Ultima2 プレイ記録 古代編

B.C.時代

召喚されたアバタールは、アメリカ・ニューヨーク州付近に立っています。

 


そう…このウルティマ2は、シリーズで唯一、我らが地球を舞台にしているのです。

後に判明することですが、ここはB.C.時代という古代世紀の時代です。
公式には、地球の人類の文明が歴史に記される以前の時代がソーサリアの世界である…ということになっていたのですが、後に続く作品とあまりにもかけ離れているため、「モンデインを倒した英雄とロード・ブリティッシュの故郷である地球に対して、ミナクスが復讐のために侵略をした」、という解釈をするのが一般的なようです。



さて、アバタールは召喚されたものの、ニューヨーク付近には何もありません。
ニューヨーク、ワシントンをはじめとして、町らしきものが一切どこにも見当たりません。

仕方がないから、ロッキー山脈を越えてアラスカ方面へと向かいます。
この世界では、アラスカとシベリアを挟むベーリング海峡は、何故か地続きになっているので、更に西へと進んで行きます。



なお、見ていただければ分かると思いますが、このマップの縮尺は相当なものです。
現実の世界地図に照らし合わせれば、1タイルあたり約1000〜2000kmはあることになります。
ゲーム上では1歩進むのに1秒もかかりませんが、その間に起こったであろう、数え切れないほど多くの冒険を脳内で補完するのが、ウルティマ2の正しいプレイスタイルと言えましょう。

山河を越え、木陰で休み、時には険しい道で命を落としそうになることもあるでしょう。
旅の途中で、道行く人々との数え切れないほどの出会い、そして別れを経ながらも、たった一人で幾夜もの間、星と地平線を眺めながら果てしなき道を歩く……これが、このゲームでの1歩の重みなのです。


こうして、アバタールは大冒険の末に極寒のベーリング海峡を渡り、ユーラシア大陸に辿り着きます。
まだスタートして数秒ですが、ここまでで冒険記一冊書けそうな感じです。





その後、アムール川を南下して、現在の上海近辺までやってきましたが、ここにも町は見当たりません。



ちなみに、この東にみえる3マス程度の小島が日本列島です。
あまりにもぞんざいな表現に、かつて多くの日本人プレイヤーが悲しんだことと思われます。

それにしても、アメリカ大陸にもアジアにも、町の1つもないのはおかしい、これは一体どういうことでしょうか?

その理由としては、後述するタイムドアを通じて、ミナクスが地球上のあらゆる時代に攻撃を仕掛けたため、地上の文明はほとんど壊滅してしまった、ということが挙げられます。
世界は、既に滅亡の危機に瀕しているというわけです。
諸悪の根源たるミナクスを滅ぼすことで、彼女によって起こった災厄を全て無かったことにできるかもしれない…という、バックストーリーがあるのです。

また、前述の通り、このゲームの縮尺は相当なものです。
1歩進む間に数週間かかろうかというくらいの規模ですので、取るに足らないような小さな町や集落を、1つ1つ表示していてはキリがないというものでしょう。
こうやって歩いている間にも、アバタールは当然のように現地の人々と出会って、近隣についての情報を仕入れてたりしていると考えるべきです。
容量が足りないから町を作れなかった、と考えるのは邪推というものです。





アジアには探している物はないと感じたアバタールは、安息の地を求めてシルクロードを西に向かって歩きます。
そして、長き旅路の果てにヨーロッパに差し掛かった時、トロルがロシア平原を横断してアバタールを追ってくるのが見えます。



後方数千kmの彼方にいるトロルが視認できるというのは何やら不自然な気がしますが、これを想像力で補うのがウルティマ2の正しいプレイスタイルです。
このトロルは1匹ではなく軍団単位での表示であり、そのため近隣の人々から集めた情報等を基にして所在地を割り出せる、と考えるべきでしょう。
なにせ、この縮尺ですから、魔物が単体で表示される方が不自然です。
拠点やユニットの表示基準は、戦略級シミュレーションゲームの比ではありません。




ともあれ、武器も持っていないアバタールでは、トロルもといトロル軍団には到底太刀打ちできないので、ひたすら逃げます。
アルプスを迂回してヨーロッパの黒き森を南に向けて走ります。
すると、イタリア半島に町が見えました。




途中でトロルに追いつかれ、何度か小競り合いをしつつもジリジリと南下。
そして、傷つきながらも町に転がり込むことに成功します。
どうやら、この町はリンダの町というようです。




このリンダの町には、B.C.時代だというのに、「私たちは小さなコンピューターについて知っているよ!」などと話す人が暮らしています。
こういったメッセージの大部分は意味のないお遊びのようなものですが、中には攻略に必要なものも紛れているので要注意です。
なお、大半の住民は全国共通で話す内容が同じなので、こちらは割愛いたします。


リンダの町で得られる情報は、ゲームの攻略には全く関係ないものばかりですが、せっかく来たので店に寄ってアックスとレザーアーマーを買っておきます。
もっと強い武器も買えますが、現在のステータスではこれ以上の物は装備できません。



ちなみに前作とは異なり、今回のファイターとシーフは魔法を使えなくなっています。
しかし、クレリックとウィザードは、装備できる武器防具に制限があるわけではありません。
ウルティマシリーズのファイター不遇は、ここから始まっていたのですね。





さて、装備を整えたら外に出て、先ほどのトロルと再戦します。
戦いのための武器を手にしたアバタールの前には、トロルなど物の数ではない!



と、戦いを挑みましたが、これがなかなか強敵です。
まず攻撃が全然当たらないので、数ターンの間、取っ組み合いの戦いが続きます。
もちろん、トロルなどは最弱クラスの敵なので、先が思いやられるというものです。


苦戦の末に、ようやくトロルを倒すことができても、戦って得られた物は1EXPと20ゴールドとのみ。
前作同様、レベルアップしても強さは変わらないからEXPはどうでもいいのですが、20ゴールドなどは僅かな食料しか買えません。
この町に来るまでに消費した分を補えるかどうか、といったところです。



それに、このゲームでは特別な方法を取らないとHPは回復しませんので、このまま世界を放浪して戦い続けても、いずれは餓死か戦死が待っています。
この次に何をするべきかを知らないと、この時点で躓くことになります。




遥か大西洋のグレートブリテン島には、ロード・ブリティッシュの居城らしきものが見えますが、さすがのアバタールも泳いでドーバー海峡を渡ることはできませんので、ここには行くことができません。
どうしたものかとウロウロしていると、突如東ヨーロッパ近辺に青い扉が現れます。



これこそが、ゲームを進める上での鍵となるタイムドアです。
特定の場所にランダムで出現する、このタイムドアを通過することにより、異なる時代へ行くことができます。

ただし扉は一方通行で、同じ扉を通って元の時代に戻ることはできません。
移動した先の時代で、また新たなるタイムドアを探し、更に別の時代に移動……と繰り返して、世界中に散りばめられたタイムドアの謎を解きつつ、必要な情報を少しずつ集めていくのが、このウルティマ2の基本的な進行方法となります。




……と解説をしましたが、まだドアには入らず、しばらくは古代世紀の世界を旅することにします。
アバタールはヨーロッパからオリエントへ渡り、そのままアラビア半島を抜けて、暗黒大陸アフリカへと辿り着きます。

「あんた…あの砂漠を歩いて旅するつもりかい!?そいつは無茶ってもんだぜ!」、という現地の人々のセリフが聞こえてきそうですが、アバタールは徒歩でアフリカ大陸の縦断を試みます。



ゲーム中では語られませんが、この未開の時代、アフリカの旅は想像を絶するほどに過酷なものだったでしょう。
例によって数秒で縦断できますが、アバタールの苦難の旅路をしっかりと想像するのが大切です。
もっとも、この大陸に関しては現代の方が危険かもしれませんが……。



さて、今で言うところのナミビア〜南アフリカの近辺に村を見つけたので、ここに入ってみます。

 

ここは、その名も『ラ・ジェスター(道化師)』という名の村で、周囲を森に囲まれています。
中央の泉には道化師の像が立っており、これが名前の由来かと思われます。
もしかしたら像ではなく本物の道化師が剥製にされている可能性もありますが、残念ながら確かめることはできません。



この町で、最も目を見張るのは、やはり彼でしょう。



「コピープロテクト! コピープロテクト!」と奇声を上げるのは、ロバート・ウッドヘッド氏です。
かの名作RPG『Wizardry』の生みの親である、狂王トレボーことロバート・ウッドヘッド氏が、なんとこんな所で暮らしているのです。
ウルティマのリチャード・ギャリオット氏と、ウィザードリィのロバート・ウッドヘッド氏といえば、1980年代当時の世界で最も有名なゲームクリエイターです。
この両名が出演するとは、なんと豪華なゲームなのでしょう。


とはいえ、「コピープロテクト!」は特に重要な情報ではありません。
この町で最も重要なのは、「上品で年頃のニンフ」とやらが教えてくれる、「ホテルカリフォルニアでお金をわたせ!」という情報です。
理由は後ほど分かります。

しかし、何故、B.C.世紀でホテルカリフォルニアなどという単語や、コンピュータ用語が出てくるのか?

理由は簡単で、前述の時空を超えて移動ができるタイムドアは、アバタールだけではなく、その他の多くの人々も当然利用しているからです。
多くの時代を往来している人は、ここだけでなく至る所に存在します。
この世界は想像以上に混沌に満ちているのです。





さて、最後に、この時代のロード・ブリティッシュ城を紹介して、次の時代に進みたいと思います。
このロード・ブリティッシュ城のあるグレートブリテン島には、海を渡る手段がないと上陸できないため、実際はもう少し後になってから行くことになります。




ここには、なかなか行くことができない割には、特に重要な情報はありません。
一応ロード・ブリティッシュ公もいるのですが、彼とは別の時代で出会う方が早いでしょう。

一般的なRPGならば、主人公は異世界に召喚された後に、この城で王と謁見してミナクス討伐を託される……といった感じになるのでしょうが、このウルティマ2は、どうやっても城に行くことができないという、非常に斬新な設定なのです。
しかも、呼び出された場所から最寄の町まで行くのに20000km近く歩くなど、前代未聞のRPGでしょう。
道中でアバタールが野垂れ死んだら、どうするつもりだったのでしょうか。


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