Ultima Savage Empire
06 アイエラ救出

洞窟を抜けて、T・レックスをかわし、ついにウラリ族の秘境に辿り着いたアバタール一行。
村へと続く道の途中で、ワマプと名乗るウラリ族のシャーマンに出会う。



顔のペイント、干し首の首飾り、見るからに不気味な男だ。
敵地ということで警戒するが、どうにも様子がおかしい。
アバタールが他所の地からやってきたことを知ると、『友達になろう!』と擦り寄ってきた。
彼にウラリ族のこと、そしてバカデカ・ダーデンのことを聞き出してみると、現状を話し始めた。

先代の族長が死んだ後、バカデカ・ダーデンが精霊フォボズの像を盗み出し、その力を使って部族を支配したらしい。
精霊フォボズは動物を操る不思議な力を持っており、ダーデンはその力を使って村の入口にいたT・レックスを操っているという。
部族の民はダーデンの苛烈な征服欲に反発するも、刃向かう者はT・レックスに食べられてしまうため、仕方なく従っているという。
しかし、この秘境に辿り着けるほどの強き者であれば、ダーデンを倒してフォボズの像を取り戻してくれるかもしれない、とワマプはアバタールに期待を寄せ る。

実は、彼はダーデン亡き後の族長の座を狙っており、自分が族長となればアバタールの言う連合に加わってもよいと言っているのだ。
うーむ、見た目どおり腹黒い男……。

何にせよ、バカデカ・ダーデンを倒すことは、アイエラを救うだけでなく、彼らの部族を救うことにもつながりそうだ。


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そんなワケで、俺は命知らずの4人の野郎共を連れてウラリ族の秘境に侵入した。
ラフキンもジミーの小僧も、かつての借りをどうやって奴らに返してやるか、なんて威勢のいい話で盛り上がっているが、最初にバカデカ・ダーデンの野郎に襲 われた時に、2人とも気絶した俺を置いて一目散に逃げ出した事は、今でも俺の中では忘れられない出来事だ。

まあ、そんなことはどうでもいい。
アバタールってのは、どんな矮小な人間をも許す心を持ち合わせてるものさ。
今回はブリタニア仕込みのトリオロとシャムルーもいるし、強力な得物も沢山持っているので、そうそう不覚は取らないだろうと俺は見ている。
いよいよ集落に入ったようだから、気を引き締めてかかる。

注意深く歩いていると、どこからともなく矢が飛んできてシャムルーのケツにブッ刺さった。
シャムルーの鋭い悲鳴を合図に、俺はフォーメーションの号令をする。
周囲を見ると、ウラリ族らしき奴等が、俺達に向かって次々と吹き矢を浴びせかけているのが見えた。
どうやらここの部族の奴は、客に矢を吹きかけておもてなしする風習があるようだ。



ご丁寧なことに、奴らの吹き矢には毒が塗ってあったので、傷の治療にはちょっとばかり苦労させられた。
だが、毎日のようにジャングルで死線をくぐっている俺達の敵ではない。
至近距離に斬りこみつつ、後方から援護射撃を加えるという例のフォーメーションは、ここでも相変わらず有効であった。
敵さんの数は多かったものの、あっという間に数は逆転し、奴らの死体が次々と積み上がっていく。

そして大方片付いて、ちょっと一服しようと腰を下ろしかけた時、戦闘に加わっていなかったウラリ族の男をジミーの小僧が追い回しているのが見えた。
俺はすぐさま駆け寄って、この小僧をしこたまブン殴ってやったね。
近頃では、こういった戦争と虐殺の区別もついていない小僧が多過ぎて、俺達の国の将来が不安でならない。

俺は、そのウラリ族の青年に優しく手を差し伸べて話を聞いた。
集落の入口にいた怪しげなシャーマンと同じく、こいつらもバカデカ・ダーデンの野郎に脅されて仕方なく戦っていた、と訴える。
そして、精霊フォボズの像は集落の北の洞窟に、さらわれたアイエラは集落の南の洞窟に、それぞれ閉じ込められていると教えてくれた。
なかなかグッドな情報じゃないか。
俺達は、その足で南の洞窟へと向かうことにした。


すっかり日も落ちて晩メシの時間になった頃、海辺に洞窟を見つけた。



今日一日で随分と走ったり戦ったりしたから、みんな疲れているみたいだ。
ご老体のラフキンなんかは、さすがにキツそうな様子だった。
まあ、奴も年の割には元気な方だとは思うが、休んでるヒマなんてない。
いよいよ敵地だっていうんで、俺はみんなを激励しつつ洞窟に入りこむ。

中を少し進むと、天井が広がってドームのようになっていてる。
こういった地形は危険だ、と思った矢先、気付いたら俺たちは大勢のウラリ族に囲まれていた。
予想していた展開が、中々に盛大な人数だ。
クリケットの試合でもできそうだな、とジミーの小僧が口笛を吹きながら呟く。

俺は奴らに対してあくまで紳士的に接しようとしたが、奴らはボールの代わりに例の毒矢を投げつけてきた。
こうなってしまっては仕方がない、こちらとしてもバットの代わりにオブシダンソードで打ちつけてやらないワケにいかなそうだ。
やれやれ、ティータイムになる前には試合を終わらせたいところだな、と俺は肩をすくめつつ、フォーメーションの号令をした。



飛んでくる矢をかわしながら斬り進んでいくと、奥に小屋のようなものが見えた。
ビンゴだ。
ここにアイエラが閉じ込められているに違いない。

トリオロが俺と小屋と交互にを指差し、しきりに煽るようなジェスチャーを見せる。
どうやら、ここは自分達に任せて早く助けに行けと言っているようだ。
シャムルーも無言で頷く。

思えばこいつらとも長い付き合いだ。
『いつだって、俺達はこうやってハードな局面を打開してきたものさ』、とでも言っているかのような頼もしさが、2人の表情の中に見えたような気がする。
俺は、親指を立てて笑顔を見せる2人に背後を任せることにし、小屋に向かって思い切り走った。
もう邪魔する奴らはいない、俺は走った勢いで扉を蹴破る。

中には、俺の助けを待っている麗しの姫が閉じ込められていた。



ずいぶんと待たせちまったな、ちょっと試合が長引いちまってね。
なに、ゲームは俺達のコールド勝ちさ。


ひとしきり再開の感動を味わった後、俺達が小屋を出ようと出口に目を向けた時、見覚えのあるシルエットが現れた。





怒りの形相のバカデカ・ダーデンだ!
生かして帰す気はない、とでも言いたそうな顔をしている。

ヘイ、下がってな!
このピテカン野郎は俺の相手だぜ!
とアイエラを下がらせ、ついに因縁の対決が始まった。
いつの間にか皆も俺の後ろに集まり、戦いの様子を固唾を飲んで見守っている。



ダーデンの野郎は、恐ろしい形をした剣を持ってジリジリと歩み寄って来た。
こいつらの文明レベルで、よくこんな複雑な形状の武器が造れたもんだぜ。
俺は、こんな奴にも怯まないで立ち向かう勇気をアイエラに見せるべく、オブシダンソードを手に取って構えた。
ブリタニアで、そしてこのジャングルで磨き上げた剣技は、この怪物に通用するのだろうか?

俺とダーデンは間合いを詰めると、同時に剣を振るった。
すぐさま2・3合打ち合って火花が宙を舞うが、さすがにバカデカなだけあって強い。
単純なパワー勝負では、明らかに奴の方に軍配が上がるだろう。
アバタールである俺を一度倒しただけのことはある。

勢いを得たダーデンは、すかさず攻めかかってくる。
俺は苦悶の表情を浮かべながらも奴の剣先を捌くことに集中するが、形勢はあまり良くない。
背後からのアイエラの声援もむなしく、少しずつ後退させられていく。

そして奮闘むなしく、俺はダーデンに剣を払われて前面がガラ空きになってしまった。
この好機を見たダーデンは、笑みを浮かべて剣を大きく振りかぶる。
必殺の一撃を繰り出すつもりなのだろう。
さすがの俺でも、こいつの直撃を受けたらタダじゃすまない。

俺は叫びながら地面に伏せた。
そして、轟音が洞窟内に響く。



同時にダーデンが大量の血を吹いて倒れた。
轟音は銃声であった。
背後にいたラフキンが、俺の叫び声の合図と共にライフルを発砲したのだ。
あの位置ならば即死だろう。

事前に打ち合わせた通りに事が運んで、俺はほっと胸をなでおろした。
一騎打ちだと思わせておいて油断したところで、背後から確実な一撃で仕留めるという作戦だ。
俺と一緒に来た仲間達が決闘に手出ししないなんて勝手に思い込んで、おめでたい奴だぜ。
戦いの最中に周囲への注意を怠るなんて、やはりダーデンはこの谷を征服できるような器じゃなかったてことだろうな。

ライフルから上がる硝煙にメガネを曇らせているラフキンの元にみんなが駆け寄って肩を抱き、彼のクレバーな射撃の腕前を褒め称えた。
そして俺達は、お互いに手を叩き合って勝利を祝う。
これでまた1つ、アバタールの伝説に新しいエピソードが加わったわけだ。

俺は、この勝利に対する賞賛をいただこうとアイエラの方を振り向いたが、心なしか彼女は冷めた目をしているように見えた……。


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さて、長くなりましたが、遂にアイエラを救出しました。
バカデカ・ダーデンとの戦いでは、上で書いた通りに仲間達も攻撃します。
直前のナレーションで『1対1の戦いだ!』なんて熱いメッセージが出ていたにもかかわらず、通常の戦闘モードと同様に全員がかりで襲い掛かるので、ロマン も何もあったもんじゃない。


こうしてアイエラは6人目の特別枠としてアバタールのパーティーに加わり、行動を共にすることになった。



ステータスは中々高く、特にDEX28はウルティマの世界では脅威である。
パワーは無くとも、圧倒的な手数で補って余りあるほどだ。
実はラフキン教授のINT29も従来のウルティマだったらかなり脅威なのだが、トリオロしか魔法を使えないこのシナリオではINTが全く役立っていない気 がする。
銃器の扱いとかがINTベースなのかな?


さて、ダーデンを倒したとはいえ、まだウラリ族はアバタールに立ち向かってくる。
精霊フォボズの像を村の中心に戻さないと、町外れのT・レックスを制御できないため、彼らには平和が戻ってこないようだ。


ということで、話に聞いたとおりに北にある洞窟に向かうと、中には奇妙な偶像があった。



この像を村に戻せばいいわけだが、大きすぎて持ち運ぶことができない。
そもそもダーデンはどうやって持ち運んだのか謎だが、フォボズの偶像は『光を……』と言うのみである。

フォボズは光によって力を得ているようで、この暗闇の洞窟の中に隠されたことでダーデンに操られるようになってしまったみたいである。
つまり、フォボズが元の力を取り戻すためには、光を当ててやらなくてはならないということだ。

光といえば強力な物がある。
ジミーの持っているカメラのフラッシュ……これほどの光は原始時代にはないであろう。
さっそく、フォボズの像に向けてカメラのフラッシュを焚きつけると、精霊はこの強力な光によって瞬く間に力を取り戻したようだ。


光を浴びた途端にすっかり元気になった精霊フォボズは、自力で村の祭壇まで戻っていった。



フォボズ曰く、これでウラリ族は我々に襲ってくることもなくなり、集落の入口にいたT・レックスもおとなしくなるだろうとのこと。


最後は何ともアッサリしたものだが、これでウラリ族には平和が訪れ、ダーデンの代わりにワマプが新しいウラリ族の族長となった。
彼は約束通りにアバタール連合に加わることを承諾する。





ワマプ

ウラリ族のシャーマンにして、新しい族長。
ナフアトラ育ちのため、他の部族の者に比べて教養があると自分で言っている。
彼の前にシャーマンを務めていたトプルが、憎々しげにワマプのことを話しているのを見るに、強い者に取り入って世渡りをするのが上手なようだ。

ダーデン

通称バカデカ・ダーデン。
精霊フォボズの力を利用してウラリ族の族長の座に着く。
イーオドンの谷の全ての部族を征服しようという野望を持っていたが、アバタールに敗れて命を落とした。
ちなみに彼の不確定名は『ネアンデルタール』である。


さて、アイエラを救出したとはいえ、これでハッピーエンドということにはならない。
何と言っても元の世界に戻る方法を探さなくてはならないのだ。
そのためには、色々な所で聞いた古代都市コトル、そして、そこに眠る不思議な力に大きく関係していると思われる、蟻の部族ミルミデックスの謎を解かなくて はならないだろう。

ミルミデックスに立ち向かうため、残った全ての部族の連合を目指し、アバタールは更なる旅を続ける……。


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