Ultima Savage Empire
10 谷に響く時


正気に戻ったスペクターが言うには、無限に産まれてくるミルミデックスを滅ぼすには、巣穴の中にいる女王を倒さなければならないらしい。
そしてミルミデックスの巣穴には、奴等がコトルから奪った黒い石もある。
アバタール達が元の世界に帰るため、そしてイーオドンの谷を救うため、奴等の巣穴に入らなくてはならないようだ。

そのミルミデックスと対決するために、ようやくイーオドンの谷の全11の部族を同盟させることに成功したのであるが、まだ連合は完成ではない。
過去に色々聞いた話によると、かつて全部族の連合に成功したという伝説の英雄オロロにならって、ドラムヒルという丘で巨大な太鼓を打ち鳴らさなくてはいけ ないようだ。
こういったパフォーマンスも、結束力を高めるためには必要ということか。


ということで、早速ナフアトラの付近にあるドラムヒルに行ってみると、一人の奇妙な男が出迎えてくれた。



そう、彼は太鼓職人のツマッシュというディスキキ族だ。
かつて聞いた話だと、ディスキキの中でも比類ない勇者であったが、バラッブ族のバラカイに、トプルと同じく心を盗まれてしまった男である(と言っても実際 に心は盗まれてなんかいないが)

太鼓を作って欲しいか?と聞いてくるので、とにかくデカイ太鼓を作れと命じると、太鼓の皮を持って来たら作ってやると言う。
ちょうど狩りをして入手した虎の毛皮を持っていたので手渡すと、それでOKだったみたいだ。
彼は渡した毛皮を使って、巨大な太鼓を作り上げた。
異常なほどの仕事の早さである。





ツマッシュ

ドラムヒルに住む太鼓職人。
突然目を突いてきたり、ドラムのスティックで頭を叩いてきたりする。
バラカイの魔法で心を奪われる前から、かなりの変人だった様子である。









そして、アバタールは伝説の英雄オロロと同じく、ドラムヒルの上で巨大な太鼓を叩き鳴らした……!



アバタールの鳴らす召集のリズムはイーオドンの谷中に響く。
その音に呼応して、連合に加わった各部族の集落から応答の太鼓の音が返される。




次第に谷中から鳴り響く太鼓の音でいっぱいになり、各地から戦士達が集結した。
長い間、敵同士として戦っていた者達が、隊列を組んで歩いてきた。




彼らは連合のリーダーであるアバタールの指示を仰ぐ。
目標は1つ、力を合わせてミルミデックスを倒すことだ。
スペクターが言う。
何としても、黒いムーンストーンを破壊するんだ、それが一番の目的だ、と。

そして、部族ごとに部隊を編成し、全軍でミルミデックスの巣に攻撃を始める。
アバタールも、仲間達と共にミルミデックスの巣穴へと降り立ったのであった……。




さあ、いよいよクライマックス!
根気を入れて挑むとしよう……!


巣穴の中は相当に広く、ミルミデックスもわんさか出現するので、女王を探し出すのは一筋縄ではいかなそうだ。
しかも蟻の巣状の細い迷路になっているので、迷うなんてものじゃない。



シラミつぶしに道を調べてマッピングしていく他、解決策はなさそうだ。


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そんなワケで、俺は命知らずの5人の野郎共とアイエラを連れて、ついにミルミ デックスの巣にやってきた。
だが、皆かなりヘバッてきている。
このクソッたれな巣穴に入って、もう丸一日くらいだろうか。
ようやく内部がどうなっているのかが分かってきたってところだが、さすがに俺も疲れてきた。
スペクターの奴が言うには、こいつらの巣はおそらくイーオドンの谷の地下全体に広がっているらしい。
やれやれ、とんでもない巣を作ったもんだぜ。

ここはいわゆる蟻の巣ってやつだ。
俺も昔ブリタニアで巨大な蟻の巣に入ったことがあるが、あんなのを想像してもらえると丁度いい具合だろう。
少々困ったことに、この穴は狭いものだから、いつものフォーメーションを組むことができない。
狭い通路を歩く時には、先頭を歩く俺と後方射撃を担当する奴しか戦えなくなっちまうんだ。
グレネードなんかの類も、こんな場所じゃ密集し過ぎて危険なものだから使えない。
こればっかりは仕方のないところだが、真ん中に位置するジミーの小僧があからさまにサボってやがったので、俺はかなりムカッ腹が立ったね。
コトルの町で見つけた稲妻の杖で、この小僧を感電させてやろうかと思ったくらいだ。

それにしても、俺は散々に苦労をして谷の部族をまとめ上げ、打倒ミルミデックスということでようやく一致団結したはずだが、この巣穴の中にいるのが俺達だ けってのはどういうワケだい?
あの太鼓の丘に集まった数多くの戦士達は、いったい何だったんだい?
俺は道中、親友のトリオロにこんな愚痴ばかり吐いていたが、彼は肩をすくめておどけたポーズをしてみせるだけだった。

だが、遂に俺達は目的地に辿り着いたようだ。
少しばかり広い部屋の奥に、奴の姿を発見した。



ミルミデックスの女王蟻だ!
奴の恐ろしい姿を見ると、俺達は竦んでしまいそうになった。

だが、俺はアバタールと呼ばれる男だ。
今こそが、勇敢の徳とやらの見せ所だろう。
俺は士気を上げるために、皆に言ってやった。
まあ見てな、すぐに奴を剥製にしてるさ。
そしてラフキンの博物館に飾って、国で一番の名物にしてやるぜ。
…ってね。

意を決した俺が女王に近づくと、奴が突然声を発した。
驚いたことに、この女王は人語を話せるみたいだ。



『人間共を殺せ!』
こいつが発した言葉は、それのみであった。
どうやら、俺の交渉術をもってしても、もはや平和的解決は無理なようだ。

俺は素早く身構えて奴と対峙した。
この巨大な顎で噛まれたら、さすがの俺もタダじゃ済まないだろう。
プレートメイルでも引き千切りそうな鋭い顎だ。

注意深く距離を取り、奴の動向を伺う……。
奴も俺の隙を探しているのか、微動だにしない。
互いに一挙一動を読み合うような、緊迫の時間が続いた。

最初に動いたのは俺だった。
奴の凄まじい威圧感にたじろぎながらも、俺は正確に狙いすました一撃を放った。
コトル族の黒い杖の先端から青い雷光が走って、奴に直撃した!
しかし、この振りかざす動作は、奴の攻撃を誘うに十分な隙を生んだ。
俺は、次の瞬間に襲ってくるであろう、奴の鋭い牙によるダメージを覚悟した。

…だが、奴はまだ微動だにしていない。
まさか、杖の雷光が効いていないということはないはずだ。
もしやと思い、俺は再び杖を振った。
それも一度ではなく、何度何度もだ。
しかし、ほとばしる稲妻が奴の体を何回も貫いても、奴は沈黙を守っている。

更に何発か浴びせると、ついに女王は消炭となって崩れ去った。



どうやら、やったようだ。
俺は何かの間違いじゃないかと思ったものさ。
だが、ある種の女王蟻というのは、その巨体ゆえにほとんど動くことができないらしいって話を後日ラフキンから聞いて、妙に納得したもんさ。

まあとにかく、こうして無傷でミルミデックスの女王蟻を倒したってわけだ。
俺は歓喜の叫びを上げ、皆の肩を叩いて回った。
何故か皆は拍子抜けした表情をしていたが、俺は勝ち方にはこだわらない主義だ。
とにかく勝利することこそが、英雄の第一条件ってやつなんだ。

そして、女王の居た通路から奥へと進むと、奴等がコトルの都から持ち去った黒い石が置かれていた。



こいつを破壊すれば全てが終わるだろう。
俺は、この石に向かって再びコトルの杖を振りかざした……。


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というわけで、ついにミルミデックスの女王を倒し、強大なエネルギーを放出する黒い石の破壊に成功。

Xyxxxtl

ミルミデックス族の女王蟻。
話せるばかりか名前まである。
不気味で巨大だが、本当に一歩も動かないので、遠巻きに攻撃していれば簡単に倒れます。
あんた本当にラスボス?


そして、奥にある黒い石を破壊すると、そのままエンディングとなります。


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