Ultima7 マニュアル
FELLOWSHIP

Ultima VII:The Black Gate
The Book of  FELLOWSHIP as written by Batlin of Britain
(フェローシップ読本 ブリテインのバトリン著)


1 旅のみなさまへ

長旅のみなさま、お友達のみなさま、おはようございます。

これを読まれているとき、そこが夜でも昼間でも、おはようございますと言わせてください。
なぜなら、今こそ、新しい時代の夜明けだからです。
夜明け、それは、すべてのものが明るく照らし出されるとき。
長く暗い夜に終わりを告げ、新しい1日が始まるときです。
これから私がお話することで、あなたに夜明けが来ますように。
せめて、お目覚めのきっかけになりますように、お祈りいたしております。

どうか、あなたを「旅のみなさま」と呼ばせてください。
たとえあなたが、一度も旅をされたことがなくとも、これからする予定がなくとも、構いません。
なぜなら、私たち全員が旅人だからです。
私たちは、だれもが心の旅人なのです。
思うような幸せな人生を送っている人も、仕事に失敗し挫折した人も、みな、何かを求めて心の道を歩いているのです。

ここで、旅のお方のみなさまに自己紹介をさせてください。
私は、バトリンと申します。
私もみなさまと同じく、生まれてこのかた、ずっと心の旅を続けてまいりました。
長い道のりでしたが、しかし、努力の結果として頂いた褒美は、計り知れないものがありました。
そして私は思いました。
この宝を、ぜひ、みなさまと分かち合いたい。
それが私の願いです。


2 バトリン物語 パート1

この本で旅のみなさまにお話したいことは山ほどあります。
まずは、私自身のことについてお話させてください。
私のことなど、語るに足りぬことですので、できるだけ手短に済まそうと思います。
とりあえずは、私のつまらない生い立ちにお付き合い願い、その後で、重要なお知らせをいたしましょう。

私はユーの森で生まれ、ドルイドとしての教育を受け、正義の町に育ちました。
私は常日頃から、他人に対して公正であれと教えられてきました。
その精神が、今にいたるまで私の根幹になっています。
そのため、美しい木を、鳥を、月を愛で暮らすことを喜びとしていた私ですが、人様のお役に立つ道を志したのです。
それにより、私は多くの富を手に入れたのです。

ちょうどそのころです。
ロード・ブリティッシュへの不満をつのらせた地方の領主たちが戦争を始めました。
私はこれに対してなすすべがなく、ジェロームへ渡り戦士になりました。
戦いで人を傷つけたことは後悔しています。
しかし、この世界に再び平和を取り戻すためには仕方のないことでした。
この戦いを通して、私は身を守る術と、生き残るための勇気を学びました。
そして、戦いを糧に生きる人々の武勇に大いなる尊敬を寄せるようになりました。
戦争が終わってみると、私は無一文。
ブリテインの都で、一人の失業者になっていました。

そこで、私は吟遊詩人になりました。
なぜなら、ブルーボア酒場で吟遊詩人を募集していたからです。
本物の吟遊詩人は近くにおらず、私は持ち前の声の大きさで採用となりました。
プロの歌い手になるなどとは思ってもみませんでしたが、背に腹は変えられません。
案の定、私の歌はからっきしダメで、マンドリンの弦は音を奏でるより切れることのほうが多く、客からは野次を浴びて酒ビンを投げつけられる始末。
しかし、それでも次第にうまくなるものです。
何年か続けるうちに、私は吟遊詩人が歌う英雄物語の中に、深い慈悲の心を感じられるようになりました。
私は観客との間に心の共鳴を起こすことができるようになり、人々は私の歌に感動を覚えるようになりました。
そのころ私が作ったバラードは、今でも歌われています(もっとも、あの業界の慣わしとして、今歌っている人が、この歌は自分の作品だと主張するでしょう が)。

ブリテインで暮らしていたころ、私は決して忘れることのできない2人と出会いました。
エリザベスとエイブラハムという双子の姉弟です。
彼らは哲学を専攻する学生であり、私たちは、よく討論をしたものです。
ときには興奮して、声を荒げたこともありました。

しかし、旅のみなさま、そんなことがあっても、私たちの友情は急速に深まっていきました。
彼らとの間にはいろいろなことがあり、彼らの個人的な考え、生活はじつにユニークで興味のあるところですが、他人様のことを面白半分に書きたてるのは本書 の趣旨ではありません。
彼らは、私にとって非常に大切な友であり、協力者であったとだけ言っておきましょう。

ムーングロウからやってきた魔道師が私の歌を聞き、ぜひ私を助手として雇いたいと申し出てくれました。
以前から魔法には興味があったので、私はさっそく彼の門下生になりました。
先生の教えは、決して忘れることがないでしょう。
それは、目に見える世界で、正気を保ちながらうまく生きていくには、自分に正直であることが大切であり、自然の法則から外れたところで生きていくために は、何よりもまず誠実であることだという考えです。
先生は私にとてもよくしてくれました。
そのため、大変にご高齢であられた先生がこの世を去り、魔法の勉強を打ち切らざるを得なかったときの悲しみは、大きなものでした。

先生が亡くなり、私が悲しみに暮れてブルーボアで酒を飲んでいたときです。
私はエリザベスとエイブラハムと語り合い、自分たちには、何かひとつの人生の目標が必要だという結論に達しました。
そして、若気の至りでしょうか、私たちは、それから10年の間に、互いに異なる方向へ旅に出て、世界を回り、自分自身を発見するという約束を立てたので す。
その日からきっかり10年後のその日に、再びブルーボアで再開することを決めました。
別れは辛いものでしたが、新しい旅立ちに心ははずみました。
そうして、私の人生は新しい章を迎えるのです。



3 老人と盗賊

ブリテインを少し出たところで、私は1人の老人に出会いました。
かなりの高齢に見えましたが、鋭い英知の持ち主でした。
私たちはしばらく同じ方向へ旅を共にすることとなり、道すがら、まずは老人が彼の身の上を話してくれました。
それは、こんな内容でした。

ある日、森を歩いていると、彼は凶悪な盗賊団に誘拐されてしまいました。
彼は甥の家族を出てきたばかりで、ほかに身よりがありません。
困ったことに、彼の身代金を払ってくれる人は、ほかにはいなかったのです。
金にならないことを知ると、足がつくことを恐れて、彼らは老人を始末しようとしました。

盗賊の1人は、老人に首を吊らせようと主張しました。
別の1人はナイフで腹を刺そうと言いました。
また、別の1人は杭に縛り付けて火あぶりにしようと言い、さらに別の1人は、石を抱かせて縛り上げ、川に落とそうと言いました。
やがて彼らは殺害方法を巡って言い争いになり、仲間割れをして血みどろの喧嘩になりました。

彼らが喧嘩に夢中になっている間に、老人は逃げ出すことができました。
彼らは、老人がいなくなったことに気づいた後も、喧嘩を続けたのです。
今度は、老人を取り逃がした責任を巡る喧嘩です。
彼らは互いに殺し合いとなり、最後の1人が死ぬまで喧嘩をやめませんでした。

老人は、その後すぐに甥の家族と再会し、喜びを分かち合いました。
このことから老人は、ひとつの教訓を学びました。
協力こそ生き残るための力だと。
愚かな盗賊どもとは違い、老人にはまだ余生を有意義に過ごしたいという希望があったのです。



4 バトリン物語 パート2

私はやがて、トリンシックの町に着きました。
そこで私は、武装した戦士の一団と出会い、感銘を受けました。
戦争経験のある私は、戦場で数多くの勇敢な人たちと出会ってきましたが、私が戦士に抱いていた印象は、荒くれ者でした。
しかし、彼らは普通の戦士ではありませんでした。
パラディンだったのです。
パラディンとは、剣術と馬術に長け、教養と完璧なマナーを身につけた紳士なのです。
そしてなにより、彼らは名誉の徳を信奉しています。
私は、彼らの強い誘いにこたえ、彼らの一員に加わったのです。
それからの数年間、私はパラディンとして、彼らと共に全国を渡り歩き、悪を正し、弱者を救済するという、興奮に満ちた日々を過ごしたのです。

しかし、ある冒険を行っていた最中、私は負傷し、ひとりでミノックの町に戻るよう命令されました。
ミノックの治癒師に診てもらったところ、ある特別な治療をしないと死ぬと言われました。
そのためには、法外な料金を支払わなければなりませんでした。
請求されたうえに、ある特別な薬がなければ、私は助からないと言われました。
怒った私は、治療を断りました。
しかし、死ぬことはなく、怪我は回復し、ひとつの教訓を得ました。
医療は信頼関係であると。
病に苦しむ人で儲けようなどと考える強欲な治癒師との間には、信頼関係は築けません。

ちょうどそのころ、ミノックには金属加工職人が1人不足しているという話を聞きました。
たまたま私は、自分で道具を発明したり、作ったり修理したりしていたのです。
そのとき私は、ミノックという町が、いかに職人に依存しているか、そして、いかにすべての住民が、互いに互いの問題を解決しようと親身になって骨を折って いるかを、初めて感じました。
私もそんな仲間に加わりたいと願い、彼らは快く受け入れてくれました。
そして私は、数年をここで過ごしたのです。

やがて私は、またしてもアウトドアーへの恋心を募らせ、今度は、スピリットウッドの森のレンジャーに加わることにしました。
レンジャーは魂を尊ぶ人たちです。
彼らと過ごすうちに、私はユーの森でドルイドとして育てられた子供時代を思い出しました。
しかし、レンジャーとドルイドとの間には、ひとつだけ大きな相違点がありました。
レンジャーは、私がそれまで味わったことのない最上のワインを飲んでいたのです。
そのワインは、スカラブレイのワイナリーで作られたものでした。
スカラブレイの島を襲った大火事で幸いにも焼け残った由緒ある施設です。
後に、スカラブレイの廃墟を巡礼で訪れた際に、私はある霊的体験をしました。
それは非常に重大な意味を持つものだったため、私だけの心の中にとどめておこうと決意したのです。

レンジャーを脱退した私は、それから数ヵ月間、一切の持ち物を捨て、あてもなくさ迷いました。
そうするうちにたどり着いたのが、ニュー・マジンシアでした。
私はそこで、羊飼いとして暮らすことにしました。
ニュー・マジンシアでの2年間は、完璧なまでに質素で、謙虚な、完全に隔絶された人生でした。
その体験は、私を大きく変えました。
やがて、ついに約束の10年目が間近に迫り、ブリテインへの帰途についたのです。



5 2人の兄弟と詐欺師

ブリテインへ戻る途中、私は、2人の兄弟が経営する小さな鉱山を見つけました。
最初は私に警戒していた2人でしたが、次第に打ち解け、彼らの身の上話をしてくれました。
それは、こんな内容でした。

彼らの父親は、まだ誰も所有していない土地の地図を残して亡くなりました。
地図には、豊富な鉱物資源が埋蔵されている場所が記されています。
法律では、土地の所有権を主張するときは、1人の名前でなければなりません。
そのため、どちらの名前で登録するかで、兄弟はもめました。
兄は年上だからと主張しましたが、弟は譲りません。
互いに不信がつのり、抜け駆けをして自分の名前で届を出してしてしまわないよう、監視し合ったのです。
当然、その間は仕事になりません。

ある日、鉱山技師だと名乗る見知らぬ人が訪ねてきました。
兄弟は、大変に警戒しましたが、彼の話を聞くと、自分たちの資産がいかにちっぽけなものかを思い知らされたのです。
技師と名乗った彼は、もっとずっと大きな規模な権利の登録に向かう途中だと言うのです。
この人と手を組めば、もっと大きな富を手に入れられるかもしれない。
彼らはそう思い、男を疑う気持ちは、欲に打ち負かされてしまいました。

兄弟は、その男に登録を依頼し、仕事に戻りました。何ヶ月間も休まず、せっせと鉱物を掘り出したのです。
掘り出した鉱物を売るために町へ出た彼らは、確認のために権利書を調べたところ、なんとあの男の名前で登録されていて、しかも、男はその直後に権利を転売 して姿を消したとのこと。
兄弟は、他人の鉱山から勝手に鉱物を掘り出したという罪で、数年間の懲役刑を言い渡されてしまいました。

兄弟は、大変な授業料を払って、ひとつの教訓を得たのです。
己の兄弟を信じられない者は弱い。
兄弟を信じるべしと。
この話を聞いたあと、私はちょっと気になって、町で彼らが手に入れた新しい鉱山の権利書を見てみました。
いったい、どちらの名前で登録されているのかを知りたかったのです。
そして、私はびっくりしました。
なんと、所有者は、彼らの父親の名前になっていたからです。



6 フェローシップの設立

ブルーボアで、エリザベスとエイブラハムの変わらず元気な姿に再会して、私たちは大いに喜び合いました。
あんなに嬉しかったとは、初めてです。
彼らの体験談も、じつに驚くべきものでした。
しかし、前にも言いましたとおり、それは彼らのプライバシーに関わる問題なので、ここではお話しできません。

私たちがその10年間に体験したことは、かならずしも楽しいことばかりではありませんでした。
残念なことに、私たちが学んだのは、ブリタニアには、誰かの助けになろうとするより、誰かに助けてほしいと思っている人のほうが多いという事実です。
どこへ行っても、無償で何かをしてもらうことを期待する人がいました。
彼らはまるで、この世界に大きな貸しがあるかのような態度でいるのです。
そして、私たちが出会ったほとんどの人たちは、基本的に不幸だったのです。
ほとんどすべての人が、己の生活に何かが欠けていると感じていて、その何かを手に入れる望みを持たないまま生きているのです。

私たちはこの旅で、ブリタニアの歴史についても大いに学びました。
昔の人たちの人生は、今よりも短くはかないものでしたが、今よりも生き生きと輝いていました。
そんな、かつてのブリタニアの輝ける日々を取り戻すことはできないものかと、私たちは話し合いました。
そして、ある団体を作ることにしました。
それが、フェローシップです。
このときすでに、私は、この団体の哲学を心に描いていました。
しかし、その話はあとの章に譲りましょう。

フェローシップをロード・ブリティッシュに認定してもらおうと言い出したのは、エイブラハムでした。
その大役は、私が引き受けることになりました。
それがどんな大事になろうか、ほとんど知らないまま……。



7 ロード・ブリティッシュの承認

聡明なる王、ロード・ブリティッシュの玉座の前で待つ私の心臓は高鳴りました。
そこには多くの家臣たちが列を作り、陛下との謁見を待っていました。
何時間も待って、やっと名前を呼ばれたのですが、心の準備はなかなかできません。
ついに、ロード・ブリティッシュの刺すような視線が私に注がれました。

私は、提案がありますと、切り出しました。
友人といっしょに、フェローシップという哲学団体を設立したと申し上げたのです。
すると陛下は、その団体で利益を得るのは誰かと聞かれました。
私は、誰も利益は得ないと答えました。
非営利団体だからです。
陛下の一声で、私は退室させられました。
玉座の間を後にする私は、陛下に拒絶されたという敗北感を味わっていました。

私の沈んだ顔を見て、エリザベスもエイブラハムも、結果が想像できたようです。
私たちは、いろいろ話し合いました。
その中で、エリザベスが、ロード・ブリティッシュに貢物をしなければいけないのではないかと言い出したのです。
私たちの願いを聞いてもらうには、相応の贈り物をして印象づける必要があるのではないかと言うのです。
そこで、私たちは持てるものすべてを売り払って数千ゴールドの金貨を集めることができました。
そして、今度こそと、私は城へ向かったのです。

今回は、金貨を運ぶ数名の女性といっしょです。
謁見の列に並び、いよいよ順番が回ってきたとき、私は、2回目の慣れもあったせいか、胸を張って国王に話すことができました。
私たちのフェローシップのことをお話ししたい。
しかし、その前に、これをお受け取りください、と私は伝えたのです。
驚いたことに、国王は、側近の人が机の上に広げた重要そうな書類に目を通し、サインをすると、私と目も合わさず、私の付き添いに金貨の箱を下げるよう命 じ、ついでに私も連れて帰るように命じたのです。

私は腹を立て、玉座の間を後にしました。
またしても失敗です。
私の顔を見るなり、友人たちも落胆しました。
夢は破れ、実現の見込みはなくなりました。
そして私は、すっかり気落ちして、憂鬱な日々を送るようになりました。
ある朝、あまりに落ち込んでいたために、私の近くに1人の物乞いが近づいてきたのも気がつきませんでした。
話しかけてきたとき、ようやく私は彼の存在を知りました。
彼はこう言ったのです。
「コイン1枚でけっこう。たくさん頂く理由がありませんから」

私は雷に打たれたような気がしました。
私は、箱いっぱいの金貨を彼に与えました。
たぶん彼は、私が正気を失ったと思ったことでしょう。
私は全速力で城に向かいました。

陛下はすぐには会ってはくれませんでした。
そこで、私のほうから陛下を探し、無理やり謁見を求めたのです。
陛下は私を見つめました。
しかし、その目つきは以前とは違っていました。
陛下は私の話を聞いてくれました。
「フェローシップは、魂を求める人たちのための団体です。人と人のつながりがバラバラになった現代社会に、協力しあう心を取り戻すための団体です。私たち は、信頼という精神を重んじ、全ブリタニア国民同士が理解し合える社会を目指しています。陛下のご承認がいただけたなら、私たちは人々に、個人的な利益で はなく、本当の価値あるものを探し求める心を、押し広めていけると信じています。お願いします。フェローシップを公認してください」

長い沈黙があり、ロード・ブリティッシュは私にこう聞かれました。
「バトリン、そなたは頑張り通す根性を持っている。フェローシップが余に何を求めておるのかは知らぬ。フェローシップが余に何をしてくれるのかも、余には 興味のないこと。だが、そなたのフェローシップが、我が国民全体の利益を求めるものであるかぎり、余は惜しみない援助を贈ろう」

かくして、フェローシップは公式に誕生したのです。



8 徳の価値と、価値の徳

フェローシップの理念を作る上で、私は、ありふれた格言を混ぜ合わせたり、こねくりまわすようなことは、一切考えませんでした。
アバタールの8つの徳に置き換わる新しい価値観を提唱しようなどと大それたことも、一切考えませんでした。
もしそのようなことをすれば、たとえどんなに優れた理念であったとしても、世間の猛反対を受けることでしょう。
ここではっきり宣言しておきましょう。
フェローシップは、アバタールの8つの徳を完全に支持します。
そして、それらの徳の道を歩もうと努力するひとりの人間として言いたいことは、8つの徳を信じることが、計り知れない人生の価値を生み出すということで す。

しかしながら同時に、8つの徳の道を歩く者として思うことは、完璧に徳を極め、その状態を保ちながら生活するのは不可能だということです。
あのアバタールでさえ、できないことです。
人生のあらゆる状況のあらゆる瞬間に完全な誠実さを保てる人は、いるでしょうか?

どんなときでも、慈悲深く、勇敢で、公正で、献身的で、誉高く、謙虚で、内なる魂を信じる人など、この世に存在するでしょうか?

8つの徳の考えは、つまりは、私たちに欠けているものを強調するに過ぎません。
私は数多くの徳の信奉者に会ってきましたが、彼らはみな、精神的失敗に対する罪の意識に悩まされていました。
徳とは、そういうものなのです。
私たちの心の弱さを示してくれるものなのです。
そこで、心を強くする道を探ろうではないかと、私は考えました。
フェローシップの理念は、私たちの人生から、そうした過ちを一掃することから生まれました。
フェローシップの理念は、成功を目指すものです。
そして、成功の可能性を大きく広げるものなのです。
フェローシップの理念は、私の実体験に基づいて導き出された3つの価値によって構成されています。
これを私たちは、「3つの内なる力」と呼んでいます。



9 3つの内なる力

3つの内なる力は、厳格な精神的鍛錬から生まれます。
この価値を体得するには、相応の集中的な修行が必要ですが、それを成し遂げたあとは、あなたの人生観はガラリと変わることでしょう。
もう、前と同じように世界を見ることはできなくなります。

3つの内なる力の第1の価値は、「協力に努めよ」というものです。
これは、他人と協力し合い、互いの利益のためにひとつの目標を達成することから得られます。
協力することがいかに大切であるかは、「老人と盗賊」の寓話でもお話ししました。
協力し合わないということは、つまりは、敵対するということなのです。

3つの内なる力の第2の価値は、「兄弟を信頼せよ」というものです。
これは、他人を無条件で信頼し、疑念や非難を抱かないことから得られます。
疑念は自らの可能性の制限につながります。
「2人の兄弟と詐欺師」の寓話で見ていただいたとおり、信頼を失った人間関係のいかに脆いことか。
信頼のないところでは、私たちは目標達成のチャンスも、自分で制限してしまうことになります。

3つの内なる力の第3の価値は、「報酬は後から来る」というものです。
これは、個人の利益ではなく、全体で物事を達成したことに最大の価値を見出すことから得られます。
「ロード・ブリティッシュの承認」の寓話からもわかるとおり、私たちは無償の報酬を期待してはいけません。
報酬だけを追い求めたならば、結果的には何も得られません。



10 フェローシップの理念

フェローシップの理念は、学術的な言い方をすると(これは私が考えた言葉ではありませんが)、「希望的認知」となります。
つまり、「楽しく知り合うこと」をもったいつけて言っただけのことです。
私は、こっちのほうが、フェローシップの理念を正確に言い得ていると思っています。

自信と希望をもって臨むことで、人は自らの好機を切り開いていくのです。
そうすることで、人生全般において好機に恵まれる。
私は固くそう信じています。
旅のみなさまも、どうか、私を信じてください。

自信を失った者は、正しく世界を認識することができなくなり、結果として好機を取り逃がしてしまいます。
現代のほとんどの人が、この悲しい"病気"に冒され、その氷の呪縛から逃げ出せずにいます。

この病に冒された人々は、己の考えを、まやかしの認識によって曲解するようになり、自らの信条を捻じ曲げていくのです。
やがて、情緒的葛藤が増し、やること成すことがうまくいかなくなります。
彼らは、そんな自分自身を恐れるようになり、何をやっても失敗するという観念を抱くようになります。
やがては、その予言はことごとく的中していくのです。

こうした人々は、自覚のあるなしに関わらず、この世の中がそんなねじくれているわけでも、失敗が確定しているわけでもないことを認識する努力が必要です。
考え全般に、己の人生にしっかりと固定された自信が必要です。
こうした人々は、「己の中の最高の部分」を発見し、己の基本的な存在価値を認識することが大切です。
簡単なことではありません。
己自身を見つめることが必要であり、これは大変な情緒的苦痛を伴うものです。
しかし、フェローシップでは、こう言っています。
「癒されるためには苦痛を経験しなければならない」と。
ひとたび、真実の己を認識できたなら、あとは、内なる理性の声に従って歩けばよいのです。
理性は、あなたを正しく導き、失敗を遠ざけてくれます。

もっとも受け入れ難いのは、いかにして他人に依存するかということです。
とかく私たちは、断られることを、それが現実であれ憶測であれ、裏の動機を、そして、裏切られることを恐れがちです。
この世界に生きていくからには、他人との依存関係は避けられない必須事項です。
しかし、それには火の上を歩く勇気がいることでもあります。

このような心の病から己を解放し、自己認識を実現するためには、全身全霊をかけて、目標に到達することが必要です。
私たちフェローシップは、そのための集まりです。
さあ、あなたも私たちといっしょに旅をしましょう。
共に手を取り合い、共通のゴールを目指そうではありませんか。








A Reinterpretation of the HISTORY OF BRITANNIA
Being in part a collection of historical facts with a modern interpretation thereof supplied
by the author、Batlin of Britain
(新解ブリタニアの歴史 )



これは、私、バトリンの歴史研究の結果として見なおした、新解釈によるブリタニアの歴史観です。



1 古代ソーサリア

ブリタニア王国が設立される以前、この世界はソーサリアと呼ばれていました。
ソーサリアは封建的な小国の集まりで、小競り合いの絶える間がなく、住民は苦しめられていたのです。

その当時、ブリタニアという市国を当地していた聡明なる領主ロード・ブリティッシュは、ソーサリアの国々と人々を統一しようと奮闘していました。


2 暗黒時代

暗黒時代とは、読んで字のごとく、暗黒の恐怖が世界を闊歩していた時代でした。
また、人々は心の光を失い、精神的向上がもっとも軽んじられた時代でもありました。



3 “第一暗黒期”と呼ばれた時代の物語

第一暗黒期は、モンデインという魔法使いの台頭によって始まりました。
モンデインは、不死身の秘術の伝授を父に断られたことから口論になり、父を殺害。
その罪の意識と迫害の恐怖心から、彼はソーサリアのすべての国々を暗黒の魔力で叩き潰そうとしたのでした。

窮地に立たされたロード・ブリティッシュは、領土を守るために1人の英雄を呼び出しました。
このとき、ロード・ブリティッシュの要請にこたえて現われたのが、後にアバタールとして知られるようになる人物です。
そして、アバタールの活躍により、モンデインの力の源であったジェムは粉砕され、モンデインは哀れな最期を遂げたのでした。


4 “魔女の逆襲”と呼ばれた物語

アバタールの勝利はつかの間でした。
モンデインを殺され、怒りに燃えたミナクスが逆襲を開始したからです。
モンデインの若き弟子であり愛人であったミナクスは、魔法の力はモンデイン以上と言われていました。
彼女は暗黒の生き物を操る術に長け、愛人の仇を打とうと怒り狂うその魔力に、多く人々が悲劇を味わったのです。

このとき、後にアバタールとして知られるあの英雄が戻ってきました。
アバタールがムーンゲートをはじめて使ったのも、このときでした。
アバタールはミナクスの手下どもを次々に退治し、最後にはミナクス本人をも倒すことに成功しました。

このころのアバタールの暴力的な振る舞いについて、アバタールがモンデインとミナクスの関係に嫉妬したためだとする説が浮上しましたが、確たる証拠はな く、人々の非難を浴びることになりました。
今ではこの説は、まったく影を潜めています。



5 “エクソダス”と呼ばれた物語

ソーサリアの誰1人として、アバタール自身ですら、モンデインとミナクスの間に子供がいたこと、そしてその子供をアバタールが孤児にしてしまったことな ど、知るよしもありませんでした。
その子の名前はエクソダスと言いました。
それは、人間でも機械でもない怪物でした。
エクソダスはグレートオーシャンの海底から姿を現わすと、ソーサリア全土に対して、復讐の攻撃を開始したのです。

エクソダスが放つ怪物軍団は非常に強力で、今度ばかりは英雄アバタールも単独ではかなわず、タイムロードと呼ばれる神秘の存在に力を借りることになりまし た。
そして、アバタールはエクソダスを破壊し、父母の待つあの世へと送りつけたのでした。

この事件以来、エクソダスのような存在を殺してしまうのではなく、人の役に立つよう善の力で改心させることができたなら、人類に多大な利益をもたらしたで あろうとする意見が根強くありますが、私は個人的に反対です。
あのときアバタールは、ああする他に道はなかったと、私は確信しています。



6 ブリタニアの建国

エクソダスが退治されたあと、長い暗黒時代の恐怖に耐えて生き抜いてきたソーサリアの人々は、より安全な生活を求め、有能なる君主ロード・ブリティッシュ のもとに、集まるようになりました。
かくして、ブリタニア王国が誕生したのです。

聡明なるロード・ブリティッシュの統治のもと、ブリタニアは繁栄しました。
かつての主要な8つの市国は、それぞれがブリタニアの主要都市として発展し、教育機関の充実とともに、文化と文明のルネッサンスが花開き、芸術と科学が飛 躍的な発展を遂げたのでした。



7 “アバタールへの道”と呼ばれた物語

ロード・ブリティッシュが、精神的向上と徳の道を先導する人物を求めたとき、ブリタニアは最大の成長と繁栄を遂げます。
この呼びかけにこたえたのが、かの英雄、後にアバタールとなる人物でした。

彼がアバタールという称号を与えられたもの、じつはこのときでした。
8つの徳の道を極め、究極の智の経典コデックスを、ステイジアン・アビイスという地の底から持ち帰ったのです。

アバタールがこの偉業に挑んだ最大の動機は、モンデイン、ミナクス、エクソダスを殺害したことへの贖罪(しょくざい)だとする説があります。
それを証明できるものは何もありません。
たとえそれが真実であったとしても、8つの徳を通してこの世にもたらされた利益を考えるに、いかなる過ちを償って余りあると私は確信します。



8 “運命の戦士”と呼ばれた物語

究極の智の経典コデックスを地底より持ち帰ったことで、アバタールは不覚にも、宇宙の因果律にある連鎖反応を起こさせ、モンデインの暗黒宝珠の破片から、 3体のシャドーロードを生み出すという結果を招きました。
彼らは悪の代理人とも言える存在でした。
彼らはロード・ブリティッシュを捕らえ地底のダンジョンに幽閉すると、ブリタニアの支配権を奪い、それまで行われてきた英知と慈悲の統治を覆し、恐怖に満 ちた圧制を敷いたのです。

この危機を救ったのも、アバタールでした。
アバタールの奮闘により、ロード・ブリティッシュは無事に救出され、玉座に復帰。
そして、シャドーロードはこの世から抹殺されました。

しかし、ロード・ブリティッシュ救出のおり、大きな地殻変動が引き起こされ、強烈な群発地震により、巨大な地下の洞窟網は崩壊しました。
この大災害によって、悲しいことに、多くのガーゴイル族が命を失ったのです。



9 “偽りの予言者”と呼ばれた物語

ブリタニアの地下で起きた大変動により、ブリタニアと反対側に位置する世界に暮らしていたガーゴイル族は、住む場所を事実上奪われました。
人類の行いに腹を立てた彼らは、ブリタニア側に侵攻し、人々を襲いはじめました。
こちら側へやってくるガーゴイルの数は日に日に増加し、人類との間に激しい戦闘が繰り広げられたのです。

ガーゴイルは、アバタールの殺害も計画していました。
ガーゴイルはムーンゲートを使ってアバタールをおびき出したのですが、間一髪、仲間に救出され、ブリタニアに戻りました。
そこでアバタールは、ロード・ブリティッシュから、この混乱状況の打開を求められました。
このような民族同士の戦争をおさめるという使命は、さしものアバタールにとっても、初めての大仕事でした。

アバタールは問題解決のために奔走します。
その結果わかったことは、地底よりアバタールが持ち帰った究極の智の経典コデックスは、じつはガーゴイルの所有物であったという事実でした。
そこでアバタールは、コデックスを、人類の領土でもガーゴイルの領土でもない、エーテル虚空間内に安置し、ロード・ブリティッシュとガーゴイルの王、ロー ド・ドラクシヌソムに、それぞれ特殊なレンズを与え、これを通してコデックスを閲覧できるようにしたのでした。
こうして2つの民族間の争いは消え、これ以上の衝突はもう起こらないだろうと期待されました。

アバタールがコデックスを正当な持ち主から奪いさえしなければ、この悲惨な戦争は避けられたと主張する者もいますが、それはまったくの無知と誤解による反 社会的な考えと言わなければならないでしょう。



10 近代の200年


アバタールが最後にブリタニアを訪れたときから2世紀が経過しました。
一部の歴史学者は、正しい歴史的観点から研究することで、過去のアバタールの活躍を正確に知ることができると主張していますが、一方では、時とともに実際 に何があったかを語る真実は薄れ、消え去る運命にあるため、現在、伝わっている伝説を、そのままの形で受け入れるのが妥当であると主張する者もいます。
どちらにせよ、アバタールに関しては、いくつもの共通認識があることも確かです。

アバタールの物語は単なる伝説であるという立場を堅持する者たちがいますが、歴史学者たちは、その中でも歴史的事実を語っている部分は少なくないと考えて います。
しかし現実には、アバタール島の存在を見れば十分でしょう。超自然な存在ではなく普通の人間であったにせよ、アバタールが実在の人物であったことを示す説 得力のある証拠を探し求めることには、あまり意味がありません。 
アバタールはひとりではなかったという説も、非常にもっともらしく聞こえます。
多くの書物では、ガーゴイルと人類との間の和平交渉に奔走したアバタールが、そのずっと昔、この世界に初めて現われてモンデインを倒した人物と同一である と書かれています。
それはあり得ないとする反論もある一方で、しかし、完全に否定することも難しいのです。
考えてみれば、我らがロード・ブリティッシュは、超人的な長寿を記録されているではありませんか。

いかなる歴史的解釈がもっとも正確なものであろうと、アバタールはもうこの世界には現われないであろうことは、確かなようです。
さまざまな証拠が物語るように、魔法の時代は終わろうとしています。
魔法使いの信頼性が弱まり、国も魔法学から離れてきています。
また、アバタールの助けが必要な大規模な危機にこの国が見まわれる恐れも、ほとんどないと言ってよいでしょう。
それは、我々にとって幸いなことと言わなければなりません。

これからは、フェローシップの時代です。
壮大な伝説の世界は終わりを告げ、私たちは今の現実世界に生きています。
伝説の英雄が助けにきてくれるのを待ち望むのではなく、自分たちの問題は自分たちの頭と手で解決するという社会を、私たちは築いていかなければならないの です。








The Fellowship TRAVELLER'S COMPANION guide to travelling in Britannia,
as written by Batlin of Britain
(フェローシップ旅のてびき ブリタニア旅行ガイド バトリン著)

1 ブリタニアの都市と町

ブリテイン、ジェローム、ミノック、ムーングロウ、ニュー・マジンシア、トリンシック、ユーの7大都市は、古代ソーサリアの小国から発達した町であり、そ れぞれが自治政府によって管理されています。
そのほかにも数多くの町が発達し、ブリタニアの王冠に散りばめられた宝石のように、光り輝いてます。
ここでは、7大都市と、そのほかの町をアルファベット順に紹介しましょう。
みなさまの旅のお役に立てば幸いです。


Buccaneer's Den バッカニーアズ・デン…
大洋に浮かぶ島に位置する、海賊と盗賊の本拠地として知られる悪名高い港町です。
治安が悪く、いかにも金を持っていそうな旅行者は、瞬く間に裸にされてしまうでしょう。
しかし、近年では House of Games(賭博場)や、官能的な風俗店などにスリルを求めて、 ここを訪れる観光客も増えています。


Britain ブリテイン…
ブリタニアの首都にして華の都、慈悲の徳を掲げる町、そして、ロード・ブリティッシュ城の城下町。
ブリタニー湾に面して建設されたこの町がブリタニア最大の都市に発展したのは自然のことでした。
ここには、最先端の施設もそろっています。
古い伝統を誇る Wayfarer's Inn(ウェイフェアー旅館)、Royal Theatre(王立劇場)、Music Hall(音楽ホール)も有名です。
ここは商業の中心地でもあり、数多くの行商人が商品を売り歩き、農民は市場を開き、さまざまな種類の店や娯楽施設が軒を連ねています。
そしてもちろん、ブリタニアはフェローシップの本部がある町でもあります。


Cove コーブ…
ブリタニアでもっとも清潔な町と言われています。
新しい町ですが、この町が面するロック湖は近年汚染が激しく、旅人はこの湖を避けて通るのが懸命でしょう。
神殿の近くの Lovers' Walk(恋人の道)は、ブリタニアでもっともロマンチックな場所として知られています。
コーブの山を越えると、そこには歴史場もっとも熾烈な戦闘が戦われた Bloody Marsh(血の沼)が広がっています。


Isle of the Avatar アバタール島…
ここには町はありませんが、とても興味深いスポットなので、リストに加えました。
ここは、グレート・ステイジアン・アビイスが隆起してできた神秘の火山島です。
コデックスの神殿は、多くの巡礼者が訪れる神聖な場所であり、同時に、ブリタニアの重要な歴史遺産として、昼夜をとわず厳重に警備されています。


Jhelom ジェローム…
ブリタニアの南西に浮かぶバロリア島の町です。
ここは、戦士、パラディン、レンジャーといった腕自慢の武道家のメッカとしても知られています。
数々の有名な戦士を送り出した武勇の町であり、また、武器と防具の本場でもあります。
気さくな女将で有名なバーや、ファイトクラブ、それに、Library of Scars(スカー図書館)も見逃せません。


Minoc ミノック…
ブリタニア北部の活気にあふれる港町です。
ロストホープ湾の入口に位置し、献身の徳を掲げるこの町には、製材所、防具工房、造船所、Britannian Mining Company(ブリタニア鉱山会社)の支社があります。
Artist's Guild(職人ギルド)の本部もここにあり、さまざまな職人技の結晶を見ることができます。
ここには、フェローシップの支部があります。


Moonglow ムーングロウ…
ベリティー島の南部に位置する誠実の徳を掲げる町です。
ここには、知識の宝庫、Lycaeum(ライキューム大図書館)があり、近くには、天体儀のある天文観測所もあります。
フェローシップの支部もあり、大変に活発に活動しています。


New Magincia ニュー・マジンシア…
謙譲の徳を掲げる質素な町として知られ、ブリタニアの他の地区から隔絶された孤島に、控えめにたたずんでいます。
ニュー・マジンシアの人々は、初対面のあなたに対して、最初はあまり口をきいてもくれないでしょうが、打ち解けるにつれ、彼らの素朴で温かい人情に触れる ことができるようになるでしょう。
ニュー・マジンシアは、主要な交易航路からさらに東へ進んだ海域に浮かぶ島にあります。
主な産業は、造船、園芸、畜産です。


Paws ポーズ…
海岸の小さな町だったポーズですが、首都ブリテインの拡大に伴い、今ではほどんどブリテインに取り込まれた状態になっています。
古い田舎の風習を残すこの村は、近年まで貧困に苦しんでいました。
とくに有名な7年飢饉では、多くの農家が村を去りました。
ポーズの主な産業は、製粉、酪農、生肉です。
ここには、フェローシップの救済院が、恵まれない人々の救済活動をしています。


Serpent's Hold サーパンツホールド…
名誉の徳を掲げるシルバーサーパント騎士団の本拠地です。
ブリタニア軍のトレーニンググラウンドとしても知られるこの要塞都市には、多くの猛者が戦闘術と、名誉と武勇の精神を学びに集まってきます。
ここでは、一般の旅人も戦闘術の指導を受けることができ、品質の高い武器、防具、旅行用具を扱う店があります。
サーパンツホールドの東の島には、フェローシップの Meditation Retreat(瞑想センター)があります。


Skara Brae スカラブレイ…
霊性の徳を掲げる町として知られていたスカラブレイですが、ある悲しい出来事によって、今は廃墟と化しています。
スピリットウッドの森にほどちかいスカラブレイは、ほとんどの建物が倒壊し、ここを訪れる人も稀です。
この無人の廃墟には、今でもいろいろな不思議な現象が起きるとの噂が絶えません。
しかし、その真偽を確かめに行く人もいません。ここへは近づかないほうが懸命でしょう。


Spektran スペクトラン…
悪名高いサルタンが支配する小さな島です。
サルタンは人嫌いで知られ、訪問者は歓迎されません。
特別に用事がないかぎり、ここへは行かないほうがよいでしょう。


Terfin ターフィン…
かつて、狂人スーテックが支配していた島ですが、今はガーゴイルの本拠地となっています。
ガーゴイルは、毎日ここからミノックへ通い、鉱山で働いています。
ここには、ガーゴイルの Hall of Knowledge(知識の殿堂)があり、フェローシップの支部もあります。
ここからほど近い場所に、独裁者ブラックソーンの城の廃墟が見られます。


Trinsic トリンシック…
ポーズの南、ヒーローの入り江の北に位置する賑やかな港町です。
名誉の徳を掲げるトリンシックは、パラディンの本拠地として知られ、フェローシップの支部も活発に活動しています。
この町を取り囲む城壁を見て、なぜこのようなものが必要なのかと、旅人は首をひねるでしょう。
それでも警戒が足りないとばかりに、町を出入りする人は、みな秘密の合言葉を門番に言わなければなりません。
たしかに、かつてはそれなりの必要性があってのことでしたが、今では単なる習慣として続けられているに過ぎません(トリンシックの合言葉は、ブリタニアの 法律により公開できません)。


Vesper べスパー…
ブリタニア北東部の砂漠地帯を臨むべスパーは、工業の町です。
ここには Britannian Mining Company(ブリタニア鉱山会社)の大きな支社があり、珍しいことに、人間とガーゴイルがほぼ同数、生活しています。


Yew ユー…
正義の町として知られていたユーですが、近年、その様相を大きく変えています。
町の建物は、もう何年も空家となり、住民たちは、グレートフォレストの森に分散して、一般的な常識から隔絶した独自の生活を送っています。
ユーの人々と外の世界とをつなぐ唯一の場所が、Empath Abbey(エンパスアビー修道院)です。
修道院は、ユーの法廷と刑務所の管理を委託されています。
エンパスアビーを訪れる人の多くは、墓地の近くに点在する愛する人の墓参者です。



2 ブリタニアの商業

ブリタニアは、大きな都市を抱える王国というだけにとどまりません。
旺盛な商業活動と工業に支えられた強い経済活動の場でもあります。
どの町にも、バラエティーに富んだ商品やサービスを提供する店があり、地場産業と勤勉な労働者がその活気を支えています。
それぞれの町で作られた製品は、他の町々へ運ばれ、人々は、珍しい遠い地方の製品も、気軽に手に入れることができます。
こうした、とどまることを知らないダイナミックな経済によって、ブリタニアの人々は、生活必需品に困ることなく、豊かな日々を過ごすことができるのです。


ブリタニアの農業…
近年、ブリタニアの一部地域では干ばつが連続して発生し、農業生産高は低下しましたが、全体的には豊作が続き、平均して農家は潤っています。
農家では、通りすがりの旅人でも、卵や果物や野菜などの作物を、快く売ってくれます。


ブリタニアの商人…
ブリタニアの商人のモットーは、「安く買って高く売る」です。
しかし、ほとんどの商人は、客を喜ばせることが好きな、根からの商売人で、客もよくそれを心得ているため、不正な商売をしようなどと企む商人は、自然にこ の社会から蹴り出される運命にあります。


農産物市場(The Farmer's Market)…
Farmer's Market(農産物市場)では、果物、野菜、卵、肉など、豊富な農産物が並びます。
旅人も、自由に好きなものを買うことができます。


パブ(Pubs)…
上等な酒と料理を提供する市民の憩いの場です。
多くのパブでは吟遊詩人の歌を聞くことができます。
彼らのレパートリーは、伝説や歴史的事件に関するものが多いようです。
客たちと酒を酌み交わし、打ち解けたなら、風刺の利いたジョークや、戦争の話や、土地の昔話などが飛び出すでしょう。
役に立つ情報も、こうしたコミュニケーションから得られます。


食品販売業者(Food Vendors)…
急いで食事をとりたいときは、食品販売業者から食べ物を買うのがいちばんでしょう。
食料品が手に入る店を探すのは簡単です。
彼らの呼びこみの声に耳を傾けてください。


雑貨商(Provisioners)…
旅を続けていれば、こまごまとした旅行用品の補給は欠かせません。
町へ寄ったら、ぜひ、地元の雑貨商を訪ねて、必要な品物を揃えてください。


馬屋(Stables)…
地上を移動する手段で、もっとも速いのは、なんと言っても馬車です。
とくに、人里離れた荒野を旅するときは、速ければ速いほど安全でもあります。
馬と馬車は、ブリテインの馬屋で買うことができます。


魔法の秘薬(Magical Reagents)…
現代では、魔法は過去のものとなりつつあります。
しかし、それでもこの技術を学びたいという方は、魔法使いに相談してみるとよいでしょう。
彼らは魔法に必要な秘薬を、喜んで売ってくれるはずです。
新鮮かどうかを気にする必要はありません。
通常、魔法の秘薬は古いほど効果が高いと言われています。


宿屋(Inns)…
旅人が安心して、安全に休息がとれる場所でです。
屋外でキャンプするのも結構ですが、野宿には常に危険が伴います。
とくに、天候の悪い日は、健康を害する恐れもあります。


職人(Craftsman)…
ブリタニアの職人は、研ぎ澄まされた技術を駆使して物を作り、販売しています。
非常に高価なものもありますが、それは、職人の手間と技術と才能が凝縮された高品質な作品だと思えば、決して高い買い物ではないとわかるはずです。


防具店(Armourers)…
戦士の体を守る鎧や盾を売る店です。
ほとんどの防具店では武器も置いていますので、戦いの装備は、ここで一式揃えることができます。
防具は、体の各部分用のものがばら売りされているのが普通ですが、一部には、揃いの鎧一式を、バラで買うより安い値段で売る店もあります。


弓師(Fletchers and Bowyers)…
ブリタニアでもっとも尊敬されている弓師と言えば、イオロ・フィッツゾーウェンをおいてないでしょう。
彼は、Iolo's Bows(イオロ弓店)の経営者としても知られ、店は大変に繁盛しています。
そのため、サーパンツホールドにも同様の店が開店しました。


ヒーラー(Healers)…
怪我をしたり病気が悪化したとき、多くの人はヒーラーに多額の金を払って治療してもらいます。
しかし、賢明な人は、病も怪我も、己の精神に起因するものと知っているため、精神鍛錬によってすべてを克服する術を備えています。


薬剤師(Apothecaries)…
珍しい薬草などを調合して薬を作る薬剤師の知識たるや、敬服に値します。
彼らは魔法の秘薬も扱っていましたが、魔法があまり使われなくなった現代では、秘薬の販売を行う店はほとんどありません。


衣料品店(Clothiers)…
市場では、洋服も売られています。
最新のファッションから、着心地のいい実用的な服まで、いろいろ揃っています。


造船所(Shipwrights)…
海岸の町には造船所があり、そこでは船を買うことができます。
ブリタニアの法律では、船を所有するには、DEED OF SALE(権利書)が必要です。
権利書がなければ、公的に船の所有者とは認めれません。



3 ブリタニアのルーン文字

数世紀にわたり、ブリタニアでは、標識や看板などは古代ルーン文字で表記するという習慣があります。
優雅で気品にあふれるこの古代文字は、その昔、ドルイドたちが日常的に使っていたものです。
つまりこの文字は、ブリタニアよりも歴史が古いのです。
ちょっと気軽な旅に出ようという人にすれば、ルーン文字の標識は頭の痛い難解語にすぎないでしょうが、旅なれた人の間では、ルーン文字をすらすらと読むぐ らいは常識です。
なぜなら、そこには非常に多くの有用な情報が記されているからです。

現代では、ルーン文字表記はあまり流行らなくなりました。
古いスタイルを守ろうとする建造物などで、昔風の雰囲気を出すため使われる程度です。



4 ブリタニアの武器

荒野を旅するならば、十分な防具と、できるかぎりの武器を携えていくことをお勧めします。
ここに、あなたの身の安全を守ってくれる武器と防具の種類を簡単に紹介しましょう。


鎧と盾…
防具をつけるという観点から見ると、人間の体は、頭、胴、脚、手、足、首の6つの部分に分けられます。
鎧は、これらの部分を守るための6つのパーツから構成されています。

さらに鎧には、革、スケール、鎖、プレートの4つのタイプがあります。
革は鎧のなかでももっとも弱いものですが、軽くて機動性が高く、値段も安いのが特徴です。
スケールと鎖は、だいたい同じレベルの防御力を持ちますが、スケールのほうが重量があり、価格は鎖よりも安くなります。
もっとも頑丈な鎧は、プレートです。
非常に強力ながら、重量ももっとも重く、もっとも高価です。

両手で扱う武器を使用する場合を除いて、戦闘に長けた者は、鎧とは別に、盾を持ちます。
一般に、盾には、強度が増すごとに重量が重くなるという傾向があります。

不利な戦いから逃げるとき、または、長い距離を移動しなければならないとき、極端に重い防具を身につけていては不都合です。
旅なれた人たちは、己の体力と、どうしても持ち運ばなければならない装備の重量と、旅の長さを念頭に置き、ちょうどよい重さの鎧を選びます。


武器…
ブリタニアには非常に多くの種類の武器があり、この限られた紙面ではすべてを紹介することはできません。
武器は、己に合ったものを選ぶのが一番です。
どんなに高級な武器でも、それを扱う人間以上に価値があることはなく、あくまで、武器は道具にすぎません。
武器はそれを使うものに合わせて選ばれるべきであり、武器に己を合わせるべきではありません。
では、武器を選ぶときのポイントは何でしょう?

長物と呼ばれる棒状の武器や、大型の剣などは、重量があるために、両手を使います。
また、この重量級の武器を自在に振り回せるだけの体力がない場合は、素手のほうがまだましでしょう。

一般に、軽くて小さい武器ほど、簡単に隠し持つことができ、素早く攻撃を繰り返すことが可能になります。
暗殺者たちの多くがダガーを愛用しているのは、単なる偶然ではないのです。

槍や両手戦闘槌などの長い武器は、敵を近づけずに戦えるという利点があります。
このリーチが戦闘の勝敗を分けることは珍しくありません。
反対に、狭い場所での接近戦になると、これらの長物は扱いづらく、かえって攻撃力を低下させます。

刀剣類の扱いは、正確さが命です。
敵の体に刃を命中させるだけでは十分ではありません。
剣のどの部分を、どう敵の体に当てるともっとも高い威力を引き出せるかを知るものが、剣の戦いを制します。

メイス、棍棒、槌などの打撃系武器は、力任せにひたすら敵を攻撃できる、単純明快な武器です。
その強烈な破壊力が勝敗の鍵を握ることが少なくありません。

飛び道具は、適切な戦術のもとに適切に使用することで、非常に大きな威力を発揮します。
多勢に無勢といった状況でも、飛び道具を的確に使用すれば、敵が接近する前に勝敗を決めてしまうことも可能です。
飛び道具の欠点をあげるなら、弓、クロスボウ、スリングは、矢や石を装てんするのに両手を使うこと。
そして、弓とクロスボウは、発射するときにも両手が必要ということでしょう。

ダガー、斧、松明、槍は、敵に投げつけることで飛び道具にもなります。



5 職業の歴史と習慣

Fighter 戦士…
ブリタニアの戦士の多くは、サーパンツホールドで正式な武術訓練を受け、その返礼として、一定期間、ブリタニア国軍の一員として兵役を務めます。
また、ジェロームや他の地域で訓練を受ける者もあり、まったくの独学で戦士になる者もあります。
こうした独学組の教師は、戦場です。
戦場ほど厳しい教師はいないでしょう。
教えをいち早く習得できなければ、即、死につながります。
戦士は一般に、卓越した体力と持久力の持ち主です。
また、さまざまな種類の武器に通じ、休む間もなく敵に立ち向かう勇気の持ち主でもあります。


Bard 吟遊詩人…
ペテン師、音楽家、戦士、魔法使いと、あらゆる才能をあわせ持つ何でも屋。
肉体的特性としては、屈強な戦士と、繊細な魔法使いの中間的存在です。
吟遊詩人は敏捷で身軽、知性が高いと言うよりは、頭が切れるといったところでしょう。
また、風貌もよく魅力的な一面もあるので、さまざまな状況で得をすることもあります。
彼らには、生まれついての飛び道具と謎解きの才能があります。
吟遊詩人の本来の職務は、歴史的な物語を歌にとどめ、人々に語り聞かせることにあります。


Mage 魔法使い…
敢えて苦難の修行の道を歩まなければならない魔法使いとは、因果な職業です。
しかし、魔法は次第に過去の技となりつつあります。
高い知性を誇り、自在に奇跡を起こし、派手なパフォーマンスで人々を驚かせた栄光の日々は遠い昔のことととなりました。
魔法使いには、一般の人の目には見えない世界の物事を知覚する能力があります。
しかしこれが、近年の歴史を見ても明らかなように、ときとして魔法の修行者を狂気へ引きずり込む危険性もはらんでいます。

また、魔法使いは、己の自由意思とは関係なく、その道を歩まされる世界として知られています。
その才能は血に流れるものであり、魔法使いの家に生まれついたものは、否応なく魔法使いにさせられるという悲劇の職業でもあります。
魔法が廃ったとは言え、魔法自体が消えてしまったわけではありません。
魔法の需要が減少しているだけです。
それだけに、彼ら魔法使いは、この先、永遠に不安定な生活を送ることになるでしょう。



6 ブリタニアの生物たち

ブリタニアの自然には、さまざまな動物や魔法の生物が生息しています。
その多くはおとなしく無害なものですが、非常に強暴で、正体不明の怪物も数多く存在します。
そこで、旅人の心得として、道中、かならず遭遇するであろう生き物たちを識別する知識を持つことが大切です。
そうすることで、危険な動物に出会ったときに、適切な行動をとることができます。
ここに、現在、ブリタニアで確認されている生物を紹介しましょう。


Acid Slug アシッドスラグ…
暗いじめじめしたところを好みます。
皮膚からは強力な酸を分泌し、これに触れると大変な火傷をします。
また、金属をも溶かすため、鎧を着ていても要注意です。
アシッドスラグにもっとも有効な攻撃手段は、火を使うことです。

Alligator アリゲーター…
沼地に生息し、人を襲うことも珍しくありません。
彼らの武器は、強力な顎と尻尾です。

Bat (Giant)大コウモリ…
夜行性の大きなコウモリです。
暗闇でも周囲のものを正確に認識できる能力があり、人を襲ってきます。
動きは非常に素早く敏捷です。

Bee (Giant)巨大蜂…
巣の近くで危険を感じると、即座に大群を繰り出して外的を攻撃する、非常にエネルギッシュな昆虫です。
彼らの毒針に刺されると、睡眠効果によって眠らされてしまいます。

Bird 鳥…
一般的に人を襲うことは少なく、おとなしい動物ですが、攻撃されたり驚かされると、咄嗟に相手を攻撃することがあります。

Cat 猫…
町で普通に見かけられる猫です。
ネズミを退治してくれるので、大いに人の役に立っています。

Centipede (Giant)巨大ムカデ…
寒く暗い場所を好む巨大な虫です。
その毒の強さは、生物が分泌するものの中でもトップクラスと言われています。
火の攻撃が弱点です。

Chicken ニワトリ…
農家の庭先でよく見かける鳥です。
その肉は美味で、レストランなどでも大人気です。
人に危害を加えることはまったくなく、こちらから攻撃しようとしても、素早く逃げてしまうでしょう。

Corpser コープサー…
人を待ち伏せ、触手を伸ばして巣に引きずり込みこれを食らいます。
しかし、その全貌を見た者はなく、どこからどう犠牲者を食うのかは、まったくわかっていません。
火に弱いという特徴だけが知られています。

Cow 牛…
まったく無害な家畜です。
その肉は食用になり、乳は乳製品の原料になります。

Cyclops サイクロプス…
非常に力の強い一つ目の巨人です。
彼らは、巨大な岩石を投げつけたり、巨大な丸太を棍棒代わりに振り回します。

Deer 鹿…
森に棲む身軽な動物です。
怒らせると鋭い角で攻撃してきます。肉は食用になります。

Dog 犬…
オオカミの親戚で、人によくなれた動物です。
留守の家を守ったり、狩を手伝ったり、子供の遊び相手になったり、大人の慰め相手になったりと、大いに役立ってくれます。

Dragon ドラゴン…
高い知能と魔法の能力を持つ爬虫類の進化形です。
大きな翼を持ち、自由に空を飛びまわります。
敵にまわすと大変に手強い相手となります。
とくに、口から吐く毒性の炎は、人を一瞬のうちに丸焦げにしてしまいます。
一般にドラゴンの巣は洞窟やダンジョンの奥にあり、そこで卵や宝物を抱いています。

Drake ドレーク…
ドラゴンは成長するまでに数百年かかると言われ、これはその発育途中にある小型の幼体です。
しかし、大人と同じく、口から火を吐き、空を飛びます。
主にドラゴンの巣の近くで多く見られます。

Emp インプ…
森に棲む、非常に平和的な動物です。
人間との接触を極力嫌うかのように、よほどのことがないかぎり、人に対して暴力を振るうことがありません。
インプのなかには、非常に高い知性と魔法の力を持つ者もあります。
また、どのインプも、人や動物の感情を鋭く察することができ、とくに、相手の苦しみや痛みを強く感じます。
そのため、彼らは動物を捕食せず、ミルクとハチミツだけを食べて生きています。

Fairy フェアリー…
空を飛ぶ小さな悪戯好きの生き物です。
人を傷つけることは滅多にありません。

Fish 魚…
海や川や湖で普通に見かけられる水棲生物です。
人に危害を加えることはありません。
ブリタニア人の重要な食料源になっています。

Fox キツネ…
オオカミの親戚にあたる小型の獣ですが、オオカミほど力はなく、攻撃的でもありません。

Gargoyle ガーゴイル…
赤い皮膚を持つガーゴイル族は、もともとは地底の国に住んでいました。
ガーゴイルには社会的階級があり、大型で翼のある者たちは知性も高く魔法の能力も持つ支配階級、小型で翼を持たない者たちは労働階級です。
彼らは知能が低い代わりに、腕力は優れています。

Gazer ゲイザー…
ダンジョンで見かける不思議な生き物です。
空中に浮遊し、いくつもの目を持ち、それに見つめられると、体が動かなくなります。
ゲイザーは、死ぬと体がばらばらになり、昆虫の巣となります。

Ghosts 幽霊…
魔法の力を持った死霊です。
彼らは壁を通りぬけることができ、魔法を操ります。
どこにでも現われますが、おもに、墓地や、殺人現場のような人の死に関連した場所で多く見られます。

Gremlin グレムリン…
群れをなして人を襲います。
彼らの目的は、旅人の食料を盗むことです。

Harpy ハーピー…
山岳地帯の洞窟に生息する、半鳥半人の怪物です。
足の鋭い鉤爪で、頭上から旅人に襲いかかります。

Headless ヘッドレス…
頭を切り落とされた人間のような姿をした魔法の怪物です。
目も耳もなく、どのようにして周囲の状況を感知しているのかは不明ですが、あたかも目があるかのように不自由なく歩きまわります。
彼らの得意な攻撃技は、絞殺です。

Horse 馬…
家畜としても野生でも、よく見かける動物です。
足が速く持久力もあるため、町から町へ、荒野を抜けて旅をするときの交通手段として利用されています。

Hydra ヒドラ…
ドラゴンの仲間で、3つの頭を持ちます。
ドラゴンと同じく、ヒドラも空を飛び、口から火を吐きます。

Insects 昆虫…
大群で人や動物を襲い、毒針で攻撃します。
馬をおびえさせたり、農作物に被害を与えることもあります。

Kraken クラーケン…
実態がよく知られていない海の怪物です。
クラーケンの巨大な触手で甲板から海底に引きずり込まれ、そのまま消息を絶ったという船乗りの話は後を立ちません。
目撃されるのは、いつも触手だけで、体全体を見たという報告は、まだありません。

Liche リッチ…
非常に珍しいタイプのアンデッド系怪物です。
非常に高い攻撃力を持つ、かなり手強い相手です。

Mongbat モングバット…
コウモリとサルを掛け合わせたよなモングバットの異様な姿は、初めて見る人にはショッキングでしょう。
彼らの攻撃は素早く強力ですが、一般に、ダンジョンの奥深くにしか棲息していません。

Mouse ハツカネズミ…
食べ物のあるところなら、どこにでも顔を出す小さな生き物です。
人間に危害を加えることはありません。
チーズが大好きです。
食物連鎖では、猫の下に位置します。

Rabbit ウサギ…
畑のニンジンをかじって生きている、耳が長く足の速い動物です。

Rat (Giant)ジャイアントラット…
巨大化したドブネズミです。強暴で人をも恐れず襲いかかってきます。
毒の耐性があり、罠で捕らえようにも大きすぎて手に余ります。
また、大変に食欲旺盛で、生ゴミや動物の死体を貪り食います。
群れで人を襲うことが多く、彼らに噛まれると、さまざまな病原菌をうつされ、命を落とすことも珍しくありません。

Reaper リーパー…
憎悪に狂う木の霊です。
長く固い枝を振り回し、通りすぎる旅人を襲います。
また、リーパーには魔法の力があり、稲妻の魔法を浴びせ掛けることがあります。
乾いた枯れ木が母体になっているため、火に弱いという欠点があります。

Sea Serpent シーサーペント…
海のドラゴンとも言えるでしょう。
陸のドラゴンと同じように、シーサーペントは口から火の玉を吐き出します。
強力な尾に打ちつけられると、大きな船も致命的な打撃をこうむります。

Sheep 羊…
羊飼いによって育てられている無害な家畜です。
羊飼いは、非常に多くの羊を放牧して生計を立てています。
羊からは、羊毛と羊肉がとれます。

Silver Serpent シルバーサーパント…
この動物は、古代ソーサリアのシンボルに描かれ、ブリタニアでもやはり象徴的な存在となっています。
この大蛇が分泌する毒液には、人間に対して、不思議な影響を長時間にわたり与え続けることで知られています。
その現象の科学的な解明は、将来、大いに期待されるもののひとつでしょう。

Skeleton スケルトン…
戦場で命を落とした戦士の遺骨が、恨みによって蘇ったアンデッド系怪物です。
スケルトンは、魔法使いに操られ、軍団を組んで人を襲うことが多く、困ったことに、主人である魔法使いが倒された後も、攻撃の手を緩めません。

Slime スライム…
ダンジョンの奥深くや湿地帯に棲息するゼラチン状の塊です。
自己分裂によって増殖する一方で、仲間のスライムを取り込んで成長することもあります。
彼らは、己の体の一部を敵に投げつけます。
弱点は火だと言われています。

Snake ヘビ…
夜間は岩陰などでじっとしていますが、昼間、気温があがると体温も上がり、非常に敏捷に活動するようになります。
牙には強力な毒を持ち、遠くまで飛ばすことができます。

Spider(Giant)大蜘蛛…
涼しく暗い場所に巣を張って過ごしていますが、人気のない荒野では、そこかしこに出没しては人を襲っています。
大蜘蛛は、遠くまで毒液を飛ばすことができ、大きな顎も強力な武器となります。

Troll トロル…
常に旅人の悩みの種である乱暴者です。
トロルが橋の下に隠れていて、そこを渡ろうとする旅人を襲ったり金を要求するなどとった話は、昔からよく知られています。
旅なれた人は、橋を渡るときはかならずトロルの存在を警戒します。
とくに、町から離れるほど、橋の下にトロルが潜んでいる可能性が高くなります。

Unicorn ユニコーン…
地方へ行くと、ユニコーンにまつわる御伽噺がよく聞かれます。
額から1本の長い角を生やした純白の若馬の姿を見れば、誰でも感動を覚えます。
伝説によれば、徳を積んだ人だけがユニコーンに近づけると言われています。
ユニコーンの目撃例は非常に少なく、その少なさのために、実在を危ぶむ学者もいます。

Wisp ウィスプ…
空中に浮遊する神秘の光の塊は、長い間、旅人の謎でした。
ウィスプを攻撃しても、まったくダメージを受けた様子を見せません。
逆に、ウィスプから攻撃を受けたという話も聞きません。ウィスプは大変な知識の持ち主で、私たちが住むこの世界とは、まったく別の世界からやってきた存在 だとする説もあります。

Wolf オオカミ…
平原と森のハンター、オオカミは、長い間、強暴な悪者という誤ったイメージで語られてきました。
集団で弱い動物の群れを襲い、なかでも弱いものを狙うというやり方が誤解されたのでしょうか。
また、農家では好奇心旺盛なオオカミの姿に恐怖感を覚えるという話も事実でしょう。
しかし、オオカミが人を襲ったという話は、じつはほとんどないのです。








The Book Of ARCHAIC KNOWLEDGE
a historical look at the mechanics and use of the arcane arts beforethe end of the Age of Magic、
as written by Batlin of Britain
魔法術の本 魔法術が消えてなくなる前に知っておきたい歴史的考察とメカニズム バトリン著


本書を読まれる方に、まず最初にお断り申し上げておきます。
ここでは、魔法に関する情報は、すべて歴史の資料として書いています。
ご承知のとおり、今日、魔法の効力が非常に不安定になっています。
そのため、そもそも魔法は幻覚であったとする説まで出ています。
こうした状況のため、もし、ここに書かれている方法で実際に魔法を試される場合、当方は一切の責任を負いかねます。



1 Spellbook 魔法使いの呪文の書

魔法を成功させるために必要となる要素のなかで、もっとも基本になるのが、呪文の書です。
魔法使いにとって呪文の書は欠かせない存在であり、これなしには魔法使いはできません。
呪文の書には、それを所有する各々の魔法使いが習得した魔法の秘術と、魔法の呪文が事細かに書き記されています。
そのため、熟練した魔法使いの呪文の書は、大経典さながらのボリュームがあります。
現在知られている個々の魔法については、このあとたっぷりとスペースを割いて解説します。
どの呪文の書にも、いちばん最初から書かれている基本の魔法があります。
一次魔法と呼ばれるもっとも基礎的魔法です。
これについても、あとで詳しく説明しましょう。



2 Reagents 秘薬


魔法を成功に導く第二の要素は、秘薬です。
秘薬は、現実世界と、魔法使いの精神力によって導き出されたエーテル波動を結び付け、魔法使いのイメージを物理現象に変換させるための触媒です。
秘薬として使われる素材には、ごく一般的な薬草もありますが、非常に珍しい天然素材もあります。
ここに、一般的な魔法に使われる秘薬を紹介しましょう。

Black Pearl(黒真珠)…
普通の真珠1万個のなかに1個あるかないかと言われるほどの貴重な真珠です。
Buccaneer's Den(バッカニーアズデン)の高く切り立った崖のふもとが産地として知られています。
装飾品に使われる普通の真珠は、形が美しいほど価値が高くなりますが、黒真珠の場合は、形は問題にされません。
粉に轢いて使用されるからです。

Blood Moss(血の苔)…
近年では、血の苔はほとんど見られなくなり、コーブの山を越えた Blood Marsh(血の沼:何万人もの兵士が命を落とした古戦場として知られています)と、Spiritwood(スピリットウッドの森)の朽ちた倒木の樹皮の 下あたりに、わずかに見られる程度になってしまいました。

Garlic(にんにく)…
魔法の秘薬というよりは、ごくごく平凡な野菜の一種です。
ブリタニアのどの家庭の台所にも、にんにくのひとつやふたつはあるはずです。
魔法では、これをすり潰してペースト状にし、攻撃から身を守る魔法に使います。

Ginseng(高麗人参)…
苦味のあるこの植物の根に、滋養と強力な体力回復の力があることは、ブリタニアのヒーラーの間では古くから知られていました。
しかし、魔法では、これを違う形に加工して使います。
高麗人参を純粋な水で、最低でも40回ほど煮ては冷ましを繰り返します。
それにより、高麗人参は非常に匂いの強い黒いペーストになり、強力な魔法の力を発揮するようになるのです。

Mandrake Root(マンドレーク)…
魔法使いにとって、もっとも手に入りにくい秘薬とされています。
マンドレークの根は、もっとも暗い毒沼の一角で、もっとも暗い夜にだけ見つけることができます。
また、秘薬として加工する場合も、マンドレークの根はもっとも難しいとされています。
まず、根を掘るときは決して傷つけてはいけません。
また、煮て乾燥させるのですが、このときも特別な方法に厳密に従わなければなりません。
現在、マンドレークの根の生息が確認されている場所は、ポーズの南、Fens of the Dead(死者の沼)という俗称で知られる Blood Marsh(血の沼)です。

Night Shade(ナイトシェード)…
夜にだけ傘を開く、沼地に生息する非常に珍しいキノコです。
この傘を砕いて飲むか、お茶に煎じて飲むことができます。
しかし、ひとつ間違えると、強力な幻覚作用を引き起こし、ときには猛毒を発することがあるので、魔法使いは細心の注意を払って、これを扱っています。

Spider's Silk(蜘蛛の糸)…
蜘蛛の巣は、どこでも見かける平凡なものですが、まとまった量を集めるのは至難の技です。
そのため魔法使いは、昔からよく洞窟などに出向き、蜘蛛の巣を集めていました。
また、なかには、つねに必要量を確保できるよう自分で蜘蛛牧場を運営する魔法使いもいます。
1回の魔法に、少なくとも30グラムは必要だと言われています。

Sulfurous Ash(硫黄の灰)…
火山の噴火によって大量の硫黄の灰が生成されるため、魔法の秘薬としてはそれほど貴重なものではありませんが、自分で採取するには、遠く、危険な火山の火 口に出向かなければならないため、相応の覚悟が必要です。
近年では、数年前から活発な火山活動を続けている Isle of the Avatar (アバタール島)が、硫黄の灰の採取地として注目されています。



3 魔法の言葉


魔法に必要な最後の要素は、特別な力を秘めた魔法の音節で構成された言葉、呪文です。
魔法使いたるもの、この呪文の言葉と意味を暗記するだけでは済まされません。
個々の音節の持つ意味を深く理解しなければなりません。
呪文を唱えると、音節の響きがエーテルの波動を共鳴させ、さまざまな現象を引き起こさせるのです。
間違った発音をすれば、波動は乱れてしまいます。
それぞれの音節について瞑想を重ね深く理解すると共に、数時間に及ぶ呼吸訓練によって、正しく呪文を発音することが、とても重要です。
ここに、今日知られている呪文を構成する魔法の音節を紹介しましょう。

音節意味
AN……避ける/解除する
BET……小さい
CORP……死
DES……下げる/下
EX……自由
FLAM……火
GRAV……エネルギー/場
HUR……風
IN……作る/生む/起こ
JUX……危険/罠/害
KAL……呼び出す
LOR……光
MANI……命/治
NOX……毒
ORT……魔法
POR……動く/動き
QUAS……幻覚
REL……変化
SANCT……守る/防護
TYM……時間
UUS……上げる/上
VAS……大きい
WIS……知る/知識
XEN……生物
YLEM……事象
ZU……眠る



4 魔法の実践

呪文の書、秘薬、呪文の3つの要素が揃ったとき、この3つの力を融合させて、驚異の現象を引き起こすことができます。
魔法のなかには、1人の人間を相手に使用するもの、複数の人間に対して使用するもの、または、特定の地域に対して使用するものとがあります。
魔法使いは、魔法の経験を増すにつれ、それぞれの魔法の威力も高まります。
ただし、魔法をかける対象の魔法に対する耐性など、こちらの能力に関係なく、魔法の威力を低下さえる要素も存在します。

魔法使いにとって、どうしても自由にならないものに、エーテルの波動があります。
エーテルの波動は、ときとして大きく乱れ、魔法を思うように発することができなくなりますが、多くの場合、一時的な現象です。



5 魔法の種類

ここでもう一度、みなさまにご注意申し上げます。
これから紹介する個々の魔法は、あくまでも歴史的資料からの引き写しであります。
多くの記録によれば、ここに書かれたほとんどの魔法は、まったく効果を示さないばかりか、あなたに有害な反応を起こす場合もあります。
魔法の使用は、使用者に精神障害を引き起こすことが指摘されています。
能書きのとおりの現象が起きたという話は、ほとんど聞きません。

これを読まれるみなさまには、どうか、魔法を試そうなどと危険な考えをお持ちにならないよう、忠告申し上げます。


一次魔法

魔法の道に入門を許された直後から使えるようになると言われているのが、ここに示す一次魔法である。
エーテルの波動の中にある8つのサークルの魔法とは別の次元に存在し、秘薬も必要としない根源的な魔法であり、“一次”と呼ばれるのは、そこに所以する。

AN ZU(Awaken:目覚め)…
眠っているか、気を失っている人や生物を目覚めさせる。

AN FLAM(Douse:消火)…
魔法の力によらずに燃える自然の、小規模な火を消す。

BET ORT(Fireworks:花火)…
7色に輝きながら飛び回る光を発する。熟達すると光は花火のように派手になり、敵を驚かせて、退散させることも可能になる。

BET LOR(Glimmer:明かり)…
ごく限られた時間、暗闇で身の回りを照らす。

KAL LOR(Help:救援)…
自分自身と仲間を蘇生し、ロード・ブリティッシュ城へ瞬間移動させ、体力を完全回復に回復させる。
ただし、この魔法は一生に一度しか使えない。

IN FLAM(Ignite:点火)…
小さな火花を発し、可燃性のものに火をつける。

VAS KAL(Thunder:雷)…
嵐の前触れを思わせる雷の音を1度だけ発生させる。

REL HUR(Weather:天候)…
嵐を起こす。または、嵐の最中に使えば、これを収める。



サークルの魔法

サークルは8つの同心円で表現され、外側に行くほど、魔法エネルギーのレベルが高くなる。
これは、水の波紋のように中心から宇宙へと広がるエーテルの波動の様相を示すものであり、8つサークルは、各々エネルギーの渦となって回転している。
より強力な魔法を発するためには、サークルの中心より、強い精神力でもって目的とするサークルに手を伸ばし、そのエネルギーを引き出す必要がある。
そのため、高サークルの魔法を操るためには、長時間じっくりと瞑想を行い、極限まで精神とパワーを集中させなければならない。

サークルの魔法で注意すべきは、反作用である。
予期せぬ物理現象を引き起こし、災厄を招いたり、術者本人が傷つくこともあるため、油断はならない。



第一サークル

VAS AN ZU(Awaken All:全員覚醒)…
秘薬:Ginseng、Garlic(人参、にんにく)
術者の属するパーティーのメンバー全員を眠りより覚醒させる。

IN MANI YLEM(Create Food:食料創出)…
秘薬:Garlic、Ginseng、Mandrake Root(にんにく、人参、マンドレーク)
空中より食料を創出し、パーティーの各メンバーにひとつずつ与える。

AN NOX(Cure:解毒)…
秘薬:Ginseng、Garlic(人参、にんにく)
対象となる人の体内より毒を消し去り、覚醒させる。毒以外の、各種の疫病に対しても効果的である。

WIS JUX(Detect Trap:罠探知)
秘薬:Spider's Silk、Nightshade(蜘蛛の糸、ナイトシェード)
術者およびパーティーのメンバーの視界内に仕掛けられたすべての罠を探知する。

VAS AN FLAM(Great Douse:強消火)
秘薬:Garlic、Spider's Silk(にんにく、蜘蛛の糸)
一次魔法の Douse(消火)の強力版である。近辺にあって燃えているもので、消火可能なものは、すべて消火する。

VAS IN FLAM(Great Ignite:強点火)
秘薬:Sulfurous Ash、Spider's Silk(硫黄の灰、蜘蛛の糸)
一次魔法の Ignite(点火)の強力版である。近辺にある可燃物すべてに火を放つ。

IN LOR(Light:光)
秘薬:Sulfurous Ash(硫黄の灰)
一次魔法の Glimmer(明かり)の強力版である。暗闇を強い光で照らし出す。光はパーティーとともに移動し、長時間持続する。

IN WIS(Locate:位置)
秘薬:Nightshade(ナイトシェード)
術者が立っている場所の正確な緯度と経度がわかる。地下においても有効。



第二サークル

AN JUX(Destroy Trap:罠解除)
秘薬:Sulfurous Ash、Blood Moss(硫黄の灰、血の苔)
指定した罠ひとつを破壊する。

ORT YLEM(Enchant:魔力)
秘薬:Black Pearl、Mandrake Root(黒真珠、マンドレーク)
弓とクロスボウの矢の束にまとめてエンチャント(魔力)をかける。エンチャントされた矢は青白く輝き、狙った目標にかならず命中し、通常よりも多くのダ メージを与える。

VAS FLAM(Fire Blast:火炎放射)
秘薬:Sulfurous Ash、Black Pearl(硫黄の灰、黒真珠)
術者の手より目標に向けて強力な火炎を放射し、相手に多大なダメージを与える。

VAS LOR(Great Light:強光)
秘薬:Sulfurous Ash、Mandrake Root(硫黄の灰、マンドレーク)
第一サークルの Light(光)の強力版である。持続時間も長い。

VAS AN NOX(Mass Cure:全員解毒)
秘薬:Mandrake Root、Garlic、Ginseng(マンドレーク、にんにく、人参)
術者はもちろん、パーティーのメンバー全員を一気に解毒し、覚醒させる。

UUS SANCT(Protection:防御)
秘薬:Sulfurous Ash、Ginseng、Garlic(硫黄の灰、人参、にんにく)
術者は一時的に攻撃を受けにくくなり、罠やそのほかの危険に対して不死身になる。

ORT POR YLEM(Telekinesis:念動)
秘薬:Blood Moss、Mandrake Root、Black Pearl(血の苔、マンドレーク、黒真珠)
物に手を触れずに動かしたり、操作ができるようになる。

POR ORT WIS(Wizard Eye:魔法の目)
秘薬:Blood Moss、Nightshade、Mandrake Root、Sulfurous Ash、Black Pearl、Spider's Silk(血の苔、ナイトシェード、マンドレーク、硫黄の灰、黒真珠、蜘蛛の糸)
通常の数倍の視力がやどり、見たいと思ったものが見えるようになる。途中に存在する障害物も透視される。



第三サークル

DES SANCT(Curse:呪い)
秘薬:Sulfurous Ash、Nightshade、Garlic(硫黄の灰、ナイトシェード、にんにく)
狙った敵の攻撃回避力が一時的に低下し、同時に、術者およびパーティーのメンバー全員に対する攻撃力も低下する。

MANI(Heal:治癒)
秘薬:Ginseng、Garlic、Spider's Silk(人参、にんにく、蜘蛛の糸)
対象となる人物のダメージを半分だけ回復させる。

AN POR(Paralyze:麻痺)
秘薬:Spider's Silk、Nightshade(蜘蛛の糸、ナイトシェード)
狙った敵の動きを一時的に止める。

VAS WIS(Peer:鳥瞰)
秘薬:Nightshade、Mandrake Root(ナイトシェード、マンドレーク)
世界全体を見渡せ、術者の位置も同時に示される。

IN NOX(Poison:毒)
秘薬:Nightshade、Blood Moss、Black Pearl(ナイトシェード、血の苔、黒真珠)
狙った敵の体内に毒を注入する。

VAS UUS SANCT(Protect All:全員防御)
秘薬:Sulfurous Ash、Ginseng、Garlic、Mandrake Root(硫黄の灰、人参、にんにく、マンドレーク)
第二サークルのProtection(防御)と同じ効果を、パーティーのメンバー全員に与える。

IN ZU(Sleep:睡眠)
秘薬:Nightshade、Spider's Silk、Black Pearl(ナイトシェード、蜘蛛の糸、黒真珠)
狙った相手を眠らせる。

KAL BET XEN(Swarm:虫)
秘薬:Nightshade、Mandrake Root、Blood Moss(ナイトシェード、マンドレーク、血の苔)
虫の大群を発生させ、術者の周囲の敵全員を攻撃させる。



第四サークル

KAL XEN(Conjure:野獣)
秘薬:Spider's Silk、Mandrake Root(蜘蛛の糸、マンドレーク)
強暴な野獣を呼び出し、敵を攻撃させる。

ORT GRAV(Lightning:稲妻)
秘薬:Black Pearl、Sulfurous Ash、Mandrake Root(黒真珠、硫黄の灰、マンドレーク)
狙った敵に稲妻を放ち、多大なダメージを与える。いかなる鎧も、稲妻を跳ね返すことはできない。

KAL POR YLEM(Mark:印)
秘薬:Mandrake Root、Black Pearl、Blood Moss(マンドレーク、黒真珠、血の苔)
目に見えない8つの色の石に現在位置を記録し、Recall(回帰)の魔法の目的地に設定する。

VAS DES SANCT(Mass Curse:強呪)
秘薬:Sulfurous Ash、Nightshade、Garlic、Mandrake Root(硫黄の灰、ナイトシェード、にんにく、マンドレーク)
第三サークルのCurse(呪い)と同じ効果を、敵全員に与える。

KAL ORT POR(Recall:回帰)
秘薬:Mandrake Root、Black Pearl、Blood Moss(マンドレーク、黒真珠、血の苔)
瞬間移動の一種である。Mark(印)の魔法で位置を記録した石に対して使うことで、パーティーのメンバー全員を、その場所へ瞬間移動させる。

WIS QUAS(Reveal:暴露)
秘薬:Sulfurous Ash、Blood Moss(硫黄の灰、血の苔)
術者の近辺で隠されている物を暴露する。

KAL WIS CORP(Seance:交霊)
秘薬:Blood Moss、Mandrake Root、Nightshade、Spider's Silk、Sulfurous Ash(血の苔、マンドレーク、ナイトシェード、蜘蛛の糸、硫黄の灰)
死んで間もない霊と、夜の間だけ話すことができる。スカラブレイを訪ねるのなら、この術に必要な秘薬を十分に備えておくとよいだろう。かの地では、霊と会 話を交わす必要が増えるからである。

EX POR(Unlock Magic:魔法錠解除)
秘薬:Sulfurous Ash、Blood Moss(硫黄の灰、血の苔)
魔法によってかけられた錠前を外す。ドア、チェストなども含む。



第五サークル

AN XEN EX(Charm:魅了)
秘薬:Black Pearl、Nightshade、Spider's Silk(黒真珠、ナイトシェード、蜘蛛の糸)
敵または獣を味方につけ、術者の意のままに操ることができる。また、敵に“魅了”された人間を解放することもできる。

POR XEN(Dance:ダンス)
秘薬:Mandrake Root、Garlic、Blood Moss(マンドレーク、にんにく、血の苔)
術者とパーティーの仲間を除く、視界内のすべての人間を踊らせる。

AN GRAV(Dispel Field:フィールド霧消)
秘薬:Garlic、Black Pearl、Sulfurous Ash、Spider's Silk(にんにく、黒真珠、硫黄の灰、蜘蛛の糸)
ファイヤーフィールドなどの、魔法によって作られたあらゆるタイプの防御フィールドを霧消させる。

VAS FLAM HUR(Explosion:爆発)
秘薬:Mandrake Root、Sulfurous Ash、Black Pearl、Blood Moss(マンドレーク、硫黄の灰、黒真珠、血の苔)
術者より狙った目標に向けて火の球を投げつけ、爆発させる。

IN FLAM GRAV(Fire Field:ファイヤーフィールド)
秘薬:Black Pearl、Sulfurous Ash、Spider's Silk(黒真珠、硫黄の灰、蜘蛛の糸)
術者と敵との間に炎の壁を作る。

VAS MANI(Great Heal:強治癒)
秘薬:Ginseng、Spider's Silk、Mandrake Root、Garlic(人参、蜘蛛の糸、マンドレーク、にんにく)
傷ついた人間を完全な健康体に回復させる。

SANCT LOR(Invisibility:透明化)
秘薬:Nightshade、Blood Moss(ナイトシェード、血の苔)
術者の姿を見えなくする。単に視界から消えるだけでなく、あらゆる探知方法を用いても発見されなくなる。ただし、一部には、透明化された物を見ぬく能力を 備えたものがあるので注意が必要だ。

VAS ZU(Mass Sleep:集団睡眠)
秘薬:Ginseng、Nightshade、Spider's Silk(人参、ナイトシェード、蜘蛛の糸)
第三サークルの Sleep(睡眠)の強力版である。パーティーメンバー以外の複数の人間を同時に眠らせることができる。



第六サークル

QUAS WIS(Cause Fear:恐怖)
秘薬:Nightshade、Mandrake Root、Garlic(ナイトシェード、マンドレーク、にんにく)
パーティーのメンバー以外の人間と生物に、死の恐怖心をあおる波動を送り、その場から逃走させる。

IN QUAS XEN(Clone:クローン)
秘薬:Sulfurous Ash、Spider's Silk、Blood Moss、Ginseng、Nightshade、Mandrake Root(硫黄の灰、蜘蛛の糸、血の苔、人参、ナイトシェード、マンドレーク)
目の前の、アンデッド以外の生物のクローンを作りだし、元の生物が属している陣営の助っ人として戦わせる。

KAL FLAM GRAV(Fire Ring:炎の環)
秘薬:Sulfurous Ash、Black Pearl、Mandrake Root、Spider's Silk(硫黄の灰、黒真珠、マンドレーク、蜘蛛の糸)
術者を取り囲むように炎の環を生み出す。

VAS IN FLAM GRAV(Flame Strike:火あぶり)
秘薬:Sulfurous Ash、Black Pearl、Blood Moss(硫黄の灰、黒真珠、血の苔)
術者の視界内にいる敵の足元一帯を炎に包み、敵を火あぶりにする。

VAS ORT HUR(Magic Storm:魔法嵐)
秘薬:Mandrake Root、Nightshade、Sulfurous Ash、Blood Moss(マンドレーク、ナイトシェード、硫黄の灰、血の苔)
激しい嵐を引き起こし、術者の複数の敵にダメージを与え、さらに、稲妻攻撃を加える。

IN NOX GRAV(Poison Field:毒フィールド)
秘薬:Nightshade、Spider's Silk、Black Pearl(ナイトシェード、蜘蛛の糸、黒真珠)
強い毒を発する魔法のフィールドを生み出し、これに触れたものすべてを毒に冒す。

IN ZU GRAV(Sleep Field:睡眠フィールド)
秘薬:Ginseng、Spider's Silk、Black Pearl(人参、蜘蛛の糸、黒真珠)
術者の思った場所に厚い魔法の壁を作り、この中に入ったものすべてを眠りに落とす。

VAS POR YLEM(Tremor:地震)
秘薬:Blood Moss、Sulfurous Ash、Mandrake Root(血の苔、硫黄の灰、マンドレーク)
地面に強烈な振動を与え、敵の行動を封じる。術者とパーティーのメンバーは、この魔法の影響を受けずに行動できる。



第七サークル

REL YLEM(Create Gold:黄金創出)
秘薬:Mandrake Root、Spider's Silk(マンドレーク、蜘蛛の糸)
鉛の塊を、10個の金塊に変質させる。

CORP POR(Death Bolt:死の矢)
秘薬:Black Pearl、Nightshade、Sulfurous Ash(黒真珠、ナイトシェード、硫黄の灰)
狙った敵に向けて、非常に殺傷力の高い魔法の矢を放つ。

TYM VAS FLAM(Delayed Blast:時限爆破)
秘薬:Mandrake Root、Sulfurous Ash、Black Pearl、Blood Moss、Spider's Silk(マンドレーク、硫黄の灰、黒真珠、血の苔、蜘蛛の糸)
狙った場所を中心とする一帯を、大爆発によって破壊する。魔法をかけたときから爆発するまで、術者とパーティーがその場を離れるのに必要な、ある程度の時 間的猶予が与えられる。

IN SANCT GRAV(Energy Field:エネルギーフィールド)
秘薬:Mandrake Root、Spider's Silk、Black Pearl、Sulfurous Ash(マンドレーク、蜘蛛の糸、黒真珠、硫黄の灰)
電気エネルギーのフィールドを発生させ、そこを通過するものにダメージを与える。

IN HUR GRAV YLEM(Energy Mist:エネルギーの霧)
秘薬:Mandrake Root、Nightshade、Sulfurous Ash、Blood Moss(マンドレーク、ナイトシェード、硫黄の灰、血の苔)
電気を帯びた霧を敵の周囲に発生させる。敵は、霧の中にいる間中、ダメージを受け続ける。

VAS AN XEN EX(Mass Charm:集団魅了)
秘薬:Black Pearl、Nightshade、Spider's Silk、Mandrake Root(黒真珠、ナイトシェード、蜘蛛の糸、マンドレーク)
第五サークルのCharm(魅了)と同じ効果を、敵のメンバー全員にもたらす。

IN VAS POR(Mass Might:戦力倍増)
秘薬:Black Pearl、Mandrake Root、Ginseng(黒真珠、マンドレーク、人参)
パーティーのメンバー全員の体力と戦闘力を一時的に倍増させる。

VAS MANI(Restoration:完全回復)
秘薬:Ginseng、Garlic、Sulfurous Ash、Mandrake Root(人参、にんにく、硫黄の灰、マンドレーク)
術者とパーティーのメンバー全員の怪我の治療、体力回復、悪性の呪い、毒、麻痺などの解除を一瞬に行う。



第八サークル

VAS KAL AN MANI IN CORP HUR TYM (Armageddon:アーマゲドン)
秘薬:Black Pearl、Blood Moss、Garlic、Ginseng、Mandrake Root、Nightshade、Spider's Silk、Sulfurous Ash(黒真珠、血の苔、にんにく、人参、マンドレーク、ナイトシェード、蜘蛛の糸、硫黄の灰)
非常に強い破壊力を持つ魔法で、この世のすべての生物の命を一瞬にして奪うと言われている。幸いなことに、まだこの呪文を唱えたものはいない。

VAS CORP HUR(Death Vortex:死の渦)
秘薬:Mandrake Root、Nightshade、Sulfurous Ash、Blood Moss(マンドレーク、ナイトシェード、硫黄の灰、血の苔)
術者の思った場所に黒い竜巻を発生させる。竜巻は意思を持ったかのように自由に動き回り、稲妻を伴う大きなダメージを周囲の人間や生物に与える。

VAS SANCT LOR(Invisibility All:全員透明化)
秘薬:Mandrake Root、Nightshade、Blood Moss、Black Pearl(マンドレーク、ナイトシェード、血の苔、黒真珠)
第五サークルのInvisibility(透明化)と同じ効果をパーティーのメンバー全員にもたらし、全員を透明人間にする。

VAS CORP(Mass Death:虐殺)
秘薬:Garlic、Ginseng、Mandrake Root、Nightshade、Blood Moss(にんにく、人参、マンドレーク、ナイトシェード、血の苔)
術者とパーティーのメンバーを除く、視界内のすべての者を即死させる。

IN MANI CORP(Resurrect:蘇生)
Reagent: Garlic、Ginseng、Spider's Silk、Sulfurous Ash(にんにく、人参、蜘蛛の糸、硫黄の灰)
死んだ人間を蘇らせる。ただし、失敗の確率は高い。

KAL VAS XEN(Summon:召喚)
秘薬:Mandrake Root、Garlic、Blood Moss(マンドレーク、にんにく、血の苔)
強力な野獣を呼び出し、術者の味方として敵と戦わせる。

IN JUX POR YLEM(Swordstrike:死の車)
秘薬:Black Pearl、Nightshade、Mandrake Root(黒真珠、ナイトシェード、マンドレーク)
8本の剣からなる風車が出現し、狙った敵に向かって突進する。

AN TYM(Time Stop:時間停止)
秘薬:Mandrake Root、Garlic、Blood Moss(マンドレーク、にんにく、血の苔)
全世界の時間の流れを停止させる。ただし、術者とパーティーのメンバーだけは自由に動くことができる。




6 宇宙論

かつて、2つの月の相と天体の運行に大きな関心が寄せられていた時期がありました。
とくに関心が高かったのは、定期的に起こる“天文整列”という現象でした。
天文整列が起こると、この世界と異次元の世界との間に通路が開くと信じられていたからです。

現在では、一般の人びとの意識から天文整列はすっかり消え去り、天文学者だけの関心事となっています。
魔法の時代が終わるとともに、そうした考えも意味を失ってしまったのです。

魔法が機能していた時代、“Moongate”(ムーンゲート)と呼ばれる光のドアを通って遠くへ瞬間移動する交通手段が存在しました。
ムーンゲートには、青いものと赤いものの2種類があったと言われています。
青いムーンゲートは、他の天体からやってきた石“Moonstone”(ムーンストーン)が埋められた場所に出現し、青いムーンゲート間を通行できたとさ れています。

赤いムーンゲートは、“Orb of Moon”(月の珠)と呼ばれる宝珠を使って出現させ、それを使うことで、ブリタニア中のどこへでも行くことができました。
ブリタニア以外の他の世界へも行けたとも言われています。
記録に残っている限りでは、赤いムーンゲートの目撃例は、ロード・ブリティッシュが使用したものと、アバタールが使用したものの2つだけです。

ムーンゲートに関する情報は非常に限られていますが、魔法同様、現在ではほとんど機能していません。
そのため、今、ムーンゲートを試そうと思われることは、非常に危険です。
どのような事故につながらないとも限らないため、強く自制を求めます。


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