Ultima4
プレイ記録08 アバタール誕生



「ポウズの村で謙譲のルーンを手に入れて神殿にも巡礼し、俺はついに8徳の全てを学んだ」




「慈悲、名誉、正義、献身、勇敢、誠実、霊性、謙譲、これで8つ全てですね」


「この8つ全てを極めし者こそが、伝説の聖者アバタールとして認められるのだ」


「しかし、徳を極めたかどうかなんて、自分で修行していて分かるものなのですか?」


「そんな時はロード・ブリティッシュ城の占い師ホークウィンドに占ってもらっていた。彼にかかれば、何の徳がどの程度まで高まっているかなんて一目で分 かってしまうんだ」




「へえ、都合のいい占い師もいたものですね」
(この占い師ホークウィンドはWizardry#4に登場する善の忍者ホークウィンドと同一人物であり、スカラブレイの町がウルティマに登場しているのは 彼が本作のシナリオ構想に関わっているからだそうです)


「それまでの探求の旅で、何の徳のためにどういった行為が必要で、どういった行為がNGなのかは分かっていたから、あとはそれを実践するだけだったな」


「徳を極めていく過程で、何かこうドラマチックなイベントとか無かったんですか?」


「徳の修行は自分自身の内面との戦いなんだ。そんなものあるわけないだろう。善とされる行いをひたすら反復するのみだ。そう…何も考えず、ただ機械のよう にな…」


「実も蓋もない発言ですね…」


「そして長きに渡る修行を終え、俺は徳の教理の全てを習得した。最後に徳の神殿でマントラを唱えて瞑想し、これまでの修行の成果を昇華すると…」




「長時間に及ぶ瞑想を終えた時、俺はパーシャル・アバタール(部分的聖者)となっていた」


「8つの徳のうちの1つを極めたから、パーシャル(部分的)というわけですか」


「そして突如として脳裏に啓示がおとずれる。このルーン文字こそが徳を極めた証だ」




「何か試練があるわけでもなく、誰かに認められるわけでもなく、ただ瞑想して精神を昇華させるのですか…。ストイックな修行なのですね」


「他の7つの神殿にも行き、同じように瞑想をした。日頃から徳の修行を怠らなかった俺は、次々と悟りを開いていったものさ」

 


「最後の1つを瞑想し終えた時、俺の胸の中には確かにアバタールの印が刻まれた。ブリタニアに来る時に拾った、あのアンクの印だ」




「ステータス画面の中央にアンク(♀)が出来上がっていたのですね。あの不思議な形のアンクはアバタールを表すものだったのですか」


「自然と心は澄みわたり、何とも言えない感慨を覚えたよ。ああ、俺は今アバタールになったんだな…ってね」


「こうして聖者アバタールの伝説がはじまったのですね!」


「うむ。簡潔に話したが、長く険しく、そして神聖な探求の旅だった…」


「意外とあっさりしていましたが、聖者への道というものは、案外こういったものなのかもしれませんね」


「偉業というものは、決して華々しく壮麗なものばかりではないのだよ」


「なるほど、興味深いお話でした。本日はどうもありがとうございました!さて…記事を書かなくちゃ。最後がイマイチぱっとしないから、ちょっと脚色しないとなぁ…」


「おい、ちょっと待つんだ。まだ終わっていないぞ。これからが本番だ」


「え?まだ続くんですか!?アバタールになって、めでたしめでたし…じゃないんですか?」


「まったく、酷い話だよ。俺はアバタールになった後、何よりも早くロード・ブリティッシュに報告しに行ったんだ。しかし彼はそのことに何の関心も示さず、普段どおりの挨拶しかしてくれなかった。ねぎらいの言葉すら無かったな」


「えっと…そもそも、アバタールにするためにブリタニアまで呼び出したのは彼だったのでは…」


「さすがの俺も怒りで徳を失いそうになったね。そして、この先の人生を思って途方に暮れたものさ」


「確かブリタニア国民の精神的規範として、伝説の聖者アバタールとなるために召喚されのですよね。いったいどういうことなんですか?」


「いや、その目的は変わっていなかった。その時、旅の途中で聞いたコデックスの話を思い出したんだ」


「コデックス(写本)…?」


「そう、この話は各地で断片的に耳にしていた。コデックスとは万物の理が記された究極の知恵の本で、いつ誰が書いた物かは分からないが、ブリタニアの伝説 として語り継がれていた」


「それを手に入れることが次の目的ということですか?」


「そう、この本の教理によってブリタニア国民に真の啓蒙が訪れるというわけだ。そして、それができるのは真のアバタールのみ。俺はこの時に、自分が成すべ き使命を悟ったのだ」




「地味な修行ばかりだったのに、なんか急にスケールが大きくなりましたね」






「コーブという村の神殿で聞いた話だと、コデックスを手に入れるには、8つの得を極め、3つの部分からなる鍵を持ち、道を開く言葉を知り、本質の公理を理解 していなくてはならないということだった」




「また大仰ですね。8つの徳は分かるのですが、その他は…」


「この3つの部分からなる鍵というのは、まさに三原理のことだ。君は八徳と三原理の関係は知っているかね?」


「いや、知りませんよそんなの。まだ何かややこしいのがあるんですか?」


「不勉強な記者だな、まったく。三原理というのは万物の根源となる概念のことだ。8つの徳は3つの原理の組み合わせから派生しているもので、それぞ れを相関関係に表すことができるんだ」


「いや、そんなこと言われても分からないですよ。もう少し詳しくお願いできますか」


「物分りの悪い記者だな、まったく。三原理は『愛』、『勇気』、『真実』だ。この3つが全ての基本であり、それぞれが均等な位置付けとなっている。図で示すとこんな感じだな」




「愛と勇気と真実ですか…なるほど。でも、これって8つの徳にも似たような概念がありますが、何が違うのですか?」


「似ているのは当然だ。さっきも言ったように、原理は徳の根幹にあるもので、例えば8徳の1つ『慈悲』は、『愛』の原理からそのまま派生している徳だ」


「慈悲=愛ですか。ふむふむ」


「同じように、『勇敢』の徳は『勇気』の原理そのもので、『誠実』の徳は『真実』の原理がそのまま当てはまる。円に接する直線が、それぞれの徳にあたることになるな」




「他の徳はどうなるんですか?」


「『愛』と『勇気』の2つからなる徳が『献身』だ。『愛』と『真実』からなるのが『正義』、『勇気』と『真実』からなるのが『名誉』となっている。これを図で示すと、このように2つの円に接する直線で表すことができる」




「なるほど、2つの原理の組み合わせですか」


「そして、3つの原理を全てに内接する円が『崇高な心(霊性)』で、どの原理にも接しない円が「『謙譲』だ。この2つは特殊な位置付けだっただろう」




「これが8つの徳の相関関係ですか。こうして見ると綺麗な形になるものですね」


「この図は非常に大事だから、君も記者なら覚えておきなさい」


「で…この3つの原理が、さっきの話にあった鍵と何の関係があるのですか?」


「ここからが肝心なところだ。俺はそのことについてより詳しく知るために、それぞれの原理を象徴する3つの城へと向かった…」


「はあ…3つの城ですか…(なんだか、この話長引きそうだなぁ…。アバタールになったらインタビューは終わりだと思ってたのに…)」


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