Ultima Martian Dreams
プレイ感想


長いことかかりましたが、Ultima Martian Dreamsも、こうしてエンディングを迎えることができました。
ゲーム・マニュアルは全て英語で、もちろん攻略情報等も日本語のものは存在しなかったので苦労させられましたが、知られざるウルティマの物語を解き明かし たということで満足です。
ゲーム内容は一般的なRPGと非常にかけ離れており、ほぼ会話と探索が主体のゲームでした。
あえてジャンル分けするのであれば、RPG的要素のあるアドベンチャーゲームといったところでしょうか。


システム

前作のSavage Empire同様にウルティマ6のエンジンを使っているため、システムや操作方法等は同じなのですが、なぜか動作が非常に重かったです。
オブジェクトを限界まで配置したせいなのか分かりませんが、プレイに支障をきたすレベルでした。




また、元々ウルティマは戦闘要素の薄いゲームでしたが、本作ではそれが一層顕著でした。
戦闘をする意義がかなり薄いし、戦闘自体もかなり少なく、敵に苦戦することもほとんどありません。
せっかく19世紀末という珍しいシチュエーションでの冒険なので、もったいないと思うところです。



相変わらずオブジェクトの数は膨大で、火星の不思議なアイテムや19世紀のレトロな武器なども数多く配置されているのですが、上記の通り戦闘をする必要性 が少ないため、アイテムを探し集める楽しみも薄かったです。

しかしながら、削岩機やトロッコ、運河の船など、ウルティマ6のエンジンでこういった表現もできるのかと感心した部分も多かったです。



酸素石や夜間の冷気、ラジウムによる被爆など無駄に細かい部分も、科学が前面に押し出された世界観を作る上で大事な要素でした。




ストーリー

本編ではファンタジー世界を基本とするウルティマですが、今回はかなり特殊なシナリオでした。
一見して支離滅裂な世界設定に見えますが、ジュール・ヴェルヌの小説『月世界旅行』と、パーシヴァル・ローウェルが実際に火星文明の存在を提唱したという エピソードを組み合わせた、ある種の歴史パロディとなっています。




それに加えて、世界史で習うような超有名人達が数多く登場するので、彼らがシナリオにどう絡んでいくのかというのが楽しみで、会話が主体のゲームを飽きさ せない大きな要因となっていました。

 

日本語化されなかったのは、やっぱり日本では馴染みが薄い人物が多いからでしょうか。
私も半数近くの人物は、このゲームをやるまで全く知りませんでした。


しかし、登場人物が実在の偉人だからか、Savage Empireのようにハチャメチャなセリフは少なく、突飛なシチュエーションの割にシナリオは淡々と進んでいく感じでした。
この辺は、プレイ記録を書く上でもやりづらかったところです。
実在人物の中でパーティーに加わったのがネリー・ブライだけだったのも、少々残念でした。



せっかくあれだけ登場させたのだから、他のウルティマシリーズのように仲間キャラをもっと増やしてくれてもよかったのに。

またシナリオの進行でも、アイテムの使い方の謎を解いたり、会話からヒントを導き出したりと地味な展開が多く、お使い的なイベントも多かったので、プレイ している時は結構うんざりしました。
イベントのためのイベントと言うか、無理矢理歩き回らされている感がありましたね…。


肝心のストーリーは、前作Savage Empireと同じく映画的で、とても起伏に富んでいて面白かったです。
タイムトラベルや宇宙砲といったSF要素、事前に上陸した偉人達が好き勝手に暮らしているというシチュエーション、火星人の生態や文明・社会について、そ して夢の世界でのシュールな描写などなど、どれも非日常的でかつ魅力に溢れていました。

 

普通に活字で読んでもイメージが沸かないような突拍子もない設定を、ウルティマのシステムを使って上手く演出していたと思います。
最後には皆で協力して巨悪を倒し、ついでに美女も救って危機一髪で脱出…という王道パターンにきっちり収めている点も、さすがだなと感じました。


また、完全に本編ウルティマとは無関係なストーリーではあったのですが、最後にアバタールが己の夢の中でシャドウロードと対話するシーンが印象に残りまし たね。
ここだけはウルティマ5を知らないと何のことか意味不明だと思いますが、なかなか味わい深いエピソードでした。



あのシャドウロードと会話ができるのはMartian Dreamsだけ!



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