Ultima Savage Empire
04 王女と魔猿

再びピンディロ族の村に行き、湖に浮かんでいるイカダに乗り込んだ。
最低でも4人がパドルを持っていないと操縦はできないみたいなので、ディスキキの村からはキッチリ4本ガメてきている。

しかし、イカダを漕いで湖をぐるっと一周してみるも、湖にも周囲にも特に何も見つからなかった。
まあ村人も、ここに何があるとも言ってなかったしな〜。
さっさとここを引き上げて、ピンディロ族の村を出ることにした。


次は西へ向かう。
こちらには、ピンディロ族と対立しているバラコ族という部族が暮らしているらしい。
ジャングルの中から時折襲ってくるミルミデックスを蹴散らしつつ進み、途中でアバタールがレベル7、ジミーがレベル5となった。
今回はHPがあまり伸びない上に、原始時代だけあって防具が貧弱なので、すぐに死にそうになる。


西へと歩いていくと、ようやく部族の民と思われる人物を発見した。
さっそくコンタクトを取ってみる。



彼はシャムルと名乗った。
うん、どう見てもシャミノです。
イオロ・デュプレとくれば絶対にシャミノもいるだろうと思っていたので、さほど驚きはない。
案の定、記憶を無くして山を彷徨っていたところをバラコ族に見つけられ、共に暮らしていると言う。
同じくパーティーに加えようとしたが、どうやら今回のパーティー人数は5人が限度のようで、現状では仲間にできなかった。
まあ仕方がない、シャムルはしばらくは放置しておくか。
昔から森が好きな奴だったから、この大自然の世界で暮らせて本望だろう。


さて、バラコ族の村に入り、人々から話を聞く。
バラコ族は山で狩猟をして暮らす部族で、これまた屈強な原始人といった印象だ。
ここの部族の民から、我らが探している元ウラリ族のシャーマンのトプルという男について話を聞いた。
どうやらこの村の西にある島に住んでいるらしい。

そして族長に謁見する。



ここの族長は女性であった。
ピンディロ族の族長も女性であったが、ここでは代々世襲の女王が族長の座に就いているようで、より徹底した女王統治の部族のようだ。

で、その女王のハラワは何となく元気がない。
話を聞いてみると、どうやら北の山に住むという巨大な猿が村へ降りてきて、ハラワの娘のハリサをさらっていってしまったらしい。
部族をあげて捜索しているが、山が険しいため誰も登ることができず、未だに消息は掴めないままとのこと。
なるほど、大変ですね〜。

そんな状況の中で空気を読まずに部族連合の話をすると、娘を救ってくれたら連合入りするとの答えであった。

うーん、まあ当然か。


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そんなワケで、俺は命知らずの4人の野郎共を連れて、そのエテ公が住むという山を 目指した。
やれやれ、T・レックスの次はキングコングだぜ?
俺の仲間に映画監督がいないのが残念でならない。
とはいえ、さらわれた姫を助けに行くってんで、みんな朝からやけに張り切ってやがる。
まったく、ゲンキンな奴らだぜ。

まあ確かに、あの女王は歳はくってはいたが、中々のものだったからな。
娘の方も期待できるってもんだ。
まさか、ディスキキ族のプリンセスのような女性が出てくるなんて、三文芝居のような結末にはなりゃしないだろう。


この山の中には巨大な猿が何匹も生息していて、他にもサーベルタイガーやアロサウルスなんて奴等まで出てきやがる。
よくもまあ、こんな危険な山のふもとに村なんて作ったもんだ。
しかし俺達もこの世界でのやり方が幾らか分かってきたもので、5人でフォーメーションを組んで冷静に対処していった。
俺とジミーとドクレイが正面から斬り込んでいきつつ、トリオロとラフキンが後方から援護射撃するってのが、これまでの経験上で一番効率的なフォーメー ションのようだ。

ジミーの小僧はここ最近で寝小便癖が取れたのか、すっかり一人前の働きができるようになっていて少しばかり驚いた。
こいつは、鍛えれば案外いい兵士になるかもしれん。

ラフキンはライフルを持つと人格が変わる。
普段は学者然として澄ましているくせに、山中で嬉々としてモンキーハンティングを楽しむ姿を見るに、ちょっとばかりヤバイ性格なんじゃないかと俺は思う ぜ。


しかし、随分と山の奥まで入り込んだものの、これ以上先に進めなくなってしまった。
考えてみれば、あのバラコ族のタフガイ達が昇れないような山なんだ。
クライミングのスペシャリストでもいない限り、この崖を登攀するのは、ちょいとばかり厳しそうだ。

残されたルートは、おそらく山上の方に続いていると思われる洞窟だが、これがまた滝に入口を阻まれて中に入れないときている。



ナイアガラに比べれば全然大した事はないが、それでも無理矢理つっこめば水流に叩きつけられてしまい、湖に沈んだまま浮かんでこれなくなることだろう。
こんなことは、ジュニアハイスクールのガキでも分かりそうなもんだ。

さて、どうしたもんかと考え込んでいると、トリオロが滝の上に見える巨大な岩を指差し、あれを滝に落とせ、というようなジェスチャーをする。
フム、まあ確かにあれだけのサイズの岩ならば、滝を塞き止めることもできるだろう。
だが、それをどうやって落とすんだい?
お前さんが鳥にでもなって、あの岩の所まで飛んで行ってくれるのかい?
と聞いたら、トリオロはキマリが悪そうな顔でうつむいた。
まったく、こいつらときたら、いつもお粗末なことしか思いつきやしねえ。

その直後、俺の脳裏に素晴らしい考えが閃いた。
ラフキンの奴がちょっと前に趣味で作ったハンド・グレネードボムが、2つばかしバックパックに入っている。
奴のラボにあった材料を調合して火薬を作り、それを土瓶に入れて導火線まで付けた本格的なやつだ。
見てくれは悪いが、威力は本物のグレネードボムと大差ないだろう。
こいつに点火して岩の隣に投げ込めば、爆風の威力で岩が転がって滝に落ちるかもしれないって考えだ。
ラフキンの奴の悪趣味が、こんな所で役立つとは思ってもみなかった。

俺はアバタールと呼ばれるだけあって、遠投の技術はちょっとしたもんだ。
皆にこの考えを話し、早速準備に取り掛かった。
慎重にポジショニングをし、角度と距離を目方で計算する。
場所を決めたら、2、3回深呼吸をした後、いよいよ導火線に点火した。
そしてすぐさま、遥か頭上にそびえる大岩に向かってハンドグレネードの照準を定め、渾身の力を込めて投げた!

ボムは数十メートルの高度に到達した後に放物線を描き、見事大岩の隣に落下したように見えた。
たちまち、激しい爆音と岩盤が弾ける音が遠くから聞こえ、大岩がゆっくりと川の方へと転がる。

水しぶきを立てて川に落ちた大岩は、見事にその仕事を果たしてくれたようだ。



ドクレイが口笛を吹きつつ手を叩いてきたので、俺はちょっと派手目なガッツポーズをしてみせてやった。
そして、こんな事は俺達がこれまでにやってきた事に比べれば大した事じゃないさ、と言いながら足早に洞窟の中へと入り、皆もそれに続いた。


洞窟の中は短い一本道で、特に何てこともなかったが、そこを抜けると崖の上に出たようだった。
いよいよ例のエテ公の縄張りに入ったようだ。
周囲に警戒しながら歩いていると、さっそく巨大なゴリラが歩いているのが眼に入った。



動物園かサーカスに売れば、いい稼ぎをしそうなゴリラだとは思ったが、あいにく俺はどちらもあまり好きじゃない。
片手を上げて戦闘開始の号令をすると、ジミーとドクレイが静かに駆け出し、ラフキンとトリオロが得物に弾を込め始めた。

俺はゆっくりと後ろでタバコをふかしていたかったが、戦いは20秒もかからなかったんじゃないか?
あっという間に、エテ公の断末魔が聞こえてきた。
そして、火をつけようとしている俺の元に、返り血を浴びたドクレイがサバイバルナイフを借りに駆けて来た。
どうやら解体して肉を喰うつもりらしい。
俺は血まみれのドクレイに無言でナイフを手渡し、その場でタバコを吸いながら待つことにした。
ジミーの小僧に言わせると、近所のハンバーガーショップよりはマシな味だったらしいが、よくもまあ、あんなゲテモノ食えたもんだぜ。

食事が終わった後、野山を散策していると、例の囚われし姫君が見つかった。



どうやら五体無事なようで安心した。
周囲にもエテ公はもういないし、安全は確保したようだ。
すぐに助け出して美味しいランチを食わせてやるから、もうちょっとだけ待っててくれ、と遠くから呼びかけた。

さて問題は、誰が彼女をエスコートして家まで送り届けるかということだ。
この役となった者が一番の栄誉を手に入れられるのは目に見えているものだから、皆こぞって先を急ごうとし、すぐさま押し合いの競争となった。
当然、俺の顔を立てて一番に譲ってくれるだろうと期待していたんだが、どうも奴等は本気のようだ。
もちろん、俺も引き下がるつもりはない。
何とかして出し抜いてやろうと考えていたら、ここでひとつ名案が思い浮かんだ。

俺は皆に、『俺は退くから、さっきのエテ公にトドメを刺した奴が姫君をエスコートすることにしようじゃないか』と提案した。
皆は、それはもっともだと頷いたが、誰がトドメを刺したかなんては分かりゃしない。
そのうち言い争いが始まったが、結局、死体の毛皮を確認して決めようということになって、さっき戦った場所へと走って行った。

そして、皆がいなくなった後、残った俺は悠々と姫の元に駆け寄る。
まったく、脳ミソの残念な連中ばかりで、俺としては嬉しくなる。
腕力でもオツムの出来でも、姫様はこの俺にこそ相応しいみたいだ。
俺は、ほくそ笑みながら姫様の方へと向き直った。

しかし、そこで信じられない光景を見た。
猿がいなくなって安全になった山を、姫様が1人で駆け降りて村へと帰って行く後姿を……。


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さて、長くなりましたが、そんなこんなでハリサを無事に救出しました。
会話後にちょっと目を離したら、既にいなくなっていたのは本当である。
村に戻るとハリサもいつの間にか戻っていた。
何この俊足?


族長ハラワに話すと、お礼にということでバラコ族も無事に連合に加わった。



これにて一件落着といった感じだ。
アイエラよりも先に別の女性を救出することになるとは思わなかったな。



続いては、村にあったイカダに乗って西にある孤島に行き、ここに住んでいる例の元ウラリ族シャーマンのトプルに会った。



噂で聞いた通り少しおかしくなっており、奇癖が目立つ。
以前は高名なシャーマンだったらしいが、バラッブ族のバラカイというシャーマンと魔法対決をした際に、その心を石の中に封印されてしまったと言う。
それ以来、心を失ってしまったため、このような状態となってしまったらしい。
隠されたウラリ族の村についての情報は、奪われた彼の心を取り戻してくれたら教えてくれると約束した。

やはりタダでは教えてくれないか。
だが、アイエラ救出の手掛かりは少しずつ得ている。


ハラワ

バラコ族の女王。
バラコ族は皆金髪なのに、何故か女王の一族は黒髪であった。
さらわれた娘のハリサを救出すると、部族連合に加わってくれる。

ハリサ

族長ハラワの娘で、バラコ族の時期女王。
巨猿にさらわれて山に連れて行かれたが、アバタールにより救助される。
ウルティマシリーズにしてはかわいい顔だけど、残念ながら彼女のルートのストーリーは展開しなさそうだ。

トプル

元ウラリ族のシャーマン。
谷の中でも高名なシャーマンであったが、かつて魔法の対決に負けて、心を封印されてしまったと言う。
アバタールの頭を叩き割って心(脳)を取り出そうとしたり、肩に付いていた虫を食べたりと、奇癖に事欠かない。






ということで、失われたトプルの心を取り戻すため、バラッブ族の集落へ向かう。
こう書くとカッコイイけど、相手はモウロクしたジジイだからなぁ……。
バラッブ族は、以前にもナフアトラで聞いたことがある、谷の南西部にあるメサの上に住む部族だ。
ワープ装置でディスキキ族の集落へ行き、そこから道伝いに歩いていった。


川を越えてメサに登ると、程なくバラッブ族の集落が見つかった。



名前はバラコに似ていて紛らわしいが、彼らは東〜東南アジア系と思われる部族であった。
自称、イーオドンの谷で最も聡明な部族であるらしいが、文明の進歩具合はナフアトラ族の方が上であろう。


トプルの仇であるバラカイは、このバラッブ族の族長兼シャーマンであった。



どうやら、重病で寝込んでいる子供を看病している様子。
彼はシャーマンとしての力量も優れているのだが、この病気はどうしても治せないらしい。
北西にあるグレート・メサに咲くという、巨大な花の根があれば、この子の病気を治せるのに……とのことでした。
はいはい、その根を持って来れば連合に加わるってことっすね?


で、連合はいいとして、トプルの心はどうなったのか?
と尋ねると、その当時の顛末を笑いながら語ってくれた。
バラカイがトプルと魔法対決をした際に、娘と一緒に一芝居うって、娘の心を封じ込めたようにトプルに見せたらしい。
そして、トプルの心も青い石に封じ込めた、と言ったら、彼は本当に信じてしまい、逃げだしてしまったと言うのだ。
なので、心を封じ込めたというのは全くのウソであり、青い石をトプルに渡せば、すっかり元通りになるだろうとのこと。
青い石は、サックラー族の洞窟に行けば、沢山落ちてるらしい。

こんな単純なウソ話で本当に発狂してしまったトプルさん……笑えない……。
彼は、きっと心の純粋な人だったんだよ……。


バラカイ

バラッブ族の族長兼シャーマン。
イーオドンの谷でも屈指の呪術の使い手であるらしい。
また、王としても優れており、部族をよくまとめている様子。
病気の息子の看病をしている。

ナカイ

バラカイの病気の子供。
不確定名は、本来は「boy」だと思うが、「body」になっている。
そして、日本語版ではそれに合わせて「体」と表記されている…

ナウル

自称、谷で最も賢明な戦士であり、全ての知識を持つ者。
だが、言動は限りなく胡散臭い。
西洋人のアジア人に対する印象というものを考えさせられる。


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