Wizardry#5(FM-Towns)
プレイ記録 エンディング・感想


年老いて疲れきった男が、静かに君の前に立っている。
彼は君の目の奥をじっと凝視し、おもむろに話し始めた。

「我こそはゲートキーパー、三軸の平衡の守護者なり。
汝の勇気、さらには、理解と知恵によって、三軸の力の平衡は取り戻された!
これより、我は、汝に、この限りある生の次元を守る力を伝えん。
何者も汝よりふさわしい者なく、価値ある者もなし。
我が命を救いしこと、そして汝のなした努力に経緯を表さん。
今や、我に偉大なる後継者あり。
この次元での我が義務は終わりぬ。
我はさらなる高き次元へ戻らねばならぬ。
汝の行いは、記憶されねばならぬ。
それゆえ、我は、汝にこのTOKENを与えん。
我を記憶するためでなく、汝自身の行いを忘却せんがために。
さらばじゃ、我が友よ」

そして、彼は消え去った。






こうして、ゲートキーパーから後継者と認められた冒険者達は、次元を守る力を伝授された。
ソーンとの戦いでゲートキーパーが使ったアブリエルの呪文だ。

これを城に持って帰ると、晴れてシナリオクリアとなり、称号と経験値が与えられる。

そして、このアブリエルの呪文を覚えることができる。
この呪文は敵単体に大ダメージを与えたり、グレーターデーモンを召喚したりと、他の呪文に比べれば強力といえば強力だが、鍛え上げた冒険者の方が強いことは言うまでもない。

ちなみに、このゲートキーパーについては、その正体はワードナなのではという考察もあったりします。
ワードナがシナリオ#4でカント寺院を中心とする旧来の宗教の偽り暴き、最後には生命の真実を悟って神のような存在となっていることと、このシナリオ終盤での神の見地に関する問答(球体の顔の主はおそらくゲートキーパー)や、ララを信仰するブラザーフッド寺院が主流の宗教となっていることなど、つながりを感じられるような点もあったりして、こういった考察は面白いですね。
まあ、この作品の開発にはワードナことアンドリュー氏も関わっているので、本当にワードナだったとしたらゲーム中で絶対に明らかにされていると思いますけど。






ついでに、シナリオクリア後のオマケとして用意されている地下777階の地獄についても、ざっと攻略してみた。
このフロアにある恒例の謎の記号は『HADES(冥府)』と、このフロアそのものを現している。


中はそんなに複雑な構造ではないものの、ここでは非常に強力な敵であるダークロード、ネザーデーモン、アークデビルが出現することがあるので油断はできない。

ラスボスのソーンよりも強いので、普通にシナリオクリアできる程度の実力じゃ歯が立たないけれど、このレベル28まで上げたパーティーなら何とか倒すことができた。



そして、ここにある隠し扉をを見つけると、ウィザードリィの神々なる者達が現れてパーティーに挨拶をし、奥の部屋から地下1階の隠されたエリアへとワープ。

そこでも、グレーターデーモン、グレーターデビルといった、おなじみの最凶のモンスター達がお出迎えしてくる。
こいつらは召喚呪文での最高位モンスターであり、敵として出てくるのはここだけだったりする。



そのエリアの中心部には、ブラザーフッド寺院の御神体であるララ・ムームーがパーティーを待ち構えている。



3人の悪魔を遥かに上回る驚異的な強さなので、運が悪いと瞬殺されてしまうけど、今回はコルツを駆使してなんとか撃破できた。

倒したら莫大な経験値とレアアイテムが手に入る。
しかし、その後に特に何かイベントが起こるわけではなく、あくまでクリア後のオマケといった位置付けのようです。
隠しボスにしては、取って付けたかのような適当な扱いだよな、こいつ。






ということで、Wizardry#5災渦の中心は、これにてシナリオクリアとなりました。
最初から上級職のみの4人パーティーという、一般的におススメできない編成でしたが、何とか最後までたどりつけました。
昔このシナリオを初めてやった時には、後半のインフレについていけなかったような印象がありましたが、改めてやってみたら特段そんなこともなかったですね。
もっとインフレが激しいWizardry外伝やBard’s taleなどをやっていたから、感覚が麻痺しているだけかもしれませんが。
でも、最終盤以外は通常の編成よりも劣る上級職のみでも敵と対等に戦えるのだから、戦闘に関しては初期のシリーズより余程バランスが良かったんじゃないかなと思います。
しかし、その一方で謎解きは難しかったです。
一度クリアしたことあるから分かるだろうとタカをくくっていましたが、それでも攻略情報を見ないと解けなかった…。
キーワード入力式は、やはり難しいものがありますな。


この「災渦の中心」は、Wizardry初期シリーズのシステムを受け継ぎ、時代を経たリルガミンが舞台になった最後の作品であり、また日本で発売された外伝シリーズの直接的なベースにもなっています。
そのため、これが1つの集大成として見られている向きがありますが、どちらかと言うと、新しく変化する次作以降の要素を多く含んだプロトタイプという方が近いように思います。
個人的には初期シリーズの集大成はシナリオ#4の方だと思っており、あれで考えられることをほぼやり尽くしてしまったから、あとは大きく変化させる他に道がないところまで行ってしまったのかなと思います。

これ以降のシリーズの変化を嫌う人も多くいますが、ゲーム業界の産業革命期である1980〜90年代に、時代錯誤もいいところの白黒ワイヤーフレーム3DダンジョンRPGを開発することは、メーカーとっては非常に危険な賭けになります。
すでにWizardryにインスパイアされた派手なダンジョン探索型RPGが数多く発売されていた中で、初代だからという理由で数年前と全く変わらないようなゲームを出し続けられるほどゲーム市場は甘くないので、Wizardryのブランド力があるうちに次へ繋げることが至上命題だったことでしょう。
事実、Wizardryシリーズで本国での売り上げが最も多かったのは、大きくシステムを変更したシナリオ#6となりますので、このシナリオ#5からのテコ入れが無かったら、今日に至るまでシリーズが続くことは無かったかもしれません(本家は無くなってしまいましたが…)。

実際のところ、このシナリオの最大の特徴である広大なマップや、水泳などの拡張された探索要素、NPCとの交渉などは、初期シリーズから続くシステムにはあまりマッチしていないように感じます。
ダンジョン内での探索が長大化すればするほどパーティーメンバーを入れ替えるメリットは無くなりますし、ダンジョンから引き返して町に戻るのはただ手間を増やすだけになります(ダンジョン内での回復措置が多くなったのはこのため)。
また、各種のイベントの通過も、不特定多数パーティーを対象としているせいでキーアイテムを多く持ち歩く羽目になり、かえって面倒を招いているだけとなっています。当然、途中で全滅しようものなら死体回収も容易ではないため、救済策としてダンジョン内での任意セーブも導入されていますが、これによって全滅やキャラクター消失などの初代から続くシステムは半ば形骸化しています。
もちろん、その辺のことも重々承知の上で旧来のシステムと新システムを並行してみたのだと思いますが、やっぱり合わなかったね…という結論から、次作ではそれらを排除しているのではないでしょうか。
なんにせよ、Wizardryシリーズのターニングポイントとなっているこのシナリオは、突っ込んで考察してみると、結構面白いのではないかと思います。



←プレイ記録14へ   Wizardry#5メニューへ→