Ultima 7 プレイ記録 11 ジプシーの一族

コーブを出て、次は献身の町ミノックを目指す。
道中で、汚染が深刻という話を聞いた、ロック湖を見た。
沿岸にゴミが一杯落ちており、不気味な色の藻も浮いていて、確かに酷い有様であった。
そういえば、ブリテインの養鶏農家マックが、この湖で釣りをしようとして、納屋の鍵を釣り針に使ったとか言っていたが…
このゴミの山を探せば、もしかしたら鍵が見つかるのだろうか?
まあ、今はそんな面倒なことはしないが…。










ミノックに行くには、広大な毒の沼地帯を通らなくてはならなそうだ。
スワンプブーツは1足しかないので、間違って踏み込んだら毒に犯されることになる。
パーティー人数が多く、隊列が横に伸びるので、間違わなくても誰かが踏み込んでしまうことになるが。










ここでプレイ記録9回目にして、初の戦闘となった。相手は沼地に棲息するワニ。
今までは、町で人々と話をしていただけだったので、戦闘はほぼ無かったのだ(実際は、道端でヘビと遭遇したことはあった。一瞬で終わったけど…)。
ゲーム開始から数十時間ほど経過しての初戦闘、色々な意味で規格破りのRPGです。










ようやく沼地を抜けると、ロック湖の北岸に出た。
こちらも汚染が酷く、湖の傍らで鹿が死んでいるなど、とても毒々しい。
ミノックのブリタニア・マイニング・カンパニーという鉱山会社がゴミを垂れ流しているらしいが、これからミノックに行って、この問題が解決するのであろうか?











ミノックへの道のりは長い。
途中、ダンジョンらしきものを見つけたので、ちょっと入ってみることにした。










このダンジョンは鉱山の坑道の1つのようであり、中にはスラッグが巣食っていた。
だが、すぐに行き止まりとなっていたため、特に危険もなく探索は終了する。
そして、隅の部屋に転がっていた骨の傍には、2ハンドソードが落ちていたので、拾っておいた。
この剣はかなり強力なので、ありがたい収穫だ。



  








そして、道中でヘッドレスと戦いつつ、更に先に進んで行く…








「ふう、随分と歩いたな…やっぱミノックは遠い。昔から、あそこへ行くのは不便だったよ…」




「そろそろ休憩に…ん?あれは…」









「この馬車は…もしかして…」


 ジェーギ

カラフルな服を着た、情熱的な目の浅黒いジプシーだ。
あたかも、その両肩に世界をの重荷を背負っているかのようである。

「俺はジェーギ。よろしくな」




「やあ、こんにちは。もしかして、あんた達はジプシーかい?」


 ジェーギ

「俺はジプシーの王だ。我らの民は、この世界でほぼ死に絶えた。俺はリーダーだから、彼らの利益を守る義務がある。もうすぐ、ミノックを去るべきかどうかの決断をする」




「ミノックを…去る…?ここはもう、ミノックの町なのか?」


 ジェーギ

「我々ジプシーは放浪の民だ。だが、我らを歓迎する土地は、どんどん少なくなっていく。我らは、古代ソーサリアの時代から我らの民に向けられる嫌悪による犠牲者なのだ。
我らの民は、ここミノックならば受け入れられると思ってやってきた。ずっと長い間、我らはそう思っていた。だが、この凶悪な殺人事件が起こった。どうやら、再び放浪の時が来たようだ」




「ジプシーに対する迫害か…」


 ジェーギ

「我等は常に、他人からの偏見の対象になっている!我らは、盗賊や悪者などと呼ばれている!だが、我らは音楽を奏で、踊り、平和な生活をする民なのだ。ここの人々は、そのことを理解していると思っていた」





「その…殺人事件ってのは何なんだ?」


 ジェーギ

「フレデリコは俺のただ1人の兄弟だった。そして、フレデリコを救ったタニアを、俺以上に愛した者はいなかった。彼らに何が起こったのかは、話してやりたいが話すことはできない。だが、知りたいのならサーシャと話すといい。今は彼を悼む時だ」




「サーシャ?」


 ジェーギ

「彼はフレデリコとタニアの子供だ。フェローシップを学ぶために、俺達の所から去った。もちろん、この出来事に彼は責任を感じているようだ…。
俺達は、この出来事でサーシャを責めない。彼を罰しないつもりだ。サーシャは、自分達の民と共に暮らすのか、フェローシップに戻るのか、決めなくてはならないだろう。俺は、彼が正しい選択をすると信じている」




「…そのフレデリコって人と、タニアって人が殺されたのか?」


 ジェーギ

「俺の弟フレデリコを、嫌な奴だと思う者もいた。だが彼は、全てのジプシーの規律である、誇りと情熱に生きていただけなんだ。俺達は分かっている。
そしてタニアは、俺が見た中で、最も美しい女性だった。俺と弟は彼女に恋をし、彼女を射止めようとしていた。そして俺は弟に敗れ、残った人生は1人で過すのだろうと思っていた。だが昨年、俺は妻のマーガレタと結婚し、密かに傷ついた俺の心は癒された。
俺の妻は賢い女性だ。未来を見るための何らかの力を持っている。彼女と話してみるといい」




「そうか…まずは、そのサーシャに話してみよう。そこにいる子供かな?」


 サーシャ

ジプシーの少年だ。
フェローシップのメダリオンを身に付けている。
彼はうつむき、とても悲しそうな表情をしている。




「やあ、君がサーシャかい?殺人事件について君に聞けと、そこのおじさんから言われたんだが…」


 サーシャ

「僕の両親、フレデリコとタニアは、殺されました。どうして殺されなくちゃならなかったのかなんて、分かりません」
少年は絞り出すように言った。
そして突然、少年は悲しみに押しつぶされ、喋れなくなってしまった。




「お…おい、大丈夫か?この子の両親が殺されたってのに、この子に話を聞けとは、なんとも酷な…」


 サーシャ

「殺人事件は、ミノックの製材所で起こりました。
僕は両親を悼むため、僕はマーガレタとジェーギの所に戻りました。彼らは、僕がフェローシップに入ったことを責めませんでしたが、僕には分かっています。彼らは僕を冷めた目で見ていることでしょう」




「君はフェローシップに入っていたと聞いたが…」


 サーシャ

「先週、僕はフェローシップの仕事から逃げ出しました」




「そうか…そこのジェーギとマーガレタは、何か言っているのか?」


 サーシャ

「マーガレタはとても聡明で、多くの事を知っています。しかし、僕がフェローシップに加入するか、ここに留まるべきか尋ねた時には、答えてくれませんでした。
ジェーギは父の兄弟です。賢くて良い人です。今は僕達の民のリーダーになりました。彼は、僕達の民にとって正しい事をしてくれるでしょう」




「なるほどな…この子から、これ以上話を聞きだすのは無理そうだ。次は、そこの占師に話してみよう」


 マーガレタ

若く、うっとりとするようなジプシーの女性だ。
聡明で、魂を看過するような目をしている。




「あんたが、マーガレタさんかい?」


 マーガレタ

ジプシーの女は、微かに笑った。
「あなたの未来を教えましょう…」




「占いの前に、そこの亭主が言っていた、殺人事件について教えてくれないか?」


 マーガレタ

「それが起こることは知っていました。フレデリコに警告しましたが、彼は聞き入れませんでした」




「いまいち、因果関係が分からないんだが…そこのサーシャという子供が何かしたのか?」


 マーガレタ

マーガレタは少しの間、沈黙した。
「彼は道を踏み外しました。両親の死によって、彼が過ちに気付いたことは、不幸なことです。
サーシャのように道を踏み外した人々は、本当に大勢います。私には、彼らの未来は見えません。
私が何を言いたいのか、あなたには分かるでしょう……フェローシップ…」




「彼がフェローシップに入ったから事件が起こったということか?何とも分からないが…。そうだ、あんたは未来を占ってくれるんだって?」


 マーガレタ

「未来を見るには20ゴールドいただきます。よろしいですか?」




「けっこう金取るんだな…まあ、いいよ。じゃあ占ってくれ」


 マーガレタ

ジプシーの女は、水晶玉を見つめた。
「神殿の傍に立つ女性が見えます。彼女は、あなたを愛しています。これ以上のことは見えません」




「コーブで出会ったナスターシャのことか?いやー、愛しているとか言われても、困っちゃうな俺」


 マーガレタ

「フム…水晶玉が、非常に霞んでいます…もし、あなたがフェローシップについて、より多くを知り、その本質を見抜きたいのであれば、あなたはフェローシップに加入しなくてはなりません」




「フェローシップに加入か…まあ、元よりそのつもりだったから、一層確信が持てた」


 マーガレタ

「とても不明瞭な…いえ、これは…ブリタニアを脅かす、新たなる悪しき者がいます。あなたは将来、そのことについて、よく考えなくてはならないでしょう。
水晶玉によると、世界のエーテル…魔法を操る物質は、新たなる邪悪の存在によって影響を受けています。
この邪悪は、近い未来に起こる出来事によって、強力な力を得ることになるでしょう。この星に関係する出来事です。このことを知るために、ムーングロウの天文台にいる男を探しなさい。彼は、あなたにとって非常に有用な物を持っているでしょう。近く、この出来事が起こったら、すぐに彼を探すのです」




「ムーングロウの天文台の男ね…覚えておこう」


 マーガレタ

「これは何?見える…見える…あなたは、鉤爪の男を探しています。彼は真の当事者ではありません。しかし、彼を探すのは、あなたの究極的な探求を成し遂げるために、必要なことです」




「鉤爪の男!何となく感じてはいたが、やはり、そいつだけじゃなく黒幕がいるってことだな!」


 マーガレタ

「待って!あなたはタイムロードに謁見しなくてはなりません。彼は苦境にあります。しかし、私はそれが何なのか分かりません。タイムロードは、この新たなる邪悪について詳しく知っています。何としても、彼を見つけ出さなくてはなりません。
タイムロードを見つけるためには、まずユーの森に住むウィスプに会わなくてはなりません。彼らがタイムロードへの最大の手がかりです。エンパス・アビーのモンク僧が、どうやってウィスプとコンタクトを取るかを知っています」「玉が暗くなってしまいました。これ以上は、私には見えません」




「タイムロード!?あのソーサリアの時代のタイムロードのことか!?」


 マーガレタ

マーガレタは君を見上げて言った。
「あなたは、数多くの危険に直面するでしょう。気を付けてください」

こう言って、マーガレタは倒れこみ、目を閉じた。
彼女は明らかに憔悴していた。




「倒れてしまった…」


このマーガレタというジプシーの占師は、よくあるインチキ占師とは違うようだ。
彼女の予言は、非常に重要な情報であることが分かる。
核心は掴めなかったが、少しずつ真実に近づいてきているようだ。
しかし、ミノックで起こった殺人事件とは、いったい何であろうか?









「この先は、もうミノックの町のようだな」








「なんか、やけに人が群がってるぞ……どうしたんだ?」


 カレンナ

全身緑色の服を着て、人目を忍んでいるかのような女性だ。
彼女の顔に意地悪な笑みが浮かんだ。

「こんな時に、変な質問をなさるのね。製材所に死体が2つ転がってるのを知らないの?そして、彼らを殺した犯人は、いまだ不明なのよ?」




「死体…さっきのジプシーが言っていた殺人事件か!製材所というのは、この建物のことか?ちょっと中を覗いてみるか…」




「うわっ!!これは…!!」








「この惨殺死体が、ジプシーの夫妻!?これは…トリンシックで起こった殺人事件と同じ光景だ…!!」




「おい!これは、どういうことなんだ!?詳しく教えてくれ!」


 ウィリアム

非常に困った表情の男だ。




「あんたが、この製材所の管理人か?」


 ウィリアム

「ウィリアムと呼ばれています、アバタール。ここミノックの製材所で働いています。
ここは、この殺人事件が起こるまでは、とても静かな町でした。こんなこと、信じられませんよ。
今朝、私が製材所を開けに行った時に、死体を発見しました。この光景は、私が内なる3つの力やフェローシップの教えで鍛錬して得た平常心の成果を、ことごとく奪い去りましたよ。これは昨夜のうちに起こったはずです。誓いますが、私は何も聞いてはいないですよ!」




「何も知らないか…。あんたはフェローシップのメンバーなのか?」


 ウィリアム

「私はフェローシップのメンバーになってから、まだ日が浅いです。最近になってエリノーのミーティングに出席し始めました。記念碑の建設を始めると言い始めた時からですね」




「記念碑ってのは?」


 ウィリアム

「そうです!船大工オーウェンが大きな船の船首に立っている像を建てるのです。町の皆が、このことを知っていますよ!」




「オーウェン…何度か名前を聞いたことがある…高名な船大工らしいな」


 ウィリアム

「私はユーのキコリが切った木から丸太を入手し、それを製材所で木材にします。そして、私はその木材を売っています。取引先のほとんどは、船大工のオーウェンですね、あとはアーティストギルドです」




「なるほど、よく分かった。ちょっと死体を調べてみるか…」




「引き裂かれた死体の傍には、トリンシックの時と同じく、火の灯った蝋燭と、被害者の血で一杯になったバケツがある…。そして、トリンシックでは見つからなかったが、サーペントのダガーと燭台も置いてある…このダガーが凶器か?」




「これだけの手がかりじゃ、何も分からん。他の住民にも聞き込みをしよう」


 ウィリアム

君の姿が見えなくなると、疲れ果てたウィリアムは顔を手で覆った。




「さて…じゃあ、片っ端から話しかけて情報を聞こう。ちょうど大勢集まっているから、好都合だ」








「ちょっと話を伺いたいんだが……って、あれ?あんたは…!」


 ジュリア

かつて君がブリタニアに訪れた時の冒険の仲間であったジュリアだ。




「ジュリア!?」


 ジュリア

「本当に久しぶりじゃない、アバタール!私よ、ジュリアよ!」




「まだ、この町で暮らしてたのか。いや〜元気そうで何より」


 ジュリア

「あなたが最後にブリタニアに来た時に一緒に冒険をして、それから私はミノックの鍛冶屋になったの。この町の人々のために物を修理しているわ。でも、私の仕事や義務はそんなに重くないから、あなたが望むなら再び仲間に加わるわ。あなたがブリタニアに来た時は、いつも重大な事を修理して、世界を正してくれるからね」




「鍛冶屋ねぇ…。バード → 楽器職人ときて、結局元の鍛冶屋に戻ったのか。それにしても、なんか雰囲気が変わったなぁ…。前はもうちょっと荒々しかったと言うか、男らしかったと言うか…」


 ジュリア

「残りの人生を、鍛冶屋をやって過したいとは本当に思っていないわ。私には、鍛冶屋に必要な忍耐の心がないしね。でも、あなたが思ってるとおり、献身の心は十分に持っているわ!」




「他の皆に会うのも、久し振りだろう」


 ジュリア

「こんにちは、イオロ」


 イオロ

「また会えて嬉しいよ、ジュリア」


 ジュリア

「こんにちは、シャミノ」


 シャミノ

「おお、ジュリア!また俺達の仲間に加わってくれてよかった!」 


 ジュリア

「で、この坊やはどなた?」


 スパーク

「スパークと言います、お嬢様」


 ジュリア

「かわいい子ね!礼儀もわきまえてるわ!」


 スパーク

スパークは恥ずかしがって赤くなった。




「それはそうと、殺人事件だ。殺された2人について、何か知らないか?」


 ジュリア

「フレデリコはジプシーのリーダーで、タニアは彼の妻だったわ。町の郊外で暮らしてたの。彼らのことは、それ以上は知らないわ」




「そうか…」


 ジュリア

「フレデリコとタニアの殺され方は、儀式的な物を髣髴させるものよ。聞いた話では、あなたが駆け回ってるトリンシックの事件や、以前にブリテインで起こった事件に似てるわ。謎めいたミステリーね」




「トリンシック、ブリテインと続いて、ミノックでも…確かに、こうも続くと、他の町でも起こりそうな勢いだな」


 ジュリア

「かつてミノックは、安全で静かな町だったのに…ええ、少なくとも安全だったわ。必ずしも静かではなかったかもしれないけど。特に、オーウェンと彼の記念碑が、動揺の原因ね」




「そのオーウェンの記念碑とやらで、町が動揺しているのか?」


 ジュリア

「オーウェンは、ここの船大工よ。正直言って、彼はバカだと思うわ。フェローシップは、オーウェンの記念碑を建てたがってるの。フェローシップの思想で成功した例として、使うつもりなのよ。そして、地域の経済をひっくり返すほどにオーウェンの仕事も上向きになって、アーティストギルドが仕事にならなくなるわ!」




「??地域経済が潤うなら、いい事だと思うが…」


 ジュリア

「あなたが阻止しなければ、この計画は進んでいくわ」




「まあ、他の人からも話を聞いてみるか…。じゃあ、ジュリア、旅の仲間に加わってくれるか?」


 ジュリア

「ええ…了解よ。でも、去れとは言わないでね!」





こうして、かつての献身の徳の仲間、ジュリアがパーティーに加わった。
ジュリアは、明らかに以前のような荒っぽい口調ではなくなっており、更には、かつてパーティー随一だった力も、かなり低くなっており、なんだか女らしくなっていた。
片手にハンマーを、もう片手にはバナナを持っていたのは、一体どういうワケか。





「あ、製材所の前に集まっていた人が帰っていく!最後に、もう1人くらい話しておこう。おーい、そこの偉そうな人!」


 バーンサイド

威厳ある外見を維持しようと足掻いているような、年を取った男だ。
君の姿を見て、彼は目を見開いた。

「あなたが再びブリタニアに来ていることは聞いておりました。しかし、この目で見て、ようやく信じられました!ようこそ、アバタール!
私の名はバーンサイドです。ミノックの市長です。もう20年以上もやっていますよ」




「おお、市長さんだったのか。ちょっと、詳しいこと聞かせてくれないか?」


 バーンサイド

「フレデリコとタニアは、ミノックの住民ではありませんでしたので、私が市長として出来る事は、衛兵の数を増やすくらいです。調査に関しては、私の管轄の外なのですよ。殺人鬼は、明らかにこの町の者ではなく、おそらく既にここを去っているでしょう。ありがたいことにね」




「…なんだか、やる気のない対応だなぁ…」


 バーンサイド

「この殺人鬼の所業は置いておいて、我らは通商によって町を運営しております。金が回ると、ミノックも回ります。例えば、この記念碑もそうです。
船大工オーウェンの記念碑を建てる計画は、あなたもご存知でしょう。彼は自身で費用を賄っているのです。いつもは私も、このような公共的な虚栄行為には反対するのですが、フェローシップが、これを大変に気に入っていましてね」




「例の記念碑の話か。確かに、いくら個人で賄うとはいえ、公共物として個人の像を建てるってのは、あまり良い趣味とは言えないな」


 バーンサイド

「私が記念碑の建設を許可したら、この町は寂れてしまうでしょう。ですから、もちろん禁止しなくてはなりません。しかし、このような特殊な事例の場合、町に計り知れない好影響を及ぼします。これによって我々の名声は高まり、除幕式にはブリタニア中から人々がやってくることになるでしょう。ええ、ロード・ブリティッシュでさえ御出席されるでしょう!内謁を求める人には、またとない機会です」




「フェローシップが気に入っていると言っていたが、まさか、あなたも…」


 バーンサイド

「おや、あなたはフェローシップのメダリオンを着けていますね。私は、数年前にここに初めてフェローシップの支部が開設された時に、エリノーから貰いましたよ」




「あ、思い出した。ここのフェローシップ支部長のエリノーに、届け物を頼まれていたんだった。色々な事があったから忘れていた」


 バーンサイド

「エリノーは、フェローシップが将来、ここで良い事を成してくれると話してくれました。私はメンバーであることを誇りに思っております。しかし、フェローシップについて、いや、その思想については、まだ無知であることを白状せねばなりませんがね」




「あなたは、その…熱心なフェローシップのメンバーってわけじゃなさそうだな」


 バーンサイド

「私は、フェローシップ支部が最初にミノックに開設された時に、メンバーの名義だけをいただいただけで、正式なミーティングには参加しておりません…失望いたしましたか?」




「いや、まあいいんじゃない?信教は自由だけど、政教分離ってやつは大事だよ、多分」


 バーンサイド

「ありがたや!あなたも同じだと思いますが、私はこのメダリオンを、主に形式的な目的で身に着けています。現在、フェローシップによる支援は、政治的にも賢明な方向に進んでおります。我らの個人的感情は重要ではないのです。




「うん…まあ、そういうものなのかな…」


 バーンサイド

「アバタール、私の秘密を打ち明けてもよろしいか?」




「な…なんだ?かしこまって…」


 バーンサイド

「アバタール、あなたに告白しなくてはなりません。私には、フェローシップの推進する思想は疑わしく、そのメンバーの多くには、愚かな者や意思の薄弱な者が含まれているように思えるのです」




「(この市長…何となく、本質に気付いているようだな…。だが結局、事なかれ主義を取って、フェローシップの言いなりになっているようでもある…)」




「分かった、どうもありがとう。俺たちは、もう少し事件の調査をしていくよ」


驚いたことに、ミノックでも、トリンシック、ブリテインと同様の奇怪な殺人事件が起こった。
それぞれの事件の影にはフェローシップの存在がちらついている。
彼らが、犯人、あるいは、犯人と非常に近い位置にあることは間違いなさそうだ。
しかし、その証拠が、この町で掴めるのだろうか?



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