Wizardry#1 ストーリー
<Macintosh版マニュアルより>
狂王トレボー
は、紛れもなく狂っているが、決して愚かではない。彼は自らが立てた世界制覇への計画を実行するため、2つの物を欲している。1つ目は、各クラスで選りす
ぐった精鋭親衛隊。そして2番目は、悪の魔術師ワードナによって盗まれた魔法の護符である。ワードナは極悪人なので、老婆を道の半分までしか渡してやら
ず、その上、彼女の財布を盗むのだ!ワードナは迷路のどこかに居を構え、護符を肌身離さず持っていると言われている。
1個の石(あるいは別の手ごろな武器)で2羽の鳥を獲ることで良く知らるトレボーは、迷路を試練の場として使っている。この場所は冒険者の精鋭グループを
鍛えるのに最適であり、できることなら同時に魔除けも奪還したいと、彼は考えていた。言うまでもなく、護符を奪還した冒険者達は、いかなる者であれ、ただ
ちに彼の親衛隊となるだろう。もし必要ならば、力づくでも…。
以上が、君のキャラクターに押し付けられている状況だ。彼らは乏しい幸運をもとに、迷路の地図を作り、魔物どもを打ちのめし、戦利品を持って急いで逃げ、
護符を見つけるのだ。そして、その間に何度かは殺されてしまうだろう!
<IBM-PC版マニュアルより>
我々の作戦が開始されたのは、あの狂った大魔術師ワードナが現れて5年目の秋のことであった。今が何年で何の季節なのかは、我々の誰も知らない。我々は、この呪われた洞窟の第9階層にいると思われるが、時間も空間も目まぐるしく動き、現実感はあまりない。
キャンプを終え、私と5人の仲間達は武器や物資の整理をしていた。我々は素晴らしい宝や強力な武器の数々を手に入れていたのだ。この戦利品を持ち帰ってか
らの仄かな楽しみを夢見ることで、我々は寝ずの見張りを充足させていた。侍のセズマー、僧侶のサラ、そして忍者の私が前衛に立ち、盗賊のモラディン、魔術
師のプロスペロ、そして司教のタックが後列であった。
我々がゆっくりとジグザグの回廊を下っていくと、突然、サラが唱えたロミルワの呪文の不気味な光が、隠された扉を見つけ出した。我々は扉を蹴破って開き、
中の小部屋に突入する。しかし不運なことに、ヘルハウンド、デーモン、クリーピングコイン達は、我々を歓迎してくれなかった。激しい戦いが起こり、迷宮の
土台を揺るがす。私が素手でデーモンを1匹切り裂く間に、セズマーはムラマサブレードでヘルハウンド達を片付けていた。戦いの潮流は、武器と神秘のエネル
ギーによって千変万化するため予断を許さない。最後はプロスペロが終わらせた。サラがマポーフィックの呪文で我々を護ると、プロスペロが恐ろしきティルト
ウェイトを唱えた。我々は勝利したのだ!
だが、この剥き出しの忌々しき魔法の壁は、我々の英雄的な努力にも報いてはくれないものだ。そして、我々の幸運は、ここで劇的に下降した。隠されたシュー
トが第10階層への入口を掩蔽していたのだ。ワードナの棲家に続く最後の道が開いた。我々がお互いに立ち尽くしていると、空気をつんざいて狂気の笑い声が
響く…ワードナが待っている!
我々は落ち着いて傷を癒して再編成し、再び出発した。もう迷いは無い、我々の偉大なる挑戦はこの先にある。
断固とした決意で我々の団旗を高く掲げ、用心深く進んで行く。我々はすぐに暗闇の中に消えていった。我らホークウィンドのハンターズの、金と銀のドラゴンの団旗が輝いたが、遠くで戦いの音が鳴り響いてくると、間もなくそれも消えていった。
ホークウィンド戦記第1巻、第9章より