Wizardry 外伝3 ストーリー


いにしえの時代より神の恩恵に守られてきた王国。幾度となく繰り返される戦乱や災いの中、その絶大なる加護により長き平和の時代を保っていた。
神も人々の深い信仰と戒律により、その力を維持していたが、永遠とも思われる平和な時間に人々の信仰は薄れ、神の力も衰退の一途をたどる一方であった。

一人の青年がいた。名をアガン・ウコーツ。このごく普通な青年に、最愛の人の死という悲報が突然襲った。反狂乱となったアガンは、無謀にも、命の蘇生を目 的に最も危険とされる禁断の法、魔族召喚を行ってしまった。一瞬にして王国は魔族で溢れ、美しさゆえに名を馳せた町並みは無残な廃墟へと変貌してゆき、青 年も目的を果たせぬまま、自ら解き放った邪悪な力によって異国の彼方へと、飛ばされていった。

もはや、神にこの国を守る力はなかった。

災厄の日から幾年月が流れ、「呪われた王国」の噂が広く知れ渡っていった。同じころ、辺境に位置する王国の居城、ダリア城の奥深く隠されるようにたたずむ 王室で、独り物思いにふける王がいた。側近でさえ近づくことを恐れ、もう何年も言葉を発することもなく、座り続けるだけの王。この男こそ「アガン」その人 だった。その顔には妖しい光を放つ、奇妙な黄金の仮面があった。

十数年前、邪悪な力により異国に飛ばされたアガンは、この王国に空より舞い降りた。その様子を見た人々は、彼を神の使い、または、神そのものとして恐れ、 ひれ伏した。彼自身、その人格は変貌し、この国の王位を奪うのに、さして時間はかからず、その侵略の手は近隣諸国にもおよんだ。あるときアガンは呪われた 王国の莫大な財宝の噂を耳にし、それをも手中に収めようと大軍を率いてその地を訪れた。驚愕する彼が目にしたのは、自らの手により滅びの道をたどらせた、 彼の故郷そのものであった。もはや財宝など眼中になく、当初の目的を遂げたいがため、尋常ならざる執拗さで王国を魔族から解放しようとしたが、魔の力は強 く、軍の進退を決めあぐねていた。そして総力戦を決意した夜、どこから現れたのか一人の商人がアガンの前に膝付き、勝利を約束するという黄金の仮面を差し 出した。魅せられた様に仮面を受けとり身に付けるアガン。瞬間、アガンの呻き声があたりに響き、二度と外せぬ呪いの仮面を残し、商人は耳障りな笑い声とと もに異形の姿に変わり、王室から消えていった。

さらに時は流れ、呪われた王国を魔族から解放すれば、王の呪いが解け、また莫大な財宝が手に入るという噂が広がり、数知れぬ冒険者達が今日もグランタンの 酒場に集うのだった。