「妄想と破滅……私の弟が恐ろしい悪魔を解き放とうとしている……ブリタニアが危ない……」 淡い影が、あなたをブリタニアへ導こうとしているのが分かる。 もはや、選択の余地はなかった……。 |
「ほう、これはまさに遠来のお客様だな。兄の差し金か?フフ……はるばるご苦労な事だ。 が、残念だが、今は君の相手をしている暇はないのだ。もっとも、もう遭う事も無いだろうな……」 |
窓の外を覗くと、肩に大きな袋を担いだトロルが森の奥へと消えていくのが見えた。 |
「貴様、アリエルお嬢様はどこだ!どうせここからは逃げられん!貴様の仲間を連れ戻したら、お前も そいつも死刑だ!」 |
「コルウィン、トロルは捕えたか。」 「お許しください、アルムリック様、逃してしまいました。あのトロルは、アリエル様を連れてステイジアン・アビスに逃げ込みました。出動した部隊も、アビ ス内部まで迫ったのですが……ゴブリンの襲撃を受けてしまい、生き残ったのは僅か3名です」 「そうか、分かった……」 |
「お前がここに来ることは分かっていた。二週間前からな。我が夢の中に老人が現れ、そして言った。 『邪悪な者共がお前の娘を奪いに来る』と……。万が一に備えて、アリエルの部屋の前に警備兵を配置したのだが、お前にとっては何の障害でもなかったようだ な。窓の下にトロルを待たせておいて、娘を部屋から降ろしたと、皆が言っている。それに相違ないか!」 |
「お前の言葉が真実かは判断がつかん……アバタールの物語は、幾度となく聞いているが、かの者がこ
の世界を去って、もう何年も過ぎている。 もし、おまえが本当にアバタールならば、我が力になれるはずだ。こうしよう、これからコルウィンが、おまえをアビスへ連れて行く。娘を探し出し、連れ戻し てくるのだ。そうすれば、おまえの無実も証明される。戻らなければ、お前は自らその首を絞めることになるのだ、アバタール……」 |
「アビスの出入り口はここだけだ。ここを閉じれば、再び外から開けぬ限り何者も出られない……。お
前を入れたらこの扉を閉じる。アリエル様のお声をこの耳で聞くまで、二度と開けることは無い。胸に刻んでおけ……」 |