Ultima6 プレイ感想

5-31-2010

最初にも書きましたが、ウルティマ6は以前にもDOS/V版で一度クリアしており、今回が始めてのプレイではありません。
ただ、DOS/V版は英語だったため、私の怪しい英語力では理解しきれなかった部分などが多く、二度目とはいえ新鮮なことばかりでした。
墓標に書いてあるルーン文字の翻訳や、ちょっと言葉遣いが悪い人達の台詞などは辞書でも調べられないため、今回日本語訳付きのバージョンでやって初めて内容が分かったものも多いです。


で、再びクリアしての感想となりますが、やはりこれは名作ですね。
ただ面白いだけじゃなく、人として色々考えさせられる何かを持っています。
もう、DSの知育ソフトの代わりに英語の学校教材として使ってもいいんじゃないかと思うくらいです。
まあ、ちょっと教育によろしくない人物もいっぱい出てきますがね。




システム

今回で初めての試みとなったシームレスのマップですが、とにかく世界の広大さをよく表現できており、歩いてその辺を眺めてるだけでも楽しいです。



ウルティマ5までの超不親切な操作性も一新され、マウスと2〜3のコマンドだけでほとんど全てをカバーできるようになっているため、直感的に感じたことが色々とできてしまいます。
このシステムが後々のウルティマオンラインまで継続されていると思うと、実によく出来ています。

膨大な情報もパッと見て分るようになっているし、戦闘も移動も全て同一のフィールドだし、仲間もオートで動いてくれるので(マニュアル操作も可能)、時間がかかったり煩わしかったりというストレスは、前作から大幅に改善されています。





それだけに、ゲーム開始から所持している移動アイテムのムーンオーブの存在が残念です。
使い方は誰も教えてくれないとはいえ、これがあると世界中の主要な地点に簡単にワープできてしまうので、場合によってはゲーム性を著しく損ねてしまいます。
私も中盤以降は頻繁に使っていたのですが、やはりこれは無い方がよかったですね。
あるいはゲートトラベルの魔法がもっと低いレベルで使えればよかったかなと思います。




戦闘

相変わらずウルティマでは戦闘の重要性が低めなのですが、今回は程よくレベルも上がるし能力も上がるので、なかなか楽しめます。
とはいえ最大レベル8なのは変わりませんが……。



武器の射程や重量の概念も突き詰められていて、無駄に強い武器防具がない(ライトニングワンドは除く)のも良いです。
仲間への指示や武装もちゃんと考えてないとダンジョンなどでは思うように勝てないため、なかなか戦闘のバランスは良く練られていると感じました。





ただ仲間に魔術師がいないため、魔法を使うのがほぼアバタール1人なのが残念と言えば残念。
おかげで、いつも魔法の書が手放せなかった。




難易度

ウルティマの中では取っ付き易く、比較的簡単にクリアできる作品ではないでしょうか。
もちろん何も知らない状態からだと相当に苦労するでしょうが、これならノーヒントでもギリギリなんとかなるかな?ってくらいの難易度だったと思います。

なかなか良移植をされているスーパーファミコン版であれば入手は比較的容易なので、ウルティマシリーズを全くやったことがない人にもおススメできます。




どうしても勝てない強敵がいても透明のリングでやり過ごせるし、鍵が無い場合でも大抵は火薬樽で爆破すれば無理矢理開けることが出来るし、隠し通路が分らない場合でも透視の魔法を使ったりと、色々な手段が用意されていることによって、プレイヤーの側からでも解法を見つける楽しみがありました。
こんなことして先に進んじゃっていいの?というような方法がいくらでもあるのです。







シナリオ

色々斬新な点が目に付きますが、やはりこのゲームの一番の肝はストーリーでしょう。
啓発時代三部作の最後に相応しい見事なものでした。


今回はこれまでに登場した仲間達も総出演で顔グラフィックまで付けられており、前作までを知る人であれば感涙ものです。



そんなブリタニアに侵略する異形の種族。
この状況を、かつての仲間達と強力し合って……という、非常に白熱する設定です。

そして、かつての仲間達やブリタニアの国土に加え、徳の神殿、コデックス、地下世界、ムーンストーン、ストーンゲート、そして暗黒時代の宿敵達……と、これまでのシナリオでの重要項目に終止符が打たれる総決算のような内容となっています。




こういったオールスター的なシナリオは、通常であればガーゴイルの王ドラクシヌソムがラスボスとなって、皆で協力して倒して大団円……といったところでしょうが……後半以降の共存の方法を探す展開は、やはりウルティマならではのものでした。



異なる価値観を持つ敵勢力を滅ぼすのではなく、共存の道を探るというテーマは普遍的でありながら、ゲームでは中々それを現せないものです。

しかし、ウルティマの中で徳の思想というものがどれほどに重要な物かということが、前作・前々作を通じて十分に染み渡っているため、このテーマに対する説得力は非常に強いものがあります。
そして、ガーゴイル側にも原典を同じくした同義の思想があるため(何を比喩しているかは大抵の人は分るでしょう)、双方の言い分はプレイヤーにとっては、単にゲーム上だけのものとは思えないほどの深いテーマとなり得ます。


そしてエンディング、見事に共存の橋渡しをしたアバタールは、本当の大団円を迎えることができます。
このシーンは、ゲーム中でも度々印象的に登場するロード・ブリティッシュのテーマ曲(ルール・ブリタニア)と、ガーゴイルのテーマ曲が重なって1つの音楽になる、かなり感動的な場面でした。



このウルティマ6をもって啓蒙時代三部作が完結し、ウルティマは一区切りします。
ウルティマ4からの一連の作品内で一貫して語られてきた徳のテーマが、最後に納得のいく形でハッピーエンドを迎えるという完結性を見ても、ウルティマ6はフィナーレに相応しい、とても素晴らしいシナリオでありました。

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