
化け物のように太った女性だ。酒に酔って、そうとうご機嫌になっている。
  (初回)
  「ヒュー! ハンサムちゃん!ずっと、ここにいてくれるんでしょ」彼女は手に持った酒のドンブリの向うで、おどけた顔を覗かせた。「ディスキキでは、強くて立派な男の人を大勢、募集中でーす」
  
  (二度目以降)
  「ヒック! あーら、いらっしゃい。プルキで駆けつけ三ばーい!」
  名前
  彼女は自分を指差して言った。「グオブラム」
  グオブラム
  「はぁい?あたしに何の用かしら?」
  仕事
  彼女はしばらく考えると、やがて顔を輝かせて言った。「プルキを飲むことかしら。それからぁ、ダンスも踊ったりぃ。グオブラムは酋長の娘なのよ。もうすぐ、ジミー・マローンと結婚するの」
  部族
  「グオブラムはディスキキ族の女よ。ディスキキって、サイコーにハッピーな部族なのよ」彼女はニコッと笑って、ドンブリから酒をすすった。
  「ディスキキの酋長の名前はチャフブラム。祈とう師はラリフィン。レレイはあたしの親友よ。ツマッシュは太鼓職人。あ、いけない、ツマッシュはもういなかったんだわ」
  <レレイ>:別の人間が口を挟んだ。「親友ですって! レレイ、グオブラムなんて大っっっ嫌い!」
  「今のがレレイ。もち、冗談に決まってんじゃーん」
  ジミー
  「ジミー・マローン?グオブラム、知ってる。ジミーはもうすぐグオブラムと結婚するの。この宴会が終わったらすぐにね」
  <ジミー>:ジミーが耳元で言った。「ありがたいことに、この村では、宴会は永遠に終わらないんだ」
  グオブラムは不気味に笑った。「聞こえちゃったわよ〜ん。あたしのジミーちゃん。グオブラムの準備ができたら、この宴会は一時中断されることになってるのよ」
  レレイ
  「レレイはあたしのお友だち。でも、かわいそうなのよ。枯れ木みたいにカリカリに痩せてて、トカゲみたいに超ブスなんだから」
  <レレイ>「まあ、グオブラム。トカゲがびっくりして逃げ出すのは、どっちの顔かしらネ!」
  「今のがレレイよ。自分の醜さに負けまいとして、明かるく振舞っているのよ。エライわぁ」
  プルキ
  「プルキ!」彼女は一口どうかと、ドンブリをキミに差し出した。「プルキは、すごくすごくすっごく、いい飲み物よ」
  それは、何日も夏の陽に当てたセロリのような臭いがする。飲んでみるか?
  →はい
  そのあまりの味に、キミの体はガタガタと震えだした。血管が干上がり、喉が焼け、耳鳴りが響きまくり、目からは涙が溢れ出した。
  そしてそれは、何日も陽に当ててダメにしてしまったセロリのような味がした。
  グオブラムはやさしく微笑んだ。「どお? 意外とマイルドでしょ。もっと欲しかったら、あたしのお父ちゃんに頼んでね」
  →いいえ
  彼女は天を仰いで失望のポーズをとった。「グオブラム、悲しーい。もう、何もあげないんだからぁ」彼女はまぶたをパチパチと瞬かせた。その顔は、まるでマンガだ。
  酋長
  「グオブラムのお父ちゃんはチャフブラム。世界で一番頭のいい人。ディスキキの酋長なんだから。それに、世界で一番おいしいプルキ作ってくれるの」
  ツマッシュ
  「ツマッシュのことは憶えているわ。いえ、忘れちゃったわ。いーえ、やっぱり憶えているわ。ヒック! ツマッシュはディスキキ出身の太った戦士。村中のプルキ飲んでも、絶対に酔わないくらい酒には強かったわ。太鼓を作ったり、太鼓のバチで村の人を叩きまくったりしていたわ。不思議なことに、彼が人を叩くと、”ボコッ”ていう音がするの。ツマッシュは村を追放されちゃったの。東のほうの丘の上に住んでるって」
  ラリフィン
  「ラリフィンはディスキキの祈とう師。ハゲおやじよ。絶対に結婚したくないタイプね」彼女は、キミにまぶたをパチクリと瞬かせた。
  <ジミー>:「ボス、特別な関係のお友だちができちゃったみたいですね……」
  「やーだぁ!ただジミーを妬かせたかっただけよ。ジミー・マローンのイ・ケ・ズ」
  ミルミデックス
  「ミルミデックス。憶えてるわ。遠いところからやって来た気持ち悪い生き物よ。プルキも飲まないし、ダンスもしないんだから。グオブラム、きらーい」
  さらば
  彼女は、キミが立ち去るのも気付いていないようだ。
  その他
  「グオブラム、わかーんない」
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