Ultima Martian Dreams
08 火星人の復活

夢の世界のヘラスの町は、朽ち果てた現実世界とは違い、花が咲き蝶が舞う町であった。




ここにいる火星人達は人間の体を乗っ取ろうとはせず、火星人の植物の体のままで地上に戻ることを希望している者達だ。
この森の地者プレクテシュによると、彼らは夢の世界に逃げる前に、最後の火星人の種をシェルターに隔離したとのことである。



すでに長い年月が経っているので、火星人を絶滅に追い込んだ疫病も消えている。
この最後の種を見つけ出し、正しく栽培して火星人の成体まで育てた後、ドリームマシンを使って自分達を転送してほしいそうだ。


そうと決まれば話は早い。
ここにいた他の住民たちにも話して、種の在り処や栽培方法等を聞き回った。
そして、久々に現実世界に戻った後は、ヘラスの町の閉ざされたシェルターへ行く。



錆付いたドアにオイルを注して中に入ると、話に聞いた通り、そこには生きている火星人の種が4つ格納されていた。
彼らが火星の最後の希望だ。






手に入れた種を、同じくヘラスの町にあるグリーンハウスの土に植えて水を注ぐ。



火星には水が無いので、水を得るためには北極か南極へ行く必要がある。
そこの永久氷原の氷を溶かして水にするのだ。

なので、わざわざ南極まで歩いていき、氷原をピックで削ってバケツに入れて持ち帰った。
氷は時間が経つと自然に溶けて水になるけど、手では持ち運べないからバケツは必須だよ!



こうして、たった一杯の水を得るために南極まで行かなくてはならないという過酷な環境、これこそが火星である。
しかしそうなると、ここにいる人間達は自分達の飲み水をどうしているんだという疑問が…。


まあともかく、種を植えた土にバケツで水を注ぎ、そこに化学肥料を混ぜる。



この肥料は全てグリーンハウスの中に置いてあるので、それを使えばよい。
中にはダミーで強酸とかも置いてあるから気をつけるように!
というか、誰がこんな危険なもの置きやがったんだ。


そのまま3日ほど待つと小さな芽が出てくる。



そして、次の3日で芽が成長し、その次の3日で成熟した実が生る。



火星人の話だと、成体になるには9日かかるそうなので、これで成長は終わったことになる。
これはカーヴァーの夢で見たプロセスと同じだが、実際に9日間待つのはかなり長かった。

最後に、この実をナイフで切ると、中から火星人のボディが出てくるというわけだ。



彼は生きてはいるが意識はない。
こいつに夢の世界の火星人の意識を転送することで完成するのだ。


体が出来上がったことを夢の世界にいるプレクテシュに報告すると、彼はすみやかに転送の準備を始めることとなった。



ドリームマシンに火星人の体を置いて装置を起動することで、彼らの意識が体に入る、ということだ。

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そんなワケで、俺は遂に火星人の栽培に成功した。
見た目はサラダの化け物だが、俺達が手塩にかけて育てただけあって、なかなかの出来栄えだと自負している。
普段はクールなスペクターも思わず笑顔になり、ディブスとシャーマンは手を取り合って喜んでいた。
ネリーも一生懸命に世話をしていたから、この新たな生命の誕生には涙を滲ませていたほどだ。
この坊やの目元なんかネリーにそっくりだぜ、と俺が声をかけてやったら、彼女は振り向きざまに思い切り向こう脛を蹴ってきた。
まったく、女心ってのは分からないものだね。

しかし、これからが本番だ。
俺達はこのヌメヌメした緑色の体液を滴らせる火星人の坊やをシャーマンに背負わせて、ドリームマシンの所へと向かった。



そしてマシンに体を横たわらせ、スペクターが緊張した表情でスイッチを押す。
すると…

 

体が起き上がり声を発した。
プレクテシュだ!
ヘラスのリーダー、プレクテシュが転送に成功したんだ!



俺とプレクテシュは固く手を握って再会を祝った。
夢の世界では年老いて萎びていたプレクテシュも、この新しい体ですっかり若返って生き生きとしている。
何百年かぶりに再び火星の大地を踏むことができたプレクテシュは、感謝の言葉もないといった様子だ。
そして、夢の世界にいる連中全員の分の体を栽培しなくちゃならない、なんて言って息巻いている。
長い道のりだろうが、これが復興への第一歩だ。
まあ、俺も苦労したが、これでアバタールの名も火星に残ることになるだろう。

だが、そう思った矢先…

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プレクテシュの体に異変が起こった。



突然体が変色し、どんどん枯れていくのだ。
驚き狼狽するプレクテシュ。
いったい何が起こったのか?

プレクテシュの分析によると、火星人と同じく呼吸をしている地球人が生きている以上、すでに大気中の病原菌は消滅している。
しかし、土の中はそうではない。
彼らの種が育った土の中に、いまだ疫病の病原菌が残っていると言うのだ。
そうだとしたら、火星人が種から育つ過程で必ず疫病に冒されてしまうなり、彼らを完全に復活させるのは不可能だ。
疫病に耐性のある体を新たに創らない限りは…。

朽ち果てていくプレクテシュは、自分の死体をエリシウムのリーダー、テカペシュの元へ持って行ってほしいとアバタールに頼む。
そして、彼は息を引き取った…。








プレクテシュの遺言の通り、彼の死体を担いでエリシウムの町へ行き、リーダーのテカペシュに会った。
疫病による土壌汚染で、最後の種もが生存不可能だと知ったテカペシュは深く悲しんだ。
もう火星人の体ではこの火星で生きていくことはできないのだ。



しかし、まだ希望はある。
夢の世界のヘラスの町で聞いた話だと、彼らの一族のカクシシェクという者が、疫病に耐性のある体を造るために1人で研究をしていたそうだ。
既にカクシシェクも死んでいるだろうが、彼の研究所を探せば何か手がかりが見つかるかもしれない。

テカペシュにその話をし、自分達が代わりとなる体を見つけ出すことを約束する。
彼は疑念を捨て切れなかったようだが、最後にはアバタールを信用して、乗っ取ったローウェル達の体を解放してくれることとなった。
しかし、夢の世界からでもアバタール達を追う方法はあるから、必ず約束を果たすようにと脅しをかけられてしまった。

そして、テカペシュからの許可を貰ったことにより、エリシウムの町にあるドリームマシンの使用が可能となった。





再び入った夢の世界は、ヘラスの町から入った時とは異なる場所であったが、同じように4本のオベリスクが建っている。



前回と同じく、1つずつ順番に攻略をしていくことで、中に囚われた地球人を解放することができるということだ。
すでに救出した4人と合わせて、これで8人全員が揃う。




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