Ultima4
プレイ記録04 巡礼の旅 〜名誉・正義〜

「ブリタニアの国土には危険が多い。オークやトロル、スケルトンなどといったモンスターが行く先々で襲ってくる」


「いよいよモンスターとの戦いですか!やはり、こういった冒険譚には欠かせない話ですね」

「まあな。しかし俺のスリングショットでは、凶悪な怪物と戦うのにはいささか苦労したものだ」

「スリングってのは…投石のことですか?剣と魔法の世界だというのに、何で石コロなんて投げてたんです?」

「俺は羊飼いという職業の特性上、剣や鎧といったファンタジーの花形武具を一切扱えなかったんだ。もちろん魔法もな」

「な…なるほど、それで仕方なく石を…」

「仲間達が甲冑を纏い、弓や魔法を駆使して戦っている隣で、俺はずっとボロ服を着ながら石を投げ続けていた。まあ、みじめなものだったよ。しかし、あの時
の苦労があったから、今の俺があるんだと思っているよ」

「泣かせる話ですね…」

「まあともかく、そんな戦いを繰り返しつつ、果てしない旅路を歩いたのさ。途中、ポウズという村に立ち寄って旅用の馬を購入してからは、幾分楽になったが
な」

「こういった交通の発達していない時代の冒険は大変ですよね。明かり、食料、方角、気を配らなくてはならないことが沢山ありますよ」

「そして、ようやく次の町トリンシックに着いた。ここは名誉の徳を重んじる騎士の町だった」


「騎士達の暮らす町ですか!いいですね、こいつはロマンチックだ」

「ここではデュプレという騎士が仲間に加わった。彼も以前に少し会ったことはあったが、ここから長い付き合いになるんだ」


「デュプレはパラディンというだけあって、戦士と同等の重装備に加えて魔法も使いこなすオールマイティーな男だったよ」

「騎士が仲間に加わるとなると心強いですね。それで、名誉の徳というのは、どんなものなんです?名誉と言われても、なかなかピンとこないんですよ」

「まあ、これは行動に気をつけていれば自然と身に付くものだ。どんな相手とも堂々と話して、つまらない犯罪をしないようにすれば問題ない」


「ふむふむ…。まあ、中世の物語にあるような騎士をイメージしておけばいいってことですかね」

「次に、俺は町でルーンを探してマントラを聞き出し、名誉の神殿へ行って瞑想をした」


「ルーン?マントラ?神殿?な、何ですそれは?」

「8つの徳には、それぞれ8つの神殿がある。ブリタニアの人々は、しばしばここで瞑想をするんだ。ルーンというのは神殿に入るのに必要な石のことで、マン
トラは瞑想する時に唱える呪文のようなものだ」

「な…何でそんなカルト宗教みたいなことをするんですか?」

「心を落ち着かせて瞑想することで、徳について見つめ直すために決まっているだろう」


「正気ですか!ちょっとストイックすぎますよ」

「慣れてくると、こいつが病みつきになるんだ。ああ、俺は今とても聖なる行いをしているんだな、って気分になるのさ」

「うわー…にわかには信じられないような行動ですね…」

「以降、俺は頻繁に神殿に立ち寄ることになった」

「トリンシックの次はどこへ向かったんですか?」

「トリンシックはブリタニア大陸の南端だから、これ以上先に進むことはできなかった。まあ、船でもあれば別だがね。仕方がないから、一旦城に引き返して、
そこから更に北へ向かったのさ」


「ブリティッシュ城の北ですか。えーと、この地図によると…」

「向かった先はユーの森だ。この暗く広大な森の中に、ドルイド達の町があるんだ」


「ドルイドってのはブリタニアの神官のような人々ですね」

「正確には神官ではない。ブリタニアには徳の教義以外に宗教のようなものが無いからな。まあ、自然の掟の中で生きている人々のことさ」

「自然と共に暮らす人々ですか…。文明社会に生きている身としては、何だか憧れますね」

「そんなに良いものじゃないぞ。視界の悪い森の中では、人を探すだけでも大変な苦労だ。正直、あそこは人が暮らすべき場所じゃないと思ったね」


「そ、そうですか…」

「ここで仲間になったイアナもドルイドだったんだ。魔法の力はイオロやデュプレよりも遥かに上だ。自然の中で暮らしてるだけあって、体力もなかなかのもの
だった」


「お仲間は皆さん優秀だったんですね」

「お仲間は、ってのはどういう意味だ」

「あ、いや、そんな深い意味はないですよ!で、ユーは何の徳の町なんですか?」

「…ユーは正義の徳の町だ。ここには正義の象徴として裁判所もあるんだ」


「正義…まあ、この徳は何となく分かります。そりゃ人間、正しくあるべきですからね」

「正しいというより公正という意味合いだな。正義というのは独りよがりではダメだ。自分だけでなく、他者にとっても正義でなくてはならないんだ」

「ほうほう、それで正義を身につけるために、どういった事を実践したのです?」

「まずは最低限必要なこととして、不正を働かないことだな。例えば、君は新しく買ったナイフの具合を試すために、いきなり人を斬りつけたり、金が無いから
といって他人の家に置いてある物を持っていったりするか?」

「そんなことするわけないじゃないですか!通報されて牢屋行きですよ」

「その通りだ。つまり、そういった不正を働かないように心がけることだ」

「何だか当たり前のことだなぁ…。この徳はそんなに難しいことはなさそうですね」

「では君は、悪気は無くとも不可抗力で他人を傷つけてしまったり、うっかり他人の物を壊してしまったりしたことはないか?」

「それは…まあ、誰にでも間違いはありますよ。わざとじゃないんだったら、謝って許してもらうしかないですかね」

「もちろんその通りだ。しかし、人は時として間違いに気付かない場合もある。自分にとっては正しいと思っている行いも、他人にとっては不正だということが
あるんだ。アバタールたる者は常に絶対的に正しくあらなくてはならない。ここが難しいところだ」

「うーむ…なんだか、あなたの口から聞くと違和感が…」

「俺はそんなことを考えながら、裁判所の独房の中で己の半生を悔い改めたものさ。ついでに、その時に正義のルーンを見つけた」

「…って、何でいつの間にか牢獄に入ってるんですか!」

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