Ultima4
プレイ記録10 グレート・ステイジアン・アビイス



「8つの石を手に入れて、いよいよ3つの部分からなる鍵を手に入れる時が来た。俺達はダンジョンの奥底にある原理の祭壇へと向かった」


「ダンジョンは沢山ありましたが、祭壇はどのダンジョンにあったのですか?」


「全てのダンジョンの地下8階には、それぞれ対応する原理の祭壇がある。例えばデスパイスのダンジョンは慈悲の徳=愛の原理だから、愛の祭壇があって、同 じく献身の徳にも愛の原理が含まれるから、コブトのダンジョンの地下8階にも愛の祭壇があるんだ」


「え?じゃあ同じ祭壇がいくつもあるってことですか?」


「いや、それぞれの祭壇の部屋は1つで、各ダンジョンが祭壇の部屋を介してつながっているということだ。真実の祭壇を中心にデシート・ロング・ヒスロス、 愛の祭壇からデスパイス・コブト・ヒスロス、そして勇気の祭壇はダスタード・シェイム・ヒスロスとつながっている」


「崇高な心の徳は3つの原理が含まれているから、ヒスロスのダンジョンにも3つの祭壇があるということですか」


「そういうことだ。俺はヒスロスからそれぞれの祭壇に行き、話に聞いた通りに徳の石を捧げて鍵を手に入れた」

 


「祭壇には最初から行くこともできたが、鍵を手に入れるためには徳に対応する色と原理との関係を完全に理解しておく必要があるというわけだ」


「これが3つの部分からなる鍵というわけですね。いやー、しかし凄い仕組みですね。断片的な情報だけで、よくこの仕組みを解明できたものです」


「正直、アバタールになるための修行よりも、こっちの方が遥かに大変だったよ…」






「こうして、三つの部分よりなる鍵、通貨の言葉、三原理の神器、神秘の武器防具を全て手に入れ、全てが揃った。俺達は食料や秘薬の準備を整えて、グレー ト・ステイジアン・アビイスへ向かった」


「いよいよコデックスを手に入れる時が来たのですね!」


「その前に英雄の岬へ行き、H.M.S.ケープ号の舵輪をサルベージした。これが無くては始まらないからな」




「おっと、また唐突に…。何ですかそのケープ号ってのは?」


「沈んでしまった伝説の船だ。この舵輪があれば、船が不思議な力に守られて耐久力がアップするんだ」




「へえ、そりゃ凄いですね。でも、アビイスってのはダンジョンなんでしょう?船なんて強化してどうするんですか?」


「アビイスに行くには、海賊の巣食う湾を通過しなくてはならないんだ。一斉に砲撃を受けると並の船ではすぐに沈んでしまうから、この舵輪を使って船を強化 する必要があったんだよ」




「ドラゴンを斬るほどの力や、大地震を起こすような魔法を身に付けても、船が大破したらお陀仏だからな」


「やっぱ人間が一番恐ろしいんですか…」


「そして海賊共を全員返り討ちにして海に沈め、島に上陸した。この島はヒスロスから脱出した時にも見た火山地帯だ」




「アビイスの入口は火山の中心部にある。そして、その塞がれた入口を開くためには三原理の神器の力を使わなくてはならない」


「えーと、真実の本、勇気の鐘、愛のロウソク、の3つでしたっけ」


「そう…鐘を鳴らし、本を開き、ロウソクを灯す。これで入口が開く」

 


「Wizardry#4というゲームでも、これをモチーフにしたイベントがあるそうですね」


「鐘と本とロウソクを使い、地獄(アビイス)の門を開くというシーンだな」




「ともあれ、ついにアビイスの中に入った俺達は、神秘の剣ミスティックソードを手に取ってダンジョンの奥へと進んで行った」


「神秘の武具じゃないとモンスターにダメージを与えられないとか言ってましたね」


「そう、他の武器も魔法も全く通用しないんだ」


「神秘の剣ってからには、やはり強力な武器だったんですか?」


「ミスティックソードは確かに他の武器に比べて威力はあった。だが、いかんせん剣だから接近しないと攻撃できない。敵は遠くから炎を吐いてきたり魔法を 使ってきたりする上に、ダンジョンの通路は狭いから全員で一斉に攻めかかることはできなかったから、こちらが圧倒的に不利だったよ。できれば今までの武器 で戦いたかったな」


「というか、あなたはここに来るまで石コロ(スリング)で戦ってたんですよね…。そっちの方が無茶な気が…」


「当時の俺だったら、遠くから2〜3発も投石を喰らわせてやれば、大抵のモンスターは近づいてくる前に沈められたものだよ」


「まるで弾丸ですね…。よくそこまで鍛えたものです」


「話を戻そう。このアビイスは、他のダンジョンとは比べ物にならないほどに敵が多く、道も複雑だった。これまでのダンジョン探索ではほとんど危険な目に あったことはなかったが、ここは地下1階を歩いただけで全員ボロボロになってしまったほどだ」




「さすがにラストダンジョンだけありますね」


「各フロアには祭壇があり、そこに徳の石を捧げることで下に降りる階段が現れる、という仕掛けだった。まあ、ここまで来た者にとっては何てことのない仕掛 けだが」




「フロアごとに徳の石を1つずつ使っていくということは、やはりここも地下8階までですか。こりゃ大変ですね…」


「探索は難航を極めた…。体力を回復したり、エネルギーフィールドを解除したりと、何より魔法が命綱だった」


「なんか、ようやく剣と魔法を駆使するような状況になってきましたね」


「イアナとマリアは、ここで最も活躍した2人かも しれないな」


「仲間が全員同じ装備ということは、魔法の使えないあなたが一番…いや、何でもないです」


「出てくる敵もドラゴンやバルロン、リッチ、リーパーなど、強敵ばかりで、とにかく消耗戦の連続だった」




「他に厄介だったのは隠し通路だ。一見行き止まりの部屋であっても巧妙に通路が隠されてたりするんだ。全員がかりで壁を調べ回って仕掛けを探したものさ」




「隠し通路ですか…ダンジョンRPG的には、リドルと並んで一番手こずるところですね」


「特に、この時代のブリタニアのダンジョンの難しさは群を抜いていたと思うよ」






「苦心の末、ようやく最深部の地下8階に辿り着いた。仲間達はボロボロだったが、皆で最後の力を振り絞った」




「その時、目の前に異様な集団が現れた」


「異様な…?モンスターなら大概異様なんじゃないですか?」


「そいつらは8人で、奇妙なことに俺達と全く同じ外見をしていたんだ」




「地獄のダンジョンの奥底に人間が…?もしや…ドッペルゲンガーってやつですか!?」


「分からん…。しかし、コデックスの間の直前の出来事だったから、何か不思議な力が働いていたのかもしれない」


「しかし、ここでまさかのラスボスですか!相手は自分達の分身…最後の戦いに相応しいですね」


「うん…まあ、でもそんなに強くなかったよ。だいたい一発で倒せたし。デーモンとかの方がよっぽど強敵だったかな」




「え…?そ、そうなんですか」


「しかも、この次の部屋には普通にドラゴンとかバルロンとか出てきて、よほど手ごわかったしな」




「仲間達も、あいつら何だったんだって話してたよ」


「ほんとに何だったんでしょう…」


「ともかく…この部屋の先に、最後の祭壇があった。ここに謙譲の黒い石を捧げると…」

 


「急に部屋が真っ暗になった。そして、気付いたら俺は1人になっていた」





「真っ暗な部屋の中に不思議な形の模様が見えた。これこそが3つの部分よりなる鍵の扉だ」




「いかにも、といった形ですね」


「鍵を使って扉を開くと、『道を開く言葉を言え』という声が何処からともなく聞こえてきた。俺はここで3人のロード達から聞いた音節を1つにつなげて唱え た」




「そして、扉が開いた…!」


「おお!いよいよコデックスの部屋に入ったのですね!」


「しかし、まだ目の前は暗闇だった。そこでまたしても声が聞こえてきた」




「まだ謎掛けがあったのですか?」


「この時の問いは想定していなかった。しかし、アバタールであれば当然答えられるような、ごく簡単な徳と原理の問いだったから、落ち着いて考えれば問題な い」




「1つ1つ答えていくと、コデックスに徳と原理の印が刻み込まれていった」




「そしてシンボルが完成した時、最後の問いが聞こえた」




「真実と愛と勇気の3つの原理、アバタールの8つの徳、それら全てを同時に包括する1つのものは何か?…とな」


「八徳と三原理の他に、まだ何かあるんですか!?」


「そういうことだ。何のことかと思って途方に暮れたが、よくよく思い返すと俺はコーブの神殿で神託を受けていたんだ。『本質の公理』を理解しろとな」




「そして、コーブの神官達からも断片的に話を聞いていた。答えはハッキリとは教えてくれなかったが、おそらくこのことを言っていたのだろう」

 


「えーと、全てを包括るような愛と勇気と真実で、初めがIで最後がY…ですか。フムム、これは難しいリドルですね。まあ、思い当たった言葉を手当たりしだ いに答えていけば…」


「ちなみに、これを答えられなかったら一気に地上まで放り出される」


「え!?」


「長く険しいアビイスのダンジョンをもう一度突破してコデックスの間に行かなくてはならなくなるんだ」


「な、何でそんなことを知っているんですか…?」


「……」


「た…大変な苦労をされたんですね…」


「だが、その答えは既に分かっていたんだ。そう、アバタールになった時にね」


「アバタールになった時ですか…?そんなエピソードありましたっけ?」


「8つの神殿で瞑想を終えて徳を昇華させた時、突如として脳裏に浮かんだイメージ…あれこそが答えだった」

 


「この変な記号がですか…?」


「これはルーン文字といって、それぞれがアルファベットに対応しているんだ。この2つはそれぞれ『F』と『N』にあたる文字だ。ブリタニアの古代文字だ が、当時もまだ一般的に使われている文字だった」


「??ますます分からないのですが…??」


「神殿で得たルーン文字をそれぞれアルファベットに変換すると、『I』が3つ、『N』が2つ、そして『T』と『F』と『Y』の8つになる。これらをコーブ の神官達の話と合わせて並べ替えると…それが答えだ」




「人間の心というものは、このように限り無い力と可能性を秘めているものなのさ。…な?いい話だろう?」


「な?…じゃないですよ!こんなに難解な問題なのに、答えられなかったらダンジョン最初からって、どれだけ鬼畜なんですか!」


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