Ultima4
プレイ記録 はじめに





ウルティマ4は、私がウルティマシリーズで初めてクリアしたシナリオで、これをやっていなかったら大人になってまでゲームをやることもなかっただろう、というくらい大きな影響を受けました。
ちなみに初めてやったウルティマシリーズはファミコンの恐怖のエクソダスで、これをクリアするまで頑張っていたら、後にウルティマシリーズに手を出そうとは思わなかったでしょう…。

この第4作は「Quest of the Avatar(アバタールへの探求)」というタイトルの示すとおり、ウルティマシリーズ全体の根幹となる最重要シナリオです。
そればかりか、古今のあらゆるコンピューターRPGの中でも唯一無二と言えるくらいに特殊な内容となっています。
私は今までに、Apple、IBM-PC、PC98などのバージョンでさんざんプレイ・クリアしておりますので、今さら改めてプレイ記録なんて書くのもどうかとも思いますが、ウルティマメインのホームページとしては、やはり4だけプレイ記録無しというわけにもいかないでしょう。
とはいえ今となっては、初めてプレイした頃のような初々しい感想はおそらく書けないので、細部を簡略にしたリプレイ記録といった感じで書いていきたいと思います。

今回は、今までにやったことのないFM-Towns版をやってみます。
このバージョンは何よりグラフィックが美麗なのが特徴です。
テキストの訳文がPC98版と若干異なっていますが、他に基本的なところで大きく異なる点は無いと思います。

(上のタイトル画面及び、以下のオープニングシーンの写真はApple版のものです)



オープニング




風は冷たかったものの、暖かな日差しの中ではそれも心地良かった。
君は、このところ立て続けに起きた嫌な事件から逃れるため、一人田舎へと旅していた。
田舎道を散歩していると、悩みで暗く閉ざされた心は安らぎ、都会暮らしでこびりついた埃や垢も洗い流され始めた。
君は、小川の辺に気持ち良さそうな木陰を見つけ、そこで一休みすることにした。
トンボの羽音と、風にそよぐ木の枝の奏でる音に心和ませながら、君はさらなる心の平穏を求めて目を閉じた。




うとうとしていた君は、ガラスのベルが鳴るような高い音を耳にして我に返った。
目を開けると、きらきら輝く青いものが地面からせり上がってくるのが見えた。
音は、この門のようなものから聞こえてくるようであった。
その不思議なものの周りは、まるで光が取り巻いているかのようで、それを直視することは困難であった。
そして、音は次第に大きくなり、まるで目に見えるかのようだった。
しばしの間、その門のようなものはそこに立っていたが、突然周りの空気と共に、またもや地面の中に吸い込まれていった。
そして何やら空中に残された物があり、それは一瞬宙に浮いたままであったが、その後「どさっ」という重い音と共に地面に落ちた。




いささか驚きながら君は立ち上がり、何が起こったのかを調べに行った。
門が現れたところを中心に、石が荒っぽい円を描くように置かれていた。
そしてその中心には、何やら輝くものが落ちていた。
そこには、十字架の上に小さな輪が付いている御守りのようなものがあった。
それは、生命と復活を象徴する聖なる印”アンク”であった。しかし、この御守りが重い物音を立てるとは思えなかったので、君はさらに辺りを見回していた。
そして厚い布に包まれた大きな本を見つけた。

震える手で、君はその包みを開いてみた。
開けてみると、その布は地図であることが分かった。
そしてその中には2冊の本が包まれていた。
その地図には、君の見覚えのない土地が描かれていた。
そしてその図法はかなり昔のもののようであった。

一冊目の本の表紙には、不思議な文字が並んでいたが、何とか読むことができた。
そこには”若きカイルによって語られるブリタニアの歴史”と記されていた。
もう一冊の本は、何やら得体の知れない動物の皮で装丁されていた。
その赤黒い皮の表紙からは、古代の秘めたる力の霊気が発しているかのように感じられた。
表紙に書かれた文字に興味は惹かれたものの、君はその本を開けずに、もう一冊の方、歴史の書を調べてみることにした。
木陰に戻って腰を下ろし、君は本を開いた。

(歴史の書を読む)



(違う!本当に読むんだ!)


本を閉じ、君は再びアンクを手に持った。
その途端、目の前の丘の向こう側から、妙に聞き慣れたリュートの音が漂ってきた。
不思議な御守りを手にしたまま、君は丘を登って音のする方へと向かった。




丘の向こう側に見えるのは、どうもお祭りのようであった。
さっきここへ歩いてきた時に気が付かなかったのは、どういうわけだろう?
そのことを考えながら、君はそちらへ向かって斜面を降り始めた。
その祭りは、ありきたりのものとは様子が違っていた。
テントの上のペナントが、風に吹かれて勢い良くはためいている。




祭りの入口に立っていた男が、君に入場料を請求しようとしたが、アンクに気が付くと、
”ようこそ、我が友よ。この地にて、あなたの道を見出すのです”
と言って、そのまま中へ招き入れてくれた。
絶えることのない音楽に引きずられるようにして、君は商人たちの群れ集う中を先へと進んだ。
その薄暗い店先にちらりと目をやると、見たこともないような素晴らしい宝物が並べられていた。
人々は皆幸せそうであった。
彼らは、まるで体内から光を発しているかのように輝いて見えた。
君に微笑みかける者もいたが、絶え間なく流れ続ける音楽につき動かされ、君は立ち止まることもできず歩き続けた。




人込みの暗がりを抜けると、森に一つ離れてジプシーのワゴンが置かれていた。
音楽はそのワゴンから流れているようであった。
さらに近づくと、音楽に乗せた女性の声がこう言った。
”捜し求める者よ、中へ入りなさい”




中に入ると、カーテンで仕切られた部屋の中には、アンクの首飾りをしたジプシーの老婆が座っていた。
そして彼女の前には、濃い緑色のビロードのテーブルクロスをかけた丸い机が置いてあった。
部屋中の香の匂いが立ち込め、君は頭がくらくらしてしまった。
ジプシーの老婆は、君のアンクを見て微笑み、決してそれを手放さないようにと忠告し、
”私たちは、長いことあなたが訪れることを待っていました。これからあなたが辿るべき道を占いましょう”と言った。



彼女は机の上に、木でできた、不思議な珠の無い算盤のような物を置いた。
そして手に8枚の、これまた不思議なカードを持ってこう言った。
”いざ、占わん”




最後の選択を済ませた途端、部屋の中の香の匂いが一層強くなった。
そして、まるでどこか遠い所から語りかけているかのような小さな声で、ジプシーが何か喋っているのが聞こえた。
”道は示された!”
一瞬激しいめまいに襲われて、君は目を閉じた。

すると、君の心の中で、声がこうささやいた。
”王に助言をなす者を捜し求めよ”
そして目まいが去って、目を開けた君がみたものは…


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