本当にここに加入してしまって良いものだろうか?










「ここは…トレーニングをしてくれる所かな?」





 カレンナ

全身緑色の服を着て、人目を忍んでいるかのような女性だ。
彼女の顔に意地悪な笑みが浮かんだ。
「また会えて嬉しいわ」




「やあ、製材所の前でも、お会いしたね。お名前を聞いてもいいかい?」


 カレンナ

「カレンナ…それ以外の何者でもないわ。人生の教えの全てを見失うことなく学べる、唯一無二のスキルを教えるわ。それはコンバット!1回につき20ゴールドかかるけど、興味はあるかしら?」




「トレーニングもしたいけど、金が無いんだよなぁ…また今度にしておくよ。例の殺人事件について、何か知らないかい?」


 カレンナ

「ショッキングね!こんな事は、普段では起こらないわ。この事件で、自己防衛の知識が価値あるものだと証明されたわね。
ジプシーのリーダー・フレデリコと、その妻タニアは、とても良い人だったわ。私が知っている、彼らの最も悪い行いは、あのイタズラよ」




「イタズラ?」


 カレンナ

「ある日、フレデリコがフェローシップ支部の窓に石を投げつけたの…。ええ、ほんと、愉快な出来事だったわ!」




「相当にフェローシップを嫌ってたみたいだな…」


 カレンナ

「ミノックは、普段は忙しいけど静かな所よ。でも、町はオーウェンの無意味な記念碑のことで困ってて、そして今、この殺人事件よ」




「記念碑ってのは、どんなモノなんだ?」


 カレンナ

「それは30フィートの高さで、我らが船大工が六分儀を天に掲げてる姿のものらしいわ。こんな縁起物が、問題事を引き起こしてるなんて、信じられないでしょ。
この船大工の記念碑は、公正な市民達の間に敵意を増長させるわ。全庶民が、戦闘スキルを身に付けようと強い渇望を抱くほどよ。こんなに商売の景気が良くなることはないわね!」




「(記念碑の内容は、聞いた話が皆食い違ってるぞ…)」


 カレンナ

「町の皆は、このことで武器を持って立ち上がってるわ。でもきっと、この政治的意図について分かってる人はいるはずね。私は気にしないけど」




「そうか…そっちにいる男も、ここのトレーナーなのか?」


 ジェイカー

険しい顔だが親しみやすそうな、軍装をした男だ。
君が彼を見ると、彼も同様に君を事細かに見ているように感じた。

「私はジェイカー、古代ソーサリアの将軍にちなんで名付けられました。ミノックへようこそ。
カレンナと一緒に、戦闘技術のトレーナーをしています。私の専門は、力と戦略です。戦場で、筋肉のみ使って頭を使わない者は、命を落とす危険があります」




「カレンナさんは、奥さんってわけではなさそうだな…」


 ジェイカー

「彼女は荒っぽい戦士ですよ。戦術に関しては視野が狭いと思いますがね。出会ったら、思わず道を避けてしまうほどに魅力的な女性ですよ。私が言っていた事を彼女に言わないでくださいよ、調子に乗ってしまいますから。彼女と同じ屋根の下で過すのは、あまり快適ではありませんね」


 カレンナ

「何をコソコソ話してるんだい?」


 ジェイカー

「何でもない!何でもないって!」
ジェイカーは君に目くばせした。




「なんで、同じ家でトレーナーをやってるんだ?」


 ジェイカー

「ミノックには、トレーニング場が2つあったんだが、1つが雷に打たれて焼けてしまったんです。それで、我々はここに集まって、場所を共有しているのです」




「ふーん…そいつは仲がおよろしいようで…」


 ジェイカー

「彼女は、あらゆる問題事は3つの方法で解決できる、という信条に従う種類の人間のようです。激しく叩く、素早く叩く、あるいは、もっと叩く、ですね」


 カレンナ

「私のことを話してるの?何か聞こえたんだけど!?」


 ジェイカー

「気のせいだよ、カレンナ。なぜ、君の話をしなくちゃならないんだい?」
彼は君に目くばせして含み笑いをした。




「殺人事件と、あとはオーウェンの記念碑について、知ってることを教えてくれないか?」


 ジェイカー

「私が思うに、殺人鬼、あるいは殺人鬼達は、町の外から来た者です。そして、既にここから立ち去っているでしょう。今日に至るまで、この地には人殺しをするような者などいませんでした。多大なる繁栄によって、人々はお互いに対して寛大になっていました。ジプシー達が、ここに住み着いたのも、それが理由です。明らかな動機が見当たらないのが、謎ですね」




「(そうだ…犯人は、おそらく鉤爪の男…この町の者ではない…)」


 ジェイカー

「この町の皆さんと同様に、オーウェンのことは昔から知っています。数年前、彼の建造した3隻の船が沈みました」




「オーウェンの船が沈んだ?3隻もか!?」


 ジェイカー

「我らの町の乱暴者、カールの兄弟が、それによって死にました。沈没の原因は、調査では解明されませんでした。しかし、ある日、オーウェンが密かに自身を責めていることを、私に打ち明けてくれたのです。彼は酒に溺れるようになり、ついにはフェローシップの道に入ってしまいました」




「…そんな事があったのか……」


 ジェイカー

「あなたとお話できて楽しかったですよ」


オーウェンの船は、過去に船舶事故を起こしていたらしい。
このことは、他の町の人も誰も話していなかったが、このカールという男が詳しく知っているのだろうか?



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