Ultima4
プレイ記録01 遥かなるブリタニア



「皆さん、こんにちは!冒険雑誌ウルティメット・アドベンチャー記者のジミー・マローンです。今回は『アバタールの謎に迫る』というテーマでお送りします。伝説の聖者“アバタール”とは一体何なのか?その気になる謎を、直接ご本人にインタビューしてみたいと思います」


「どうも、こんにちは」


「アバタール氏は、これまでに異国で幾多の冒険をなさったと噂されています」


「ああ、まさに大冒険だった…。どれもこれも懐かしいな」


「今日はその過去の冒険譚について、色々とお話を聞かせていただきますか?」


「フム…。それじゃあ、魔女ミナクスとの壮絶な戦いの時の話がいいかな。そう、あれは2008年、ニュー・サンアントニオの町での出来事だった…。俺は当面の旅の安全を確保するために店から食料や武器を盗み出した。そして逃げ惑う人々を襲って金品を奪い……」


「あ、いや、そういったお話を掲載すると雑誌が発禁になってしまいますので…」


「そうか?結構エキサイティングな話なんだけどな」


「今日は、“アバタール”という称号を授かった時の事を、お話していただきたいんですよ」


「あの時のことか…。とは言っても、非常に長い冒険だったから、どこから話していいやら…」


「では、きっかけから話していただきましょう。どうして、謎の世界ブリタニアへと旅立つことになったのですか?」


「きっかけか…。そう、あの時、俺は少しばかり疲れていてな…。何と言うか、気を病んでいたんだ。人間関係ってやつは、いつの時代も悩みの種さ」


「はあ…(そんな繊細そうな性格には見えないけどな…)」


「俺は鬱蒼とした気分を少しでも晴らそうと、郊外にある小川へ出かけたんだ」




「自然の風景に触れて幾らか心が安らいだ時、遠くに青い光が見えた。そう、ドアのように見えたな…」

―――――

若き日のアバタール
「おや、あれはなんだろう?」


―――――


「ちょ…ちょっと待ってくださいよ!何だか顔が随分と違いませんか?」


「細かい事は気にするな。あの頃の流行はこんな感じだったんだよ」




「ちょっと変貌しすぎですよ」


「話を続けよう…。その光の場所に行ってみると、そこには石が円形に置かれており、真ん中に二冊の本とアンクが落ちていたんだ。そのうちの一冊には『ブリタニアの歴史』というタイトルが書かれていた。俺は思わずその本を手に取って読みふけった」


「ふーむ、いったい誰がそんな物を用意して…」


「そして、読み終えると、どこからともなくリュートの音が聴こえてきたんだ。気になって、その音の方を目指して丘を登っていくと…」



「どうやら下で祭りか何かをやっているらしかった。俺は丘を降りて、そこへ行ってみることにした」


「田舎町のお祭りですか。いいですね、こういう雰囲気は好きでよ」


「入口に来ると係員に止められたが、さっき本と一緒に拾ったアンクを見せると、何故か通してくれた。俺は不思議に思いつつも、そのまま中へと入って行った…」




「そこにいた人々は心から楽しそうだったよ…。俺には彼らは眩しすぎた…。だが俺は足を止めることはできなかった」


「何と言うか…本当に心を病んでいたんですか…」


「そして祭りの人混みを抜けて町外れに行くと、そこには馬車が停まっていた。おとぎ話に出てくるようなジプシーの馬車だった。そこから声が聞こえてくると、俺は引き寄せられるように中に入ったんだ」




「中には占い師の老婆がいた」 




「ジプシーの占い師ですか。こういうのは非科学的なんですけど、なぜか占ってみたくなってしまいますね」


「俺は朝の占いも一喜一憂するタイプだから、迷わず占ってもらったさ。その占いは、今までに見たこともないようなものだった」




「不思議な質問ですが、一種の性格診断みたいな感じですかね」


「奇妙なタロットカードと共に出された質問は全部で7つだった。全ての質問に答えた時、俺は不意に強い香に包まれて目が眩んでしまった」




「その時、遠くからジプシーの占い師の声が聞こえて、俺は意識を取り戻したんだ。そして、やっとの思いで目を開くと…」




「何故か荒野にいた。俺が行った丘とも、祭りのあった町とも違う、見たこともないような風景だった」


「ほう、荒野に…って、また唐突な」


「どうやら、あの占いによって俺は本で読んだブリタニアの世界へ導かれたようだ。いや、もしかしたら光の中で本とアンクを拾った時からかもしれない…」


「なるほど、確かに本とアンクを拾ってから、少し奇妙な世界に入り込んだようでしたからね」


「そして、自分の姿をよくよく見てみると、いつの間にかボロ服を着て杖を持っていた」


「それもまた唐突ですね。身包み剥がれてしまったのですか?」


「思うに、あの時のジプシーの老婆は、ブリタニアでの俺の姿を占っていたようなんだ。そう、ボロ服と杖は、羊飼いの服装だったんだ。これこそが俺の内面を最も表した職業だったというわけさ」


「聖者アバタールというのは、肖像画にあるような聖騎士みたいなのだと勝手に思ってたので、ちょっと意外ですね」


「俺も何かの間違いだと思ったさ。『ブリタニアの歴史』には、レンジャーとかパラディンとかドルイドとか、かっこいい職業が解説されてたからな。何で俺がそんな地味で貧乏くさい職業になっているのか、全く理解できなかったものさ」


「ま…まあ、そこまで言いませんけど…」


「とにかく、こんな感じで俺はブリタニアに辿り着いたというわけだ」


「日常から非日常へ…ですか。実に興味深いお話でした」


←オープニングへ   プレイ記録02へ→