
視線の据わった美しい女戦士だ。
  (初回)
  彼女はひどく落ち込んでいる。
  「アイエラは、あたしの親友よ。あたしとアイエラ、いつも一緒に探検して、おしゃべりして、いろいろ騒ぎを起こしたわ。でも、もう何日も会ってない。アイエラに悪いことでもないといいんだけど……。この前、クーラックの村を偵察して……」彼女はハッと口を押さえ、言い直した。
  「クーラック族の村の近くを通ったとき、アイエラがウラリ族のバカデカ・ダーデンにさらわれたと、男たちが話しているのを聞いたの。ウラリ族がどこにいるか探したけど、ウラリの村は隠れた場所にあって見つからなかったわ……。でも、ヨラルーの村の南東のどこかにあることは、確かなの」
  
  (二度目以降)
  「アバタールに精霊の祝福を」
  
  (アイエラ救出後)
  「あなた、遠い遠いところからきた戦士アバタールね。クーラック族があなたのこと、話してたわ。アバタール、あたしに何かご用?」
  彼女はちっともアイエラのほうを見ようとしない。
  <アイエラ>:「サーリーは、いい男がいるとアイエラのことを無視する。いつだってそう」
  それを聞いて、彼女は大きな笑顔を見せた。「遠い遠いところから来た戦士さんのこと、本物と噂を比べて確かめてただけよ。アイエラにも精霊の祝福、ちゃんとお祈りしてるわよ」
  (アイエラ救出後・二度目以降)
  「アバタール!アイエラの恩人。また会ったね」
  名前
  「あたしの名前はサーリー。モサガンの娘よ」
  仕事
  「何か騒ぎが起こりそうなところへ行って、騒ぎを大きくしてやるのが、あたしの仕事」
  <アイエラ>:アイエラは真面目くさった顔でうなずいた。「サーリーは騒ぎの種をみつけて大きくするのが誰よりもうまいのよ。精霊も彼女の前では怯えるわ」
  「女はスピアやボウを握るべきではない、と言う男がいれば、サーリーそこへ行って、腕前を見せてやる。悪いヤツが善人を装って酋長になったと聞けば、木の陰からそっと近付いて、そいつの化けの皮を剥がしてやる。あたしの仕事は、そんなところね」
  部族
  「サーリーは偉大なハンターの部族、ヨラルー族の人間よ。我々の最大の敵はクーラック族。でも、サーリーの親友もクーラック族の人間よ」
  ヨラルー
  「サーリーはヨラルーよ」
  モサガン
  「モサガンはサーリーの父。ヨラルー族の祈とう師よ」
  ウラリ
  (アイエラ救出前)
  彼女は腹立たしげに言った。「ウラリ族はサーリーの友だちじゃない。あいつら、あたしの大切な相棒のアイエラを連れ去った。ウラリの村がどこにあるかは、あたしも知らない。知ってれば、とっくに行ってメチャクチャにしているわ」
  
  (アイエラ救出後)
  「ウラリのことは、アバタールがよく知ってるはず。あたしの親友アイエラを助けに、そこまで行ったんでしょ」
  クーラック
  「ヨラルーの村の西に住んでいるわ。立派な戦士たちよ。ヨラルーとクーラックは、ずっと敵対してきた。戦ってばかりいた。もし互いに戦わずに、その力をミルミデックスに向けていれば、たくさんのミルミデックスを退治できたはずなのに」
  シェリー
  彼女はチューという小さな音を立てた。そして、かわいい咳払いをして言った。「ちょっと、風邪をひいたみたい」
  アイエラ
  「サーリーの一番の友だちは、クーラック族のアイエラよ」
  
  (アイエラ救出前)
  「でも、今は行方不明。ウラリ族のバカデカ・ダーデンが、彼女を連れ去ってしまったの」
  
  (アイエラ救出後)
  「あたしたち、いつも一緒に騒ぎを起こすの」
  <アイエラ>:アイエラが静かに言った。「サーリー、あなたが起こした騒ぎの話は、人には話せないわね。アイエラも、話せないようなコトしてるけど」
  「もちろん。あたしたちがやってきたことは、誰にも内緒よ。絶対に話したりしない。絶対に……」
  ミルミデックス
  「ミルミデックスは、蟻に似た怪物。クーラックの村の西に住んでいて、時を選ばないで人間を襲うのよ。人間を殺しては食べ、殺しては食べる。アイエラとあたしは、ミルミデックスに対抗するために、部族を連合させるべきだと考えてるの」
  さわぎ
  「あたしたちが起こした騒ぎのことは言えない。それは、あたしとアイエラだけの秘密」
  シュバイツァー
  「知ってるわ。ヨラルーの村でシュバイツァーをしている男の人。本当の名前はラフキンっていうのよ」
  連合
  「ひとつの部族だけではミルミデックスにはかなわないわ。連合を組む必要があるの。そのことは、サーリーもアイエラもわかってる。でも、あたしたちには酋長を説得することができないの」
  「昔、すべての部族を連合させたという戦士の伝説があるの。オロロの物語、聞いたことある?」
  →はい
  「そう。今ここに、オロロがいてくれさえすれば、ミルミデックスを退治することができるのに」
  →いいえ
  「むかしむかし、ジャングルの大トカゲの数が増えて、とても狂暴になったのよ。どの部族も、危機に見舞われたの。人間がみんな大トカゲに食べられて全滅してしまうかもしれないという、大変なことになったの。そんな状況になっても、誰も部族同士の戦いを止めて、大トカゲを退治するために力を合わせようとは考えなかった。だから、優秀な戦士たちが、前にも増して、どんどん死んでいったのよ。そんなとき、さすらいの戦士オロロと呼ばれる男が現われたの。その人、ヨラルー族の出身だと、サーリーは思ってる。オロロは、すべての部族を渡り歩いて、すべての酋長から出された厳しい要求を果たしていったの。みんながみんな敵同士のすべての部族を連合させるための唯一の方法が、酋長たちの要求を果たすことだったのよ。だから、オロロは要求に答えたの。すべての要求が果たされたとき、オロロはすべての酋長に、こう言ったのよ。ジャングルの奥にまで響く世界で一番大きな太鼓の音が聞こえたら、音のする方へ集まれ。そして、大トカゲどもを退治するんだって。みんなにそう告げてから、オロロはナフアトラの石の村の北西の小さな丘の上に、大きな太鼓を作ったの。その丘は、今でも太鼓の丘と呼ばれているわ。オロロは、すべての部族の酋長とすべての戦士が集まるまで、太鼓を叩き続けた。まだ、部族間には敵対する感情が残っていたけど、みんなは同じ人間として力を合わせて、大トカゲを全滅させたのよ。サーリー、新しいオロロが来て、また同じことをしてくれると信じてるの。どの部族の人も、オロロの話は知ってるから、偉大な戦士が現われて、すべての部族の酋長の要求を果たして、オロロの太鼓を作れば、きっとみんな集まってくれる。でも、どこの酋長も、サーリーの話に耳を貸してくれない。サーリーもオロロと同じことをやろうとしたんだけど。酋長たちは聞く耳を持ってくれないから、何もできないでいるのよ」
  オロロ
  「昔、すべての部族を連合させたという戦士の伝説があるの。オロロの物語、聞いたことある?」
  (上と同じ)
  太鼓
  「ナフアトラ人の石の村の北西に、太鼓の丘があるわ。とても小さな丘よ」
  ナフアトラ
  「ナフアトラ人は、なんでも石で作る人たち。ヨラルーの村の南西に、ナフアトラ人の石でできた村があるわ」
  仲間
  「ダメ。やらなきゃならないことが、いっぱいあるの」
  さらば
  「アバタールに精霊の加護を」
  その他
  彼女は首を横に振った。理解できないようだ。
  
  
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