Ultima4
プレイ記録05 巡礼の旅 〜献身 勇敢〜



「次に行ったのは、大陸の北東にある鍛冶の町ミノックだ。歩いて行くのは少々大変だったよ」

 


「鍛冶の町ということは、職人さんが大勢暮らしていたんですか?」


「そうだ。彼らが造った武器の品揃えは、なかなかのものだったぞ」




「ここにも、もちろん町特有の徳があったんですよね?鍛冶の町といったら何の徳かな…」


「この町の徳は『献身』、他人のために自己を犠牲にする心だ」


「あんまり鍛冶とは関係ないですね」


「そういった理由で、ミノックには鍛冶屋だけでなく、貧しい者を収容して保護するための救貧院もあったんだ」


「なるほど、鍛冶だけの町ではなかったのですか」


「この救貧院で働いていたジュリアもここで仲間に加わったんだ。彼女は女性でありながら鍛冶の腕は一流で、腕力も男勝りだ」




「しかし、献身とはちょっと難しそうな徳ですね。人間、なかなか自分を犠牲にできるものじゃないですよ」


「そうだな、大変と言えば大変だった」


「どんなことを実践したんですか?」


「とりあえず俺は、自分が傷つくことを厭わない男だということを証明するために、鍛冶屋の中にある高熱の炉に飛び込んでみた」




「ろ…炉にですか!?何考えてるんですか!?」


「炉の中に献身のルーンが隠されているという話を聞いてな。あの時はさすがに死ぬかと思ったよ」


「1人で飛び込むなら立派な自己犠牲かもしれませんが、仲間も道連れにしてたら意味が無い気がしますねぇ…」


「他にも献身の徳のために、色々と試してみたものさ。仲間のために身を挺してモンスター戦ったりもした」


「そうそう、それこそ献身ですよ」


「だが俺は仲間の陰に隠れて後方から投石するという戦闘スタイルだから、なかなか難しいものがあった」


「とてもヒーローとは思えないですよね…」


「そこで、手っ取り早く献血をすることにしたんだ」


「献血…ですか?」


「ああ、ブリタニアの各地にあるヒーラーでは、輸血用の血液が常時不足していた。だから、ヒーラーに立ち寄った人は大抵献血の協力を求められるんだ」




「それと徳に何の関係が…」


「君は何を言っているんだ。己の命を削って他者に血を分ける、これ以上に献身的な行為があるだろうか?いや、ない!」


「そりゃ悪いことじゃないですけど、徳と言うには随分と小さいというか…」


「体だけは頑丈だった俺は、来る日も来る日も献血したものさ。この国の医者にかかった者の大半に、俺の血が流れていると言っても過言じゃないな」


「よく体が持ったものですね…」






「その後しばらく旅を続け、ムーンゲートを通ってジェロームの町へ行った」


「ムーンゲートとは?」


「ブリタニアの各地には、一定の月齢周期で青い光の扉が出現するんだ。それに入ると、一瞬で別の場所の扉にワープすることができる。広い国土を旅するため の交通手段として便利なツールだよ」

 


「そういえば、最初に丘で本を見つけた時にも、この青い扉が出てきたんでしたっけ」


「どこにワープするかはブリタニアの2つの月の満ち欠けによって決まる。ゲートの現れる場所と月齢の関係を覚えるには、なかなか時間がかかったものさ」


「それで、次のジェロームの町というのは、何の徳を研究する町なんですか?」




「ジェロームは戦士の町だ。もちろん、そこで教わったのは『勇敢』の徳だった。武勇、勇猛といったような意味合いだ」


「これはもう単純明快ですね。アバタールたる者、やはり強くなければいけないということですね!」

 


「そうだ!襲ってくる敵がどんなに強大であっても立ち向かわなくてはならないんだ。俺は、岩陰や仲間の後ろに隠れつつも、果敢に投石で戦ったものさ。決し て逃げはしなかった!」


「ちょっと勇敢とは違う気もしますが、とにかく逃げずに戦うのが肝心ということですね!」


「そんな勇敢の徳の象徴とも言えるのが、ファイターという職業だ。この町のジョフリーというファイターが、俺達の仲間に加わった」




「ファイターというと、剣や斧を手にしてパーティーの先陣で戦い、その頑丈な体躯で味方の盾となる、といったイメージですか。ファンタジー世界の花形職業 ですね!」


「ところが、そんなに強くないんだよ、これが…。剣や斧なんかで戦うよりも、遠くから集団で弓や投石で攻撃した方が手っ取り早いからな。ジョフリー自身、 他に比べて特段パワーやスタミナがあるわけでもないから、そんな目だった活躍はしなかったな」


「なんと…」


「ジョフリーを仲間に加えた後は、町の城壁に隠されていた勇敢のルーンも探し出した」




「塔に幽閉された罪人や、壁を塗り固めている途中で城壁の中に閉じ込められてしまった職人なんかもいて、意外と物騒な町だったよ。ハハハ」




「笑いごとじゃないですよ」


「ジョフリーを仲間に加えた後は、しばらく金を稼いだな。俺はアバタールを目指す身であったとはいえ、それで誰が援助してくれるわけでもないからな。経済 面では常に苦労させられたよ」


「華々しい偉業の裏には、必ずこういった苦労話があるものですね。長い冒険の旅の資金は、どうやって工面したのでしょうか」


「昔だったら、民家や城にある宝を略奪したり、通行人を襲って金を巻き上げたりしたものだが、アバタールを目指す身としてはそんな事はできない」


「アバタールを目指さなくても、そんな事しちゃダメですって」


「だから野外を歩いている凶悪なモンスターを倒して稼ぐしかないんだが、平和な時代だから、モンスターもそう頻繁に現れるわけでもない」


「なるほど、平和なのは良いことですが、冒険者としては難しいところですね」


「そこで、俺達は橋に巣食うトロルと戦うことにしたんだ」


「トロル?あのモンスターのトロルですか?」


「そうだ。ブリタニアの世界のトロルは、橋で待ち伏せして通行人から金を巻き上げるという習性があるんだ」


「野盗のようなものですか。けしからん輩ですね」


「そこを逆手に取って、俺達が橋に居座ってやった。そうすれば、トロル共の方から勝手に来てくれるからな。モンスターを探し回る手間が省けるってわけさ」

 


「あいつら馬鹿だから、狩られるとも知らずにどんどん沸いてくるんだ。橋みたいな障害物の無いオープンな地形だと、矢や石で遠くから攻撃すれば一方的に勝 てる。この手法を確立してからは、何千ゴールドも稼いだものだ」


「うーむ、どっちが野盗だか分からないような…」


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