Ultima Martian Dreams
01 赤き大地に立つ


こうして、列車砲に乗ったアバタールとニコラ・テスラの探検隊一行は火星に到着した。



窓の外には赤い大地が広がっているのが見える。
こんなアナログな乗り物で宇宙旅行ができるだなんて、何とも不思議な感じだ。


とりあえず、身の回りの確認をしてみる。
アバタールは相変わらずの出で立ちだ。




なるべくHPやSTRが高くなるようにキャラメイクしておいた。
しかし、今までだったら力があれば大抵のことは何とかなったが、今回はINTの数値が銃器の扱いに影響しているそうなので、パワーのみに特化するというわ けにもいかなそうだ。

ちなみに、今回はアバタールの性別を女性にすることもできる。
イントロダクションに出てたアバタールはどう見ても男であるが、その辺の都合を完全に無視しているところが潔い。

<Martian Dream 女性アバタール>

 

シリーズ代々きわどい顔立ちが多い女性アバタールにしては、今回は可愛らしいポートレートである。


<参照画像 : ウルティマ6、ウルティマ7、アンダーワールドでの女性アバタール一覧>

  

みなさん、一応伝説の聖者と認められた後の顔です。




アバタールの他のパーティーキャラには、考古学者のジョアン・スペクター博士がいる。



Savage Empireでの因縁を経てアバタールとは友人になったようだ。
数少ない友人だったラフキン教授がイーオドンの谷に残ってしまったから、今回は彼が代わりだ。


そして、もう1人はネリー・ブライ。



ジャーナリストとして、そして冒険家として名を残した19〜20世紀アメリカの実在の人物である。
このパーティー編成は、ラフキン教授と雑誌記者ジミー・マローンと冒険をした前作をイメージしたものであろうか。
今回は最初からアバタールを含めて3人いるので、サバイバルナイフ1本で単身ジャングルに放り出された前作よりは心強い状況だ。



続いて、一緒に列車に乗ってきた仲間達と話をしてみる。
こちらはフロイト博士。



パーティーキャラとして一緒に行動はしてくれないが、彼の専門分野は心理学、とりわけ夢診断などで有名な人物である。
そう、このゲームのタイトルはMartian Dreamsである。
夢というのはキーワードなのだ。
マニュアルにもドリームマシンなる火星アーティファクトの存在が示唆されていることから、彼は今後重要な役を担うことになるであろうことが分かる。



こちらはブラッド博士。



酸素療法という一風変わった治療を推進している人物である。
酸素に詳しいということで、妙な装置を使って列車内の酸素を供給してくれているようだ。
医者であるので、パーティーが傷付いた時の治療もしてくれるヒーラーでもある。



そして、こちらが探検隊リーダーのニコラ・テスラ。



トーマス・エジソンと並ぶ偉大な発明家でありエンジニアである。
この列車のメカニックや今後の地球とのコンタクトは全て彼にかかっているので、危険な冒険に連れ歩くわけにはいかないみたいだ。
彼の計算通り、この列車は1893年の先発隊の着陸地点の付近に到着したそうなので、まずは、そのポイントへ行って確認してみる必要がありそうだな。

だがテスラが言うには、どうやら列車の扉が壊れていて開かないらしい。
カウボーイのギャレットが色々と便利な道具を持っているので、借りて直してくれとのことだ。
まったく、いきなりトラブルじゃないか。


ギャレットというのはこの男、ダグラス・ギャレットである。



テスラが雇ったボディーガードのカウボーイだそうだ。
何かと便利なので、彼の傍に置いているらしい。
探検隊の中で、このギャレットだけは史実の人物ではない。
一応19世紀末の人物という位置付けだが、オリジナルのキャラクターである。
元になったのはダラス・スネル氏という本作の制作スタッフ(プロデューサー)で、ウルティマ7においても、ジェロームの戦士ギルドの教官デ・スネルとして 登場する人物である。

彼はテスラ達の身辺警護をしなくてはならないのでパーティーに加わってはくれないが、壊れたドアのことを話すと、こじ開けるためのテコ棒をくれた。
他にも冒険に必要な物品を箱に詰めて持って来ているので、それらを開封して準備するようにと言われた。



列車の中にところ狭しと置かれた箱をテコ棒で開封すると、ショットガンやライフルなどの銃火器や弾薬、サーベルやナイフ、マチェットなどの刃物をはじめ、 六分儀、望遠鏡、コート、手袋、靴、バール、ハサミ、チェーンソー、ランタン、オイル、ハンマー、テント、などなど数多くの用具が揃っていた。
食器や酒などの日用品や、道中で読んできたのか数冊の小説まであった。
これらをありがたくいただいて、旅の準備を整える。

どうでもいいが、列車の中に堂々と設置されているパイプオルガンは何のための装置なのだろうか…。



弾いたら普通に音が出るし、楽器としての使い道以外思いつかない。


まあともかく、これで冒険の準備も整ったので、いざ出発だ。
テコ棒を使って壊れた扉をこじ開け、アバタールはついに火星に上陸した!



…て、おい!
生身で出るのか!?

ここで、すぐさまブラッド博士が駆け付けて旅立ちの前のアドバイスをくれる。
知っての通り、火星は酸素が薄いので何らかの対策を講じないと酸素欠乏症にかかってしまうとのことだ。
こうなると身体の能力が著しく落ちてしまうそうだ。
ついでに気温も低いから、ちゃんと防寒対策をしておくようにと言われた。
酸素が薄いとか寒いとか、そんな言葉で片付けられるような問題ではないと思うが…。

ステータスを見てみると、酸素欠乏症の影響か、確かに全能力値が一回り低くなっている。
今後、何らかの方法で酸素を補給しないとこの状態のままということだろう。
生身で火星に降りても死なないだけで大したものだが、さすがに宇宙だけあって一筋縄ではいかなそうな冒険だ。


とりあえず、テスラから聞いた先発隊の座標をめがけて、東方向へと歩いていく。
驚きなのは、火星だというのに木や花が生えていたり、虫のような生物までいる。

 

まあ、現に日常の服装と変わらないアバタール達が外を歩けるのだから、生命活動は可能ということは実証されているのだが、これまでの常識というものは通用 しなそうだ。


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そんなワケで、俺は命知らずの2人の冒険家を連れて、19世紀火星での冒険を開始した。
成り行きとはいえ、言われるがままに火星までついて行ってしまった俺は、やはり皆が言うように損な性分なんだろうな。
だが、今回は歴史の授業で習うような偉人達と一緒というものだから、さすがの俺もいささか気を引き締めている。
こういった連中を前にすると、俺はどうしても少し腰が引けてしまうみたいだ。
普段であれば遠慮構わずウィットに富んだ質問を投げかけるものだが、ヘタなことをして機嫌を損ねてしまったら、後世に何を伝えられるか分かったもんじゃな い。
彼らの書く本や記事は、後の時代に大勢の人が読むことになるものだ。
その中に俺の悪口が書いてあろうものなら、一気に全国の有名人となって、おちおち宅配ピザの注文もできなくなっちまうことだろう。

火星に着くまでの列車の中でも、俺は大人しいものだった。
スペクターの奴は、タイムトラベルと宇宙旅行を同時にするってんで、サマーキャンプ前日のガキのように興奮していたが、あいにく俺はそのどちらも経験済み なので、そう取り乱すようなこともなかった。
俺はアバタールと呼ばれるだけあって、かつては太古のパンゲア時代や終末の未来、そして宇宙の果ての惑星まで行って悪の魔術師と戦うような大冒険をしたこ とがある。
今回だって楽な冒険ではないだろうが、あの時の果てしない苦難を思えば、どんな道のりだって乗り越えられるだろう。
そう、俺は決して楽観主義者ではないが、旅の前に必要以上に気持ちを沈めるのは賢いやり方ではないと思っている。

なので、退屈で鬱屈しがちな列車の中での景気付けにと、当時の出来事を皆に面白おかしく話してやったりもした。
だが案の定、誰もまともに相手をしてくれないばかりか、まるで俺が虚言癖か妄想癖があるかのような目で見られてしまった。
まったく、人が善意で場を明るくしようと努めてるのに、まるで協調性のない奴らだ。
心理学者のフロイトなんかは、まるで格好の実験対象を扱うかのように俺との会話を逐一メモに取ったりして、非常に腹立たしい思いをしたもんだ。
こうも頭ごなしに否定されると、俺自身でも、あの時の冒険が夢や空想の中での出来事だったんじゃないかと不安になってくる。
ああ、確かに非現実的な突拍子もない話だったのは認めるさ。


まあ、そんな話はどうでもいいんだ。
ともかく、俺はスペクターとネリーの3人で火星に上陸し、2年前にここに打ち上げられたという先発隊を探しに行った。
このネリー・ブライという女は、19世紀のジャーナリストだ。
一見すると可愛らしいレディだが、記事を書くために自ら精神病院に入って内情を暴いたり、独力で世界一周してタイムレコードを更新したりと、ちょっとイカ れてるんじゃないかってくらいに行動的だ。
フロイトに言わせると、幼少期に過剰に厳格に育てられたのが要因だそうだ。
確かに、そのスピリッツは認めるところだが、俺のような男性原理主義者からすると、このようにしゃしゃり出てくる女は扱いに困る。
その辺のことは冒険の過程で分からせてやるつもりだが、あまり強気に出て彼女と衝突すると、19世紀の新聞記事で俺がこき下ろされ、それが歴史に残ってし まうという不名誉な事態になりかねない。
まったく、今後の対応に頭を悩ませる。

それにしても、まさか宇宙服も酸素ボンベも無しに火星を探索することになるとは思ってもみなかった。
一緒に来た科学者連中は、計算通りだの何だの言っているが、実際に火星を歩かされる身としては、息苦しいわ寒いわで冗談じゃないといったところだ。
よく言われるように、結局のところは現場で手足を動かす奴が一番割を食うんだ。
これは、いついかなる時代や国でも変わらない真実だと俺は思うね。



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