Ultima 7 プレイ記録 03 フェローシップの光と影

まずは殺人事件の手がかりであるクラウン・ジュエル号を追ってブリテインへ行くことにした。
ロード・ブリティッシュにも会っておいた方が良いだろう。
トリンシックから北に伸びる道は、おそらくブリテインまで続いていると思われる。
昔と比べて道路もかなり整備されているから、迷うこともなさそうだ。




「お??あんな所に小屋が立ってるぞ?」






「ベンチまで用意されてる…これは見世物小屋か何かかな?ちょっと聞いてみよう」


ポール

若い役者が君に返事した。
「はい?」




「こんな所で何をしてるんだ?」


ポール

「フェローシップの情熱劇を演じています。観賞料金は、お1人様2ゴールドです。ご覧になりたいのでしたら、おっしゃってください」




「またフェローシップか…情熱劇ってのは何だ?」


ポール

「情熱劇とは、道徳的な物語の演劇ですよ」




「ふーん、あんたら3人で演劇をやってるのか……」


ポール

「私はポールと言います。仲間はメリルとダスティンです。情熱劇を見ていきますか?」




「まあ、せっかくだから見ていこうかな。2ゴールドなら、そんなに高くないし」


ポール

ポールはゴールドを受け取った。
「ありがとうございます。それでは、おくつろぎください。はじまりますよ」




「じゃあ、イオロ、スパーク、ちょっと休憩して劇を見ていこう」
役者達が持ち場に着いて仮面を被ると、君は劇を見るために席に着いた。


スパーク

スパークが君に囁く。
「リンゴ飴が食べたいな!出店があればなぁ…」


ポール

音楽がかかり、ポールが舞台中央にやってきて、観客に挨拶をした。

「ようこそ、我らが物語、人生の真実の物語へ。これは、とある男が妻を失った悲劇の物語。
ですが、悲しみはいりません、ここにはフェローシップがあります。内なる3つの力によって、恐れることはありません。


ダスティン

ダスティンが舞台に立ち、ポールが退場した。
メリルは彼の前に横たわり、死んだようなポーズをした。

「破滅なり!絶望なり!死なり!我が最愛の妻は死んだ!病が彼女を連れ去り、悲しみの歌が残った!」
ダスティンは頭を抱え、すすり泣く仕草をした。


メリル

彼が泣いていると、メリルが幽霊のような格好で死体から起き上がり、ダスティンに話した。
「我が愛する夫よ!絶望しないでくださいませ!これは破滅ではありません!憂鬱と絶望より立ち上がるのです!」


ダスティン

「誰が語りかけているのだ?彼女であろうか?それとも、我が心は狂ってしまったのか?しかし、こんなことを出来るのは、誰であるのか?」


メリル

「夫よ、聞きなさい。落ち着いて気を確かにするのです。そして、あなたを救う者を探し出しなさい。
それは…フェローシップ!」
メリルが舞台から退場し、ダスティンが1人残った。


ダスティン

「フェローシップと言ったのか?だが、そこで何を求めよと言うのだ?私には8つの徳とヒーラー達がいる。他に必要なものはない!」


ポール

ポールがメリルを連れて舞台に上がった。
先ほどとは違うマスクを着けている。
「それは間違いだ!フェローシップは、汝を助けるために存在する!内なる3つの力が汝に協力の心を与えるのだ!
今こそ、我らの仲間に加わるのだ。君の兄弟の計画に加わるのだ。我らの教義にて精進し、より良き人間となるのだ」

ここで、ダスティンがフェローシップに加わり、ポールが扮する『支部長』からメダリオンを授かり、メリルから歓迎を受けた過程が、順番に精巧に演じられた。


ポール

「常に協力に努めよ、兄弟を信じよ、報酬は後から来る、我らの言葉を聞くのだ、これらは確かな事なり!」


ダスティン

「私は財産の半分を寄進しましょう!これは投資です、そして待ちましょう!いつの日か、私を悲惨な運命から解き放つ報酬がやって来るでしょう!」
ダスティンはポールにお金を渡す仕草をした。そしてポールが退場し、ダスティンは舞台に寝転がって眠る仕草をした。


メリル

しばらく後、メリルが舞台に上り、ダスティンの周囲でダンスをし、彼の上に何やら輝く粉を振り撒いた。


イオロ

イオロが囁いた。
「この視覚効果だけはいいな。だが、台本がちょっとばかり弱いと思わないかい?」


ダスティン

メリルが舞台を去り、ダスティンが起きた。
彼が眠っていた場所の傍にバッグが置いてある。
彼がそれを開けてみると、中にはゴールドの包みが入っていた!

「ロード・ブリティッシュの名に宣言しよう!これこそ我が報酬だ!天からの贈り物だ!
昨晩聞いた、もう悲惨な人生を気にかけなくてもよいという声は真実であった!」
夢の中に、その声は現れた。それは我が内なる声に違いない。今や私は、仲間と支援者、そして主を得たのだ!」

俳優の言った『仲間』『支援者』そして『主』という言葉が、君の耳にさわった。
以前に、この言葉を聞いたことがある。


イオロ
「実に酷いもんだ」



ポールとメリルが舞台でダスティンに加わり、全員が手を繋いだ。

「フェローシップは、あなたに目的をもたらします。加わることがただ1つの選択。我らに委ねましょう。そして、あなたの内なる声を探しましょう」

そして、俳優達がお辞儀をした。
これでお終いのようだ。
君は彼らに拍手を送った。


イオロ

「声とは何のことだったんだ?全然分からなかったぞ。
こんなややこしい劇は、俺は好みじゃないな。時間と金を無駄にした。
あんた好みの娯楽に付き合わされるのは、これで最後にしてくれよ!」



「お…俺に文句を言うなよ。だが、確かにヒドイ演劇だったな…。
こんなのに騙されるような、おめでたい人がいるんだろうか…」


しかし、劇中に出てきた「仲間」、「支援者」、「主」というセリフ…
これは、オープニングで赤い顔が言っていたものと同じ言葉だ。
スパークも赤い顔の夢を見たと言っていたが、フェローシップと何か関係があるのだろうか?




「この先は毒の沼地が広がってるぞ。こりゃ凄いな…!」




イオロ

「スワンプブーツが必要だな」




「俺はトリンシックで買ったのを履いてるから大丈夫だが、お前らは沼地に踏み込まないように注意しろよ。
回復魔法も解毒のポーションも持ってないから、毒に冒されたら死ぬぞ」










「ふう、ようやく沼地を抜けたか…」


スパーク

「食べ物の匂いがする!」




「この建物は酒場か食堂かな?ということは、どうやらブリテインの途中のポウズの村に到着したみたいだな」







「じゃあ、中でちょっと休んでいこうか。ごめんくださーい」


ポリー

町のバーテンダーだ。
彼女は非常に忙しそうであったが、仕事に誇りを持っているようであった。
「何か御用ですか?」




「えーと、ここは酒場かい?」


ポリー

「ここはポウズで一番の飲食所、『ソルティー・ドッグ』よ。
私はポリーと申します。ここのオーナー兼経営者よ」




「よかった。やっぱりポウズに着いたみたいだな」


ポリー

「実際、ポウズには他に宿屋も酒場もありませんけどね。
でも、正直言って小さな町ですが、ここは食事もお酒も、とっても美味しいわ」




「そうだな、さっきからイオロが腹減ったってボヤいてることだし、何か食べ物を買っていくか」


ポリー

「干し肉、ブドウ、パン、チーズ、はちみつ酒、ワイン、エールをお出しできます」




「じゃあ……ブドウにするか。1ゴールドで安いし。あとエールもお願い」




「さあ、みんな、今日の昼飯だ。うんと食べて栄養をつけるんだぞ」


 




「……」




「ポウズは、相変わらず小さな村みたいだな。最近はどんな感じなんだい?」


ポリー

「この町には泥棒がいます!屠殺場を営んでいるモーフィンの所で、シルバーサーペントの毒液が盗まれたのです」




「泥棒だって!?」


ポリー

「モーフィンは、とっても敏腕で成功した商売人で、フェローシップのメンバーでもあるわ。
でも、自分の母親でさえ売りかねないような人だと思えてしまって…。
少し不思議なのは、どうして泥棒は彼の所から盗んだのかしら?」




「ふーむ…何やら気になる話だな。
じゃあ食事も済んだことだし、ちょっと村を散策してみるか」


ポリー

「ごきげんよう、アバタール」




「さて…では、その屠殺場ってのを探してみるか……。
……って、すぐ隣の建物じゃないか」


 


モーフィン

唇を歪めて、うっすらと笑みを浮かべた男が、目をゆっくりと後ろに見やった。
彼は君の元へ歩いてきた。
「おお、この町に旅人がやってきたか!」

彼は、くすくすと笑いながら言った。
「おかしな格好だな!あんた誰だい?」




「アバタールという者だ」


モーフィン

「なるほど、アバタール。何か用かい?」




「あんたが、この屠殺場のモーフィンさんかい?」


モーフィン

「ああ、俺はモーフィンという名だ。ポウズで一番繁盛してる商売人だ。屠殺場もやっている」




「食事処の隣に屠殺場があるってのは、正直どうかと思うが…まあ、いいや」


モーフィン

「この臭いのことかい?だとしたら、すまないね」
彼は肩をすくめて笑い、拳を上げた。
「これは成功の香りだと思ってるんだ。お望みなら、肉を売るぜ」




「いや、さっき食事を済ませたばかりだから、まだいいや。
あんた商売人って言ってたけど、いったい何を売ってるんだ?やってるのは屠殺場だけじゃないのか?」


モーフィン

「あんな物やこんな物も、需要がある所には、どこにだって売るぜ。供給してやるさ。
例えば、とある地域では、シルバーサーペントの毒液の需要が非常にあるんだ。
シルバーサーペントの毒液は時々だが、少しだけストックしている。ブリタニアの薬剤師に売れば、ちょっとした儲けになるぜ。
政府は、こいつの危険な効用が判明するまで、販売量を規制しているんだ」




「需要と供給か…何だか、こんなポウズの農村で聞くような言葉じゃないな」


モーフィン

「俺の商売は、ブリテインに移った方が上手くいくと思うんだ。だが、ここの方が物価が安い。もちろん、泥棒には注意しなくちゃならないが。
ここに住む人々について知りたかったら、フェローシップのシェルターを経営しているフェリドウィンとブリタの夫婦に聞くといい」 




「ああ、そういえば、そのシルバーサーペントの毒液ってのを盗まれたって聞いたけど、詳しく教えてくれないか?」


モーフィン

「恐ろしい犯罪だ。金銭的被害は、決して少なくない。
この周囲のコミュニティーで、同様に所有物が盗まれるかもしれない、という心配も起こってしまった。
あんたの慎ましやかな心が、この事件の調査をしてくれないかと期待してるんだが…ひとつどうだい?」




「ああ、もちろん協力するよ。俺はアバタールだしな」


モーフィン

「では、俺も全面的に協力しよう、アバタール」
彼はお辞儀をした。




「で、その…シルバーサーペントの毒液ってのは、いったい何なんだ?」


モーフィン

「広く知られるところでは、そいつを少量を摂取すれば、身体の筋力やスタミナ、俊敏性を増強し、強い高揚感を得られる。
だが効果が切れると、すっかり干上がっちまったような感覚になる。そして、一度使ったら再び摂取したくなるような傾向にあるようだ。
長期間使用を続けると肌が荒廃して、最後には腐っちまう。しまいに、大量摂取もしくは大量に蓄積すると、命にかかわる。
なぜなら、これは猛毒だからな。こいつは、他の方法では治らないような、特別な治療の際に用いるのがいいだろう。
だが、使用した人には、どうしても副作用は生じる」




「そんな薬が大量に盗まれたとあっては、大変なことになりかねんな。
とりあえず、俺は村の人々に話を聞いて手がかりを探してみることにするよ」



盗まれたシルバーサーペントの毒液とは、まるで麻薬や覚醒剤といったような薬であった。
小さな村の泥棒事件と思っていたが、思いのほか危険な事態である。
とりあえず、事件の全貌を知るべく、村中の人に話を聞いてみることにした。





「彼らは……物乞いか」






「なあ、ちょっと話を聞きたいんだが、いいか?」


フェン

その顔を見ても、笑っているのか泣いているのか分からないような乞食だ。
「フェンと申します、アバタール」


コモル

松葉杖をついている乞食だ。
彼の目は険しく、ダイヤモンドのように輝いている。
「コモルと申します」 




「君らは、その…物乞いをしているのか?」


コモル

「ダンサーですよ、アバタール」
彼は真っ直ぐ立てず、松葉杖に寄りかかっていた。


フェン

「ハハハハハ!真っ盛りだな、コモル!」


フェン

「かつて栄えていた時は、俺は農夫だった。コモルとメリックと一緒に働いていたものだったよ」


コモル

「ずっと乞食をしていたわけではありません。フェンとメリックのように、私も農夫でした。しかし時代が悪くなった。そして、ポウズの景気はずっと悪いままだ」 




「君達は友人同士なのか?」


コモル

「フェンと私は、死ぬまで親友同士です。我々は、お互いに財産の大部分を共有しているのです」


フェン

「ハハハハハ!そんだけウィットに富んでれば、舞台に上がれるぜ!」


コモル

「フェンと私は、小さい頃からの友人なのです。我々が、このままで終わると思わないでいただきたいものです。なあ、フェン?」


フェン

「俺には、そんな壮大な野望は持てないぜ、コモル」




「そうか…さっき話に出てきたメリックってのも、友人なのかい?」


フェン

「メリックはフェローシップに加わって、奴等のシェルターで暮らしている。落ちぶれた奴だよ」


コモル

「彼は高貴なる腐れタマゴですよ。彼は我々に背を向け、今や毎晩、暖かく居心地の良いベッドで過しています。
かつて我らが持っていたのよりも、良い具合の物ですよ」




「ここにもフェローシップの支部があるのか」


フェン

「フェローシップが、本当に人々を助けることを目的としているなら、俺達が奴等に加わらないからといって、なぜ俺達を飢えたままにしておくんだ?
奴等は、答えやしねえ!」 


コモル

「我々も加入はできました。しかし、奴等は非常にむかつきます。あのように汚らわしく善良な振る舞いをする者は、決して良い者ではありません。
たとえ長生きできるとしても、我らにも妥協できないものがあります」




「シェルターってのは何だい?」


コモル

「シェルター?媚びへつらった偽善で満たされた、大きな建物ですよ。探すには苦労しないと思いますよ!」


フェン

「ヘッ!あんたが、そこで暮らしたいとか思うようなしみったれなら、コモルや俺と一緒にいるより、そこの曲がり角へ行った方がいいぜ!
景気が悪い時だって、世の中には少しは親切が残ってるもんさ。乞食は誇らしい職業なんかじゃないが、中には、もっと悪いもんがある。
少なくとも、俺達はメリックのような事はしたくないね。あいつはフェローシップのために勧誘をしている」


コモル

「メリックは、フェローシップの経営するシェルターで寝泊りしています。餌付けもしていますね。あいつは、助けられる前からフェローシップへ加入すべきでしたよ。
この惨めな境遇よりも酷いのは、メリックが我らの周りを嗅ぎ回って、勧誘しようとしていることです!あの汚らわしい寄生虫めが!」 




「なるほど、シェルターってのは救貧院のようなものか。しかし、ひどい言い様だな……。
君らも路上生活者なんだから、いつまでも意地を張れるものでもないだろう」


フェン

「心配するな、俺達は飢えてはいない。カミルが、彼女の息子トビアスに食べ物や服を持たせて、頻繁に俺達に送ってくれるんだ。
カミルは素晴らしい女性だ。彼女は、酪農場の隣の農園で暮らしている」




「そうか、他にも親切な人がいるんだな。カミルとトビアスか…後で会いに行ってみるか」


フェン

「彼はいい子だよ。いつも俺達に手を差し伸べてくれる。クソ餓鬼のギャリットとは大違いだ」




「ギャリット?」


フェン

「シェルターを経営しているフェリドウィンとブリタの息子だ。ギャリットは、俺達を避けるかのように道を歩くんだ」


コモル

「ああいうのには、私達の所には来てほしくないものですね」




「分かった。色々ありがとう。じゃあ、少ないけど、この2ゴールドを取っておいてくれ」


コモル

「ありがとうございます、アバタール」


ここにはフェローシップの救貧院があるようだが、あまり評判が良くないようだ。
後で、そちらの様子も見に行かないとならなそうだが、とりあえずは、この乞食の言っていたカミルという女性に会いに行くことにした。





「さっきの乞食から聞いた話だと、ここがカミルという女性の家と農園みたいだが……」






「ん?外の農園に子供がいるぞ。おーい、ここの家の子か?」


トビアス

ふくれっ面をした子供だ。
君と目を合わせようともしない。

「何か用?別のアバタールさん」
彼はボソボソと小声でつぶやいた。




「別の…? まあいい、君がトビアス君か?」


トビアス

「僕はトビアス。あなたは、何だか偉い人のような気がする」




「うむ、少年よ、それは正しい直感だ」


トビアス

「あなたは本当にアバタールなの?」




「なに?うーん、それは…
(これは難しい質問だ……イエスと答えれば謙譲心を損なうことになるし、ノーと答えれば嘘をつくことになる。どう答えたものか…)」




「(ここは子供の心を傷つけないように…)そう、私こそがアバタールだ」


トビアス

「あんたはアバタールじゃないな!」
トビアスは顔をしかめた。




「な!!聖者の気苦労も知らないで…!」
まあいい……君は、ここで何をしてるんだ?」


トビアス

「僕は幼すぎるから仕事には就いていない。今は農場で母さんの手伝いをしてる」




「ほう、若いのに感心だな」


トビアス

「母さんはカミルって名前さ。あなたの事を話してたよ。いや、アバタールの事を話してたって言った方がいいかな。
母さんはいまだに8つの徳を信じてるから、町では母さんのことを変人扱いしてる人がいるよ」




「8徳の教えは、もう時代遅れになってしまったのか…」


トビアス

「僕が幼かった頃、母さんが献身の神殿へ連れて行ってくれたことがあったんだ。
父さんが死んですぐのことだったから、僕はあんまり詳しくは覚えてないんだ。母さんも昔のことは話してくれないから、そこだったかは分からない。
この町にはフェローシップの連中が多いから、話したくないんだと思う。そのことは、母さんも悲しんでいるよ」




「フェローシップってのは、そんなに勢力を広げてるんだな」


トビアス

彼は君の目を見た。
「僕はフェローシップは嫌いだ!この町で僕と同じくらいの年なのは、ロクでなしのギャリットだけさ。あいつは、その話しかしない!あいつは、いつも母さんを加入させようと説得してくるんだ。
誰だって貧乏で飢えたくないってことを、あの汚らわしいフェローシップの奴等は知ってるんだ。
奴等はこう言うよ。あのシェルターではフェローシップのメンバーしか助けられないから、加入しろって。
僕らがそこで暮らしたかったら、他のフェローシップのメンバー達みたいに、自らを変えなくちゃならないんだ」




「ギャリットってのは、さっきの乞食からも聞いたな」


トビアス

「あいつは、この町でただ1人の、僕と同じくらいの年の子供なんだ。
あいつの親は、あいつを僕と一緒に遊ばせたくないんだ。僕らのような人種は、あいつの教育だか何だかに良くないって考えてるからね。
僕じゃあ、あのクソガキには対抗できないよ。それに、あいつの演奏する騒々しいパンパイプは嫌いなんだ!」




「ふーむ、なるほどね…
む、あそこで畑仕事をしてるのが、この子の母親かな?」






カミル

農民の女だ。
彼女は泥だらけの、労働の跡が刻まれた手をさすった。
「夢が現実となりました…あなたはアバタールではありませんか?ああ、すぐに分かりました!」




「いかにも。あなたがカミルさんかい?」


カミル

「カミルと申します、アバタール。あなたにお会いできて光栄です。
息子のトビアスと一緒に、このポウズで小さな農場を経営しております。私は未亡人なんです」




「やはり、さっきの無愛想な子供の母親か」


カミル

「息子は、根は良い子なんです。父親を失って、一生懸命働いています」 




「子供が手伝ったとしても、女手一つで農作業は大変だろうな……」


カミル

「このポウズでの生活は厳しいものです。ここは、貧困がもたらした病に冒された人々の町です。
少なからず、フェローシップはいくらかの救済となっています」




「そうだな、この村には物乞いもいたし、ちゃんとした社会福祉は必要だと思うぞ」


カミル

「フェローシップを信じてよいものか、私には分かりません。
疑いなく、世の中のためになることをしていますし、全てが悪いわけではありません。
少なくとも、そこにいる人達全員が悪いなんてことはありません」




「あんたはフェローシップのメンバーじゃないのか?」


カミル

「フェリドウィンは、私がフェローシップを信じていないことを知っているので、個人的に私を敵対視しています。
何故だかは分かりませんが、彼は私の息子を通して私を勧誘しようとしています。しかし、そんなことをしても、上手くいきませんよ」 




「そうか…まあ信教の自由ってのがあるしな…(この国にはあるのか知らんが)。
仕事の方は順調かい?」


カミル

「少々の作物を育てております。特にニンジンと小麦ですね。
うちのニンジンは、とっても美味しいですよ。いくらかお買いになりますか?3本で、たったの3ゴールドです」




「じゃあ、3本買っていこうかな」


カミル

「お気に召すと思いますわ」




「どうも。では、そろそろ、おいとまを…」


カミル

「ああ、思い出しました!今日、この包みを水車小屋に届けなくてはならないのでした!
……もし私の代わりに届けていただけるのでしたら、水車小屋のサーストンから御礼をいただけると思いますが、お手伝いくださいませんか?」




「小麦袋か。じゃあ、この後に水車小屋に寄ってみるから、ついでに持っていくよ」


カミル

「お気をつけて、これを水車小屋のオーナーのサーストンに届けてください。彼から労賃をいただけると思いますわ」







「けっこう重いな…これを持ち運ぶのは大変だろう」












「ふう…ここが水車小屋か。おーい、あんたが、ここの主人か?」


サーストン

きつい仕事で汗だくの男だ。
「サーストンだ。ここポウズで、水車を動かしている」




「ほら、この小麦袋をカミルから頼まれたんだ」


サーストン

君はサーストンに袋を渡した。
彼が袋を開けて中に手を入れると、手は小麦まみれになった。
彼はそれを指で振り払って言った。

「カミルは普段、農場の仕事でとても忙しいんだ。配達してくれて、ありがとう。
これは、あんたの足労の埋め合わせだ」
彼は君に10ゴールドを手渡した。




「お、サンキュー! こんなにくれるだなんて、最近は景気がいいのかい?」


サーストン

「あんたは気付いていないかもしれないが、ここに住んでいる人々は、ブリテインに住んでいる隣人達のように裕福ではない。
最近は、泥棒すら現れた」




「泥棒…そういや、手がかりを探してるんだったな。シルバーサーペントの毒液について、何か知らないか?」


サーストン

「かつて、ガーゴイル達が常用していたと聞く。人間にはどんな効用があるかは知らん。多分、モーフィンなら教えてくれるだろう」




「そうか…あの効能は、あまり一般的には知られていないんだな……。
じゃあ、フェローシップについて、何か教えてくれないか?」


サーストン

「彼らは、この町で良い仕事をしていると思う。だが、何かが気に入らないんだ」

彼は君のフェローシップのメダリオンに気付き、慌てて咳き込んだ。
「悪気はなかったんだ、アバタール」




「ん?このメダリオンか…。こいつは、まあ気にしないでくれ……。
ところで、この仕事は、もう長いのかい?」


サーストン

「この地域の経済は、水車の粉引きに依存している。だから、俺は水車を動かしているのさ。
時々、こいつの舵を回すことだけが、俺の生きる唯一の理由だと思う時があるよ。
俺には妻も家族もいない。フェローシップに入ることも考えたが、それは止めた。
これから先も、俺にあるのは仕事と、ソルティー・ドッグの酒だけさ」




「ソルティー・ドッグって、あの入口にある酒場のことか?」


サーストン

「本当は、酒よりなにより、女将のポリーに近づきたいから、そこに行くのさ。
だが、彼女はいつも酒場の切り盛りで忙しそうで、俺のことなんかに構っているヒマはないだろうな」




「ほう……なかなか見かけによらないことを考えてるんだな。
まあ難しいと思うけど、上手く成就するように祈ってるよ」


どうやら、この村の一部の人々の間では、フェローシップはあまり支持されていないようであった。
盗まれた毒液についての目ぼしい情報は手に入らないが、次はフェローシップのシェルターとやらに行ってみることにした。



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