Ultima5 プレイ記録
エンディング
(*訳文は日本語版のものです)
君の家からストーンサークルに至る道は,時の流れと風雨のために荒れ果ててしまっている。
君は異なる世界を旅して混乱し、神秘の森の中に並んでいるストーンサークルの真中で、しばしぼう然と立ちつくしていた。
だが、君はこの慣れ親しんだこの森で迷うことはなかった。
朝陽を背に進んでいくと、すぐに長いこと留守にしていた自分の家にたどりついた。
君が旅立った夜からかなりの時がたったが、カギのかかっていない玄関のドアは、まるでお帰りなさいとでも言うかのように、少し触れただけで開いた。
家に入ると、君は横になり冒険で疲れ切った体を休めた。
今日こそ死ぬかもしれないという不安や、王国を救う冒険で感じた敗北の苦悩や勝利の喜びも、もはや過去のものとなった。
だが、邪悪はまだこの世に存在し、アバタールの冒険がまだ終わっていないようだ。
部屋にあったはずのテレビやステレオ、客間の家具などが無くなっているのがその証拠だ。
その夜、君は安全で暖かいベッドに横たわったが、いくら居心地がよくても心の安らぎを感じることはできず、頭の中で疑問が渦巻いていた。
ブリタニアの運命は?
ロード・ブリティッシュは,本当に正義の味方なのだろうか?
暴君ブラックソーンは退位したのか、それとも彼の治世下で、いまだに罪無き者たちの流血が続いているのか?
最も恐ろしいことは、この世で捜している限り、これらの疑問の答えを見いだすことはできない、ということかもしれない。
夢の中に安らぎを求めるかのように、君は眠りに落ちていった。
まばらに松明で照らされた、広い殺風景な部屋の中、君は影の中に立ってる。
まわりには手かせや、拷問の道具がある。
突然,寒けを感じ、君はここがブラックソーンの王座の間であることに気づいた。
彼の邪悪な手下どもはいないが、まるで怪物が急いで立ち去ったかのように、おおきな木のドアがゆっくりと搖れている。
ブラックソーンは、もはや君を意のままに手玉に取った頃の誇り高き支配者の面影を失っている。
いま,黒衣の王は、硬い木の王座に力無く腰をおろしている。
彼の前では、皮がすりきれ、鉄の部分の錆びた鎧を身につけ、ヘビの形のアミュレット、黄金の杖,立派な宝石で飾られた王冠を持ったロード・ブリティッシュ
が立っている。
ブラックソーンは、憎しみも驚きもなく、絞首刑の宣告を待つ囚人のように、無抵抗な落ち着いた態度でロード・ブリティッシュを見上げている。
「お前の行為は邪悪だったが、罰を与えるのは私ではない」
ロード・ブリティッシュは、かつて王だった男に静かに話かけた。
「お前の行った邪悪な支配は、お前の心から生まれ出たものではない。しかし、お前の中に宿った邪悪なる心を取り除かねばならない。お前の意志を操った暗黒
の力の虜のままでお前を死なせたくはないのだ。選択の余地を与えてやろう。私と一緒にブリタニア城に帰り、裁判を受け、大評議会の判決をあおぐか、あるい
は…」
ロード・ブリティッシュは月の球体を高くかかげた。
ダンジョンでやった時のように、それに意志を集中しているようではないようだ。
彼は目を閉じ,無造作に球を宙に投げた。
球体はブラックソーンの王座のすぐ右側に落ち、そこに赤いゲートが現れた。
「…このゲートをくぐり、私もお前とともに見たことのない土地で、流刑生活を送ってもよい」
ブラックソーンは、ゆっくり疲れた様子で、ロード・ブリティッシュの前に立った。
何か言うように頭をもたげたが、何も言わず、いかにも王らしい眼差しで、なんとも形容し難い表情を浮かべた。
そして、彼はマントをたぐりよせ、ロード・ブリティッシュに背を向け、肩越しにチラッとふり返ったかと思うと、ゲートに足を踏み入れ、姿を消していった。
139年9月2日
アバタール、ロード・ブリティッシュの命を救い、人々と国を救う。
The Quest of The Avatar is Forever
4ヶ月25日の冒険であった。
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