Ultima7 プレイ感想

5-17-2011

ついに悲願だったウルティマ7をクリア!
いやいや、長い旅でありました。
なにぶん翻訳作業が大変だったので、ゲーム以外の部分で非常に疲れました。
開始してからクリアまでに半年以上かかっていますが、あれ?まだ半年しか経ってなかったのか、と感じるほどです。

しかし、凄いゲームでした。
これが日本語化されなかったのが、本当に惜しいと思える出来でした。
今ですら凄いと思える作り込みですから、発売された当時では、もう別次元のものだったであろうと思われます。
前作までを知っていないと楽しさが半減してしまうような、非常に取っ付きにくい作品ではありますが、間違いなく名作と呼ぶに相応しいでしょう。


今回こういった形で、住民との会話をメインでプレイ記録を書いたのは、ほとんど概要が知られていないウルティマ7のシナリオを紹介するという意味もありますが、自分が最後の最後まで翻訳を継続させるためでもありました。
会話文を軽く読み飛ばして先に進んでしまいたい衝動に何度か駆られましたが、体力と精神力が尽きる前にクリアできて本当によかった…。
予想以上に膨大なテキスト量だったため、プレイ記録の中では全てを紹介することはできませんでしたし、また、私の英語力では翻訳の精度も決して高いとは言えませんが、シナリオの流れや、おおよそのイベントは押さえられたと思います。

では、以下にクリア後の感想を書いていきます。




システム

システムはウルティマ6を踏襲していますが、規模も細かさも段違いです。



時間は分刻み(それどころか、おそらく秒刻み)で進み、全ての住民が寝て起きて食事を摂り、民家のタンスの中の服や小物までキッチリ配置され、書棚の本まで読めるRPGは他に無いでしょう。


また、所持アイテムも自分で袋わけして管理したり、重量を考えて所持しないといけなかったり、定期的に食事を摂る必要があったりと、とにかく面倒です。
面倒なんですが、これが良いのです。
あの鍵どこにしまったっけ?とか、早く町に行って酒場で一杯やりたい…とか、こういった些細なことも冒険を感じられる演出となっています。



町の人々との会話の折に、イオロやシャミノなどの仲間キャラが頻繁に会話に混ざってくるのも良かったです。
おそらく会話の量もウルティマ6の倍以上はありそうで、こちらもシナリオや世界観の彩りとなっています。



反面、精密になりすぎて逆に不自然な部分も目に付くようになりました。

まず、マップがやや狭く感じること。
と言ってもウルティマ6以前や、他のRPGと比べても相当に広いマップではあるのですが、色々な物の表現が細かくなりすぎて、縮尺が追い付いていないように感じました。



その気になって移動すれば、ゲーム時間で1日もかからずに全国に行けてしまいますので、以前の世界観を思えば、随分と小ぢんまりとしてしまったような錯覚に捉われます。
他にも、洞窟や建物が基本的に全て同一階層のマップに表示されているため、地下○階まで続く迷宮とか、高い塔などといった建造物がありません。
十分に広いマップではあるのですが、こういった見せ方が少し残念な点ではあります。




戦闘

リアルタイムで敵味方が同時に動き、プレイヤーキャラは簡単な命令に従ってオートで行動します。
しかし、パーティーは最大で8人にもなるので、馴れないと全員の動きを把握することは難しいです。




接近戦になるとゴチャゴチャになってよく分からなくなったり、人間タイプの相手だと敵味方が分からなくなったりします。
ステータスや装備品の性能も目に見えづらく、ExultのオプションでHPゲージやダメージ値を表示しないと、本当に何がなんだか分からなくなりそうな戦闘です。

そして、プレイヤーキャラは以前に比べてかなり死に易くなっているため、気付いたら仲間が倒れていることが多々あります。
以前に比べて仲間のHPが非常に低いので、罠にかかったり、爆発魔法などの範囲攻撃を受けると、簡単に死にます。
死んだ仲間を蘇生させるために死体と荷物を担いで城まで戻るのは、なかなかに大変でした。

リアルタイム戦闘は悪くない試みですが、個人的にはウルティマ6くらいの半リアルタイムなターン制が好きだったかもしれません。




難易度

非常に長大ではありますが、ウルティマシリーズの中ではかなり簡単な部類だと思います。
最初のイベント以降、基本的にどこに行っても自由ですが、殺人事件の調査を続けていく中で、次にどこへ行くべきかを指示されますので、何をするべきか迷うことは大分減ったと思います。



ダンジョンの隠し扉やスイッチの仕掛けは分かりづらいものがありますが、以前のように、攻略情報を見ないと絶対に分からないというほどのものではありませんでした。
いや、無いことはなかったかな…やっぱ、ちょっと難しかったかな…。


そして、戦闘については上で述べた通り、結構シビアな難度でした。
頻繁にプレイヤーキャラが死ぬようなバランスです。
死んでもゲームオーバーにはならないし、これまでのシリーズと同様、戦闘はあまり重要な要素ではないので、そこまでの問題ではないのですが。





シナリオ

数多くのサブストーリーやイベントが折り重なって本筋に繋がっていくというような複雑な進行形式なので、前後関係を把握するだけでも大変ですが、一応、メインの目的である殺人事件の調査というのは開始時点から一貫して続いていきます。



ただ、ストーリー的には続編のサーペント・アイルありきの作品ですので、そちらのエンディングまで見ないことには、完全にクリアしたとは言えないですね…。


しかし、今回の主眼はメインストーリーを追うだけではなく、ウルティマ5と同様に、変貌してしまったブリタニアの描写に置かれていると思います。
ゲーム中のブリタニアは一見して平和ではあるのですが、国中で様々な社会問題が見受けられます。
怪しげな新興宗教、猟奇殺人事件、階級間格差、政治不信、人種差別、薬物、など、まるで現代の社会問題を表しているかのようで、なかなかに考えさせられるものでした。

  

ゲーム中には非常に多様なイベントがあるため、一概に括ることはできませんが、ここで問題とされている事項のほぼ全てが、人々がかつてのモラルを失ったことに起因していることも深いです。
シリーズの中では、ウルティマ7以降はガーディアンとの決戦時代というカテゴリーに入れられており、最終的な目的はガーディアンとの単純な善悪対決になるのですが、非常に多くのメッセージを費やして描かれたモラル問題というのも、また今作の重要な要素だと思います。

革新的なゲームシステムと深いテーマ性…毎度のことながら、これを両立しているところが、ウルティマシリーズの凄いところです。


←Ultima7メニューへ