Ultima5 プレイ記録 はじめに 〜 オープニング

はじめに

このプレイ記録は、ホームページを開設する前から少しずつ書いていた物であり、公開することを前提としていなかった物なので、やや淡々としています。
プレイ機種は、英語版ウルティマコレクションに含まれるDOS版です。

オリジナルはApple2なのですが、グラフィック以外の点ではほぼ完全に同一の内容です。
むしろ、これほどの膨大な情報がApple2で動いたってのが凄い……。




オープニング



月の輝く晴れた空に、どこからともなく煙のような雲の塊が出てきた。しばらくすると、空は不気味な黒い雲に覆われ、ほの青い月光も遮断されてしまった。君 は静かな暗闇に包まれたベッドルームで軽い眠りについていた。






君は何かに起こされた。眠い目を開けると、壁にはやわらかいブルーの光が反射している。光の正体をつきとめようと、ゆっくり首をまわした。君は、ベッドの 上にゆらめく光の輪が浮いていることを発見し、息をのんだ。
その光を見つめていると、まん中の部分が暗くなっていく。その暗い部分はだんだんと何かの形を作ってゆき、ついには究極の知恵の写本のシンボルの形になっ た!最後にこのような光景を目にしたのは、森のそばのストーンサークルの向こうだった。その時から、君の人生を永遠に変える冒険が始まったのだ。





見つめていると、光は小さくなり、ついには消えてしまい、ベッドの上に何かがそっと落ちてきた。手を伸ばし、ベッドの横のライトをつけると、それはアミュ レットだった。ためらいながら手にとると、それは君の手にぴったりと合い、指が自然に懐かしいエッチングをなぞってしまう。
そうだ!きっと、ブリタニアの紋章だ!間違いない!それ以外に考えられない!





君はベッドから飛び降りて急いで服を着て、大またで部屋を横切り、棚の上のガラスケースの前に立った。
ガラスケースのヴェルヴェットの上には、アバタールの道を象徴するアンクが横たわっている。君はうやうやしくケースを開き、アンクを取り出した。もし想像 通りの事が起こっているのなら、これが必要なのだ。
君はベッドルームのドアを開けて、外に出た。片手をドアにかけたままためらいながら振り向き、再び戻れるのだろうか、と思った。だが君はそんな考えを振り 払い、ドアを閉めて、家をあとにした。






暗い雲のすき間から時々差し込む月光の助けを借りて、君は近くの森の柳の木のそばにあるストーンサークルへ向かった。月光が木々の梢で不思議な影を作るな か、君の心には様々な昔の記憶が甦ってきた。ストーンサークルにたどり着き、君は我に返った。
君は今まで時々ここに来ては何時間も座り、ブリタニアに帰るための光ゆらめく青いドアをもう一度見つけたいと思っていた。ブリタニアの仲間のところに帰り たいと思っていたのだ。しかし青いドアは姿を見せず、ここに来る回数もだんだん減っていき、ついにはすっかり諦めてしまっていたのだ。

新たな希望を胸に、君は片手にアンク、もう一方の手にアミュレットを握り、ストーンサークルの前に立った。何分か経ったが何も起こらない。もどかしさが不 安に変わった。ゲートは開くに違いない!神秘のアミュレットが降ってきたのがその証拠だ!長い間立ち尽くしていると、アミュレットが手からすり抜け、ス トーンサークルのまん中に落ちてしまった。
がっかりして、アミュレットを見つめていると、アミュレットの上に青白い光がゆらめいているではないか。手の中のアンクを見ると、それもやはり青い光に包 まれている。君は注意深く、アンクをアミュレットの横に置いた。






すぐに、かすかい光る青いドアが現れた!
心臓が急速に高鳴り、君はその中に足を踏み入れた。






100フィートも離れていないところに、雷が落ち、その閃光で、君はしばしの混乱から我に返った。






君は暗い禁断の森の空き地に立った。頭上の空は黒い雲に包まれ稲妻が暴れている。ブリタニアだ!ブリタニアに違いない!でも何か変だ。長い年月の後やっと 帰還した喜びよりも、君は不吉な予感を感じた。






「友よ!」
後から誰かが叫んだ。聞きなれた声に急いで振り返ると、二度と会えまいと思っていたシャミノが走ってくるではないか。
彼は君の手をしっかり握ると絶叫した。
「うまく呼び戻せないのではと心配していた!ブラックソーンの干渉を受けずに魔法を使うのは、ほとんど不可能に近いんだ。君を呼んだことも気付かれるに違 いないから、早く行こう」






友を信用して、安全な場所へ着くまで、様々な疑問は胸にしまっておくことにした。
急いでアンクとアミュレットを足元から拾い上げ、行こうとすると、君の前で暗闇がぐるぐると回り始めた。真っ黒な暗闇は、三つの形になっていた。
「シャドウロードだ!」
シャミノは、歯を食いしばって低くうめいた。すぐさま彼は剣を抜き、君とその得体の知れない者の間に斬り込んだ。






最初に現れた幻は、細い人差し指で空中に、ある形を作った。真っ黒い矢がその前に凝縮し、瞬間空中に引っかかっているように見えたが、すぐさま手から放た れ、シャドウロードは灼熱した稲妻をシャミノめがけて投げつけると、それは彼の胸深く突き刺さった!シャミノは剣を落とし、地面にうずくまった。彼の顔に は痛みと、それよりひどい何かが刻まれている。







暗い影が君にも迫ってくる。足元ではシャミノが痛みに体を震わせているが、彼の口からは何の声も漏れてこない。手に握っていたアミュレットがいきなり明る い青い光を発し、それを見たシャドウロードは後ずさりした。影はぐるぐる回り、もとの暗闇へと戻っていった。






地面に横たわったシャミノの体は苦痛にふるえ、胸からは黒い矢がつき出ている。普通の矢ではこんなに苦しむはずがない。これは邪悪な魔法をかけられた矢に 違いない。矢を抜かねばと気付き、君はシャミノの体から矢を抜き取り、力いっぱい放り投げた。矢は暗闇の中に飛んで行き、まわりの空気はバチバチと音をた てた。
シャミノの体はぐったりつぃている。血まみれの傷口を調べると、矢が当たった中心の部分から早くも化膿し始めている。
「イオロの所で手当てをしてもらおう。少し東に歩いたところに彼の家がある」
そうシャミノはつぶやいた。君は、シャミノを抱え起こして、肩をかつぎ、森を通って東にすすんだ。






やがて、森の先の方から心をなごます、すばらしいリュートの演奏が聞こえてきた。曲がり角を曲がると、木々の間の小屋からうす暗い明りが漏れてくるのが見 えた。小屋に近づき、君はシャミノの肩にかけた手を離し、重い木の扉をノックした。リュートの音が急にやみ、金属が触れ合う鈍い音がした。
「誰だ?」
中から聞きなれた声がした。弱々しく君にもたれかかっているシャミノがつぶやいた。
「バカヤロー!俺の血がここで全部流れ出ちまう前に、ドアを開けろ!」





ドアがバタンと開くと、懐かしいイオロが玄関口に立っていた。シャミノを助け起こすとイオロは振り返って顔をしかめた。
「友よ、あんたにも困ったもんだ。シャミノもまたまた面倒に巻き込まれたな」
そんなことを言いながらも、彼は心配を隠さずシャミノをベッドに運び、注意深く傷口を調べた。
シャミノを手当てした後、イオロは2つのカップにスープをそそぎ、暖炉のそばの粗末な木のテーブルの方へ君を招いた。
「ずいぶん年月が経ったが、また会えてよかった。あんたが戻ってきたことは、もう気付かれたようだ。シャミノの傷から見て、もうシャドウロードとは対面し たらしいな」





君はこれまでの事情をイオロに話し、今まで聞かずに我慢していた質問を一気にぶちまけた。
「友よ、落ち着きたまえ」
イオロは微笑んだ。
「我々をこの暗黒の世に落とし入れた、忌々しい出来事の数々を話してやろう。あんたがここを去って間もなく、ロード・ブリティッシュとブリタニアで最も著 名な魔法使い達がロード・ブリティッシュ城で大評議会を開いたのだ。
決議の1つは、ダンジョンを塞ぎ、そこに棲む邪悪な者どもを埋葬してしまうことだった。中には逃げ出した魔物もいたが、奴らの目は光に慣れていないので、 昼間はほとんど動き回ることはできないのだ。しかし、夜は旅人も注意が必要だ!」





「もう一つの決議で最も難しかったのは、アビスの底からコデックスを引き上げることだった。最強の魔法使い達が集まって開かれた大評議会のこの決議は、ブ リタニアの心臓部を揺るがした。その昔アビスだった所は、今では溶岩が固まってできた巨大な山がそびえたっている。
この新しい壮大な山は、大評議会の知らぬ間に、ブリタニアの地下に巨大な空間を残してしまったのだ。ある者は、この地下世界の空間にダンジョンの最下層が 通じているかもしれないと考えている。地下世界では、我々が知るより遥かにおぞましい怪物達が、とてつもなく繁殖していると信じられているのだ」





「冒険者の一団がスピリットウッドを流れる川の下にあるトンネルに入っていった。洞窟のうちの1つが崩れて、地下世界の通り道となっているのだ。彼らは疲 れ果て、当惑しきってこの地に戻り、暗い影を形作る化物や、大地をゆるがす怪物の話を聞かせてくれた。
ロード・ブリティッシュは、この話に興味をそそられ、頑強な戦士達を随行させ、地下世界に入っていった。一行は勇敢に戦ったが、恐ろしい数の手強い怪物た ちに壊滅させられてしまった。唯一の生存者が、この旅の恐ろしい詳細を記した羊皮紙を持って戻って来ると、ブリタニア全土は狼狽してしまったのだ」
イオロはしばし話をやめ、暗い過去を思いやった。





「皆から信頼されていたが、野心家だったブラックソーンがブリタニアの支配権を引き継ぎ、この混乱を静めた。それで、しばらくはこの状態で悪くはなかった のだが、シャドウロードが現れ、我々には分からない何らかの方法でブラックソーンの心を腐敗させてしまった。それゆえ、今ではブラックソーンは圧政を行う 暴君となってしまったのだ。彼は徳の意味を独善的なものとすり替えてしまった!
シャミノや私や、あんたも知ってる他の仲間は、ブラックソーンに無法者の汚名を着せられ、犯罪者のようにこそこそ逃げ回らなくてはならなくなってしまっ た。我々は、一挙に捕まってしまわないように、一ヶ所にかたまらずに互いに距離を保っていたが、いつまでもこんなことを続けているわけにはいかない。ブ ラックソーンや邪悪なシャドウロード達のおかげで、ブリタニアは血を流している。ロード・ブリティッシュに支配権を戻さなくてはならない。もし、まだ生き ていればの話だが!」





「この問題があまりに重大なので、我々は集会を開き、可能性のある答えはたった1つしかないという結論に達した。あんたを呼び戻すことにしたのさ。ロー ド・ブリティッシュを探す冒険の助けをしてもらうためにな。これには大きな危険が伴った。シャドウロードに気付かれずに魔法を使うことはできないからだ。 だが他に道はなかったのだ」
イオロは憂鬱な話を終わらせ、瞳を再びほがらかに輝かせた。
「しかし、友よ、あんたがまた戻ってきてくれた。きっと他にすることもないだろう。また冒険の旅に出かけようではないか!まだロード・ブリティッシュが生 きているなら、ブリタニアの正統な支配者として再び君臨していただこう!」







……以上がイントロダクションとなります。

ちなみに、タイトル画面で何もせずにいると、これらの一連の流れのデモシーンがゲーム画面上で流れ始めます。
上の写真は、シャミノがシャドウロードの矢に撃たれて、アバタールがアミュレットをかざしたシーンのものです。
このシーンがパッケージの絵となっていますね。


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