Ultima Martian Dreams
07 悪夢

ドリームマシンによって眠りについたアバタールは、気付いたら無機質な空間に立っていた。
仲間もいなくなり、持ち物も全て無くなっている。
そう、ここが噂に聞いた夢の世界なのだ。



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そんなワケで、俺はとうとう夢の世界にやってきた。
夢の世界ってからには、もっとエキサイティングな所だと思っていたが、こいつはなかなか酷いもんだ。
こんな殺風景なモノを見せられて夢の世界だなんて言われても、目を輝かせる奴はいやしないだろう。
うちの近所の寂れたテーマパークの方が、まだ夢があるってもんだ。
俺は葉巻でも吸おうと思ってポケットに手をれたが、現実世界で持っていた物は全部無くなっていた。
まったく、クソッたれだ。

そもそも、何で俺がこんなワケの分からない世界にたった1人で来なくちゃならないのか、考えるにつれて腹が立ってきた。
名だたる偉人達が何人もここに入って帰って来れなくなってるというのに、仲間達は当然のように俺をドリームマシンに座らせて、怪しげなヘッドギア付けて眠 らされちまった。
しかも、ここで待っていても、俺を追って夢の世界へやってくるような奴はいやしねえ。
俺はブリタニアでは人間国宝のような伝説的人物だというのに、あいつらはその辺のことを分かってるのかね?

この前に高圧電線の修理をさせられた時もそうだ。
一緒に火星に来た俺達の仲間には、天才電気技師のニコラ・テスラがいるってのに、なぜ素人の俺がゴム手袋着けて手作業で補修しなくちゃならないんだい?
今回だって、夢分析の専門家のフロイトがやるのが一番確実だってのは、ちょっと考えれば思いつきそうなもんだ。
他にも、怪しげな木の実を食わされるわ、放射性物質を運ばされるわ、さすがに温厚な俺もそろそろ我慢の限界だ。
早いところ、このクソッたれな火星旅行を企画した張本人のパーシヴァル・ローウェルの野郎を見つけ出してブン殴ってやらないことには、俺は怒りで徳を失っ ちまいそうだ。






それでは、夢の世界の探索を開始する。
操作方法は現実世界と同じで、現実でできないことは夢でも基本的にはできない。
ただ、自分自身に「話す」ことで意識を取り戻して、いつでも現実世界に戻ることができる。
夢の世界でHPが0になっても、そのまま夢から醒めるだけのようだ。

夢の世界の入口広場には5本のオベリスクが立っていた。
よく見ると、それぞれに奇妙な模様が彫られている。



近くに寄ってみると、不意にアバタールはオベリスクの中に吸い込まれ、別の場所にワープさせられてしまった。
着いた先は、怪しげな植物が咲き乱れる謎の空間だ。
ますますワケが分からない。





細い道に沿って歩いて行くと、土の地面が広がっている広場に出た。
中央には1人の男がポツンと立っている。



彼は先発隊のジョージ・カーヴァーだ!


とりあえず話しかけてみると、ここの土に植えた植物を虫から守って育ててほしいと、いきなりアバタールに頼み始める。
そして、ざっと育成の手順を説明すると、バケツとナイフ、そして殺虫用の実を置いて消えてしまった。
何が何だか分からないが、バケツに入った水を植物に注ぎ、迫り来る虫をナイフで斬り倒す。





しばらく時間が経つと、土から芽が出てきた。
それが次第に大きくなり、最後にはそこから大きな実が生って、見事に成熟した。




カーヴァーが言うには、実が生ったら、そのサヤをナイフで切るのだそうだ。
言われたとおりに、カーヴァーが置いていった火星式ナイフを使ってサヤを切りつけると…。



なんと、中からカーヴァーが出てきた。
さすが夢の世界、シュールな光景である。
カーヴァーは、自身では決して知ることのできないと思っていた火星人のライフサイクルを身をもって体験することができたと、アバタールに礼を言う。


気付いたらアバタールは夢から醒めて、元いたドリームマシンに戻っていた。
なるほど、ここで何をすればいいのか要領が分かってきた。





再びマシンを起動してオベリスクのある夢のホールに行くと、助け出したカーヴァーがオベリスクの前に立っている。
他の全員が悪夢から目覚めるのをここで待っているとのことだ。
それでは、次のオベリスクに入ってみる。




このオベリスクに入ると、いきなり背後から何者かが襲ってきた。
今回の夢はバトルか?とカーソルを合わせて相手の詳細を見てみると、なんと”your mother”とある。



初めて登場するアバタールの一族ですね。
いやいや、これは悪夢だ!

さしものアバタールもお袋さんには敵わないので、一目散に逃げ出す。
そこで、通路の床が突然消えて落下した。



やれやれ、こいつはとんでもない夢だ。
フロイトの夢診断では、こういうのはどんな深層心理に基づいているのだろうか。


そして、気付いたら今度はリビングのような部屋に立っていた。

 

ピアノにソファー、カーペット、傍らには闘牛について書かれた本も置いてある。

ふと気付くと、遠くから何かが壊れるような音が聞こえてくる。
リビングを抜け出して音の原因を探してみると、奥には一面にガラス細工が置かれた部屋があった。



そして、中にいるのはガラス職人のルイス・ティファニーと…何故かミノタウロス!
このミノタウロスが部屋で暴れてティファニーのガラス細工を壊しまわっているようだ。
ティファニーは半狂乱で、何とかこいつを止めてくれるようにと哀願してくる。
なるほど、それでさっきリビングに闘牛の本なんてものがあったのか。


アバタールは一旦リビングに戻り、床に敷かれていたカーペットを手に取った。
この赤い布で牛と戦うのだ。
牛と言ってもミノタウロスだが…。



赤い布を振りかざすと、ミノタウロスはアバタール目掛けて突進してくる。
それを巧みに交わしつつ部屋の外に誘い出し、完全に外に出たところで内側から扉を閉めてしまうのだ。
写真では入口からおびき出してしまいましたが、部屋の反対側にも扉があるので、そちらに誘導することになります。

これでミノタウロスを部屋から追い出すことに成功!
多少ガラス細工は壊されてしまったが、ティファニーの悪夢は終わった。
そして、彼からお礼を言われて夢から醒める。





次に入ったオベリスクの中には、ソファーに腰掛けている人や、寝ている人、何かの研究をしている人など、大勢の人々がいた。



しかし、その誰にも話しかけることはできない。
彼らを横目に奥まで進んで行くと、そこには一面にルーブル紙幣の札束が敷き詰められた部屋があり、中央にはウラディミール・レーニンがいた。



レーニンと言えばソビエト、ソビエトと言えば共産主義である。
ここで彼から聞いた話も、もちろんそれに関したことであった。

彼が言うには、理想の共産主義を実現するために、ここにあるルーブル紙幣を均等に住民に分け与えたいので手伝ってほしいとのこと。
住民の数は25人なので、25等分というわけだ。
しかし、部屋にあるルーブル紙幣を集めてみると、全部で253ルーブルあった。



これでは25等分すると余りが出てしまう。
どうすればよいのかレーニンに聞くと、残った紙幣は国家に預けるか、ロウソクの火で焼き払うのだそうだ。
ちなみに、ここで言う国家とは、指導者たるレーニンにことである。

仕方なく彼に3ルーブルを預けるが、まだ問題がある。
この部屋にはルーブル紙幣の他にアジュライトの宝石もあったのだ。
宝石は分割できないので、これまたどうするのかと尋ねてみる。
すると、これも同様に国家に預けよとのこと。

色々思うところあるものの、これで均等な分配は完了し、レーニンの願いが敵叶って夢から解放されることとなった。
まあ何と言うか、さすがアメリカのゲームだなと感じました。






4つ目のオベリスクは、
これまた不可解な夢であった。



まず、至る所に色々なアイテムが落ちている。
ここでは火星の種子の超能力<テレキネシス>が使えるので、通常では手の届かない所にある物でも取りたい放題であった。
その中に、ドリームパウダーなるアイテムがいくつかある。
この夢の粉は、しようすることで別のアイテムに変化するものだ。



以前にヘラスの町の追放者マーカスから、この粉について話を聞いたが、その時は何のことだか分からなかった。
彼はイメージした物に変化するとか何とか言っていたが、ここで使ってみても出てくる物は、銃だったり、種子だったり、歯車だったり、大砲だったりと、全く 規則性がない。
おそらくランダムで変わるのであろうか?


ドリームパウダーでアイテムを生み出しつつ先に進んで行くと、奇妙なオブジェを抜けて広い砂地に出た。
そこには作家のC.G.ウェルズがいる。



話しかけてみると、そこから動くな!と怒鳴りつけられた。
何のことかと聞いてみると、どうやら彼は見えない敵に襲われているようであり、彼が動くとそいつも動くため、身動きができなくなってしまったらしい。
確かに、アバタールが一歩動くと、砂地に足跡が現れる。
フム、要はこいつをブッ倒せばいいんだろう。
戦闘なら得意分野だ。

そして、アバタールと見えない敵との戦いが始まった。



敵は接近戦しかしてこないようで、こちらが攻撃を受けている限りは必ず周囲に相手がいるということだ。
しかし、何度か倒した手ごたえを感じても、まだ戦いは終わらない。
どうやら敵は複数体いるようだ。
おおよその位置は分かるとはいえ、やはり敵が見えないので狙いを定めるのが難しく、接近戦は分が悪そうである。

そこで戦法を変えて、まずは移動して敵を引き離した。
すぐさまアバタールをめがけて足跡が追いかけてくる。
ある程度、足跡との距離が開いたところで、ドリームパウダーで生み出したキャノン砲を地面に設置する。
そして、迫り来る足跡をめがけて発射!



キャノンは一度置いてしまうと再移動できないため、チャンスはこの1回のみであったが、見えない敵はキャノンの直撃を受けて木端微塵となったようだ。
こうして、ウェルズは見えない恐怖から救われて悪夢から醒めることとなった。
このイベントは、ウェルズの著作『透明人間』をモチーフをしているようである。




これで助け出したのは4人。
しかし、夢の世界に閉じ込められたのは全部で8人だったはずだが、オベリスクはあと1本しかない。
ここに残る全員がいるのであろうか…?

最後のオベリスクに入ると、今度はドリームマシンのある部屋に出た。
しかし、そこには…



緑色の奇妙な生物がいる。
なんと、火星人であった。
どうやら、ここは夢の中にあるヘラスの町のようだ。
エリシウムにいた火星人達と同様、彼らはかつて火星全土を覆った疫病から逃れるために夢の世界に入り、以来ずっとここに留まっているのだ。

それにしても、火星人はこんな外見だったのか〜。
なんだかサイ●イマンに似てる気がする。
あっちも土に種を植えて育てる植物体だったよな…。




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