Ultima7 Serpent Isle プレイ記録03 バトリンの影





「いたる所に石像が立っている…。騎士の町というからには、もっと無骨な感じかと思っていたけど、何だか妙な町だ」


「おや、女の子が歩いているぞ。やあ、お嬢ちゃん!ちょっとこの町について尋ねたいんだが…」



キャントラ
「私は見た目ほど幼くはないわ!年齢を小さく見られるのが、どれだけ辛いか分かってる?私は14歳、もうすぐモニトーの騎士になれる歳よ。でも、みんな私のことを少女だと思ってるわ…。 ああ、ごめんなさい。ともかく、モニトーへようこそ!私の名前はキャントラよ」


「おっと、失礼した!(十分幼いと思うが)なかなか立派な志だ。確か、キャラディンが言っていた、今度騎士の試験を受けるとかいう子だな」

キャントラ
「私は騎士になるために長い間、修行をしているの。この世界で、騎士になること以上に素晴らしいことはないわ!」


「この町は、大人から子供まで、本当にみんな騎士なんだな」

キャントラ
「私のお父さんも騎士だった。とても素晴らしい人だったわ。でも、もう死んでしまったの。 15歳になったら、私も騎士道の試験を受けて、気高い戦士となるの!」


「なんと!明るく振舞ってはいるが、そんな辛い過去が…」

キャントラ
「みんなは、お父さんはまだ生きていると言うけれど、いなくなってから何週間も経っているわ。私も現実と向き合える歳だからね。お父さんはモニトーの近くを警備していたわ。何か奇妙なものを見つけたと、槍兵に話していたのだけど、それを見に行ったきり戻らない…。ゴブリンの仕業に違いないわ!でも、泣いたりはしない。私が最初に斬るゴブリンの一団はお父さんに捧げるわ!」


「ふーむ、なるほど。可哀想にな…。だが、無理するんじゃないぞ。君はまだ修行中の身だしな」

キャントラ
「私は強いわよ。準備も万端。十分に訓練したし、ゴブリンなんかじゃ相手にならないわ!あなたもトレーナーにつきたいなら、私が推薦するわ。みんなはシャザナが最高の教官だと言うけれど、彼女は横暴ね。お父さんが死んでからは、キャラディンが私の教官をしているわ。彼は大きくて騒がしくて、たまにお馬鹿だけど、正しい心の持ち主よ」


「キャラディンの弟子だったのか。まあ、確かにあの男は単細胞だけど悪い奴じゃなさそうだ。それで、騎士道の試験について聞いてみるように言っていたんだな」

キャントラ
「私はこの試験のために、これまでの人生ずっと訓練してきたわ!知りたいことがあれば、何だって私が教えてあげるわよ。秘密を知っていれば、何も危険なことなんてないわ。そして、シュメドだって何でもない。何を知りたいのかしら?」


「へえ、その秘密ってのは何だい?」

キャントラ
「実際は秘密でも何でもないわ。モニトーの人なら皆、騎士の試験がどうやって行われてるのか知ってるから。次のことを覚えていてね。後ろを振り向かないこと。さもなければ爆発に巻き込まれるわ。まずは、すぐに移動するのよ。端から端まで上を見て。手掛かりがあるのだけど、そうしないと逃げてしまうわ。よじ登る準備をしておいてね。タイミングが肝心よ。注意深く観察すれば、炎の弾が追い越してくるわ。探すためには、目と同じように手を使うのよ。中には見えない物もあるからね。そして、最後の部屋には秘密があるわ!でも、あなたに冷静な頭と神経があれば、ダンジョンの他の部分と比べても簡単だと思うわ。賭けてもいいわよ」


「おいおい、そんなにあるのか。メモしとかないとな…。さっきキャラディンから聞いたヒントも、忘れないようにしないと…」


「試験会場には、シュメドとかいう番人がいるんだっけ?」

キャントラ
「ああ、試験を管理している老人よ。彼のことはあまり好きじゃないわ。私には、彼がたまに奇妙に見えるの…。彼にパスワードを言わないと、ダンジョンの中には通してくれないわ。パスワードを教えてくれるのはロード・マーステンだけよ。それと、メイスとレザーアーマーだけで騎士の試験に挑ませるために、シュメドはあなたの武装を解くわ。仲間も連れて行けないからね」


「1人で挑まないといけないのか…。まあ、子供でも簡単と言うくらいだから、何とかなるだろう。ありがとう、じゃあ後で行ってみるよ」

キャントラ
「さよなら!」


「さて…町を出る前に、もう少し情報収集をしておいた方がいいかな」


「情報と言えば、古今東西において酒場しか無いだろう。ちょっと一休みして行くか」




「ちょうど食事時かな?大勢集まっているから話も聞きやすいぞ」

ルシラ
「あら、あなた、ご立派な体格ね!その武器で敵を沢山倒してきたんじゃないの…?私はルシラ。何でも言ってね」


「な…なんだ、この女?あんた、ここの主人かい?」

ルシラ
「モニトーで一番の酒場、スラッシング・ソードを経営しているわ。料理なんて騎士のすることじゃないと思うかもしれないけど、この町の戦士達のお腹を満たすのは、まさに勇気の探求だと断言するわ!」


「ふーむ、こんなお姉様まで騎士なのか。じゃあ、ちょっと私とお話でも…」

ルシラ
「私はお喋りが大好きだけど、旅人とはお話ししないわ。私は好みにうるさいの。それに、あなたはモニトーの騎士じゃないしね」


「あ…行ってしまった…。やはり騎士じゃない者には冷たいなぁ…。仕方ない、他の人と話そう」


「…この男でいいや。こんにちは、ちょっといいかい?」

アンドラル
「旅人よ、こんにちは。私はモニトーのアンドラルだ。この名芸術家に何か用かい? いや、君と話すべきではないかな…。君は私から強奪するつもりではあるまいね!」


「なんだ、こいつも警戒心が強いな。いくら騎士じゃないとはいえ、さすがに強奪なんてしないぞ!…せいぜい気付かないように盗むくらいだ」

アンドラル
「私は彫刻家を生業としている。この町では騎士の胸像や彫像が流行しているから商売繁盛さ。 君が私に依頼をしたいのであれば、君のために時間を作るよ」


「依頼?彫刻を作ってくれるのか?」

アンドラル
「私は有料で、誉れある騎士の芸術作品を作っている。それは、騎士達が偉大な冒険を成し遂げた時や、または単に私に金を支払って虚栄心の記念碑を作ってもらおうとする時だ。君も私に仕事の依頼をしたいのかい?」


「おお!是非アバタールの石像を作ってくれ!」

アンドラル
「申し訳ない、私は今、ルーサーの像を作る仕事をしているんだ。完成まで、もう少し時間がかかる。それが終わるまで、君の仕事に取り掛かることはできないな」


「…まあ、そんなことだろうと思ったよ。ところで、さっき強奪がどうこう言っていたけど…」

アンドラル
「その出来事については、話したくないものだけどね。実に不愉快な出来事だよ」


「そんな勿体ぶらずに、酒の肴として話してくれたまえよ」

アンドラル
「このモニトーに旅人が訪れた。彼は別の国からやってきたと言っていた。とても巨大で、戦士と言うよりは学者のような男だった。彼は大勢の仲間を引き連れており、その中には背が高く、マントに身を包んだ者もいた。その賢者バトリンが町を去った夜、何者かが私の家から古代の遺物を盗んだんだ。私は彼が犯人だと疑っている!」


「へー、旅人ねえ。バトリンって言うのか。バトリン…バトリン…ええ!?」

デュプレ
「バトリンだと!おお、そいつは我らの敵だ!」

アンドラル
「彼は古代の遺跡を吟味し、特にサーペントの石に興味を示していた。そのことは、レンフリーがより詳しく話してくれるだろう。その賢者はファウンから来たと、宿の亭主のシモンが聞いたそうだ」


「ファウン…この島の3つの町のうちの1つか」

アンドラル
美の町ファウンは漁師達の町だ。ここから北の巨大な入江にあるよ。ファウンの女性は、この地で最も美しいけれど、過剰に甘やかされている。一方でモニトー人の女性は雄牛のように強いけれどね!」


「バトリンは大勢の仲間を引き連れていたと言っていたが、どんな奴がいた?」

アンドラル
「何と言っていいか分からない!マントに身を包んだ者は、ほとんどを宿屋で過ごしており、話もしなかった。シモンであれば、もっと詳しいことを教えてくれるだろう。 また、バトリンと共に旅する者の中には、ブラントという名の戦士がいた。彼は背丈は小さかったが、信じられないくらいに肩幅が広かった…。ああ!彼が私の作業場に来てくれていれば!彫刻を作ったのに…。 スタンダールがリスト・フィールドで彼と戦っている。彼は他の誰とも違った相手だったと言っていたよ」


「スタンダール…丁度あそこに座っている男のことか」

スタンダール
「俺は武器屋スタンダールだ。何の用だい?」


「武器屋なのか。そっちの方はまた今度として、さっき聞いた話だ。ブラントという男と戦ったらしいな」

スタンダール
「俺に言わせれば、奴のような筋肉は、鍛冶の仕事と引き換えに培われるものだ。誓って言うが、俺だって弱くはない。 だが、あの男ブラントは、町に来たバトリンとかいう賢者の仲間だ。奴は、華麗な奴ではないが、雄牛のように力強かった!おそらく、利き腕じゃない方の腕でも俺を持ち上げることができるだろう。奴はトーナメントで俺に勝ったが、それは技によるものではなく、純然たる力によってだ」


「あいつの部下のエリザベス、エイブラハム、フックは俺が倒したはずだが、また新たな仲間を従えているみたいだな。しかも、手強そうだ…」


「…で、アンドラルさん。あんたが盗まれたとかいうのは、一体どんな物だったんだ?」

アンドラル
「私の先祖が初めてこの町を見つけた時に、その遺物を見つけたんだ。それ以来、ずっと私の家族に守られてきた。正直に言うと、私達はそれを捨てるのが怖かったんだ。それは魔力を持っているようで、サーペントのような形をしていた。そして、見たことも無いような黒い石で形作られていたんだ」


「黒い石…それはまさか…」

シャミノ
「アバタール、恐らくそれはブラックロックだ…」

アンドラル
「私達はそれを嫌っていたけど、手放すことを怖がっていた。説明はできないけど、そうだったんだ」


「もしブラックロックで出来ていたとしたら、そいつは本当に魔力を秘めているな」

アンドラル
「モニトー人は信心深くはない。しかし古代の遺跡には恐れを抱く。 それらは、遥か昔にこの地を支配していた悪魔達の住処なんだ。彼らは角を持ち、赤い肌をしていた。そして、溶岩を意のままに操る力をもっていたんだ!サーペントは彼らの印さ」


「赤い肌をした悪魔…もしかして、ガーゴイルのことなのか?しかし、サーペントの印ってのはなぁ…」

アンドラル
「そう、それは生きたサーペントが石になったかのようだった。完全な複製品さ!遺跡の中でサーペントの象形を見るのは、珍しいことではないけど、あのような石のサーペントを見たことは無かったな」

シャミノ
「そのサーペントの曲線を描けるか?」

アンドラル
「うーん…頭が右を向いていて、身体は曲がりくねっていたな。何でそんなことを聞くんだ?」

シャミノ
「アバタール、この男が盗まれた遺物は、おまえが嵐で無くしたものと全く同じだ。顔が反対側を向いていること以外はな!


「え?俺、そんなアイテム持ってたっけ…。最初に何を持っていたか、あまりよく確認してなかったけど、おまえがそう言うなら、きっとあったんだろうな、うん」

アンドラル
「だが言わせてほしい。バトリンに安息の時は訪れない。屈強な戦士達が彼の後を追っているからだ!殺し屋ウィルフレッドのことを知っているかい?」


「え?いや、知らんよ」

アンドラル
「ウィルフレッドはモニトーの騎士だが、彼の故郷はスリーピング・ブルの宿屋だ。 彼の父は謎の失踪をしており、バトリンも同じ頃そこにいた。ウィルフレッドは、その賢者が関係しているのではと疑っている。 きっと、勇敢なるウィルフレッドは賢者を追跡して殺すだろう。そして、私も甘美な復讐を味わえるということさ!」


「スリーピング・ブル?そこに警備の塔があるとキャラディンが言っていたな…」

アンドラル
「スリーピング・ブルの宿屋は、ここからサーペントの主幹道路を北に行けば見つかるよ。 古代の宿屋を保存し、それが村の名前になったんだ。そんな所は他に無いさ。ウィルフレッドの兄、アーガスが切り盛りしている」


「バトリンの奴、こんな島まで来ても色々と問題を起こしているようだな…。宿屋で過ごしていたとか言っていたから、そこでも話を聞いてみるか。じゃあな、情報ありがとう」

アンドラル
「さようなら!」


「宿屋は、この酒場の裏だな。おーい、ごめんください」



シモン
「何かご用かい?わしはシモンだ」


「あんたが亭主だな。ちょっと話を聞きたい」

シモン
「わしはモニトーの宿屋、スリーピング・ソルジャーの亭主さ。寝場所が必要だったら提供するよ。 あるいは、俺を飲みに誘ってくれるってなら、喜んでご一緒するとも」


「飲み…?」

シモン
「そうさ、あんた酒を飲みに来たんだろう。ところで、わしのお気に入りの酒があるんだが、飲んでみるかい?」


「じいさんが奢ってくれるのかい?それならば、まずは駆けつけ一杯…」


「ゴクゴク…」


「ブフッ!」

デュプレ
「アバタール!大丈夫か?」


「うぶ!おげええええ!」

シャミノ
「汚ねえな!」

シモン
「珍しい味だろう?敢えて言うならば、ファウンの住人以外でこいつを飲めるのは、わしだけさ」


「何てモノを飲ませるんだ!」

シモン
「もう一杯、あんたと一緒にやりたいんだが、あんたの口には合わないみたいだ。それに、そいつを片付けないとならんしな!」


「う、うむ。ちょっと部屋に粗相をしてしまったな…。しかし、酒の強いじいさんだな。宿屋じゃなくて酒場でもやればいいのに」

シモン
「わしは、もうずっとモニトーで宿屋をやっている。覚えているよりも、ずっと長くな!多分、この町で一番の年寄りだと思うよ。今のモニトー領主のマーステンが赤ん坊の頃だって覚えているさ!でも、不満は無いんだ。平凡な生活だよ」


「へえ、随分長いことやってるんだな。平凡と言えば平凡かもしれないが、それだけ続ければ大したもんだよ」

シモン
「そうさ、人は自分の運命を操ったりはできない。違うかい?わしは自分の不運を受け入れているんだ。前に進んで挑戦し、過去を忘れることを学んだんだ」


「不運?過去に何かあったのかい?」

シモン
「嗚呼、遥か昔、わしの若き新妻はゴブリンどもに殺された。わしらはファウンに旅行するために道に出たんだ。その時、わしは騎士で、愚かにも自分だけの力で彼女を守れると思い込んでいたのさ。そして、あのクソッたれな生き物に奇襲され、わしは1人で命からがら逃げたんだ」


「そ、そいつは不幸だったな…」

シモン
「若い頃、わしはモニトーの騎士だった。今でも技は衰えておらんと思っておるよ。だが、この歳じゃ勇気の探求や警備にも行けない。わしは騎士道の試験を通過したが、そのちょっと後に、ゴブリンどもに遭遇してしまったんだ。それからは、もう戦いたいなんて思わなくなった。わしは宿屋を経営して静かに暮らす生活を選んだのさ」


「ま、まあ、今が良ければそれで良しってね。こうやって元気に宿屋を経営して何よりじゃないか、うん」

シモン
「わしは今までの人生、ずっとここで暮らしておる。両親は幼い頃に殺された。もちろん、ゴブリンどもにな。ほとんどの死者は、たいていゴブリンどもによるものだ。わしらは、その全ての歴史の中で、あの生き物と戦っているんだ」


「うーむ、このじいさん、想像以上に不幸だぞ…」


「そ…そうだ、ここに来た旅人のことを聞きたいんだよ」

シモン
「2人だけ、印象的な来訪者がいたな。―まあ、あんたもそうだが。そいつは太った賢者と学者だ」


「その太った賢者だ!どんな奴だった?」

シモン
「彼は古代の遺跡に非常に興味を示していた。たしか、彼はレンフリーについて行って聖堂の中に入っていたな。そこにある何かが彼の興味をそそったんだろう。 彫刻家のアンドラルに話してみるといい。彼はこの宿で、その賢者と長い時間話していたからな。 彼はスリーピング・ブルの村落を目指して、ここから北東に行ったはずだ」

デュプレ
「その男の名前は?覚えているか?」

シモン
「うむ、なんだったっけなぁ?単純で、やけに嫌な感じの名前だったような…」

シモン
「バトリン、そうだ。彼は自分のことを賢者バトリンと呼んでいた」

シャミノ
「バトリンの形跡を見つけたぞ!」


「宿帳にもバトリンの名前があるぞ。自分で賢者と名乗るとは、おこがましい奴だ」



シモン
「おお、彼には共に旅する手下がいたことも話したかな?戦士や船乗り、そしてフードをかぶった男がいたな」


「戦士ってのは、さっき酒場で聞いた屈強な男のことだな。船乗りというのは、どんな奴だった?」

シモン
「デッドアイと呼ばれていた浅黒い男だ。海賊のような風貌だったな。シャザナがその男と少しだけ会っていたと思う」


「ふーむ、以前に倒したフックのような奴だな…。フードをかぶった男というのは?」

シモン
「そいつからは妙な匂いがした…そう、硫黄のような…?そして、誓ってもいいが、フードの下の彼の頭には角が生えていたんだ。…いや、そんなバカなことがあるか。きっと何かの手品さ」


「角の生えた男か…。妙な連中ばかり連れていやがるな…」


「そういえば、バトリンの他に来た学者というのは、きっとグウェノのことだろう。どこに行ったか手掛かりを知らないか?」

シモン
「彼女はこの土地を調べていたと言っていた。このサーペントアイルのことを知りたがっているように見えたな。スペクターが、主に彼女と接していたよ。ここを出て東に向かい、ゼンカの僧侶の知恵を学びたがっていたな。もちろん、嵐が来る前のことだ。今では、こんな危険な海の中を行くような勇気ある船乗りはいないさ」

シャミノ
「なんという幸運だ!後を追う手掛かりを見つけたぞ!」


「ゼンカの僧侶…この島に来て最初に出会った、あのソクサとかいう女のことか」


「そして、スペクターというのは、この町の首脳の1人だな。確か、あの葬儀の時にロード・マーステン達と一緒にいた男だ。ちょっと会いに行ってみるか…」


このシナリオに登場するスペクターは、Savage EmpireやMartian Dreamsにも登場したスペクター博士と、同じ人物がモデルになっています。
開発関係者やリチャード・ギャリオット氏の友人などがモデルとなったキャラクターが登場するのは、ウルティマシリーズの伝統ですね。



「この公会堂の奥で仕事をしているのがスペクターだな」




スペクター
「何か用かね? 私はスペクター、モニトーの出納官だ」


「やあ、葬儀の時にもチラッとお会いしたね。あんたは出納官だったんだな」

スペクター
「率直に言えば、とても色々な事をしている。ロード・マーステンは物事を片付けるよう指示する。しかし、私はそれらの支払をする方法を探さなくてはならないのだ!私は書物や書類の仕事をし、この地域の貨幣交換も担当している。また、税の徴収と管理も行っている。率直に言えば、私は騎士ではあるものの、全く戦士ではない」


「つまりは、この町の行政担当ってわけか」

スペクター
「我らの槍兵は、モニトーとファウン、スリーピングブルをつなぐ主要道路の警備をし、塔の守備をしている。 時勢が良い時には、この道をキャラバンが旅し、我らの庇護の下で稼いだ商人達から巨額の報酬を得ていた。しかし今では、ゴブリンの集団が侵略してくるという噂に怯えて、旅行者は街道からいなくなってしまった!率直に言うと、これは全くのたわ言だ」


「全然そうは見えんが、やはり、あんたも騎士なのかい?」

スペクター
「そうだ、私は15歳の時、義務的に騎士道の試験を通過した。しかし率直に言うと、誰もが騎士として生まれているわけではないのだ。私は知識人だ。他の騎士からは嘲笑されるだろうが、私は気にかけない。リストフィールドでは私は格好の的となるが、議論の場では殺戮者だよ!」

スペクター
「君は騎士道の試験を受けるのを考慮してみるべきだろう。適切な訓練をすれば、決して難しいものではない。 市民は、旅人よりも騎士である者に良く接してくれる。我々はよそ者を信用していないからな」


「確かに、酒場でも全然話をしてくれない人もちらほらいるしな…。この後に受験しに行って見るよ」

スペクター
「実に簡単な試験だよ。騎士が言うことを信用してはならない。率直に言うと、私が通過できるのだから、誰でもできるさ!このことは、キャントラの小娘に話すといい。彼女は来月に試験を受ける準備をしているから、全ての情報を持っている」


「この男や子供でも合格できるのなら、本当に難しくないんだろうな…。キャントラからはヒントも聞いているし、まあ大丈夫だろう」


「そうそう、あんたがグウェノと接していたと聞いたんだが。以前にこの町に来た女学者だ」

スペクター
「ちょっと前に、モニトー公会堂で長らく過ごし、我々の博物館の展示物を調べていた女性がいた。とても親しげだったよ」

シャミノ
「彼女はどこへ行ったんだ?知っているか?」

スペクター
「ここから東へと向かった。私の記憶では、モンク島の図書館で研究をすると言っていた」


「ふむ、宿屋で聞いた情報と同じだな。モンクの島か…」

シャミノ
「アバタール!旅を続けて彼女を探さなくては!」

スペクター
「率直に言うと、そこは神秘的な場所だ。聡明なるモンク達が暮らしているという伝説の他には、その地のことは知らない。そこに行く方法は船のみだが、ここには船乗りがいない。嵐が彼らを妨げているのだ。ファウンにいる船長を雇うと良いだろう。そこは漁師達の町だ。もしくは、スリーピング・ブルの集落だな」


「スリーピング・ブルか…バトリンが向かった場所だな」

スペクター
「そこの宿屋は、とても古い建物だ。3つの町が設立される前の時代に建てられている。その宿の周辺に村ができたのだ。 道が交差する場所にあるから、そこではあらゆる種の興味深い人々に会うことができるだろう。そして、そこは魔術師の町にも直結している」


「魔術師の町?」

スペクター
「私の見たことの無い地だ!あらゆる形状において、私は魔法を信じていない。ムーンシェイドは、スリーピング・ブルから通じる彼方の島にある。そこに行くにはボートが必要となるだろう」


「そうか、この町の人間は魔法を毛嫌いしているんだっけ」

シャミノ
「多分、そこで新しいスペルブックを手に入れられそうだな…」


「ありがとう、有益な情報だったよ。とりあえず俺は騎士の試験を受けることにしよう」

スペクター
「さようなら!」


「よし、まずはロード・マーステンから、騎士の試験を受ける許可を貰いに行くか」





「ということで、俺も騎士になりたいから許可をくれ」

ロード・マーステン
「ダンジョンは町の北の山の中にある。その入口にはシュメドという名の騎士が、希望に溢れる戦士を待ち構えている。彼が試験のルールを説明してくれるが、キャラディンに尋ねてもよいだろう。騎士の志願者を教育するのはキャラディンの仕事だからな」


「ああ、もうその辺のことは全部聞いたよ」

ロード・マーステン
「よいだろう、シュメドが合言葉を尋ねてくるから、彼に告げるがよい。 『勇気は命の魂』とな」


「それが合言葉だな。よし、これで準備は万端だ!」


「ついでに、ここでロード・マーステンと一緒にトレーニングしている騎士とも話してみるか…。おーい、ちょっと失礼するよ」

シャズナ
「最近では、この町であまり旅人は見かけないね。自己紹介するよ。私はシャズナ、レオパルドの騎士さ」


「やあ、レオパルドと言うと、ロード・マーステンやスペクターと同じ所属か。あんたは何の仕事をしているんだい?」

シャズナ
「おまえに何の関係があるってんだい?あたしとトレーニングしたいってなら、午後にリスト・フィールドに来な」


「あ、いえ、すんません…」


「おっかない女だな…。だが、シャズナというと、確かバトリンの手下の船乗りと接触した人物だな。先ほど宿屋のじいさんから聞いたぞ」

シャズナ
「おまえが言ってる不思議な船乗りってのは、デッドアイという名の海賊だ。あたし達はリスト・フィールドで、騎士道にのっとって非公式で白兵戦の試合をした。あいつは…面白い奴だ」


「試合をしたのか。あの武器屋スタンダールといい、やはり騎士の町だけあって、みんな血気盛んだな」

シャズナ
「ちょっと前に、とても奇妙な男が町にやって来た。そいつはバトリンと名乗っていたな。それで、そいつはあたしに自分の下で働いてほしいと言ってきたんだ。でも、何だか信用できなかったから断ったね」


「なんと、バトリンに勧誘されたのか!何かしら、近しいものを感じたのかな…。まあ、とりあえずは敵が増えなくてよかった」


「結構多くの人がバトリン達と接しているようだな。あいつは、いったい何を企んでいるんだ…。とりあえず、より詳しい情報を集めるためにも、騎士の試験を受けに行くとしようか」


ここで騎士の試験を受けに行く前に、スタート地点からモニトーの町に向かう途中に隠されている洞窟に立ち寄ってみた。
最初にシャミノの魔法の弓を見つけた付近に不自然な草むらがあり、その先が洞窟となっている。






ここには、ベッドロールとロックピック、松明が落ちていた。
そして、拾ったロックピックで洞窟内の宝箱を開けると、いくつかの食糧と六分儀、そして剣、バックラーといった装備品も見つかる。




奥にはアンクの台座があり、そこには死体が横たわっている。
そして、傍に置かれた奇妙な書簡には、謎めいた文が記されていた。


親愛なるドロゲニ様
これは、古代の写本から私が翻訳したものの抜粋である。私はサーペントのルーン文字を完全に理解していないため、翻訳は雑であるが、楽しんでいただけると思う。
再びお会いする日まで〜 あなたの忠実なしもべ、エルスタンより


余は急いでこれを記す。
Order(秩序)軍は、すでに砦の外壁を破壊した。これほど大勢の民衆が、外の世界へ脱出し、未来へ子孫をつないで行くことがで きるかどうか、余には保証ができぬ。
余はただ、これなる走り書きが、我らの神聖なる哲学を後世に伝える助けになればと願うのみである。
もし、我らの文化が、時を超え、いずこにおいてか、貴殿の手によりて再発見された暁には、我らが民の声を広く世に伝えていただきたい。
我らが言葉に込められた魂を解放し、古人のすばらしい英知を見直していただきたい。

Balance(均衡)それは、Order(秩序)とChaos(混沌)の2つのPrinciples(原理)の間に存在する調和であり、我らが真実とし て掲げる唯一にして純粋な定理である。この3つの原理は、ひとつのシンボルで表わされる。
均衡の守り神、グレート・アース・サーペントがまっすぐ縦に伸び ているまわりを、秩序と混沌という相反する2匹のヘビが互いに巻きつくように取り巻いている。
混沌と秩序は、それぞれ3つのForce(力)を内包している。この6つの力が合わさると、均衡の3つの原理が構成される。
混沌の力は、 Tolerance(許容)、Enthusiasm(熱情)、Emotion(情緒)である。 秩序の力は、Ethicality(倫理)、 Discipline(鍛錬)、Logic(論理)である。

Chaos(混沌)
・Tolerance(許容)は、すべてのものを受け入れるよう促す力である。
・Enthusiasm(熱情)は、人を動かし、大きな目標を達成させる力となる。
・Emotion(情緒)は、心より湧き上がる感情を受け止め、理性の抑制に対抗する力である。

Order(秩序)
・Ethicality(倫理)は、行動を規制することに大きな価値があるとする信念である。
・Discipline(鍛錬)は、妨害を負けることなく目的を達成しようと努力することである。
・Logic(論理)は、感情を排した明確で論理的な考えである。

Balance(均衡) 混沌と秩序の力をひとつずつ合わせることで、均衡の原理が生まれる。
・Tolerance(許容)と Ethicality(倫理)が合わさると、Harmony(調和)が生まれる。己と他人とそれを取り巻く世界との間に平和をもたらす力である。
・Enthusiasm(熱情)と Discipline(鍛錬)が合わさると、Dedication(貢献)が生まれる。障害を乗り越え他人を導く力である。
・Emotion(情緒)と Logic(論理)が合わさると、Rationality(合理性)が生まれる。人生と世界を理解する力である。

この世界は、我らがもっとも敬愛していたはずの定理、均衡を軽んじたために、かかる崩壊を招いた。もし、貴殿の時代が平和な世であったなら、どうか、この サーペントアイルに均衡を取り戻していただきたい。敵はすでに余の書斎のドアを激しく叩いている。ここでペンを置かざるを得まい。貴殿の世界が、我が世界 よりも幸運に恵まれることを願っている。
高級公式解説者 エシスノス

これは、サーペントアイルにかつて栄えていたという、古代サーペント文明に関わる文書のようだ。
均衡、混沌、秩序の3つの原理と、それぞれの3つの力が、どうやら今後のキーワードとなりそうである。


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