Ultima4 マニュアル
The History of Britannia

Ultima IV Quest of the Avatar :
The History of Britannia as told by Kyle the Younger(歴史の書)


第一章 政治史

ブリタニアには、憎むべき3人の悪魔が我がもの顔に国中をのし歩き、人々の魂を支配しようと、暴力のかぎりをつくしていた長く辛い時代があった。
人々はそれを、ブリタニアの暗黒時代と呼ぶ。

暗黒時代の第一期は、ウルテイマ?Tの年代記にもあるように、邪悪なる魔法使いモンデインと、その手下たちが滅ぼされたことによって、終りをつげた。
その頃、ブリタニアの各地の領主たちは、弱体であったうえに、あまり交流もなく、内部的な派閥争いにうつつをぬかすという状態であった。
そのため、極悪非道なモンデインをその隠れ家まで追い詰め、滅ぼすことができたのは、冒険者たちの勇敢なる働きがあって初めて成し得たことだったのであ る。

しかし、モンデイン滅亡後の平和は、そう長くは続かなかった。
あまりにも長きにわたってモンデインの支配下にあえいでいた人々は、モンデインが滅ぼされたとは、にわかには信じられず、多くの人々は、いまだにモンデイ ンの法律を守り続けていたのだ。
そのうちに、モンデインの弟子、ミナクスが力をつけ、発展を始めた新興の町々に攻撃を仕掛けた。
再び、恐怖の時代が始まったのだ。

ミナクスの力は、悪の師であるモンデインをもはるかに凌ぐほど、強大であった。
その力たるや、この惑星に徹底的な破壊の雨を降らせ、あらゆるものをねじ曲げ、叩きつぶした。
その支配力は、あたかも悪に満ちた蜘蛛の巣のように、時代をまるごと包み込み、楯突こうとする者をみな、網にかけていった。
だが、あるとき伝説の世界から一人の英雄が現れた。
彼は、炎の城においてミナクスに勇敢に立ち向かい、ついに、その首を討ち取ったのだ。
こうして、第二期の暗黒時代は終わった。
このことは、ウルテイマ?Uのなかで語られている。

平隠な時代は20年間続き、国は繁栄に恵まれた。
だが今度は、奇妙な燃える島の出現にともなって、不吉な予言が広まっていった。
第三の暗黒時代の物語りは、吟遊詩人、イオロによってウルテイマ?Vのなかで語られている。

ソーサリア大陸に生まれた初めての帝国の王、ロード・ブリテイッシュは、古の“人民の英雄”たちを、時を越えて呼び出した。
呼びかけのクラリオン(ラッパ)に応えて集まったのは、4人の個性豊かな冒険者たちであった。
そして彼らに、エクソダスの運命が委ねられた。
得体の知れないエクソダスを求めて、長く厳しい旅は続いた。
4人は、魂を焼き焦がす数多くのタンジョンにもぐり、旅の終わりには、全員の身体は傷だらけになってしまった。
不思議な時の神(タイム・ロード)の助けもあって、一行は巨大な蛇、グレート・アース・サーパントの横をすりぬけて、海に囲まれたエクソダスの砦へたどり つくと、そこには、砦の石垣が目の前にそびえ立っていた。
4人が宿敵に迫る情景を語る、吟遊詩人の歌のすばらしいこと。
最後の戦いについては、この地から悪は去ったと言う以外、4人は何も語ることはないだろう。
このように、3人目の悪魔は滅び去り、その死をもって、ブリタニアの暗黒時代も消え去ったのである。

ブリティッシュ王は、瓦礫と化したソーサリアを、本土はもちろん、小さな島々までも彼のもとに統一した。
この新しいブリタニア王国は大いに栄え、そこに住む者たちに、絶えて久しかった平和をもたらし、各地に点在していた悪の孤立した軍勢も一掃した。
その結果、運が悪いと、金品を狙うオークどもや、ヒル・ジャイアンツに出くわすといった程度の旅の危険が残るのみとなったのだ。
未踏破の土地を除く、ほとんどの領土が地図に記された。
3人の悪魔は滅び、ブリティッシュ王は人々の生活の向上に貢献し、人々の信望を厚くしていった。
この王の仕事を助けるために、国内の互いに遠く離れた3つの地点に、堅固な建物が建てられた。
ひとつは、立派な天文台のあるライキューム。
ひとつは、オークの森に囲まれ、賢者たちが先人の教えを沈思するエンパス・アビー。
そして、もうひとつは、シルバー・サーパント騎士団の城。
ブリティッシュ王の騎士道精神を正しく受け継ぐ者だけが入団を許されるその騎士団は、勇気の権化であり、なによりも高い理想の体現であった。

それ以外の領土は、8つの町を中心に広がる区域に分かれ、それぞれの町の住民は、独特の理念を堅持していた。
また、町と町の間には、いくつかの村が点在する。
このように、ブリティッシュ王の領土は、組織されたのだ。




第二章 地理

エクソダスの最後の一撃は、それまで知られていた世界の様相を一転させてしまった。
山がせり上がり、多くの陸地が海に没した。
地表のほとんどの部分は互いに融合し合い、大きくひとつに塊まり、今日、ブリティッシュ王が治めるこのブリタニア大陸となったのだ。
周辺の島々もブリティッシュ王の支配下に入ったが、その彼方には、地図にも記されていない砂洲が存在し、いまだに悪魔の巣が残っていると噂されている。

ブリティッシュ王の壮麗なる城は、ブリタニア湾を臨む大陸の中心にある。
この多層建築は、偉大なる近代建築学の産物なのである。
臣下たちはみな、このブリタニア城を訪れるたびに、王に臣従の礼を尽くし忠誠の心を新たにする。
そのすぐそばに、ブリタニアの芸術の中心、ブリテインの町がある。
そこでは、吟遊詩人たちが、歌に織り込んだ古い言い伝えを披露しては、訪れる人々を楽しませてくれるのである。

ブリティッシュ王の城の北方には、ブリタニアの最高峰、サーパンツ・スパイン(蛇の背骨)大山脈が横たわっている。
夏の間は、険しく細い山道が、旅慣れた者たちに尾根の向う側への近道として利用されるが、その地域を根城とする獰猛なひとつ目のサイクロプスや、ふたつ頭 のエイティンに襲われる危険性が非常に高い。

山脈の北西には、ディープ・フォレスト(深い森)と呼ばれる広大な森が広がっている。
その、高くたくましく育った木々の間で、これまでに何人の旅人が道に迷ったことか。
しかし、たとえ踏み分け道を外れてしまったとしても、気を落とすことはない。
森のどこかに、謎に満ちたドルイドたちの住む、美しいユーの町があるのだ。
ユーの高等裁判所は、デリタニアにおける重要な事件すべてに、判決を下している。
その判決の公正さは、あまりにも有名。ユーからそう遠くないところに、ブリタニアの精神の中心として高名なるエンパス・アビー修道院がある。
その神聖な建物のなかでは、賢人たちが、古の師が残した書を読み、宇宙を支配するグレート・プリンシパル(偉大なる原理)について、瞑想している。
正しいマントラ(祈りの言葉)に集中して行う瞑想は、よいものだ。
強い忍耐力と集中力を持つものに、ときとして貴重なアドバイスを与えてくれることがある。
一度は経験してみる価値はあろう。

ディープ・フォレストの東には、美しい馬の産地、ブリタニアのハイ・ステップス(大高原)が広がっている。
盗賊や敵意に満ちた魔法使いたちさえいなければ、旅には良いところだ。
ハイ・ステップスは、古代の動乱の舞台となった、神秘の湖に通じている。

ハイ・ステップスを越えると、そこは最後の悪の大部隊が撃滅された戦場として名高い、ブラディー・ブレイン(血塗られた平原)、多くの勇敢なる者たちが徳 を求めて戦い、この地に消えていった。
ここを通るときは、充分、注意するように。
ある月の相になると、一度死んだ者たちが再びここで戦いを始めると言われているのだ。

ロストホープ・ベイ(失望の入江)は、ブラディー・ブレインの北方に位置し、堅固なる町ミノックは、その岸辺にある。
国中で最も優れた工芸職人は、みなミノックの出身である。
ミノックの鍛治屋の腕のすばらしさを知らない者はいない。
また、旅人にとって、そこは疲れを癒すウェィフェアラーの宿屋のある町として、親しまれている。
ブリタニア大陸の北東のはずれは、未だ荒廃したままの状態を残している。
有毒ガスを漂わせて、不用意な旅人を毒で犯す湿地には、巨大な昆虫の群や、あらゆる邪悪な種類の野獣が身を潜めている。

ブリタニア城の南方には、平野、山地、森林と続き、さらにその南には、ブリティッシュ王が最も信頼し、崇高な精神を擁護する騎士の故郷、トリンシックの町 がある。
その地方の最高の酒を集めたこの町の酒場には、噂の宝庫とも呼ぶべきバーテンがいる。
彼にだけは、チップをはずんでおこう。

ブリタニア大陸の南端には、ちょうど鉤爪のような格好をしたケープ・オブ・ヒーローズ(英雄たちの岬)がある。
そのすぐ西に浮かぶバラリアン諸島の、壁に囲まれた町ジェロームは、ブリティッシュ王のために最も優秀な戦士を送り出してきたところであり、またここの宿 屋は、サービス、設備ともに、ブリタニア最大を誇っている。

シルバー・サーパント騎士団は、ケープ・オブ・ヒーローズの南に浮かぶ島に、その本部を置いている。
それは、森に囲まれた砦で、彼等の類稀なる奉仕ぶりに応えたブリティッシュ王より、贈られたものなのだ。
ここをひとたび訪れた者は、騎士団というものの真の精神を教えられるのである。

ブリタニアの西海岸の沖に浮かぶ島は、豪胆なレンジャーの故郷。
スカラ・ブレイは、おおらかで、くつろいだ雰囲気の町である。
そこでは常に、奇病や痛ましい傷に悩まされている人々のために、不思議なヒーラー(治療師)が待機している。
ヒーラーは、貧しい人も、裕福な人も区別せず決く治療を施す。
そして、困っている人には、決して代債を要求しない。

ブリタニアの北東には、かのライキュームがあるベリティ島が浮ぶ。
そこは、ひときわ卓越した心を磨く、ブリタニアの高度な教育の中心地。
天体の動きに関する貴重な情報をブリタニア王に捧げているライキュームの天文台は、また、国中の出来事を観察する見晴らし台ともなっている。
島の南端には、伝説の町ムーングロウがある。
ムーングロウのメイジ(魔術師)は、常に技術の向上に謹しんでいる。
より高度な秘術を求めて、研究を怠ることがないのだ。
この町では、最高の品質の秘築が手に入る。
それは、呪文などの魔法技術と並んで、魔術師の助けとなる、大変に重要な物なのである。


以上が、今日知られているブリタニアの領土である。
小さな村もいくつかは点在するが、すべてが地図に記されているわけではない。
また、海岸線にしがみ付くように散らばっている、さまざまな形の島々が見られるが、そのほとんどは無人で、不毛なとこるである。
ただ、旅人が気を付けなければならない群島が、一個所だけある。
フェンズ・オブ・デッド(死の沼)と呼ばれる海域に浮かぶ島々だ。
ウィスプ、幽霊、リッチ、ゾーンなどの化物に、そこで出会ったという報告が届いている。

現在ある地図は、どれも完全ではない。
まだ、火を吐くドラゴン、いくつもの頭を持つヒドラ、角を生やしたデビル、熔岩トカゲ、さらには恐るしいバルロンまでが住む、未踏の島々があるとさえ言わ れている。
また、文明の届かないはるか彼方には、住民があまりに、驕り高ぶったために神々の破壊に合った、あの伝説の町マジンシアの廃墟があるとの噂もある。
大理石の宮殿も庭園もすべて荒れはて、裕福で高慢な住民たちは、幽霊となって町を呪っている。
誰もこの言い伝えを確かめたのけではないが、人の弱い心を震え上がらせ、富を持ちすぎる者に謙虚な心の大切さを教える教訓となっている。


大陸の海岸線に沿っての海の旅は、比較的、安全であるが、野蛮な海賊どもが、近年ブリタニアに出没し、海辺の住民に恐怖をふりまいている。
海賊に、捕虜を取られることだけはないように、注意せよ!

はるか沖へ出ると、さまざまな不思議な生物に出くわすであろう。
闇雲な航海は、えてして、ジャイアト・スクイッド、ニクシーズ、毒をもつサーパント、謎のシーホースなどに遭遇することとなる。
そして、渦巻きや龍巻きは、船乗りにとっては、時と場所を選ばず、常に最も恐ろしい存在なのである。

この次にブリタニアの歴史が編纂されるときには、旅人が持ち帰ったより多くの情報をもとに、さらに詳しい地図が載せられることを期待しよう。
最後に、これから旅人とならんとする者へ――ダンジョンとその地下通路には、気を付けたまえ!




第三章 人々

ブリティッシュ王の定めにより、8つの町は、それぞれ8つの主要な産業を持つ、8つの職業と文化の中心地として発展させられてきた。
この方法は、秩序ある社会を、個性豊かな住民たちの間に、これといったいさかいを起こすことなく発展させることに成功したのだ。
もちろん、自分の望む職業に就くために、生まれた町を離れることは自由である。
実際にそうしている人も、珍しくない。

メイジ(魔術師、魔法使い)
ライキュームの近く、ムーングロウがブリタニアの魔術師の町。
その図書館には、古代の魔法の巻物が多く集められている。
職業上のきまりによって、魔術師は、布の服以外の着用は許されず、武器は、スタッフ(杖)、ダガー(短剣)、スリング(投石帯)しか使うことができない。
もっとも、熟練した魔縮師は、魔法の武器を使いこなすとの噂もないわけではない。
魔術師の第一の武器は、もちろん魔法である。
熟練すればするほど、より強力な魔法を編み出すことができる。
最も強力な魔法には、文字どおり、大地を揺り動かしたり、死人を甦らせたりするものもあるという。

バード(吟遊詩人)
ブリテインの吟遊詩人は、すばらしい歌や武勇伝などを聞かせて、私たちを楽しませてくれる。
彼らは、単に歴史的な英雄の物語を多く記憶しているというだけでなく、それを実に感動的に語ってくれるのだ。
吟遊詩人は、武器にはスリングを好むが、クロスボウ(石弓)を使用することもある。
詩人である彼らにとって、金属のたてる音は堪え難く耳障りなため、鎧は革製のものしか着ようとはしない。
バードはまた、魔法にもたけていて、長旅には、ぜひ連れて行きたいひとりである。

ファイター(戦士)
強い戦死は、ジェロームの町から生まれる。
彼らの一生は修業の連続であり、あらゆる武器、あらゆる防具を使いこなす。
なかでも一番好まれる武器は、達人の手に握られると、壊滅的な破壊力を発揮するとされているダブルエッジド・ブリタニア・リード(両刃ブリタニア刀)であ る。
戦士には、魔法の才能はほとんどと言っていいほどない。
彼らは、魔法の修行は真の戦士の意志と集中力を失わせると恐れ、武器だけを信じているのだ。
馬に特別の愛情をそそぐ彼らは、また、未踏の地への冒険には、実に頼もしい道連れである。

ドルイド(ドルイド僧)
愛する森が危険にさらされると、彼らは恐れを知らない戦士となる。
彼らにとって、樹木は神聖な存在であり、彼らの町ユーも、深い森に包まれている。
魔法に造詣が深く、薬草の知識において彼らに秀でる者はない。
また、各種の弓の名手でもあるが、なぜか好みの武器はメイス(つちほこ)である。
ドルイド僧の哲学は、あらゆる金属の着用を禁じている。
そのため、鎧は革製のもののみが許される。
森林を歩くとき、彼はきっと、心強い仲間となるであるう。

ティンカー(かじ屋)
ミノックのかじ屋は、優れた職人であると同時に、最高の戦士でもある。
一般に彼らは、魔法はあまり信用していない。
手造りの工芸品だけが真の価値を有すると信じているため、滅多に魔法は使わない。
あらゆる武器を使いこなすが、なかでもダブルエーデッド・バトル・アックス(二枚刃戦闘斧)がお気に入りである。
また、魔法のカを持たない、あらゆる防具を身に付けることができる。
かじ屋が仲間にいれぼ、金属製、木製の道具の修理には、事欠かないのである。

パラディン(騎士)
ブリタニアの南の端、トリンシックの町には、すばらしい騎士が住んでいる。
彼らは戦術と武器のエキスパートであり、魔法の鎖かたびらを着るという点で、他の職業に就く者とは異なっている。
善の尊さを強く信じる心と、鋭い第六感が、彼らの魔法のカをより強いものにしている。
騎士は、このように、敵にまわすと恐ろしい相手となり、味方にすると貴重な仲間となる。

レンジャー
大陸の西海岸沖に、レンジャーの住む美しい島が浮かんでいる。
彼らは、安住の地スカラ・ブレイから飛び出して、国中の人々の健康のために骨身を削っている。
レンジャーは、森の知識に精通していて、戦闘では、ほとんどすべての武器を使って勇壮に戦う。
しかし、防具は革製の鎧のみを使用する。
魔法にもかなり熟練していて、荒野では、追跡の名人である。

シェファード(羊飼い)
羊飼いが、戦闘と魔法のどちらに秀でているのかは、あまりよく知られていない。
しかし、謙虚で国中の道をよく知っている羊飼いを旅の仲間に加えることは、非常に価値のあることである。


ブリタニアの旅は、一人きりでするものとは決まっていない。
それぞれの町で、旅人はすべての住民と会話をしなければならないことがある。
そしてもし、汝自身の人生哲学と近いものをその町で感じたら、そこのひとりに、仲間に加わるよう尋ねるがよい。
その誘いが快く受入れられたなら、その者は、汝と共に旅し、汝を助け、共に戦うであろう。
汝が己の信念に忠実であるかぎり、その者も、汝に忠実であり続けるはずである。
もしも汝が、行動や言動において心の道を踏み外してしまったら、汝は彼らに捨て去られ、運命のなかに取り残されることだろう。
彼らは、召使いでも雇われ人でもない。
自由意志で行動を共にする仲間たちであるということを、忘れてはならない。
彼らは、汝をリーダーとして深く信頼し、持物や金をすべて汝の管理にまかせるであるうから、心して、それを使うように。




第四章 商業

ブリタニアには商人階級があり、商店は、みなよく繁盛している。
どの町や村にも店はあり、特産品やサービスを売り物にしている。
利口な旅人は、便利で値段も手頃な品物を見つけるのがうまく、食事や宿泊の場所も、数多くあるなかから選んで利用する。

ブリタニアの貨幣は、ブリティッシュ王の紋章をもとにデザインされている。
それは、金貨の上に、銀の蛇が浮き彫りにされているのだが、あまりにも製造過程が複雑であるために、これまでに完璧な偽造が行われたことはなく、価値が下 がったこともない。
この金貨は、ブリタニアの安定の基礎であり、どこでも立派に通用する。
この国の金貨は、たびたび発見される櫃の中から出てくることがある。
また、地下深く、暗いタンジョンの中でも見つかることがある。
ただし、ほとんどの櫃には、泥棒よけのための魔法の罠が仕掛けてあるから、気をつけるように。


ここに、人気のある何件かの店の商品リストの一部がある。


武器店
ここに、かじ屋が鍛え得る最も優れた武器がある。
それぞれの町の職人の技量によって、店には次に並べる武器のどれかが置かれることになる。

スタッフ(杖=Staff)
ソード(刀=Sword)
ダガー(短剣=Dagger)
ボウ(弓=Bow)
スリング(投石帯=Sling)
クロスボウ(石弓=Crossbow)
メイス(つちほこ=Mace)
フレーミング・オイル(燃える油=Flaming Oil)
アックス(斧=Axe)
ハルバード(槍斧=Halberd)

武器屋は、中古の武器の買い取りもしてくれる。
取引は公正であるが、戦いでボロボロになったアックスなどに、あまりいい値段は期待しないほうがいいだろう。


防具店
ブリタニアでは、すばらしい防具が手に入る。
これは、汝の脇腹を追い剥ぎの短剣から守るためのもの。
町の防具店では、次のいずれかを買うことができる。

クロース(布の服=Cloth)
チェーン(鎖かたびら=Chain)
レザー(革の鎧=Leather)
プレート(鉄の鎧=Plate)

防具店も、古い防具の下取りを行っている。
しかし、下取り値段はなかなか厳しい。
ファイターが新しい防具を探しに店にやって来る頃には、彼らの使っている防具は、もうばらばらになって崩れ落ちそうなほどボロになっていて、スクラップと しての価値しか残っていないからなのだ。


酒場
ブリティッシュ王の家来たちは、ブリタニアの酒場を大変に高く評価している。
その丁重なもてなしだけを見ても、彼らの言わんとすることはわかる。
どの酒場でも、すばらしい酒と食事が旅人に供される。
また、バーテンは、どうしようもないお喋りで、適当な金を払って、適当な質問をすれば、珍しいニュースが聞けるかもしれない。
公衆の面前で酔っぱらうことは、ブリタニア全土で禁止されているから、どうか、羽を伸ばすのも、分別をもって、ほどほどに願いたい。


食糧品店
町から遠く離れた地で、仲間たちが餓死してゆくのを見ることほど、辛いものはない。
それというのも、遠征隊の代表者(汝である)が充分な食糧をもっていかなかったからだ。
機会あるごとに、食糧は買い込んでおくことだ。
仲間たちは、きっと汝の先見の明に感謝することだるう。


治療院
いくつかの町には、致命的な傷も治ってしまう、ありがたい治療の場がある。
仲間たちの治療も忘れずに。荒れ果てた土地では、健康なパーティーだけが生きてゆける。
怪物の吐きかけた毒液に侵された者を治せるのは、治療師だけであうう。


宿屋
数多いブリタニアの宿屋は、疲れ果てた旅人に、心地よい夜の眠りを与え、旅の仲間全員に活力を蘇らせてくれる。
宿の雰囲気は、町ごとに異なり、料金もまた様々である。


薬草店
魔法の修行者はみな国中を歩きまわって、この店を探す。
そこでは、呪文のための調合物の成分、魔術師の間では秘薬と呼ばれているものが売られているのだ。
この調合物なしには、どんな呪文もうまくかけることができない。
ある薬草は、あまりに希少であるため、滅多に店頭に出ないものもある。
現在知られている秘薬は、

硫黄の灰(Sulphurous Ash)
血の苔(Blood Moss)
高麗人参(Ginseng)
黒真珠(Black Pearl)
大蒜(Garlic)
ナイトシェード(Nightshade)
くもの糸(Spider Silk)
マンドレイク(Mandrake Root)

貴重な秘薬を無駄にしないように、調合はくれぐれも慎重に。


ギルド
ギルド(泥棒組合)はブリタニアから追放されたのだが、まだ海の上のどこか、おそらくは、地図に記されていない島で活動しているという噂がある。
たぶん彼らは、海賊どもを通して、なんとか大陸との連絡を保っているのだろう。
以前、ギルドで扱われていた品物はきわめて高価であったが、ちょっと変わった体験をしてみたくて、わざと人の道をはずれようとする人間にとっては、それな りに価値のあるものかもしれない。


以上がブリタニアの主な商店であるが、あといくつかの知っておくべき場所を記しておく。


神殿 ここでは、各町の信心深い人々が、自らの人生の道について瞑想する。
それぞれの神殿は、それぞれに異なったマントラ(祈りの言葉)に反応する。
調和と集中が、瞑想の鍵となる。
悟りは、苦労して初めて得られるものである。


シアー・ホークウインド(予言者)
ブリタニア城内に、宮廷予言者ホークウインドが住んでいる。
多くの人間が正しい道を歩もうとするが、正しい道を見出せる者は非常に少ない。
人生の道において前進したければ、予言者に助言を求めるのだ。
彼は、汝の心の奥底を覗いて、汝の前進あるいは失敗を読み取る。
助言を聞け。
されば、迷い出た足も再び正しい道に戻るであるう。




第五章 交通

数百年もの間、旅は徒歩と決まっていた。
徒歩による旅は、景色を楽しむにはよいが、広大な大陸の端から端までを歩くとなると、恐るしく時間がかかってしまう。
危険なことも多いブリタニアの旅ではあるが、それも、じきにずっと手軽なものとなるだろう。
ブリタニア王の保護によって進められていたムーン・ゲート(月門)の研究によって、謎に包まれていたその特性が、明らかにされてきたのだ。
将来、人々はムーン・ゲートを遠方への旅の手段として、ごく日常的に利用するようになると、だれもが予想している。
それぞれの門の出口は、双子月、トラメルとフェルッカの満ち欠けによって、厳格に決定されているらしい。
門の出現と消滅には、確かに双子月と密接な関係がある。
門の出現する位置は、ブリタニアのどんな地図にも、月の相の形で表されている。
門の活動は、トラメルの相で示され、現れた門に入った後の行き先は、フェルッカの相で示されているのである。

ブリタニアの地形は、特徴的な6つの種類に分類することができる。

草原
最も歩きやすい平坦な土地。
そこには、ブリタニアの牧草が青々と茂り、家畜をまるまると太らせてくれる。
旅人は、何の傷害もなくこの土地を歩いてゆくだろう。


濯木の茂みや薮は、やや歩行を困難にする。
なにもないところを歩くときの、約4分の3の速度に落ちてしまうのだ。
大きめの潅木のまわりには、キャンプファイヤーに最適の小枝がたくさん落ちている。

森林
うっそうとした森のなかでは、あるく速度は普段の約半分にまで落ちてしまう。
ドルイドが愛する樫の木が、ここでは圧倒的に多く、続いて、セイヨウトネリコ、セイヨウブナの大木が立ち並んでいる。
森のなかでは、まったく見通しがきかない。

丘陵地
羊飼いによく好まれる起伏のある地形では、歩行は困難を究める。
どれほど困難かと言えば、強靭な足を持つ山羊だけが、カタツムリよりも、ほんの少し速く歩ける程度である。

沼地
沼地や湿地帯は非常に危険であるから、いかなる犠牲を払ってでも、避けて通るべきである。
歩行はぬかるみのために、普段の約半分の速度に落ちるといった程度だが、沼が放つ有毒なガスのために、そこを歩く者は、命を失いかねないのだ。

山岳地
ブリタニアでは、登山技術は発達していないため、一般の旅行者にとって、山岳地は閉ざされた地域となっている。
山の向う倒を見通すことも、不可能である。


馬を手に入れると、陸上の旅は大幅に高速化される。
ライキュームの賢人たちは、空気より軽い乗物をブリティッシュ王のために開発していたが、数ヶ月前に何者かに盗まれて、今は、どこへ行ってしまったのか まったくわからない。

旅の間には、予期せぬことが起こって、汝や汝の仲間たちのヒット・ポイントが下がってしまうことがある。そんな日の夜は、キャンプを張って休むとよい。
周囲をうろつく野獣に邪魔されなければ、全員が体力を回復することができるであろう。

海上においては、船の巧妙な操舵が汝の運命を決める。
強力な大砲も装備しているが、側舷からしか砲撃はできない。
立派な船乗りになるためには、ます水と風をよく知ることである。

海は、3つの海域に分けられる。
大きな波で表される、深い海域。
小さな波で表される、浅い海域。さざないが表す、浅瀬。浅すぎて、船は通過できない。
波の形が変わったら、陸が近いことを知っておくことが大切だ。
この知識は、汝の航海に大いに役立つはずである。

ブリタニアの風は、常にどちらかの方向に向かって吹いている。
ある一定の方向に吹き、時間がたつと、また違う方向にしばらく吹く。
この現象を利用して船長は巧みに船を進めることができる。
逆風で進むときは、速度は最も遅く4分の1。
追い風で進むときは、速度は上がって、4分の3。
風を横切るかたちで進む場合(西風で北へ進むようなとき)にのみ、船は最大速度で航行できる。

怪物や海賊の乗船を阻むために、砲台のある左舷や右舷を敵に向けるよう、操舵せよ。
汝の船には防御値がある。
それが0になったら、船は沈没して、汝と仲間たちは全威である。
捕らえた海賊船は、沈みかけた汝の船の代わりとして乗り換えることができる。
操舵技術が身に付くまでは、海岸近くで練習することを勧める。
大砲は、陸上の生き物に対しても有効であるが、なかには、飛行能力を備えていて、海を越えて追いかけてくる怪物もいることを忘れないように。




第六章 王国の武器と防具


武器

手:
すべての武器を失ったあとに残るものである。
素手でも、弱い怪物ぐらしなら倒せないことはないが、攻撃成功の確率は、高いものではない。

スタッフ(杖):
硬質材から彫り出された、長さ6フィートの棒。
製作の過程で魔法が使われていて、見掛けよりもはるかに強力である。
ブリテインの武器店で手に入る。
魔術師の愛用する武器である。

ダガー(短剣):
長さ10インチのみごとに鍛えられた鉄から、ブリタニアの標準的な短剣は作られる。
伝統的なかご柄は、見るからに機能的である。
初心者に最適な武器である。

スリング(投石帯):
ー般的な投石帯は、24インチの布をふたつに折り、革のカップを取りつけたもの。
どこにでも転がっている石を投射物として使うため費用のかからないミサイル兵器なのである。
つきに見放された旅人の、永遠の友である。

メイス(つちほこ):
21.5インチの厚さの樫の柄の先に、鋲を打った鉄の玉が付いている。
これがブリタニア式のメイス。
破壊力は、一撃で敵の頭蓋骨をこなごなに砕くほど。
ドルイド僧の愛用の武器である。

アックス(斧):
両側に2フィートの刃がついたこの戦闘斧を振り回せば、そこは戦場と化す。
鉄と木の職人、かじ屋は、これを最も好んで使う。

リード(刀):
これぞ、本当の戦士の武器。
4フィートの冷たく青光りする鉄の肌は、立ち向かう者の心臓に恐怖を突き立てる。
当然、刀は戦士の愛用の武器である。

ボウ(弓矢):
実に頼りになる長距離兵器。
襲いかかられる前に、敵を倒す。
ブリタニアの弓は、最上のイチイの木から作られる。
すべての大弓は、丹念に手で磨きがかけられ、弓の両端は動物の角でできた矢箒で装飾されている。
貧弱な防具しか身に付けない者が、これを愛用している。

クロスボウ(石弓):
これが、本当の飛び道具である。
その威力は、暴れ回るトロルを一発でしずかにさせることができるほど。
昔から石弓はマホガニーで作られ、胴の両脇にはブリティッシュ王の紋章である銀の蛇を彫刻した化粧板で飾られている。
弦の歌うような音のために、吟遊詩人の間で石弓は人気が高い。

フレーム・オイル(燃える油):
びんに入った燃える油の使用は、ブリタニアでは革新的な発見であった。
偉大なる8つの職業に就くものなら、だれにでも使うことができる。
火の点いた油を振り回して望みの方向に投げる。
すると、そこに炎の道ができ、数分間燃え続ける。
どんな相手も、この炎の中に一度入ると重傷の火傷を負い、炎が消えた後も、ターン毎にダメージを受け続けるのだ。
重傷を負った者や、助けを求める者にとっては、実に強い味方である。

ハルバード(槍斧):
7フィートの頑丈な棒の先に、鋭い網の刃が付いている。
ハルバードを効果的に使いこなせるのは、身体全体で調和のとれた運動ができる人間だけとされている。
前方で戦っている仲間の頭越しに、敵に攻撃を加えることができるこの武器を達人が握ると、大変に恐ろしいものとなる。
騎士が愛用する。

魔法の力を秘めた武器が、そこかしこで見つかったという話も聞くが、たしかな場所はわからない。
旅人は、それを見つけたときのために、それが使えるまでに自分を鍛えておかなければならないと、言われている。



防具

肌:
どの防具も身に付けていない状態である。

クロース(布の服):
ほかに着るものがない農民や、職業上の理由でこれ以外に身につけてはいけない人間が着る。
魔術師が、しぶしぶ着用している。

レザー(革の鎧):
経験の浅い旅人にとって、これは馬車馬のように頑丈でよく働く防具である。
レザーを最良の防具として指定する職業も少なくない。
吟遊詩人、ドルイド僧、レンジャーがそうである。

チェーン(鎖かたびら):
戦闘の間、その重さに耐えられるものにとっては、鎖かたびらは、実によく身体を守ってくれる。
精製された鉄だけを使って作られ、方の部分は二重になっている。
また、すべての鎖の接合部をリベット止めすることで、強靭さを増している。
戦士とかじ屋の間で、人気が高い。

プレート(鉄の鎧):
防具の貴族とも呼ばれ、その防御力には他のどの防具も及ばない。
ひとつひとつが、着る者の身体に合わせて仕立てられる。
当然、値段は張るが、効果は絶大である。
騎士が好んで着用する。

武器と同様、防具にも魔法の力を秘めたものがあるという噂が流れている。
ドラコンの吐く炎にも耐えられるというのだが、怪しいものである。
もしかしたら、人間たちに有りもしないものを探させて、ついには死に追いやろうとするオークどもの陰謀かもしれない。




第七章 魔術

目で見たり感じたりできないことは、一般には理解の範囲を超えたものとして無視されてしまうが、見えないのを見、実体のないものに触れることができる人た ちも、ブリタニアの住民には少なくないのである。
彼らが持つような知覚能力や特別な力を、我々は魔法と呼んでいる。
魔法については、ある人は『技術』だと言い、またある人は『科学』であるという。
まったくの門外漢であるこの歴史家には、『技術』のほうを解説することはできない。
そこで、私にもある程度は理解できる、『科学』的な部分について、注釈を加えようと思う。

魔術の基本は、正確な秘薬の調合である。
秘薬自体は天然の物質であるが、それは、魔法をかける最初の段階で、必要とされるエネルギーを生み出すのである。
どの魔法にも、それぞれ定められた調合法がある。
それは魔法使いひとりひとりの秘伝であり、むやみに他人に教えることがない。
なぜなら、魔法を操る者同士の戦いともなると、ある魔法をひとつ、知っていたかいないかで生死を分けることが往々にしてあるからなのだ。
薬草店の取り扱い商品リストを見れば、だれにでも、どんな秘薬があるのか、その名前だけならすぐにわかる。
硫黄の灰、高麗人参、大蒜、くもの糸、血の苔、黒真珠、がそうである。

この他に、あと2種類の秘薬、ナイトシェードとマンドレイクの根があることが知られているが、それらは店の者によると、売買はされていないそうである。

魔法の能力は、ある特定の職業に就く者に備わるとされている。
魔法使い(メイジ)とドルイド僧は、非常に高い能力を持ち、騎士(パラディン)、吟遊詩人(バード)、かじ屋(ティンカー)、レンジャーは、前の二者程で はないが、ある程度の能力を持つ。
戦士と羊飼いには、魔法の能力はない。
なかでも魔術師は魔法の元となる特殊なエネルギーと大変うまく同調するため、彼らが魔法をがけるときは、青いオーラーが頭や肩から発生するのである。

攻撃や防御の魔法が多いなかで、明かりの術、開放の術、眺望の術などの日常役に立つものもある。
また、数は少ないが、風の力を制御する天候占術師もいるらしい。
ライキュームの図書館には、古代の巻物が展示されているが、そこには、魔法的に存在する何種類かのエネルギー・フィールドのことが記されている。
その種類と性質は、次のとおりである。

眠り
そこを通る者を眠らせる、緑色のフィールド。

稲妻
通り抜け不可能な青色のフィールド。
触れる者にタメージを与える。


そこを通り抜けようとする愚かな者に、大きなタメージを与えるオレンジ色のフィールド。


毒性の蒸気よりなる紫色のフィールド。
息も止めずにこれを通過しようとすれば、必す毒に冒される。

これらのフィールドを魔法で自在に操ることが可能かどうかは、定かではない。
また、巻物には、魔術の大戦の物語が記されている。
しかしながら、その場に居合わせた巻物の著者がその大戦を生き延びたことを表す記述は、どこにもない。




第八章 動物

バット(こうもり)
洞窟の深い場所などに住む、地下性生物。
悪に属さない自然界の動物で、動物の血液を主な栄養源としている。
体はきわめて大きく、安眠を乱すものすべてに襲いかかる。

サイクロプス(ひとつ目巨人)
悪に属するこの巨人は、500キロもあるような巨石を投げ落とす。
かする程度でも、それがパーティーの仲間たちに与えるダメージはかなりのものだ。
サーパンツ・スパイン山脈を絶好の猟場としていると聞く。

ドラゴン(竜)
空を飛ぶ悪魔、ドラゴンは、海上を飛びまわり、巨大な火の玉で航行中の船を破壊する。
ドラゴンの攻撃に二回以上耐えられる船は、そう多くない。

エティン(双頭の巨人)
悪に属し、ふたつの頭を持つこの奇形の巨人は、巨石を投げつけては、旅のパーティーに重大なダメージを与える。
これを倒すためには、飛び道具か魔法の使用が賢明であろう。
サーパンツ・スパイン山脈に沿って、エティンの一族が集団で棲息しているという。

ゲイザー(目玉怪物)
動物を眠らせて捕食する、悪に属する下等生物。
深い森に棲息する、浮遊性の日玉の塊である。

ゴースト(幽霊)
天国へ行けずに、二次元の世界に捕らわれてしまった霊魂。
壁も通り抜けることができるので、近くにいそうだと感じたら、細心の注意をはらうことが大切である。
悪に属するゴーストは、廃墟、戦場、地下室などで遭遇することが多い。

グレムリン(小悪魔)
いつも腹を空かせている地下世界の住人。
不注意な旅人にそっと近付いては、食糧をねこそぎにする。
悪に属するグレムリンには、できるだけ近付かないことだ。

ヘッドレス(頭なし男)
これも恐怖と破壊そのものといったヘッドレスは、まさしく悪夢から生まれた悪の生物である。
頭のない胴体に襲いかかられて、体面も忘れて逃げ出した旅人は数知れない。

ヒドラ(多頭蛇)
いくつもの頭を持つヒドラには、気を付けるように。
巨大な火の玉によって、パーティーはみなフライにされてしまうであろう。

インセクト(虫)
害虫とはいえ、悪には属さないこの虫たちは、近付きさえしなければ、人間に危害を加えない。
沼地とダンジョンを棲息地として好む。
虫は空を飛べるので、川や湖を越えて追い掛けてくることがある。

リッチ(魔術師の亡霊)
生前、強大な力を誇った魔術師は、死んで亡霊となっても、その魔法の力は非常に強い。
どんなに体調のよいときであっても、リッチは最も危険な敵である。

ラーバ・リザード(熔岩とかげ)
火を好む爬虫類で、地獄に住んでいる。
戦いともなると、100メートルも離れたところまで、燃えさかる熔岩を吐きかけるという。
悪に属するこの生き物に、気を許してはならない。

ミミック(ものまね)
ブリタニアで最も油断のならない悪の生き物である。
どんな物にも形を変えることができ、なかでも宝箱に変身するを得意としている。
宝箱を見つけたと思って、旅行者などは喜んで近寄ってくる。
そうして、そばまで近付かせておいて毒ガスを吐きかけ、倒れたところに襲いかかるのである。
ミミックを見破るただひとつの手段は、しびれを切らせて自分で蓋を持ち上げるまで、近付かずに待つことである。

ニクセ(海の妖女)
古代の妖精の従兄弟にあたる、海の精。
船乗りの心臓に恐怖の一撃を加えようと、深みよりやって来る。
悪に属するニクセは、鋭い三叉の槍を遠くから投げつけ、船の乗り組み員に多大なダメージを与える。

オーク(人喰い鬼)
3人の悪魔が及び去ったとき、このオークもいっしょに絶滅して欲しかった。
以前に比べれば数はぐっと減ったが、鬼のような繁殖力でもって、今でも森林や丘陵地帯に群をなしている。

ファントム(亡霊)
悪に捕らえられ、永遠に戦うことを強いられている悲劇の魂である。
体を持たないが、刀や盾は目に見えるので、彼らの存在を知ることができる。
死というものが意味を持たないファントムは、実に手強い相手である。

パイレーツ(漫賊)
死刑執行令状を頭上に掲げる彼らは、まさしくブリタニアの屑である。
邪悪なる海賊には、捕虜をとるという考えがないことを忘れてはならない。
大口径の大砲を装備し、よく訓練された乗り組み員たちは、大型のガレオン船を巧みに操作し素早く戦闘位置につける。
海賊船に横付けされてもなお戦いに勝てた船長は、本当に数えるほどしかない。
勝てる望みがあるとすれば、まったく常識はずれの戦法をとるか、思い切って接近戦にもちこむことであろう。
もし、海賊どもを打ち負かすことができたなら、船は戦利品となる。
孤島に置き去りにされてしまったときなどは、これが唯一の救いともなる。

パイソン(大蛇)
ブリタニア・パイソンは、猛毒は持っているものの悪には属していない。
ただし、捕まれば締め殺されるのはもちろんのこと、悪臭を放つ毒液を遠くまで吐きかけるので、決して軽く見てはいけない。

ラット(大ねずみ)
悪には属さないが、食べ物を求めて人間のキャンプなどに侵入することがある。
彼らを驚かすような愚かなことをすれば、必ず威嚇されるであろう。

リーパー(死神)
木の幹のような体を直立させて、触手を振り回す恐ろしい生き物である。
悪に属するリーパーはまた、様々なエネルギー・フィールドを生み出せるとさえ言われている。
その意味では、もっとも邪悪な相手と言える。

ローグ(盗賊)
到るとこるに姿を現すローグは、その多くが脱獄囚であり、旅人を襲う追い剥ぎで生計を立てている。
また、近付くと、金品をすられることがある。

シーホース(たつのおとしご)
この超自然の美しい生き物は、悪に属するものではない。
しかし、ひとたび攻撃が加えられると、相手をそのままにはしておかない。
高い魔法の能力を有し、敵をずたずたにしてしまう。

サーパント(うみへび)
ドラゴンの海の親戚であるうみへびは、近付く機会を与える前に、火の玉の攻撃で船を沈めてしまう。
うみへびに対する最も有効な防御法は、速やかに接近戦の体勢に持ち込むことである。
いちかばちかではあるが、この方法でしか切り抜けることは非常に困難である。

スケルトン(骸骨)
歩きまわる骨、スケルトンは、いるいるな生物の死の世界での生まれ代わりなのである。
純真な旅人を恐怖のどん底に陥れるこの悪の手先は、しかし、ある特定の魔法によって消し去ることができる。

スライム(アメーバ状生物)
ダンジョンの壁は、スライムが付着してドロドロとしている。
普通スライムはそのまま壁にへばり付いているのだが、悪に属するものたちは、汝の後を追ってくるのである。

スパイダー(大蜘蛛)
不注意にも大蜘蛛の巣を破った者は、体を八つ裂きにされてしまう。
悪には属さない生物だが、もし巣のあるとこるを通らなければならないときは、毒の唾をかけられないよう、充分に注意することが大切である。

スクイッド(大いか)
人や船に、大いかが襲いかかるときの触手のちからは稲妻のものにも匹敵する。
この悪の大いかを退治するただひとつの方法は、相手が攻撃可能なまでに近付く前に、大砲を打ち込むことである。

トロール(大鬼)
悪に属する大柄なこの生き物は、驚くべき正確さで何本もの斧を投げつけてくる。
一般にトロールは、丘陵地帯や山のなかに棲息している。

ウィスプ(鬼火)
悪に属するもののなかでも、最も捕らえ捕らえづらいウィスプは戦場内をテレポートし、あらゆる方向から攻撃をしかけてくる。
ウィスプとの戦いに巻き込まれることは、実にわずらわしいことである。
ウィザード(魔法使い) すべての魔法使いが善の道に従っているとは限らない。
この邪悪の裏切り者は、近寄ると非常に危険な相手である。

ゾーン
あらゆるものと対立するゾーンは、壁や障害物を難無く通り抜け、近辺での魔法の効果をなくしてしまう。
この悪の生物に近付かれたら、もうそこからは逃げられない。


悪の世界の支配者たち

バルロン
悪の支配者たちは、3人の悪魔が滅びたと同時に死に絶えたと信じられている。
もう1匹でも生きているとしたら、その凶悪さを目のあたりにするよりも、自ら命を絶つほうがよい。
古代の巻物によれば、バルロンは空を飛ぶ生き物で、強力な火の玉の魔法を操ったようだ。
またさらに、軍隊をまるまる全滅させた恐るへき魔法も編み出していたとも記されている。

デビル
この空を飛ぶ悪の副官は、大洋の沖を飛び回り、海を渡ってどこまでも汝の後を追ってくる。
かなりの魔法の使い手であるから、どんな犠牲を払ってでも避けたい相手である。
デビルは、ことのほか捕らえた人間を拷問にかけるのが好きで、常にその機会を狙っている。




第九章 戦闘技術

歴史家は頭脳労働者であるため、戦闘のやりかたに関する知識はほとんど持ち合のせていない。
そのような理由で、以下の戦闘技術に関する情報は、シルバー・サーパント騎士団の元警備隊長の絶大なるご協力の賜物である。

戦う前に…
これから行う戦闘に際し、適切な装備を整えているかどうかを、確認せよ。
適切な武器と防具は持つているか。持っていなければ、装備し直さなければならない。
武器の装備(Ready)と防具の着用(Wear)は、パーティー共通の装備のなかから選び出して行う。
汝のクラスに合わない装備を選んでしまったら、もう一度選び直すことを要求される。
戦闘の開始…敵と接触したら、敵のいる方向に攻撃(Attack)することができる。
すると、汝は戦闘用の視野を持つようになり、そのなかで、戦闘が繰り広げられる。

攻撃を受ける…
こちらから攻撃をしなかった場合は、相手が邪悪で飢えていたならば、あまり間を置かすに、相手から攻撃を受けることになる。

戦闘の方法…
それぞれの戦士、魔法使いは、単独に行動できるようになる。
攻撃は、4方向(North、East、South、West)にのみ加えることができる。
戦士の順番が回ってきたら、通常の武器を使って攻撃(Attack)する場合は、隣合う4方向のいずれに加えるかを選択するだけで攻撃できる。
魔法使いは、自分の順番になったら、魔法をかける(Cast)ことができる。
調合ずみの秘薬が準備されている魔法だけが使用可能であることを忘れずに。
魔法を選択し、方向を定める。
戦闘用魔法は、ほとんどが遠隔に作用するが、エネルギー・フィールドだけは、魔法をかける者と隣接する場所にのみ有効である。

勝利…
怪物が全威したら、視野は再び通常の風景に戻る。
怪物がなにがしかの宝を持っていたなら、それは汝のものである。
宝箱を開ける(Open)ときは、注意を怠らないように。
ときとして、罠が仕掛けられているのだ。

撤退…
冒険をしていく間には、汝よりも力の勝った相手と一戦を交えなければならないときが来る。
仲間に死にかけた者が出たら、戦場から外へ逃がしてやり命を助けるのだ。
戦況がまったく不利になってしまったら、全員で戦場から外へ出よ。
そうすることで、敵から逃れることができる。
この行動を臆病だと言う者もいるが、仲間の命の尊さは、賢明なリーダーならよく分かっているはずである。

地形要件…
戦場の地形については、充分に時間をかけて研究する必要がある。
仲間のために、防御に有利になるよう地形を利用し、戦況が悪化した場合を考えて、常に退却できる道を確保しておくこと。
覚えておくがいい、我が弟子たちよ。
勇敢な戦士たちは、何千もの軍勢と対等に戦うために、せまい山道に立ちふさがったものだ。

武器要件…
戦士が使える武器には、3種類ある。離れた相手を攻撃できる飛び道具、障害物や仲間越しに攻撃できる長柄武器、そして、接近した相手と戦うための白兵戦用 の武器である。

戦いの倫理…
歩くもの、飛ぶもの、泳ぐものすべてを殺戮することが、汝の生得権であるなどと思ってはいけない。
騎士道の掟には、戦いを始める前に、自問するという意味に必ずこう問えとある。
「これは本当に悪であるか」と。
もし、そうでなければ、殺すことはならない。
そのかわりに、汝はその場にとどまり、相手と立ち去らせるよう努めなければならないのである。
掟はすべての基準である。
これなしには、汝は混乱に渦巻く埃の一粒同然の存在となってしまうであろう。




第十章 近代文明とこの宇宙

歴史上最悪の暗黒時代から、我々はいま這い出してきたところである。
3人の悪魔は滅び去った。
ここに初めて解放の時代を迎え、背後から忍び寄る悪魔の影に脅える必要もなくなった。
新時代がもたらした安定は、平和と繁栄の黄金時代の訪れを告げているようである。

新しい時代を受け継ぐのは、いったいどんな人々であろうか。
我々はいつの時も、好戦的な民族であったことはない。
我々は決して、戦うために生まれてきたのではないのだ。
この努力と才能に値する、より崇高な人生というものはないのだろうか。

侵略的な繩張の拡大によらす、人類が次の成長段階に入るとしたら、考え得る答えはただひとつ。
内なる成長である。
近年、ライキュームの熱心な哲学者グループは、この問題について議論を交わしている。
彼らの思想は、実に急進的ではあるが、熟考してみる価値はある。

徳の人生は、文明を構成する基本要素のひとつと考えてよいのだろうか。
また、それを原則とせずして、社会は試練の時代を乗り越えることができるだろうか。

新しく手にしたこの平和を持続させるには、どうしたらよいのか。
どのような法律と倫理が、あらゆる人々の幸福を継続させることができるのか。

なぜ、いつの世にも悪は存在し、決して消え去ることがないのか。
原始時代から培われてきた社会倫理が、もし純粋なものでなかったとしたら、徳の人生を築き上げるための純潔な土台を、どのようにして作り上げればよいの か。
純潔を理解するためには、努力して純潔にならなければならないという前提があったとしたら、人は、理解できないものに対して、どのような努力をすればよい のか。
図書館の古代の巻物で暗示されているように、もし人生の真の目的がまわりの環境との調和であるたとしたら、ます己自身を直視せずして自然と相対することな ど、できるのであろうか。

それを見通す鍵は瞑想にあるとされている。
超絶的な境地のなかで、人は現代社会の足枷から解放される。
宇宙全体と同調し、己が偉大なる統一体の一部であることを、一瞬感じるのである。
しかし瞑想は瞬く間に終わり、荘厳な世界をかいま見た次の瞬間には、雑事に追われる日常の世界に引き戻されてしまう。

いまこそ、争うことをやめ、己自身に潜む悪と戦う時が来たのだ。
自ら歩み出ることなく、ただ座して徳の道を讃えるだけでは、なにも始まらない。
汝がされたいように、相手にもせよという古代の教えは、宇宙の調和と関連させることで、新しい意味を持つようになる。
我々は、我々の信念の生きた手本とならなければならないのだ。

この新しい道の上を、我々はいかにして歩き治めるべきか。
果たして、道標はあるのだるうか。

あらゆる領域にわたって穏やかであるという状態は、神の化身、聖者(アバタール)にのみ到達できる境地である。
とかく過ちを犯しやすい、我々のような人間にも到達可能かどうかは、自ら探求の旅に出ない限り、確かめる手段はない。
旅に出る前に、終点が見えるはずがないではないか。
人それぞれに、違う道があるとも言われている。
答えを求める旅人は、まず、ブリティッシュ王を訪ねるべきであろう。
王国の道に関しては、王の知識に勝る者はない。
王との語らいは、聖者(アバタール)の8つの徳の中心がどこにあるかを知るうえで、非常にためになるはずである。

多くの哲学者たちは、徳の道は現実に存在し、それは細かいいくつかの小道に分かれているという。
それぞれの小道は、目的の一面に到達している。
小道をひとつ踏破することは、人生の目的地に到達することと解釈される。
そこでどの小道が最も良い道であるかが、議論されるところである。

しかし、全体というものは、部分の集合よりもはるかに大きいものではないだろうか。
ひとつだけではなく、敢然と自己啓発を求めて、すべての小道の踏破に挑戦したまえ。
そうして後、初めて大道の出発点に立つことができるであろう。
聖者(アバタール)への旅が待っている。
汝には、この旅にでる権利があるというのではない。
これは、汝の運命なのである。




あとがき

付け足しとして、余、ブリティッシュ王は、この書にも書かれている聖者(アバタール)への旅について、ひとこと言わせていただく。

聖者(アバタール)への旅の目的は、人々が求めて奮闘している新しい人生の姿、新しい基準を探し出すことである。
国民の輝ける手本となって、我々を闇の時代から光の時代へ導いてくれる人間が求められている。

我々は、このメッセージを、現在知られている最も遠い宇宙の最果てにまで送っている。
時の彼方に語りかけることも、実際におこなってみた。
聖者(アバタール)への旅をなし遂げることのできる人間は、いないだろうか。
これまでにも、多くの者が挑戦し、聖者(アバタール)の8つの徳のいくつかに到達した者もいたが、実際に真の聖者(アバタール)になれた者はいない。

アバタール(聖者)の秘密は、人々の心のなかと、この国の地下深くとの両方に埋もれている。
旅は非常に厳しいものになろう。
旅をなし遂げるには、大いなる謎のすべての部分を集め合わせなければならないのだ。

このページの隣に描かれている紋章をよく見るがいい。
いつか再びこの紋章を目の前にして、汝の人生の答えが示されるそのときまでに、この意味をよく理解しておくのだぞ。
汝の休養の時はこれまでだ。
遥かに鳴り響く戦いの角笛を聞き、友の痛みを魂に感じたからなればこそ、汝は今そこにおるのであろう。
さよう。汝は召喚されたのである。
この呼び掛けには、何人たりとも逆らえん。
汝の天命であると知るがよい。


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