Ultima7 Serpent Isle プレイ記録06 水晶の映像


「とりあえず、晴れて騎士となったことだし、イオロを解放してもらませんかね?」

ロード・マーステン
「そなたが、友人の今後の振る舞いを保証するのであれば、彼を自由にしよう」


「ああ、するする。いくらでもしてやるよ」

ロード・マーステン
「よろしい。彼を絶えず見ておくのだ。我々は、このように軽々しく町に出入りして欲しくないからな!そなたの友人の牢獄の鍵だ。これで自由にしてやれ」


「やった!ようやくイオロを助けられる!」


「さっそく牢獄へ行こう。随分と待たせてしまったな」



イオロ
「このクソッたれな場所から解放してくれてありがとうよ!この地の原住民達は無知な馬鹿どもだな。俺が呪術師だなんて、想像できるかい!」


「元気そうで何よりだ。ともあれ、これで3人の仲間達と再会できたな」



例によって、イオロの所持品も、カボチャや骨壷などの妙なアイテムと入れ替わっていた。
ハーンナから聞ける手掛かりを元に、元のアイテムを探さなくてはならないだろう。



「さて、ウルフ司令部に所属したことだし、一応リーダーにも挨拶しておくか。ブレンダン…どのような男なんだろうか…」

ブレンダン
「また会ったな、アバタール。君が我々の一員になったてくれて嬉しいよ。騎士道が認められたことを、改めてお祝いしよう」




「やあ、よろしく。あんたが俺の上官になるんだな」

ブレンダン
「私はウルフ司令部のリーダーだ。他のウルフと同様、私も力と機知の戦士さ。私がゴブリンどもからモニトーの兜を取り戻した時、私の力は皆に知れ渡り、次のチャンピオンナイトとなるだろう!そして、栄光は私に。婦人達も私にぞっこんになるのさ!」


「キャラディンとは別の意味で分かりやすいタイプの男だな…」

ブレンダン
「ウルフは、モニトーで最も機敏な戦士だ。迅速で、静かで、そして執念深い。獲物の追跡し、狩ることに関してはエキスパートさ。我らの攻撃に比肩し得る者はいない。いずれ、サーペントアイルの全土がモニトーの支配下となるだろうが、それはウルフ司令部によるものだろう」


「サーペントアイル全土の支配?そんな野望を抱いてるのか」

ブレンダン
「何故、我々がこんな南に腰を落ち着けているのか、理由が分からない!確かに気候は温暖だけど、大陸の全土は我らの手に届く!ベア共は、ここに隠れて停滞していたいだけだ。そしてレオパルド共は何事にも野心が全く無い!」


「ベアは城壁を築き、ウルフは交易路を築いているんだっけ。それで対外的な野心が高いのか。やはり、ベアとは仲が悪いんだな」

ブレンダン
「私は、彼らの中に裏切者がいると思っている!彼らの警備隊がファウンの塔で奇襲に遭ったことを聞いたか?我らが愛するチャンピオンナイトも、その戦いでゴブリン共に殺されたそうだ。 彼女もベアだったと思うが、とても美しかった…」


「本当に女好きな奴だ…」

ブレンダン
「警備隊は裏切りにあった。しかし、誰がその計画を知りえたか?それは、もちろん他のベアさ!」


「あの祝宴会場でも、裏切り者がいるって話になったな。しかし、ゴブリンなんかに味方して何か利益があるのかね…」

ブレンダン
クライグに対する告発は実に不快だ。彼を犯罪者にしてはならない、人違いだ!彼は裏切者ではない。 私は、ベアの者が自分達の司令部を裏切ったことが分かっても驚きはしない!ルーサーの行動を近くで調査するんだ。彼は信用できない。大言ばかり吐く粗野な奴だ。きっと、次は自分がチャンピオンナイトになるべきだと思っているのだろう。だが、私は彼には負けん!」


「ルーサー…あのクライグに食って掛かってた猛々しい戦士か」


「だが、ここだけの話、俺は騎士の試験の最中に殺されかけたんだ。あの試験官のシュメドにな。あいつが裏切り者ということは考えられないか?」

ブレンダン
「騎士道の洞窟で何があったかを知るつもりはないが、それはゴブリンのいたずらと言うよりは、魔法によるもののように思えるな。君は魔術師の町に敵がいるのか、アバタール?ムーンシェイドにはいったことがあるのか? ロード・マーステンは、裏切り者は捕えられたということを我々に信じさせたいみたいだが、私には信じられない」


「うーん、確かにゴブリンとはちょっと違うような気もするな。じゃあ、リディアはどうだ?俺に毒を盛って殺そうとしたんだ」

ブレンダン
「私の司令部のメンバーのいずれも、モニトーを裏切るとは考えられない。どうやって彼女が警備隊を裏切れるんだ?彼女は刺青技師であり、戦士ではない…。ルーサーが依然として最も怪しい。裏切者の探求を続けてくれ。君の司令官として命ずる」


「そうだな、彼女は町を裏切るというよりは、俺個人に怨念があるようだった。結局どちらも俺が殺してしまったから真相は分からないが…。とりあえず、あとでルーサーとも話してみよう」

ブレンダン
「彼はベアだが、まるで豚のような奴さ!」


「あの祝宴会の様子じゃ、ルーサーは完全にウルフ司令部の連中を敵に回してしまったな」


「レオパルドとの仲はどうなんだ?あいつらはクライグをかばってくれたじゃないか」

ブレンダン
「ああ、皆いい奴らだよ。少なくとも、彼らは我々の話を聞いてくれるし、我々の視点から物を見ようとしてくれている。我らも、『皆は一人のために、一人は皆のために』の理念を施行するべき時だ。そう、最高の騎士となるために!」


「女好きかと思えば、意外としっかりした事を言うな。掴みどころの無い奴…」

ブレンダン
「ああ、モニトーの女性達よ。皆がそれぞれの情熱を秘めている。 リディア、ルシラ、シャザナ、セリア、ハーンナ…」


「とか言ってたら、また始まった…」


「そうだ、あんたはこの町の女性に詳しいんだろ?調査のために、知っていることを教えてくれないか?まずは、俺を殺そうとしたリディアだ」

ブレンダン
「リディアは奇妙な女性だ。美しいが危険でもある。実にそそり立てられる女さ!とても怒りっぽく、我が強い。彼女の姉は、もっと美しいと言われているが、魔術師達にさらわれてしまったのだ。彼女に会うのは、きっと経験になると思うよ」


「まあ、経験(値)にはなったな…。じゃあ、酒場女のルシラは?」

ブレンダン
「彼女は実に浮気者さ。その気にばかりさせてくる。言っている意味が分かるかな?とても美しいし、興奮するよ。一緒に居ると、きっと楽しめるんじゃないかな?本当のところ、彼女は誰かに恋をしているように思う。燃えるような秘密だろう?誰が彼女の恋人なのだろうな。手掛かりも分からない」


「ふーむ、たしかに遊び好きに見えて、意外と一途なのかもしれないな。じゃあ、マントを作ってくれた毛皮屋のセリアはどうだ?」

ブレンダン
「彼女は大人しい女性だ。モニトーの騎士は、しばしば孤独な生活を送るが、彼女は特に変わらない。彼女の肌はなめらかで柔らかいんだ。彼女の店で扱っている毛皮や革よりも、ずっと良い。保証するよ…。オホン、失礼した!」


「こいつ…じゃあ、祝宴会上でルーサーと殺し合いをしようとした、あの気性の激しい女…シャザナっていったっけ?」

ブレンダン
「アストリドが死んだ今、シャザナは新たなチャンピオンナイトとなりたがっている。そんなに驚くべきようなことではない。そういった名誉は、我々の中では喜んで歓迎されるからな」


「あとは…ヒーラーのハーンナはどうだ?何か知っているか?」

ブレンダン
「彼女は未亡人だ。可愛い娘もいる。この頃では、彼女は内に篭って魔法に手を出してりしている。想像できるか?」


「魔法…?この町では御法度ではないのか?まあ、ヒーラーなら魔法くらい使っても不思議は無いが…」

ブレンダン
「キャントラを探してほしい。ゴブリンどもが彼女をさらったに違いない…知ってのとおり、奴らは子どもを喰らうからな」


「そうだな、手遅れにならないうちに何とかしてやりたいところだ。分かった、まずは裏切り者をはじめとした情報を集めることにしよう」


「まずは、ルーサーにも話を聞いてみるか。こいつらは仲が悪いから、どちらか一方だけでは情報が偏ってしまうしな」







「やあ、こんにちは。ルーサーは…店にはいないようだな…」

ルシラ
「あら、何のご用?」


「そういえば、あんたは裏切者について心当たりは無いか?」

ルシラ
「わけが分からないわ。ロード・ブレンダンは、ここに裏切者がいるって確信していて、ウルフ達も彼の後ろで結束してる。でも、私が聞いた話では、ここには裏切者はいないらしいから、そんなにヒステリックになるべきではないわ」

シャミノ
「お嬢さん、その話は誰から聞いたんだい?」

ルシラ
「うーん…一人からじゃないわ。そんなに話す話題じゃないけど、酒場ではどんな話でも聞こえてくるからね」


「そうか…。ロード・マーステンやスペクターも、裏切者などいないと言っていたな。お互い疑心暗鬼になっているだけなのかな…」


「そういえば、あんたはお若いのに、この大きな酒場の亭主なのかい?」

ルシラ
「私の曽祖父の代から、何代も受け継がれてきた酒場よ。とっても素敵なお食事処だけど、この町の男達は、私に言い寄るために来ているのよ!ご好意は全部受け取っているわ…」


「へえ、ここも古いんだな。宿屋も町の設立時からあるそうだし、彫師のリディアも先祖代々やっているとか言っていたっけ…」

ルシラ
「酒場の設立者だっただけじゃなく、祖父はモニトーのチャンピオンナイトだったの!トーナメントで負けるまでの間、何年もモニトーの兜を身に纏っていたわ」


「チャンピオンナイトにモニトーの兜か…。この町の象徴のような存在なんだな」

ルシラ
「チャンピオンナイトの話をすると、ゴブリンによって卑劣にも殺されたアストリドのことを思い出さずにはいられない。チャンピオンナイトとして彼女の後を次ぐに値する人は、ここにはいないんじゃないかと不安になるの。でもそれは、あなたを除いてよ?きっと、あなたにはあなたの戦いがあったんでしょ」


「まあ、俺は今までにあらゆる騎士の称号を授かってきたような勇者の中の勇者だからな…。だが、この町にだって強い奴はいくらでもいるだろう」

ルシラ
「モニトーは、かつてのような町ではないわ。私達の祖先は勇気の原理を礎に、この町を建てた。でも今では、騎士達は欲望と栄光によって堕落している。モニトーに必要なのは勇者よ。それは戦場でのリーダーであるだけでなく、人々の心を揺り動かし、騎士とは何なのかを彼らに振り返って思い起こさせる人物よ。 新しいチャンピオンナイトが現れてほしいわ。モニトーの兜を取り戻すだけでなく、この町を不正を正すようなね! あなたがその人なの?そうだったら嬉しいわ」


「人々の心の規範となる存在か…。それは正にアバタールのことだな。この島は、徳や3原理が広められる前にブリタニアと関係を断ってしまったから、そういった概念が無いのか…」

ルシラ
「騎士達は皆、戦いのことを考えているわ!そして、誰と戦うのかって?ゴブリン?いいえ、リスト・フィールドで、別の騎士と試合をするのよ!ルーサーは最悪ね。あいつのこと大嫌い!」


「ルーサー?おお、そうだ、ちょうど探していたんだよ。ずいぶん嫌っているようだが、あいつについて聞かせてくれないか?」

ルシラ
「何て下品で粗野なのかしら!あいつは、この町の女性が皆、彼のことを求めていると思ってるのよ。私は嫌いだけどね!」


「酷い言い様だな…」

ルシラ
「あいつは自分の力を証明するために弱い騎士を痛めつけて、リスト・フィールドで決闘させるようにしてるのよ。そして、当然ルーサーは強いから彼らは負けるんだけど、その時に満足げに彼らを見下ろすの」


「たしかに、そいつは下衆な奴だ」

ルシラ
「負けた人達が言うには、ルーサーの新しい盾は凄い力を持っているから、今では本当に無敵らしいの!ええ、それが魔法の力だとしたら、使うのを止めさせるべきよ!モニトー人は魔法の武器や防具は使わないものだから…。でも、ルーサーには誰も何も言えないわ」


「ふーん、なるほどねえ…。とりあえずは、そいつを探して話を聞いてみるとするよ。どうもありがとう」


「酒場の他に戦士達が集いそうな場所は…やはりここか、試合場リスト・フィールド!」




「おお、いたいた。みんな元気にやっとるね。キャラディンもいるぞ」

キャラディン
「また会ったな。ようこそ、何か手助けが必要かね?」


「やあ、裏切者が本当にいるのか調査しているのさ」

キャラディン
「アストリドの警備隊を裏切ったのが誰にせよ、そいつは騎士に違いない。他にそんなことはできる者はいない!クライグは最も疑わしい。おまえも、祝宴会でルーサーから聞いただろう。 ベアは配給係のクライグを疑っているが、ウルフの連中は勿論否定している!誰かあの弱虫に問いただしてみて、自責心を見せるかどうか試してみるべきだ」


「ふーむ、キャラディンもクライグを疑っているのか。シュメドやリディアは、やはり無関係なのかな?」

キャラディン
「まあ聞け、アバタール。確かに、あの女はおまえを殺そうとしたが、それは彼女の名を貶める理由にはならない。リディアがおまえを毒殺しようとしたのであれば、名を汚したと認めよう。それは恥ずべき行為だからな。しかし、彼女が町を裏切ってゴブリンにつくとは、どうしても信じられないのだ。それは不可能なことだ!俺はクライグが裏切者だと思う…」


「殺してしまったことについては、お咎め無しみたいだな、よかった…。だが、シュメドは騎士の試験の管理人だから、いなくなると困るだろう」

キャラディン
「フン!シュメドはモニトーで最も臆病な奴だ。我々は彼を騎士の試験の場所に置いている。追放したという自責の念にかられないためにな。あいつはゴブリンを恐れているんだ!どうやって奴らのスパイになるっていうんだ?ありえないだろう。それに、騎士の試験での出来事からは魔術の匂いがする。ムーンシェイドの魔術師達の中に、おまえに敵対する者がいるようだな」


「うーむ、全く心当たりが無いんだがな…。そもそも、ムーンシェイドなんて行ったことが無いし…」


「あ、そういえば…あんたは祖父の骨壷が無くなったとか言っていたよな。もしかして、イオロが持っている骨壷が、そうなんじゃないか?」

キャラディン
「おまえが?死者の骨壷を?どうやって見つけた?俺の祖先の魂を汚した盗賊を、お前が殺したのか!? 」

イオロ
「ウム…その…私が見つけたんです」

キャラディン
「調べさせてもらってもよいか?」


「ああ、もちろんだ」

キャラディン
「これは俺の祖父だ!おまえは俺の家族の魂を再会させてくれた!俺の本心からの感謝の気持ちとして、これを受け取ってもらいたい。ここに硬貨がある。どの宿でも、おまえと仲間達の部屋と賄いを得られるに十分な金だ!」


「うほっ!ありがたい!何せ、所持金が全然無かったからな。これで旅の支度を整えられる」


「さて、次はルーサーだ。おーい、ちょっと話をしたいんだが、いいか?」

ルーサー
「新顔の騎士だな!フン、いい刺青をしてるじゃねえか!」


「やあ、話すのは初めてだな。あんたがルーサーかい?」

ルーサー
「俺はルーサーだ!ベア司令部で、無類の筋力を持った教官だ。モニトーの次のチャンピオンナイトになる運命にある!」


「チャンピオンナイトに?まだ決まってるわけじゃないんだろう」

ルーサー
「チャンピオンナイトとは、この地で最も勇敢で頑強な戦士のことだ。アストリドの思いがけない死により、今その地位は空いているのだ!実際、彼女は軽はずみな行動でゴブリンの奇襲を招いたに違いない。俺がチャンピオンだったら、ゴブリンどもは恐怖におののくさ!」


「大した自信だな」

ルーサー
「おまえ知らないみたいだが、俺はモニトーで最も偉大な戦士だ!そうは思わんか?」


「…うむ、まあな…。それで、普段は何をしているんだ?」

ルーサー
「ベア司令部の命を受ける騎士として、俺は常にモニトーを守っているのだ。よく、俺はキャラディンから頼まれて警備隊を率いて城壁の外に行ったり、自分1人で荒野の斥候をするのだ。俺は勇敢だからな」


「なるほど。一応それだけの腕前は持っているということだな」

ルーサー
「いつも、俺は危険極まりない警備に行かされる。ベア司令部頭領のキャラディンは、俺をそういった所に送り込んで、願わくば戻って来ないほしい、なんて冗談をよく言うんだ。だが、俺は真実を知っている。キャラディンは、俺がそれを成し遂げられる唯一人の者だと知って、送り込んでいるのさ」


「(こいつはキャラディン以上に扱いやすそうな奴だな…)」

ルーサー
「多くの騎士が俺の偉業について話すんだ。ルシラと話すといいぜ。あいつは俺にぞっこんだからな。俺の言っている意味が分かるかい?いつの日か、俺はベアのリーダーとなる。本当のところ、キャラディンはまったくの臆病者だからな。 そして、俺はゴブリン共に最後の戦いを挑むんだ。あいつらの頭蓋骨で俺の剣を研いでやるぜ!」


「祝宴会場で、クレイグのことを裏切者だと言ったのは、あんただろう。何でそう思うんだ?」

ルーサー
「ゴブリンどもが手助け無しに警備隊を奇襲するなんて、できやしねえ。このことが分からないんだったら、ロード・マーステンは能無しだ。この謎を解くのに魔法使いはいらん。それは、俺達の中で奇妙な行動をしている者、秘密裏に動いている者、そして騎士の義務を果たしていない者、ではないか?」


「……」

ルーサー
「配給係のクライグと話すんだ。そして汚ねえ秘密を吐かせるんだ。俺がやってもいいが、あの虫ケラに近づくなとマーステンに命令されているんだ」


「分かった、ではクライグに会ってこよう。ところで、ルシラから聞いたのだが、最近新しい盾を手に入れたそうだな」

ルーサー
「俺の新しい盾のことを聞いたのか!誰もこんな物は見たことが無いだろう。とても軽い上に、まるで攻撃が跳ね返るかのようだ…」

デュプレ
「見ろ!こいつは俺が失くした盾を持っているぞ!そして、俺達が持っている謎の盾は、きっとこいつの物だ!」


「やはりそうか…。あの雷で入れ替わってしまったんだな」

ルーサー
「何を言っているんだ!?」


「それは俺達の盾だ、返せ」

ルーサー
「ダメだ!これは俺の盾だ。偉大なるモニトーの騎士だった父から譲り受けた物だ!」


「んなわけないだろう。間違いなくデュプレの盾だ」

ルーサー
「俺のことを泥棒呼ばわりするということは、嘘つき呼ばわりするということだ。それは、俺の父の名誉を貶めることだ!そうであれば、おまえとリスト・フィールドで戦わなくてはならんな!俺がおまえだったら、俺にそんな傲慢なこと言うのは考え直すがな!」


「今デュプレが持っている普通の盾が、おまえの盾だろう。見覚えは無いか?」

ルーサー
「いや、これは俺の盾ではないな。これまでの人生で、こんな盾は見たこともないぜ。俺は盾なんて失くしていない。おまえは間違えているんだろう。それに、俺にはこの新しい盾がある。いや、ともかくこれは俺の先祖伝来の物だ」


「新しいのか先祖伝来なのか、どっちなんだ!」


「ダメだな、こいつは手放そうとしない…。何か別の方法を考えるとして、まずはクライグに会いに行くか…」







クライグ
「こんにちは、アバタール。私は配給係のクライグだ。道具が必要だったら公正な価格で配給するよ」


「やあ、同じウルフ司令部として、今後もよろしく。あんたは道具屋をやっているんだな」

クライグ
「私はモニトーでツールズ・オブ・トレードという道具屋を営んでいる。栄光ある仕事ではない。だが、私の身体の状態では剣を振るうことができないんだ」


「体がどこか悪いのか?」

クライグ
「近くで見るといい。私の腕は肘が不自然に曲がっているだろう。若い頃に初陣でゴブリンから奇襲を受けたんだ。激しい戦いだった。その時、治療を受けることができなかったから、戦いに適さない身体になってしまったんだ」


「そうだったのか…。騎士しかいない町で暮らすには不便そうだな…」

クライグ
「私は戦場では役に立たないが、配給係をしている。少なくとも、自分の食い扶持は稼いでいるさ!ウルフ司令部は私に良い扱いをしてくれる。もし私がベアだったら…そう、彼らが考えていることは戦闘の腕前のことだけさ」


「そんな事情があったのに、ルーサーの奴は決闘を挑もうとしていたのか…」

クライグ
「おまえは、あの人でなしのルーサーの仲間なのか?あいつは私の友人なんかではない。あいつは、私が森を散歩しているという理由だけで、私を疑っているんだ!あいつはリーダーのキャラディンに、ただ従っているだけさ。あいつらは全員、ウルフは自分達の敵だと思っている!」


「ベア司令部が、全員そうとも限らないだろう。いい奴だっているさ」

クライグ
「奴らは人でなしさ!絶え間のない決闘のことしか頭に無い。ベアは栄光のためだけに戦う。しかし、ゴブリンのことはどうだ?野盗のことはどうだ?キャラディンと、その配下の騎士達は勝利の栄光ばかりに関心を持っており、我々が面している真の戦いに対しては及び腰なのだ」


「うーむ、あんな目に遭ったから無理もないが、ベアとウルフの確執は深いな…」

クライグ
「キャラディンは悪い人じゃない。しかし、彼の思考は過去のぬかるみに捉われている。彼が見ているのは武勇のみだ。我々モニトー人は内々での決闘を止めて、代わりに外に向かなくてはならないというのが、彼には分からないのか?キャラディンは、ウルフがベアを嫌っていると思っている。しかし、本当のところは我らのリーダー、ブレンダンの計画を受け入れられないだけなんだ」


「まあ、確かにあいつは少し脳筋なところがあるな。いつ見てもリスト・フィールドの試合場で訓練してばかりだしな」

クライグ
「彼らはリスト・フィールドで多くの時間を浪費している。挑戦する者全てと戦ってるんだ。ルーサーは最悪だ!あいつのことを聞いただろう!私を裏切者だと言うんだ」


「それはそうと、あんたもよく独りで森まで行っているそうじゃないか。怪しまれるのも無理はないぞ。いったい何をしているんだ?」

クライグ
「ああ、この話は私を苦しめるだけだ。私のこういった性癖は、私が敵と共謀しているというような、悪意のある噂になるだろう。私は一人でいる時に遠くへ行くことなど、ほとんど無いし、過度に気遣っているんだ。信じてほしい。私は長い散歩をする。だが、それの何が悪い?私は戦場跡を訪れたり、古代の武器や防具を探すのが特に好きなんだ。沢山の物を集めているよ」


「遺跡巡りをしているのか…。確かに、店の中にも珍しそうなアイテムが沢山並んでいるな」

クライグ
「かつて悪魔達がこのサーペント・アイルを治めていた時代、ここでは大きな戦争があったに違いない。私は森の奥深くまで散歩して、数々の謎を見つけたんだ。奇妙な石で造られた廃墟、真鍮のアーティファクト、時として骨や粉々になった武器…そして、そこにはいつもサーペントの印がある」


「サーペントの印だと?」

クライグ
「なぜ我々の島がサーペント・アイルと呼ばれているのか不思議に思わないかい?我らの先祖が来た時、彼らはサーペントの印をいたる所で見つけた。彫刻や小彫像として、多くの古代遺跡にな。モニトー自体も、サーペント時代の遺跡の跡地の上に建てられたんだ」


「その話は少しだけ聞いたぞ。あんたらの先祖がこの島に来た時には、既にその文明は無く、ゴブリンしかいなかったとか…」

クライグ
「奴らは荒らし屋だ!我々は、先祖がこの島に足を踏み入れた時からずっと、奴らと戦っている。恒久の平和を得るためには、奴らを滅ぼさなくてはならない。しかし、ベアとレオパルドがブレンダンの話を聞かないことには、それはできないだろう。奴らを追跡して村を突き止め、殺さなくてはならん。だが、もし裏切者がいるのであれば、元より我々が滅ぼされてしまうだろう」


「おまえが裏切者ではないという証拠はあるのか?」

クライグ
「あんたも私を責めるのか?私は無実だ。すぐにその証拠を用意してやる!我らの中の誰かが、ゴブリンどもに情報を売っている。そう思えるだけの理由があるんだ」


「理由だと?」

クライグ
「ここには、森まで遠出している者がいる。その者の姿ははっきりと見たことは無い。とても賢い男で、私が識別する前に森の中に走って行ってしまうんだ」


「森に行っているのは、もう1人いるということか…」

デュプレ
「そいつはゴブリンなのか、人間なのか?」

クライグ
「彼はゴブリンではない!奴らは戦争の時を除いて森の中に行くことは無い。しかし、彼の足取りには、人間ではないような何かを感じる」


「そいつが裏切者と言いたいんだな」

クライグ
「聞いてくれ、もしここに裏切者がいるのであれば、そいつはどこかでゴブリンと会っているはずだ。私は、ゴブリンがよく集まる場所を知っている。おそらく、そこで裏切者が誰かという証拠を見つけられるはずだ。だが最近では、その集合場所付近には多くのゴブリンの警備隊がいる。私には、気付かれずにその場所に行くことはできない」


「となると、そこに行くにはゴブリンと戦わなくてはならない…ということか」

クライグ
「ゴブリンどもは何週間もの間、騎士の試験の北の森に集まっている。ファウン西の塔を打ち破ってから、奴らは大胆になったようだ。アストリドが殺されたのも、そこだ。クソッたれめ!」


「集合場所とやらは、何処にあるんだ?」

クライグ
「その場所は簡単に見つかる。ゴブリンどもは、この島の古代遺跡に引き寄せられるからな。騎士の試験の北、大きな糸杉の森の真ん中に、奇妙な黒いオベリスクがある。そこが、ゴブリンどもが南へ攻め込む前に戦隊を組んで集合する場所だ」


「なるほど…。こいつは重要な手掛かりだな。支度をしたら、一度様子を見に行ってみるか」







「キャラディンの祖父の骨壷をイオロが持っていたということは、それが元あった場所にはイオロの所持品が代わりに置かれているということだ。あの火葬場の奥の聖堂に行ってみよう」




「やあ、じいさん。ちょっと邪魔するよ」

レンフリー
「なんだ?なんだ?おお、またあんたか」


「そういえば、まだ自己紹介をしていなかったな。俺はアバタール。新しく騎士となった者だ。じいさん、あんたの名前は?」

レンフリー
「フレイム?おお、そうだ。わしらは絶えず火を使っておるよ」

デュプレ
「ネームと言ったんだよ、爺さん。フレイムじゃないぜ」

レンフリー
「おお、その通り、わしの耳はよく聞こえなくなってしまってな。炎の轟音のせいだよ… わしはレンフリー、騎士であり火葬者だ。わしはモニトーの葬儀屋だよ。知らんかったか?皆知ってると思っていたがのう。忘れるなよ騎士殿、いつの日か、わしがあんたを火葬するんだからな!」


「縁起でもないこと言うなよ。どっちかと言うと、あんたが先だろ」

レンフリー
「わしは死人を扱っておる。火葬炉の責任者なんだ。死体を火葬する準備をし、死者の灰を納める部屋の監視もしておるよ」


「この町では、遺灰を崇める風習があるみたいだな」

レンフリー
「おまえさんは、多くの時間をリストフィールドで過ごしてきたようだが、わしらの伝統について考える時間は、あまり使ってこなかったようだな。死体を火葬にするのは、我らモニトー人の習慣だ。死んだ騎士の遺灰は神聖なのだ。遺灰は、その人の命を表しており、火葬炉の不思議な作用によって蒸留されておる。死者の聖堂には、代々の騎士の遺灰を納めた骨壷がある。死者の遺灰は、わしらの遺産なんだ」


「たしかに、キャラディンも祖父の遺灰をとても大事にしていたし、俺達が思っている以上に神聖視しているみたいだな」

レンフリー
「火葬の装置の前では敬意を払うのだぞ。そいつは死そのものを表しておる。わしがスイッチを押したら、ポンプが動き始める。そして、熱が満ちたら天蓋が開くのだ。そうしたら、中の火に死体を入れるんだ。 すると、装置が死者の遺灰を壷の中に集め、炎の腹の中から可動ベルトに乗せて運んでくれるのだ。それで、わしがそいつを死者の聖堂に持っていくということだ。 近づく時には注意するんだぞ!こいつは、この世の全ての物を灰にできるも同然だからな!」


「そういえば、ブリタニアにも火葬屋がいたなぁ。死体を持っていくと火葬してくれたっけ…。ここでも、死体を持って来れば火葬してくれるのか?」

レンフリー
「そのことに触れてくれて嬉しいよ。おまえさんが勇敢なる槍兵の死骸に出くわすことがあったなら、その死体を火葬場まで持ってきてほしい。そうしないと、死者の亡霊は、おまえさんを死ぬまで苦しめるだろう!わしはロード・マーステンから、槍兵の死体を持ってきた者に100モネタリの報酬を支払うよう、権限を貰っておる。そうやって、彼らはちゃんと聖堂に葬られることができるんだ」


「なに!?100モネタリも!……(シュメドとリディアの死体を火葬しようかな…)」

レンフリー
「わしらは騎士の社会だ。わしらにとって、世界というのは勇敢な者のみが生き残る、無情な場所だ。わしらは魔法というものを信用しておらん。おまえさんも、この町では魔法の武器はどんな値段でも売れんぞ!だが、ここには魔法をも凌ぐ力がある。これらの神秘の1つが、死者の遺灰だ。知っての通り、グルノルディアの灰が騎士の試験の最後に置かれている。あれが象徴動物を出現させる力は、いったい何なのだ?わしにも何も分からん!」


「そういえば、あの遺灰には何故あんな力があったのだろうか…。そして、何故ゴブリンの遺灰が騎士の試験に使われているのだろうか…」

レンフリー
「わしには、その話を判断することはできん。ロード・マーステンと話すのだな。その死せるゴブリンの王の遺灰に、わしらの血が混ざると、モニトーの騎士の象徴動物が出現する、というだけで十分だ。グルノルディアは、わしらの最大の敵だった!彼の遺灰は憎しみを持っているのか?実際、そいつに作られた動物は、わしらを殺そうとしてくるだろう?そして、彼の遺灰は勇気の象徴なのか?そうだとしたら、ゴブリンどもは、モニトー人が思っているよりも近しい存在のはずだろう…」


「うーむ、確かに。よくよく考えてみると謎だな…」

レンフリー
「そして、サーペントの門についても、誰も説明はできん。わしらの町は、その上に建てられているんだ」


「サーペント!さっきクライグからも聞いた話だな」

レンフリー
「聖堂の中に隠された、石の壇だ… 。刻まれたサーペントは、悪魔が作った石細工のようだ。かつて悪魔は、この島の全土に住んでいたが、騎士がここに来てからは、ファーナスと呼ばれるダンジョンに引き篭もってしまった。伝説では、その石壇はサーペントの門と呼ばれていた。しかし、その門とは何のことか?そして、何処にあるのか?」


「聖堂の中にある石の壇…これのことか!」




「なるほど、確かにサーペントが彫られている…。しかし、これのどこが門なんだ…?」


「おっと、それよりも、まずはキャラディンの祖父の骨壷だ。えーと、どこにあったんだろうな…」


「お、これは…!」




「イオロのクロスボウだ!魔法の矢もあるぞ。やはりこの聖堂の中にあったか!」


「しかし、よりによってキャラディンの祖父の骨壷と入れ替わるとはなぁ…。もし誤解されてたら、殺されかねなかったな」


「さて、用も済んだし戻るとするか」


「ん…?あそこに居るのは…ハーンナ…?こんな所で何を…?」




「いや、彼女はいなくなった夫の墓参りに来ているのか…。行方不明だから、骨壷も置いていない…」

ハーンナ
「何かご用ですか?」


「ハーンナ…気の毒に。せめてキャントラの手掛かりが見つかるといいな…」

ハーンナ
「…あなたは魔法を信じますか?」


「ま、魔法…?何を突然言い出すんだ?いや、俺はこの町の連中と違って、自分でも魔法を使う方だが…」

ハーンナ
「それはよかったわ。私があなたに見せる物は、この町の住人の大半が頭を混乱させられるものですから。私の家へ行き、水晶玉を見つけるのです。そして、中を覗き見て、思念を研ぎ澄ませてください」


「わ、分かった…」


「…いったい、何を言おうとしているんだ…?」







「ハーンナの家のテーブルの上の水晶玉…これか。中を覗けと言っていたな。どれどれ…」


「お、何か見えるぞ」




「うーん、暗くてよく見えないけど…部屋の中で男が女を追いかけてるように見えるな。声が辛うじて聞こえる」

…「助けて!」
…「私はただの女の子よ… 」
…「近づかないで!」
…「やめて、この悪魔!」


「まったく、けしからん!女の子も嫌がってるじゃないか!ハーンナは、こんなものを見せる趣味があるのか?」


「いや、待て!この女の子は…そして、この男は…!」

キャントラ
「近づかないで、私はただの女の子よ」

バトリン
「おまえのことは知っているぞ、混沌の破滅よ。その体は、おまえが纏っている殻にすぎん」

キャントラ
「逃げてみせるわ!私の力はあなたを…」

バトリン
「おまえの力は、その檻に閉じ込められている。今は私の敵ではない…」


「バババババトリン!」




「ああ!バトリンがキャントラに炎の魔法を…!」

ハーンナ
「今ご覧になった通り、キャントラに差し迫った危機は、単にゴブリンに攫われたことによるものではありません。何か汚らわしいものが彼女の身を支配しています」


「うわ!びっくりした!いつの間に後ろに立ってたんだよ」

ハーンナ
「最悪なのは、この子がゴブリンどもに殺されて、その体も破壊されてしまうことです。この新たなる危機は、彼女の精神を脅かすだけでなく、彼女の本質をも脅かしています!どうか、お願いします。この子を見つけ出して救ってください」


「…やはり、この水晶に映っていたのがキャントラなんだな?」

ハーンナ
「きっと危険な仕事になるでしょうから、一介の女の頼みなど断られても、あなたを責めることはできません。でも、水晶玉の映像を信じてくれる騎士は誰もいないのです。彼らは、キャントラはゴブリンに攫われて、もう既に殺されていると思っています。あなたが唯一の希望なのです!私の娘キャントラを探し出し、私の元に連れ戻してくださいますか?」


「キャントラを追いかけていた男には、俺も借りがあるんだ。言われなくても探しに行くさ」

ハーンナ
「おお、あなたの優しさと勇気に、心の底からの感謝をいたします!」


「しかし、他に手掛かりはないのか?この映像だけじゃ場所は掴めないし…」

ハーンナ
「キャントラを見つけるためには、2つの物が必要となります。1つはキャントラの練習用の剣です。今、あなたに差し上げます。これはキャントラが毎日使っていた練習剣です」


「フム、この木剣か」

ハーンナ
「娘の剣を持ち、伝説のドスカーの猟犬を探してください。それらであれば、剣に付いたキャントラの匂いを辿り、サーペントアイルのどこにいようと追跡できるでしょう。ただ一つの難点は、どうやってドスカーの猟犬を探すかです。私もそれらが何処にいるのか知りません。しかし、私の占いでは、あなたは娘を救う前に猟犬を見つけなくてはならないのです」


「ドスカーの猟犬か…。わかった、旅がてら人に尋ねつつ探してみよう」


「そして、バトリンの手掛かりが掴めたが…何故あの男がキャントラを誘拐したんだ…?」



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