Ultima4
プレイ記録03 巡礼の旅 〜慈悲〜


「しかし、王様は詳しい話をしてくれませんでしたが、いったいアバタールというものには、どうやったら成れるんです?」


「いい質問だ、ジミー君。アバタールになるために必要なことは、強い怪物を倒したり、悪い奴を改心させたり、国のために功をあげたり…といったシンプルなものではないんだ。そのことは後々に少しずつ学んでいくんだが、簡単に言うと心を鍛えるんだ」


「心ですか。なんだか、あまりピンと来ないのですが…」


「そうだな…。ではジミー君、キミが思う聖者とは、いったいどんな人間だ?」


「え?唐突ですね。うーん、パッと思いついたところでは、強く、正しく、心優しく、みたいな感じですかね」


「フム、実にアメリカナイズされた考え方だ。だが、それも正解の一つと言える」


「いったい何が言いたいんですか」


「要するに、今君が言ったような人間に成ればいいんだ。そうすればアバタールとして認められることになる。別に魔王を倒したり、伝説の宝を探し出す必要はない」


「なあんだ。伝説の聖者ってのも、存外地味なものなんですね」


「それでは、その強さや正しさとやらを、どうやって身につけたらいいと思う?」


「そ、それは…えーと、モンスターを倒してレベルアップしたり、町の人を苦しめる悪い奴を成敗したり…」


「フム、実にアメリカナイズされた考え方だ。だが、それも正解の一つと言える」


「いったい何が言いたいんですか」


「さっきも話したように、アバタールというものは単にそれだけのものではない。悪い奴を倒せば万事OKというわけではないんだ。正しさとは何か、優しさとは何か…そういったことを、まず知る必要がある」


「何だか深い話ですね…。以前に冒険をご一緒させていただいた時と同一人物とは、とても思えないですよ」


「まあ、ともかく話を進めよう。俺は城を出てから、隣にあるブリテインの町へ行ったんだ。ここは慈悲の徳を象徴とする町だ」




「慈悲の徳?なんだか聞き慣れない言葉ですね」


「徳というのは、道徳、モラル、規範といったようなニュアンスだな。この国は長い暗黒時代で人々の心が荒んでしまったので、ロード・ブリティッシュは国民の民度を上げるため、こういった規範を制定したという経緯があるんだ」


「ええ、話には聞きましたが、これ以前の暗黒時代は、それはもう凄かったらしいですね。強盗・殺人・ハイジャック、犯罪という犯罪が溢れていた世の中だったとか」


「あれはあれで楽しい世界だったんだがな。まあ、国としてはそうはいかないものだ。それで、ブリティッシュ王は人々に必要な規範を8つにカテゴライズして、それを徳として守るよう奨励したんだ」


「なるほど、そのうちの1つが『慈悲』ということですね。うん、慈悲の心は大切ですよ」


「先ほどの質問の答えになるが、この8つの徳の教えを全て極めることで、アバタールと認められることになる」


「そういうことでしたか。では、まずはこれらの徳について学ぶために、ブリタニアの各地を旅したいうことですね」


「まあ簡単に言うとそんな感じだ。最初はこのブリテインに暮らす人々から話を聞き、慈悲について学んだんだ」

 


「町の人が日常的にそんな話をしてくるなんて、薄汚れた現代社会では考えられない高潔な人達ですね」


「だがもちろん、人の話を聞いただけで慈悲の徳が身に付くわけはない。徳というのは実践してこそだからな」


「そりゃまあ、そうですね。座って講義を聞いてるだけで立派な人間になれるなら、今頃世の中は聖人だらけですね」


「ブリテインは城下町とはいえ、中にはその日の食事にも困っているような貧しい人もいる。そういった人々にこそ、慈悲の徳を実践する必要があるんだ」




「へえ、可哀想に。で、その実践ってのは?」


「(親指と人差し指で輪を作りながら)コレだよコレ、決まってるだろう。その日の食事にも事欠いてるような人に、いくら優しい言葉をかけても仕方がない。つまるところ、金こそが慈愛を表現する方法なんだ」


「いやあの、おっしゃることは分かるんですが、もう少し表現を…」


「彼らに必要な物は、他の何でもなく金なんだ。だったらそれを分け与えてやるのが一番の優しさというやつだ。いくら感動する言葉をかけようが、お祈りしようが、腹はふくれんさ」


「そ、そうかもしれませんが…。何かもっと大事な物はないんですか…?」


「彼らも心から喜んでいたと思うよ。慈悲というのは気持ちではなく現物だ。可哀想だと思うならば金か食料を分け与えるんだ。これ以上のことはないさ」


「少し腑に落ちない点もありますが…。ともあれ、こうやって慈悲の心を実践していったんですね」


「あともう1つ、この町で暮らしていた吟遊詩人のイオロが、旅の仲間に加わってくれたんだ」




「吟遊詩人のイオロ氏ですか。アバタールの伝記には欠かせない人物ですね」


「以前のソーサリアの時代にも何度か会ったことはあるが、一緒に冒険をするのはこの時が初めてだった。彼は弓矢や魔法を使いこなす頼れる奴さ」


「ようやく旅の仲間も加わって冒険らしくなってまいりました。これで、いよいよブリタニアでの長い旅路が始まるわけですね」


※なお、仲間を1人加える場合にはレベル2以上必要です。
羊飼いで始めた場合は初期レベルが1なので、イオロを加える前に1人で戦ってレベルを上げておかなくてはなりません。




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