Ultima7 Serpent Isle プレイ記録07 スリーピング・ブル


誘拐されたキャントラ、裏切者の存在、騎士団内での確執、ゴブリンとの戦い、アバタールの暗殺未遂、などなど未解決の事案はいくつかあるが、ひとまずモニトーの町から出て、北にあるというファウンの町へ行ってみることにした。


「まずは、リディアに盛られた毒を治さないことには、ゴブリンとも戦えない。ファウンにいるヒーラーから、ヴァロの葉とやらを手に入れなくては…」


「おや、町の北口の近くに洞窟があるぞ。…ちょっと中を覗いてみるか」




「ふーむ…もしかして、ここがファーナスのダンジョンかな?」

ファーナスとは、モニトーの町で聞いた話にも出てきたダンジョンで、かつてサーペントアイルを支配していた悪魔が住んでいたと言われている。
騎士達が勇気を試すために、たまに冒険しに行くためか、中には騎士と思わしき者の死体が幾つも転がっており、サイクロプスなどのモンスターも巣食っている。





サイクロプス程度であれば、4人で戦えば何とかなるが、少し進むと洞窟内にマグマが広がっており、その高熱でパーティーは大ダメージを受けてしまう。
現状では、これ以上奥に行くことは難しいようだったので、引き返すことにした。
探索はほとんどできなかったが、倒したサイクロプスから手に入れたジェムは金に換えることができるので、多少は軍資金の足しになったであろう。
転がっていた騎士の死体からも、いくつか装備品をいただいておいた。











「この嵐は一向に止む気配が無いな…。街道に出ても、そこら中に雷が落ちている」


「向こうに家が見えるぞ…。村があるのかな」




「村と言うよりは集落だな。少しばかりの家が建っているだけだ」


「その中でも、この建物はひときわ大いな。小さな集落だというのに、ここは一体…」


「とりあえず、中に入ってみよう」





デブラ
「スリーピング・ブルへようこそ!さあ、また嵐が来る前に入ってくださいな」


「スリーピング・ブル…モニトーでも聞いた名前だ。確か、ファウンとモニトーの間にあるとかいう宿屋だな」

デブラ
「私はデブラ。アンガスがいなくなってからは、息子のアーガスと一緒に宿屋を経営してるのよ」


「何にせよ、今日はもう遅いから休んでいこう。外も嵐だしな」

デブラ
「私は結婚した時からここで暮らしているけど、あんな魔法で生み出されたような嵐は見たことがないよ。ある時、ヨーサムという老人が嵐に巻かれたんだけど、その時は彼の農耕馬が目の前で山羊に変わってしまったんだって。でも、幸運にも彼の馬だけで、ヨーサムは助かったのよ。セロンもどうなったのか分からないわ」


「ヨーサム?セロン?この辺でも、誰か嵐で行方不明になった人がいるのか?」

デブラ
「セロンは単純な男さ。頭はまともじゃないけどね。言ってる意味が分かる?彼はアンガスと私に3年間仕えていた木こりよ…あの嵐が来るまでまね。嵐が来た時、アンガスはセロンを屋内に連れ込んだわ。でも、セロンはお気に入りの斧を取りに戻ったのよ…。その次の瞬間、雷が光ってセロンは消えのさ!」


「使用人が消えてしまったのか。やはり、俺達がやられたのと同じような感じだな」

デブラ
「雷に当たったら…普通の雷だったら死ぬだろうね。単に苦しむだけさ。あんたの黒焦げの死体は翌日埋められることになるわね。でも、この嵐は物を変え、消し去って、あるいは別の物と入れ替えるのよ。私にはまるで魔法のように見えるわ。私はムーンシェイド出身じゃないから、その答えは分からないけれどね」


「あの嵐は魔法によるものか…。モニトーでも、そう言われていたな。ムーンシェイドとやらに行けば、その手掛かりは掴めるかな」

デブラ
「素敵な町だけど、魔術士達が蔓延する、魔術の臭いがする場所よ。あんたは、この嵐が何によって起こされているのか聞いたことがない?誰かが何とかすれば、これは止むと思うのだけど。 これは魔法の仕業かしら?誰のせいなのか知っている?」


「いや、知らんよ。俺はこの島に着たばかりだ」

デブラ
「そう、私は魔術師達の仕業だと思っているわ!ここだけの話だけどね、ああいった力を操る者にはロクなのがいないよ… 」

アーガス
「お袋は皆にそう言ってるじゃないか。数少ないお客さんを困らせないでくれよ…」

デブラ
「母親にこんな口を利くような子供だなんて聞いたことがあるかい?」

アーガス
「俺はもう子供じゃなくて、この宿屋の亭主だよ。それでもって、今ここには魔術師が泊まっているんだからさ」


「息子さんか。一緒に経営しているんだな」

デブラ
「アーガスは私の長男さ。槍兵の隊長なのよ…。いや、だったのよ。家に帰って父親の後を継ぐまではね。私の夫は、下の子のウィルフレッドが宿屋を継ぐものと思っていたのさ。でも、あの子は宿屋の亭主にしては大きく強く育ちすぎちゃって!」


「へえ、もう1人息子がいるのか。ここにはいないのかい?」

デブラ
「ウィルフレッドはモニトーの騎士よ。いつもわがままだったわ…。夫はとても手を焼いていたみたい。あの子は兄みたいになるために、ここを出て行ったわ。あの子が言うには、兄以上になりたかったみたいね」


「父親は…旦那さんは、どうしたんだ?」

デブラ
「あんたは正直で働き者みたいだね。きっと、あんたならアンガスを見つけてくれるかもしれない」


「アンガスというのが、旦那さんの名前か。長男はアーガスというんだろ。紛らわしいな…」

デブラ
「まったく不思議なんだよ。あの人が消えた時、私のスリッパも消えちゃって…。今では夫もいないし、馴染んだスリッパもない。代わりに臭い靴があるわ」


「スリッパ?」

デブラ
「嵐が来た時、スリッパは紐に吊るして干していたのよ。それで、洗おうと思って取りに行ったら、紐にはこの大きな靴が吊り下がっていたのよ。私のスリッパはどこに行ったのさ。私のスリッパが戻ってくるなら、これは喜んで手放すよ」

シャミノ
「これは俺のスワンプブーツじゃないか!」


「なんだって!…ということは、シャミノが履いている女物のスリッパは、この女将さんの物ということか」

デブラ
「あんたが私のスリッパを持っているなら、喜んでこの靴と交換するよ。こいつに愛着は無いし、足は清潔にしておきたいしね」


「ひどい言われようだが、もっともな話だ。ほら、交換してくれ」

デブラ
「じゃあ、靴を渡すわ…。私のスリッパを持ってきてくれてありがとうね」


「やった、スワンプブーツが戻ったぞ!これで毒の沼に入っても大丈夫だ!…1人分しかないけど」




「ところで、あんたの旦那さん、失踪したという話だけど、嵐に巻かれて消えてしまったのかい?」

デブラ
「ある晩、私はベッドに入ってアンガスが残って掃除をしていたら、彼が失踪しちゃったのよ。聞いてちょうだい、あの人は、ここにいた奇妙な魔術師に用心していたのさ。私は下の階の貯蔵庫から聞こえる声がうるさくて眠れなかったわ。そして、何かがぶつかるような音が聞こえたから下の様子を見に行ったんだけど、誰もいなかったのよ。あの魔術師の仲間が飲み物を勝手に取ろうとして、すべって転んだんだと思ったわ。翌朝になるまではね」


「へえ、魔術師ねえ…」

デブラ
「記憶が確かなら、太った男よ。以前にここに来たの…。名前が何だったかは思い出せないけど、あんまり話好きではなかったわね。少なくとも私にはね。 エンソルシオに尋ねてごらん。少しだけ話したことがあるみたい。あ、そうだわ…宿帳を見ればいいじゃない!カウンターの上にあるわ」


「太った魔術師…まさか…!」





「やはりバトリンか!そういえば、モニトーを出た後にスリーピング・ブルへ行ったと聞いたな」


「…で、エンソルシオというのは?」

デブラ
「偉大なエンソルシオ様には、まだ会っていないのかしら?それは幸運ね!エンソルシオは来る日も来る日もここに座って浴びるように酒を飲んで管を巻いているわ。あいつがやっている事と言えば、ムーンシェイドの馬鹿が、どうやって彼を追い出したのかを不機嫌に語って、どうやって復讐してやろうか、ってことを不機嫌に語っているだけね」


「ふーん、あまり関わりたくないタイプの人間のようだな…」

デブラ
「エンソルシオは追放された魔術師なのさ。あいつが何をしたか知ってる人はいるかしら?私には怖くて聞けないわ…。 抽選で追放されたってなら、問題ないけどね。アンガスは魔術師を信用してなかったけど、エンソルシオをここに泊めるのを許可したわ。魔術師が呪文を詠唱するには明瞭な頭じゃないといけないから、エンソルシオがシラフに戻ったら私達は困るだろうって、あの人は言っていたわ」


「話を戻そう。それで、バトリン達と何かあったのか?ある晩に貯蔵庫で物音が聞こえてそれから…」

デブラ
「ええ、貯蔵庫よ。降りて行って酒瓶の1つ2つくすねようって考える馬鹿が少なからずいるわ。でも、そいつらがいつ行為に及ぼうとするのか、アンガスには分かっていたみたい。多少痛めつけて放り出していたわ。だから、あの朝までは心配していなかったの…。私が見た時には、あたりは散らかっていて、アンガスはいなかったわ」


「どんな様子だったんだ?」

デブラ
「酒樽やバレルが床中に散乱していたのよ。争った後みたいだったけど、血の跡は無かったわ。その日は一日中、それを元通りに並べ直していたわ。そして分かったんだけど、何も無くなっていないのよ。それから一週間経って、ウィルフレッドとアーガスに父親が戻って来ないことを話したわ」


「ふーむ、なるほど…。貯蔵庫でバトリンの一味と何かがあったのは間違いなさそうだな。仲間はどんな奴だった?」

デブラ
「そいつの名前も知らないわ…。私が知っている限りでは、その魔術師以外には誰とも話さなかったわ。歩いている時はいつもフードを被っていたから、寒がっているかのようだったわね。私の前でいつも震えていたわ」


「震えていた?」

デブラ
「あんた、病室に行ったことはあるかい?人が死んだことのある病室さ。空気が緊張して静かなのよ…。その感じが、あの魔術師の大きいお仲間からは漂っていたのさ。あいつは、きっとあの夜にエンソルシオから何かを盗んでいるわ」


「エンソルシオというのは、さっき話に出てきた魔術師か。そいつとも何かあったのか?」

デブラ
「あの朝、いつもよりかなり早い時間にエンソルシオが嵐のような勢いでやってきて、何かが無くなったて喚いていたのを覚えているわ。ええ、私はあの男に少し無愛想だったのは認めるわ。アンガスがいなくなっちゃったし、酒樽も元に戻さなくちゃならなかったのよ。それなのに、あのご立派な魔術師様は、酒の入ったコップから指一本動かそうともしなかったんだから!」


「なるほど…。息子さんからも話を聞いてみるか」


「あんたもモニトーの騎士だったという話だが、ちょっと話を聞かせてくれないか?」

アーガス
「見たところ、あんたもウルフ司令部だろう。誰だったかは思い出せないけどな。6ヶ月前に俺の親父が失踪するまで、俺はモニトーのウルフ司令部の隊長だったんだ。だが、今では俺は宿屋の亭主で、形式上の格付けとは無縁だ。ようこそ、いらっしゃい」


「ウルフの隊長だって?ということは、ブレンダンの前任のリーダーだったということか!父親が失踪したから、仕事を辞めてここに戻ってきたということか…」

アーガス
「そうさ、アンガスは失踪した。嵐が来た時のことじゃない。俺達も、そのことは分かっている。そして、お袋…デブラは、同じ夜に客の誰かがいなくなったと言うんだ」


「さっきの話だと、バトリンの一味のことかな」

アーガス
「あの夜のことを覚えているか、お袋に尋ねてくれ。俺はいなかったんだ。お袋が俺を家に呼んだ時は、無理からぬことだが憤慨していたよ。お袋はロード・ウィルフレッドが来て親父の代わりに宿屋をやってくれると期待していたみたいだが、代わりに来たのは俺さ。そして、お袋がその客の名前を何て言ってたかは、俺は思い出せない」


「ロード・ウィルフレッド?…さっき話で聞いたが、あんたの弟のことかい?」

アーガス
「ちくしょうめ!何でそんな風に呼んでしまったんだ?古い習慣はなかなか消えないな…。デブラに聞こえないように繰り返さないでくれて、ありがとうよ。ウィルフレッドは俺の弟だ。そして、多くの兄弟と同じように、俺達もよく喧嘩をしたさ」


「男兄弟は、皆そんなもんだな」

アーガス
「俺はこの宿屋で、皿洗いや他に必要とされる手伝いをして育った。だが、俺には世界を見て回る夢があったんだ。ガキの頃に、そこら中を歩き回ったさ。そして、親父のアンガスは俺を悪い見本としてウィルフレッドを育てた。だが、自分の望みどおりにウィルフレッドを育てる代わりに、アンガスはウィルフレッドを俺と同じ道に追いやっちまったんだ。あいつは、俺のようにするのが一番だと決断したのさ」


「自由気ままに生きる兄を見てたら、そりゃ自分も同じようにしたくなるよな」

アーガス
「親父が言うには、俺は曽祖父シルバーペイトにそっくりだったそうだ。俺が隊長になった後でも、親父は俺を認めてくれなかったよ。ウィルフレッドがモニトーに逃げた時は、親父もショックを受けていたみたいだ。ウィルフレッドが『ロード』を授かったのは、そこでのことさ。あいつは自分の野望のために、高慢な貴族みたいに振る舞っていたんだ」


「シルバーペイト?」

アーガス
「シルバーペイトは海賊さ。そのことについては隠し立てしない。彼は海賊稼業から引退して、この宿屋を建てたんだ。シルバーペイトが失踪した時、彼の息子…俺の祖父のドナルが、その後を継いだ。彼は海に戻ったんじゃないかと思った人もいる。また、彼の過去の悪行によって捕えられたんじゃないかと言う人もいた。それから誰も彼を見た者はいない。しかし、彼の財宝を捜し求める者は数多い」


「へえ、海賊の子孫だったのか。そりゃまた凄いな。財宝というのは?」

アーガス
「一族の伝説では、シルバーペイトは財宝の一部を使って、この宿屋を建てたと言われている。彼が失踪する前、この周辺のどこかに残った財宝を隠したと考えられているんだ。だが、ここだけの話、財宝は無いぜ」

デブラ
「その通りね!あんたが若い頃、友達と一緒に、ここからモニトーまでのあらゆる場所を掘り返してたっけ。私も止めはしなかったけどさ…。お父さんも若い頃には同じ事をしていたと思うわ。でも、あんたが私の庭を掘り返していたのを見つけた時には、しっかり鞭打ったわね!」

アーガス
「ああ…覚えてるよ。夕食の時に立たされたっけ」


「財宝か…ロマンはあるが、伝説というのは大抵そんなもんだな」


「それで、弟さんは今はどうしているんだ?」

アーガス
「俺はモニトーの隊長になったが、ウィルフレッドにとっては十分ではなかったようだ。あいつは騎士になり…ベア司令部となった。あいつと友人達がモニトーの理念を嘲り笑っているのを見るのは悲しいことだよ」


「どういうことだ?」

アーガス
「あんたも、その変化を見ただろうと思う…。悲しいことだよ…。勇気と勇敢さは、その品位を下げられてしまい、ウィルフレッドのような騎士達は、自惚れ屋や傭兵などよりも肩身が狭くなってしまったのだ!かつてモニトーの騎士は名誉の頂点であったが、今では人々は無益なごろつきとしか見ていない。俺も滅入ってしまうよ…。親父が失踪したという連絡をお袋から聞いた時に、俺は自分の任務をほとんど放棄してしまったからな」


「モニトーの騎士達は派閥争いや決闘ばかりしていたからな…。まあ、無理もない。色々あって大変な状況なんだが、あんたは、ウルフの隊長だったなら、俺よりは町のことを知っていそうだな」

アーガス
「モニトーはここから南にある町だ。勇気と勇敢を信望している。モニトーの兵士は槍兵と呼ばれており、顔に刺青を入れている。槍兵の司令部は3つある。ウルフ、レオパルド、そしてベアだ。俺はウルフ司令部の隊長だ。それぞれの司令部が年ごとに分担して町を運営している。年配の司令官が、その司令部の受け持ちの年にモニトーの領主となる。こうして司令部のバランスを保っているんだ。それは、司令部間の優位を争わせるのを最小限に防ぐことを意味している。もし、それぞれの司令部が、その年は町を支配する機会だという考えを持っていたら、それは政治的な面ではなく、軍事的な面で注意しなくてはならない」


「ああ、今はレオパルド司令部のマーステンが治めているな。その次はウルフ司令部になるそうだ」

アーガス
「強固な集団だと思わんか?ベアのように頭に血が昇っていないし、レオパルドよりも随分と引き締まっている」


「そうだな、リーダーのブレンダンも、なかなかの切れ者のようだし、派閥も結束しているようだ…」


「おっと、ずいぶんと長いこと話し込んでしまったな。とりあえず、今日はもう遅いから、ここに泊まっていきたいのだが」

アーガス
「1人につき8ゴールドコインだ。今夜は泊まっていくかい?」


「ゴールドコインか…。それならば、いくらか持ち合わせがあるな」

この島では町によって通貨が異なる。
モニトーではモネタリー、ファウンではフィラリー、ムーンシェイドではギルダーという貨幣が使われており、更にその3つとは別に普通の金貨(ゴールドコイン)を使う場合もある。
場所によって、必要な貨幣を用意したり両替しなくてはならない。


アーガス
「3号室の鍵だ。 部屋は上の階にある」


「ああ、それじゃあ、お邪魔することにしよう」


「それにしても、宿の中には随分と大勢の客がいるな。この嵐で、皆どこにも行けずにいるのかな…」


「あそこにいる男は…吟遊詩人か?」



ビリン
「旅人よ、スリーピング・ブルへようこそ!私はビリン、吟遊詩人であり音楽家です。今宵のお供となる物語や曲を、数多く知っております」


「へえ、やっぱり酒場には吟遊詩人が付きものだな。それじゃひとつ、面白い話でも聞かせてくれよ」

ビリン
「冒険者達の魂を持つ者のために、北の野蛮人についてお話しましょう」

ビリン
「人間の暖かい地から離れると、北の野蛮人の領域に入ることになります。この生物の顔は、普通の人間にそっくりですが、頭から足まで毛皮に覆われています」


「毛皮に覆われた人か…獣人みたいなものかな」

ビリン
「これらの生物は、寒さに適応した失われた部族だと言う人もいます。また、偉大なる神秘を守るために魔術によって造られた種族だと言う人もいます。彼らに知性があるかどうかは分かりません。建物を建てず、識別できない言語を話します。北の野蛮人についての歌があります。聴きたいですか? 」


「歌?じゃあ、頼むよ」

ビリン
「遥か彼方、寒く白い北の地に、悪しき部族あり。柔らかく灰色の毛皮、人のごとく二本の足で歩む。可愛らしい羽織と思うなかれ。彼らを狩ろうとすれば、二度と故郷には戻れないだろう…」


「……」

ビリン
「歌を楽しんでいただけましたら、私の部屋代と賄いに、少しばかりの援助をいただけますでしょうか」


「ああ、それじゃ金貨を2枚ばかし…」

ビリン
「ありがとうございます。別の曲をお聴きになりますか?お疲れでしたら、またにしますが…」


「夜は長い。もう1曲頼もう」

ビリン
「失われた文明ついて望む者のために、この大陸に遺跡を残した人々のお話をしましょう」

ビリン
「遥か昔、今日の町が建設されるよりも前に、ここには3匹の偉大なるサーペントを崇める種族がいました。ある者は炎のサーペントを、またある者は氷のサーペントを、そして大地のサーペントを、それぞれ崇めていました」


「古代サーペント文明とやらの伝説か…」

ビリン
「大地のサーペントのみが、炎と氷の両方に対抗することができ、最も協力でした。炎と氷のサーペントは、お互いに敵対していましたが、大地のサーペントにより抑えられていました。大地のサーペントが力を失うと、炎と氷は覇権をかけて争いました。そして、戦いが終わりましたが、どちらが勝ったのかは問題ではありません…。国土は破壊し尽くされ、崇拝者も全て死に絶えてしまいました」


「なるほど、なかなか面白い話だった。他には無いのか?」

ビリン
「悲痛なる勇気の物語を望む者のために、消えた王のお話をしましょう」

ビリン
「ここから北に行くと2つの城があります。長年の荒廃により、中には誰もいないようです。しかし、どちらも本当に無人というわけではありません。双方に裏切られた幽霊がいるのです」


「幽霊のいる城か。怖い話かな…」

ビリン
「荘厳な城の方には女性がいます。愛を誓った恋人を待っていますが、その者は戻ってきません。もう片方には父親がいます。娘と旧友を失って気が狂ってしまい、長年の間、人民を顧みていません」


「嵐の夜にこんな話を聞くと、ぞくぞくするな」

ビリン
「そこに囚われた魂は皆、ある者の帰還を待っています。その者はかつて、その国を守ると誓いました。しかし、見捨ててしまったことで、国は永遠に変わってしまったのです。皆が、その消えた王の帰還を待っています…そう、復讐するために!」

シャミノ
「待て!何の話をしているんだ?それはまるで…いや、違う!そんなはずがない!」


「ん…?どうしたんだ、シャミノ?」

シャミノ
「その消えた王について、もっと話してくれないか?その名前を知っているか?」

ビリン
「城の中を冒険した者は、とても少ないです。皆、そこに住む悪霊を恐れています。そして、城から戻った者はいません。その、消えた王の名前は…ロード・シャミノです」


「シャミノ?ロード・シャミノだと…!?」

デュプレ
「そんなはずがないぜ!」

イオロ
「何かの間違いだろう」

シャミノ
「……」

ビリン
「その女性に関する歌があります。お聴きになりたいですか?」


「…聴かせてもらおう」

ビリン
「これは悲しいバラードです…」

ビリン
「かつて、メイドがいた。夏の朝のように素敵な女性。彼女は王を愛した。気高き王、しかし彼女は見捨てられた。王は心に誓い、航海に出た。二度と戻っては来なかった。彼女の心は砕けて消えた。凍てつく北の風の中に…」


「消えた王か…。かつてソーサリア大陸には、ロード・シャミノが治める城が確かにあった…。しかし…」

ビリン
「歌を楽しんでいただけましたら、私の部屋代と賄いに、少しばかりの援助をいただけますでしょうか」


「ああ、じゃあコインを…」

ビリン
「ありがとうございます。別の曲をお聴きになりますか?お疲れでしたら、またにしますが…」


「では、最後に1曲頼もう」

ビリン
「では、お聴きになってください…」

ビリン
「かつて、この国は2人の王様が治めていました。1人は老人、もう1人は若者、だけど親友同士。ある日、若い王様は航海に出ました。年老いた王様は心を失ってしまいました。ゴブリンの蔓延と酷い裏切りで、年老いた王は遠くへ行ってしまいました。彼は守っていた人々を殺し、白竜の塔から身を投げてしまいました」


「この若い王というのは、さっきの話に出てきた王、ロード・シャミノのことだろうか…」


「失われてしまった古代ソーサリアの時代を伝えるものが、この島には数多く眠っていそうだな…」


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